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呪いの館 血を吸う眼

1971年、東宝、小川英+武末勝脚本、山本迪夫監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

夕暮れの海岸、子供達が遊んでいる。

暗くなって来たので、他の子供達が帰りはじめる中、独り残った少女秋子(山添三千子)は、連れていた子犬のレオが突然手を離れて逃げ出したのを追い掛けて行く内に、岩のトンネルの前で立ち止まる。

それでも、レオがその先に行ってしまったので、自分も追い掛けてトンネルを抜けると、そこには、古めかしい洋館があり、レオは勝手にその家の入口から中に入ってしまう。

秋子もその家の側に来ると、いきなり、白髪に口ひげの老人(大滝秀治)に睨まれてしまう。

それでも、レオが心配な少女は、その老人をかいくぐって、屋敷の入口から中を覗くと、西洋の甲冑が置いてある横に大きなピアノがあり、そこに白いドレスを着た女性が座っている。

近づいて、その女性に声をかけようとした瞬間、女性の身体は床に崩れ落ち、横の階段には、眼が金色に光り、開いた口は、血にまみれた恐ろしい男が手を上げて襲いかかろうとしていた…。

時が過ぎ、中学校の教師になった柏木秋子は、自宅を出ると、愛犬のシェパード、レオを連れて、近くの湖の畔にあるレストハウスに向う。

そこの管理人、久作(高品格)に、自宅裏の鍵が壊れたので、修理してもらえないかと依頼しに来たのだ。

その時、突然連れていたレオが紐を振り切って逃げ出してしまう。

瞬間、幼女時代の事を思い出す秋子。

久作も、あの犬が急に逃げ出すなんてと不思議がるが、やがて、そのレオは、こちらに向って来るトラックと一緒に帰って来る。

久作の前で停まったそのトラックの運転手(二見忠男)は、無言のまま、荷台から大きな木箱を下ろすと、無言のまま帰ろうとする。

訳が分からない久作が、依頼人や誰に届けに来たのかと尋ねても、運転手はここに届けろと言われたと言うだけで、さっさと帰ってしまう。

仕方なく、久作は、その重い木箱を一人でレストハウスの方に引っ張って行きながら、夕食を済ませた後、秋子の家の鍵を直しに行くと約束する。

室内に運び入れた木箱の梱包を解いた久作は、中から現れた白い棺桶を見て、悪い冗談をしやがると、腹を立てる。

その頃、家に戻った秋子は、妹の夏子から、自分が描いた奇妙な絵の寸評を受けていた。

それは黒い森の向こうの空に、大きな一つの眼が描かれたもので、秋子が5つの時に見た怖い夢を再現したものだった。

何年経っても、その眼のイメージが消えないので、思いきって、自分で描いてみたのだった。

しかし、夏子はそれを見てからかうが、秋子は今日、シェパードのレオが、昔の子犬のレオと同じように逃げ出した奇妙な符合の事を話し、そこで甦った昔のレオを追た記憶も、それから先の事は何も思い出せないと打ち明けるのだった。

そんな落ち込んだ姉を慰めようと、夏子は、もうすぐ、姉の恋人で大学病院に勤める医者、佐伯タカシ(高橋長英)が来ると伝えていた。

どうやら、夏子も、佐伯には興味を持っている口ぶり。

その頃、久作は、先ほど来たトラックに記してあった西原運送と言う文字を手がかりに、心当たりの店に電話を掛けていたが、どこもそんな荷物は知らないと言う。

念のため、棺桶の蓋を開けてみるが、中には誰も入っておらず、血のしみのようなものがついているだけ。

安心した久作だったが、次の瞬間、突然横から、奇妙な男に手を掴まれ、襲いかかられるのであった。

秋子の家にやって来た佐伯は、彼女が描いた絵を見て、過去の強迫観念が、架空の敵を無意識に作ってしまう事があるなどと、専門科的な分析を聞かせていた。

やがて、その佐伯も帰る事になり、時計を見ると、もう夜の8時過ぎ。

約束した久作が来ない事に不審を覚えた秋子は、佐伯の車に同乗して、途中のレストハウスまで送ってもらう事にする。

佐伯と別れた秋子は、一人でレストハウスの中の久作を呼び掛けるが、返事はない。

恐る恐る中に入った秋子だったが、そこに見知らぬ黒服に白いマフラーを巻いた男が無言で立っているのに気づき、恐ろしくなって逃げ帰ってしまう。

翌日、夏子と街へ出かけた秋子は、喫茶店で、夕べ、真っ青になって帰宅して来た事を夏子に笑われていた。

落ち着いて考えてみれば、怖い事等何もなかったのだ。

そう気づいた秋子だったが、次の瞬間、店の片隅で、女性が弾いていたピアノのある音に、突然昔の記憶を呼び戻される。ピアノの鍵盤を引っ掛けながら、床に転がり込んだ女性の姿を。

その後、大学病院にいた佐伯の元に、近くに来たから食事でもいかがと言う秋子からの電話がかかって来る。

快諾しかけた佐伯だったが、そこへ看護婦が急患が運ばれて来たと告げに来たので、やむなくキャンセルとなる。

急患は、ドライブ客が見つけたのだが、意識障害を起こしていると言う。

診察して見た佐伯は、その女性(桂木美加)の首筋に、何かの噛み痕のような傷があり、一度に多量の血液を失った為に起こった症状だと判断する。

その患者が見つかった場所が、秋子姉妹が住んでいるふじみ湖付近と聞いて、何事かを心配する佐伯だった。

そのふじみ湖のバス停に、秋子と夏子姉妹が帰って来た。

自宅に戻った秋子は、犬小屋のレオを呼び掛けるが、繋いでいた紐だけ残っており、肝心のレオの姿が消えているのを発見する。

林の中に探しに入った秋子は、間もなく、血を吐いて倒れているレオの死体を発見する。

呆然として、そのレオに近づこうとした秋子は、突然後ろに現れた久作から、いきなり襲いかかられ、気を失ってしまう。

久作は、その秋子の身体を抱き上げると、レストハウスに運び込み、テーブルの上に横たえるのだった。

そこに現れた黒服の男は、横たわる秋子に襲いかかろうとするが、その顔に、突然光がさし、思わず怯んでしまう。

やって来た車のライトだった。

その後、ドラをノックする音が聞こえ、秋子は目覚めるが、入って来たのは、船を貸してくれと言う釣り客二人(小川安三、大前亘)。

その頃、奇妙な患者を診断していた教授に、佐伯は、その女性が農家の娘で、どうやら家出していた所だったらしいと判明したと説明していた。

釣り客二人は車の横にたき火を焚き、レストハウスの中には誰もいなかったと秋子を安心させるが、秋子を送ろうかと心配する二人に、近くだから一人で帰ると秋子は断わる。

帰り道、林の中で先ほど見つけたレオの死体の元に戻った秋子は、血の痕だけで、レオの姿が消えているのに気づく。

自宅に帰りついても、夏子の姿が見えない。

物音に気づいて、裏の台所に行ってみると、壊れた裏口ドアが開きっぱなしになっているし、鍵をかけようとしても壊れているのでどうしようもない。

不安に駆られた秋子は、大学病院の佐伯を呼出して、夏子がいなくなったので、今夜来て欲しいと伝えるが、その受話器を握る手を、いきなり掴む手があった。

夏子だった。

退屈だったので、表を散歩していたのだと言う。

夏子が戻った事を知った電話の向こうの佐伯は、眼の離せないクランケがいるので、今晩は泊まりになると言う。

秋子は、今日、レオが死んでいて、久作に襲われた話を夏子に聞かせるが、久作は前から、姉さんに気があったからではないかと、まぜっ返すだけ。

秋子は、裏口のドアを家の中から紐で縛って応急措置を取るが、その夜はまんじりともしなかった。

その頃、大学病院には、あの黒服に白マフラーの男が現れていた。

病室で独り寝ていた、あの女性患者は、突然ムクリと起き上がると、そのまま、入口の方に歩き始める。

ナースセンターでその姿を見つけた看護婦が声をかけるが、振り向いてにやりと笑った女性の顔を見て、その無気味さに看護婦は凍り付く。

駆け付けた警備員が、その女性患者を裏階段の所で捕まえ、揉み合っている内に、その患者は階段の柵から落ち、地面に叩き付けられて即死してしまう。

一方、夜中に目覚めた秋子は、裏口のドアの物音に気づき、窓の外を見ると、白いネグリジェにエンジ色のケープをまとった夏子が、夜の林の中に歩いて行く姿を目撃する。

台所へ降りてみると、案の定、あのドアは縛っていた紐が解かれ開いていた。

夏子の名を呼びながら林の中を追い掛けていた秋子は、一瞬、足元から鳥が飛び立ったのに驚いて視線を外した瞬間、先ほどまで見えていた夏子の姿を見失った事に気づく。

家に戻って、再び大学病院へ電話するが、誰もでない。

その頃、林の中では、夏子が黒服の男と対面していた。

男の瞳は赤く光り、それに魅せられたかのように無言の夏子は、そのまま黒服の男に抱きつかれ、首筋を噛まれるのだった。

翌朝、徹夜明けの佐伯タカシが秋子を訪ねて来る。

結局一睡も出来なかった秋子は、彼の姿を見ると安心して思わず抱きついてしまうが、そんな二人をからかうように、黒のタートルネック姿の夏子が二階から降りて来るではないか。

何時、彼女が戻って来たのか、全く気づかなかった秋子は、何でもなさそうな妹の姿を見て驚愕する。

秋子の昨日からの話を一通り聞き終えた佐伯は、自分も夕べ、病院で不幸があり、その患者を病理解剖しようとしたが、両親のたっての願いで、すぐに火葬にしなければならなかったと話すのだった。

二人で出かけたレストハウスには、久作が何事もなかったかのように仕事をしていた。

一昨日、ここにいた見知らぬ男は誰なのか秋子が尋ねると、久作は、あれは御主人様だと答える。

ここの主人なら、自分も以前に会った事があるが、別人だったはずと不審がる秋子。

その人に会わせてくれと佐伯が頼むと、今はいない。忙しいから帰ってくれと、久作は部屋を出て行ってしまう。

二人を追い返した久作が入った奥の部屋には、あの白い柩がまだ安置されていた。

色々聞きたい事が会ったのに、結局追い出された形の秋子は佐伯に向い、神様を信じる人は大勢いるのに、何故、悪魔を信じる人はいないのかと奇妙な問いかけをして来る。

家に戻った佐伯は、裏口のドアの鍵を自分が修理してやる。

そこへ電話が入り、それに出た夏子が、当直に欠員が出来たらしいので、すぐ戻って来るように、病院から連絡が会ったと、台所にいる二人に告げに来る。

今日一日は休暇がもらえたはずなのにと、不満がる佐伯に対し、秋子は自分は大丈夫だからと気丈な所を見せる。

秋子が、車で出発する佐伯を外に見送りに出ている時、雷が聞こえて来る。
嵐が来るようだ。

家の中に戻った秋子は、そこに何時の間に入り込んだのか、黒服と白いマフラー姿のあの男と、エンジのケープを羽織った夏子が立っているのを見つける。

黒服の男は、私はあなたを気に入っていると言いながら、秋子に近づいて来る。

大きな眼を描いた秋子の絵も、作者自身の恐れが良く出ているから、気に言っているとも。

その頃、土砂降りの雨の中を、病院に向っていた佐伯は、こちらも何時の間に忍び込んだのか、後部座席にいた久作から急に襲いかかられていた。

必死の抵抗をする佐伯は車を止め、何とか車外に逃げ出すが、その後を追って来た久作は、手にスパナを握っていた。

しかし、次の瞬間、久作が振り上げたスパナに雷が落ち、久作は、そこで息絶えてしまう。

秋子の家では、夏子が、子供の頃から美しくて頭が良いお姉さんは、いつもパパとママに可愛がられて来たけど、これからは私みたいになるのよ!と言いながら迫って来た。

二人から必死に逃げ回る秋子は、二階の部屋に逃げ込み、クローゼットの中に隠れるが、その後、黒服の男が入って来る。

部屋の中を探した後、部屋を出て行く音が聞こえたので、秋子は、鍵穴の中から、部屋の中の様子を確認してみると、部屋の中にあった大きな鏡に映し出された室内には誰の姿もなかった。

安心して、クローゼットから出て来た秋子だったが、そのすぐ横に黒服の男が立っていた。

驚いた秋子は、もう一度鏡を振り向くが、そこには、秋子以外には誰も映っていなかった。

もはやこれまでか!と思われた時、佐伯が戻って来る。

気がつくと、家には秋子以外には誰の姿もいなくなっており、秋子は思わず、あの大きな眼を描いた絵を暖炉で燃やしてしまうのだった。

佐伯は、車の中で久作に襲われた事、その首筋に噛み痕があった事などを秋子に聞かせ、これまでの秋子の体験談が間違っていなかった事が分かったと告げる。

とにかく、家の中に見当たらない夏子を探しに行こうと佐伯に言われ、一緒に林の中に向った秋子は、湖の畔で倒れている夏子を発見、その首筋には噛み痕があったが、脈を取ると、まだ息があったので、急いで、佐伯の車に乗せ、病院へ走り出す。

その車の後部席で、姉に抱かれた夏子は、切れ切れの声で「私が…、死んだら…、すぐに…、身体を燃やして…、おねがい…」と言い終え、息絶えるのだった。

病院についた佐伯は、その夏子の遺体を解剖室へ運ぶように当直の看護婦に指示した後、秋子を部屋に連れ込むと、これまでの事から判断して、今回の事件は、吸血鬼の仕業としか考えられないと話し出す。

そこで、君の過去の記憶を呼び覚まして潜在意識を探りたいので、催眠面接を試してみたいのだが、協力してくれないかと頼む佐伯に対し、承諾した秋子は、その場で催眠状態になり、過去の記憶を読み戻して行くが、ピアノの前に座っていた女性が死んでいた所までは思い出したものの、その後はやはり無理だった。

しかし、その秋子の言葉を確認した佐伯は、やはり秋子が忘れられなかった夢の記憶は現実にあった事で、子供の頃、それは夢だと教えた両親の言葉に、無意識に従っていただけだと推理するのだった。

君は、3才年下の夏子が生まれた事で、彼女に両親を取られるような不安を感じ、神経質で怯えがちな子になって、両親を取り戻したのだとも。

その佐伯の言葉に頷いた秋子は、夏子は、そのために独りぽっちになってしまったのだ…と後悔するのだった。

その頃、解剖室で、夏子の解剖準備をしていた看護婦の近藤は、いきなり死体に手を捕まれ、起き上がった夏子が開いた口の中の牙を観て、凍り付いていた。

佐伯は、警察から電話があって、久作の遺体は見つからなかったそうだと秋子に話し続けていた時、突然、別の看護婦が飛び込んで来て、夏子の死体が消えたと知らせに来る。

解剖室に行ってみると、近藤看護婦が倒れており、その首筋には噛み痕があった。

いきなり、君の生まれ故郷に行こう!と言いだした佐伯の言葉に従い、秋子は彼の車で、故郷の能登半島の小さな漁村に向う。

そこで、海岸に来た秋子は、子供の時と同じ、赤い夕焼けを観る事になる。

記憶をたどりながら、岩のトンネルを通り抜けると、そこには、レストハウスに棺桶を持ち込んで来た西原運送と書かれたトラックが停まっている。

佐伯が運転席を確かめると、中から首筋を噛まれ死んだ運転手が転がり出て来る。

やがて、秋子は、昔観たものと同じ屋敷を発見し、佐伯と共にその中には入って行く。

無人の屋敷の中には、記憶通りピアノがほこりをかぶっていたが、秋子は何も思い出せない。

そこで、ショック療法として、佐伯がピアノの鍵盤をかき鳴らしてみると、その瞬間、秋子は、階段に立ったあの黒服の男の恐ろしい顔をまざまざと思い出すのだった。

あの男にここで出会ったが、その時、この屋敷の老人に、レオと一緒に、屋敷の外に連れ出してもらった事も思い出す。

その時、二階でかすかな物音が聞こえるので、恐る恐る登って部屋を開けて観た二人は、そこに机に向い腰掛けた白髪頭の老人の姿を発見、声をかけると、机の上にあったその老人の手の皮膚が破れ、たちまち老人は床に崩れ落ちるのだった。

もうとっくの昔に亡くなっていたらしい。

机にあった日記を読んでみると、自分は日本人ではなく、父には吸血鬼の血が流れていたと書かれていた。

しかし、その父親も自分も、生涯、何も異変は起きなかったが、自分の息子が25才になった時、いきなりその血が復活したのか、愛した娘に牙を向けたと言うのだ。

その時、たまたま屋敷に入り込んで来た少女と子犬を助けたとも記してある。幼い秋子の事であった。

その息子は、その後、監禁した…と読み進めたところで、「その監禁された息子は死んだ」と声が聞こえて来る。

突然、あの黒服の男が部屋に入って来たのだ!

「そして、甦ったのだ!」と、その男は続ける。

そして、秋子の方に「待っていたよ、私の花嫁」と迫って来るではないか。

黒服の男は、幼い秋子を観た時から、自分の伴侶とせんものと、執念深くチャンスを待っていたらしい。

その男の様子を観た佐伯は、「こいつはキチ○イだ!こいつに噛まれた連中も、催眠現象を起こしていただけだ!」と断定するが、黒服の男に弾き飛ばされてしまう。

そのはずみで、部屋に置いてあった白い柩の蓋を開けてしまうが、佐伯はその中に眠っていた夏子が目覚めるのを観てしまう。

気がつくと、黒服の男が秋子を襲っているではないか。

夢中で、黒服の男に組み付いていった佐伯は、部屋の外に出ると、掴み合いの争いになるが、力の差は歴然で、黒服の男に二階の手すりに押し付けられた佐伯の身体は下に落ちそうになる。

手すりも半分こわれかかっている。

その時、とどめの力を込めてきた黒服の男の足を、死んでいたはずの老人の手がしっかり掴んだ為、もんどりうった黒服の男は、壊れた手すり諸共下へ墜落し、手すりの破片が胸に突き刺さってしまう。

苦しむ黒服の男、しかし、その身体は徐々に崩壊して行く。

気がつくと、廊下に出て来ていた夏子も、その場に崩れ落ちてしまう。

側に駆け寄った秋子と佐伯は、青ざめていた夏子の顔が、元の美しい顔に戻って行く事に気づく。

悪魔が消えて、安らかに死ねたんだと安堵する秋子。

老人の死体の顔の眼からは、涙が流れていた。

そして、あの黒服の男の身体は、すっかり骸骨に成り果てていた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「幽霊屋敷の恐怖・血を吸う人形」に続く「血を吸うシリーズ」第2弾。

岸田森の吸血鬼が初登場する作品である。

湖畔に住む美貌の姉妹を襲う恐怖の体験…という設定は、今なら、ホラー好きの若い女性にピッタリの内容のように思えるが、公開当時、女性がこの手の怪奇映画、まして、邦画を好んで観る習慣がほとんどなかった事もあり、マニア限定、知る人ぞ知る…みたいなマイナーな興行結果になってしまったような気がする。

低予算ものながら、ストーリーは正攻法で、派手なケレンをほとんど用いないでも、巧く観客の興味を惹き付けていく手腕は確か。

地味な展開ながら、今観ても、そのサスペンス感は色褪せていない。

岸田森の吸血鬼振りもハマっているが、今回の作品では、高品格のカジモド風吸血鬼も捨て難い。

他にも、「帰って来たウルトラマン」の丘隊員役でお馴染みの桂木美加のミニネグリジェ姿の蘇生振り、江美早苗の美人吸血鬼もインパクトがあり、正に適材適所といった感じ。

小柄な岸田森の主役を希望する山本監督に対し、吸血鬼=大男のイメージにこだわり難色を示した当時の映画会社を納得させるため、岸田森にシークレットブーツをはかせる事にしたそうだが、クライマックスの高橋長英との戦いのシーンでは、その足元は隠されており、不自然さを感じさせないで、岸田の大きさを表現している。

屋敷に住む無気味な老人役は、スクリーンで凝視しても誰が演じているのか全く分からなかったが、調べてみたら、大滝秀治だった!

白髪のカツラやヒゲ面といった凝ったメイクもさる事ながら、セリフを一言も発しないので分からなかったのだが、誰が演じても代わり映えしないようなこの役を、当時の大滝秀治が良く引き受けたものだと感心する。


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