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極道恐怖大劇場 牛頭 GOZU

2003年、オフィスアスク、佐藤佐吉脚本、三池崇史監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

鉛筆削りや、何だか人物二人が写ったようなすこぶる不鮮明な映像、「ちょうだい!ちょうだい!」「出してあげたいけど…」など、意味不明なセリフが聞こえているそのビデオだかテレビだかを、喫茶店で他の仲間たちと黙って観ているヤクザ尾崎(哀川翔)。

そこへ字廻組長(石橋蓮司)がやって来る。

その組長に頭を下げ、奥のボックス席に招いた尾崎は、ガラス窓から見える外の歩道で、二人の若い女性が、チワワを抱いて話し込んでいるのを見つめる。

今日は、組の定時報告会だったので、司会役を任された南(曽根英樹)が主席者たちに、何か報告事項があれば…と発言を促すが、誰も何も言わない。

結局、すぐさま解散かと思われた瞬間、尾崎が突然「これから言う事は全部冗談ですから、決して信じないで下さい」と前置きした後、組長に外の犬を観たかと尋ねる。

怪訝そうな組長たちを前に、尾崎は「あれは、ヤクザだけを追うように訓練されたヤクザ犬に違いありません」と言い出す。

組長は冗談だと思っているので適当にあいづちを打って、「おれ、あまり話す事ないんだけど…」と、会合の話を続けようとするが、真剣な目つきの尾崎は、殺られる前に殺っておかないと…と、呟いたかと思うと、外に出て、いきなり、そのチワワを女性の手から奪い取ると、地面やガラス窓に叩き付けて惨殺する。

ガラス窓に血が滴っている中、真剣そうに一点を見つめる尾崎の姿があった。

それを、店内から、他の組員同様、呆れた表情で観ている組長。

後日、その尾崎が、南の運転するオープンカーで名古屋に向っていた。

後部座席に座った尾崎は、今回おやじ(組長)に頼まれた名古屋の挨拶廻りと言う仕事は、時期的におかしくないかと、南に話し掛ける。

南が黙って車を止め立ち、許しを得て立ち小便を近くでし始めると、その側に寄って来た尾崎が、うちの組どう思う?と、さらに話し掛けて来る。

このままだとどんどんダメになる。おやじは女の事しか頭になく、あの年でそんな事やっているようじゃ先がないので、一線を引いてもらおうと言い出し、俺を信じて最後まで付いて来てくれるかと問われた南は、昔、命を助けてもらった時から、覚悟は出来ていると答える。

その後、再び車を走らせはじめた南に、尾崎は突然「止めろ!」と命じ、車から南を引きずり下ろすと、後ろから走って来て止まった白い車を指し「あれは、ヤクザを轢き殺す為だけに作られたヤクザカーだ!」と言い出し、銃を抜く。

訳が分からない南に対し、「俺になんかあったら、後の事は頼んだぞ!」と言い残して、尾崎は、銃を持ったまま白い車に近づいて行く。

尾崎が銃を向けた白い車の運転手は、びっくりするほどおばちゃん顔の全く無害そうな男だった。

尾崎が引き金を引く寸前に駆け付けた南は、尾崎を殴りつけて気絶させると、その運転手に早く立ち去るように命ずる。

その直後、組長からケイタイがかかってきたので、今、名古屋の手前あたりにいると答えた南は、尾崎は狂っているから、早く名古屋の処分場へ連れて行けと命ぜられる。

気を失った尾崎を後部座席に乗せ、再び走りはじめた南だったが、突然、道が川に遮られて寸断しているのに気づいて停まる。

呆然と、車を降りて川を眺めていた南だったが、車に戻ってみると、尾崎が目を見開いたまま死んでいるではないか。

茫然自失状態になった南は、何とか組長と連絡を取ろうとケイタイを取り出すが、圏外で通話が出来ない。

仕方ないので、そのまま車を別の道に進ませ、「憩い」という名前の喫茶店の横に公衆電話を見つけたのでそこからかけようろするが、それもどうした訳か繋がらない。

外に出て近くの様子を観ていると、「憩い」の隣の建物の二階の窓から、女がこちらの様子を伺っている。

その時突然、今まで通じなかった公衆電話が、奇妙な音で鳴り出したので、南はあっけに取られて、その電話を見つめる。

結局、車の後部座席に尾崎の死体をさり気なく座らせたまま、「憩い」に入って、その中の電話でかけようと決意した南だが、店の電話は、奇妙な銀色のジャンパーを着た男(木村進)が、大量の十円玉を横に積み上げて、奇妙な会話を繰り返していた。

「今日は寒いけど、一昨日まで暑かった。半袖着とった。みんな暑かったねゃ〜言うたら、ワンと言われた。猫じゃない!言うたら、電話がプーと言うんで十円玉入れた…」

その電話が空くのを待つ為に、取りあえず席につき、コーヒーを注文した南だったが、黒いブラジャーをしているのが透けて見える奇妙なハゲおやじのマスターが持って来たコーヒーには、茶わん蒸しが付いていた。

これは注文してないけどと南が戸惑っていると、ハゲおやじは「サービスです」と寂しそうに答える。

訳が分からない南が店内を見回していると、壁の向こうの席に座った金色ジャンパーの男(間寛平)が、ジッとこちらを見つめている。

仕方ないので、その茶わん蒸しを食べはじめた南だったが、金色ジャンパーの男が「あんた、名古屋の人間違うやろ」と、突然口にしたので、何だか気持ちが悪くなり、トイレに駆け込むと全て吐いてしまった。

席に戻って来た南は、窓から見えていたオープンカーの後部座席に尾崎の姿がいなくなっているのに気づき、慌てて表に飛び出す。

車の下まで見回った南だったが、尾崎の姿はどこにもなかった。

ひょっとして生き帰ったのかもと思いつき、「憩い」に戻り、自分がトイレに行っている間に誰か来なかったかと尋ねるが、誰も知らないと言う。

その後、ようやく繋がった組長から、再び、ヤクザ処分場に持って行けと命じられた南だったが、その尾崎が失踪した事は言い出せなかった。

電話をして来た組長は、ちょうど女と寝ている最中で、その尻にはオタマが突き刺さっていた。

組長は、その近くには城山組があるはずだから、そこの親分を訪ねて行けば、協力してくれるだろうとアドバイスして来る。

しかし、その組長から教えられた住所には寺しかなく、そこの住職は、警察に聞いてみればと言うだけ。

仕方ないので、交番の警官に城山組を知らないかと聞きに行くが、そこの警官は、あんた名古屋の人じゃないねと突然言い出し、東京?横浜?僕は香港だけど…と、訳の分からない質問を投げかけて来る。

結局、人に聞くのを諦め、もう一度組長に住所を確認しようと、ケイタイを取り出すが、話し中で繋がらない。

さらに、車を走らせはじめると、急にパンクしてしまう。

すると突然「骨だね」との声が!

見ると、横の草むらに、顔半分が白い奇妙な男(火野正平)が、タイヤに刺さった骨を抜いてくれて「お助けしましょうか?」と話し掛けて来る。

気味が悪いので、なるべく相手にならないようにしていると、生まれた時からここの所の色素がないのだと、その男は勝手に顔の説明をして来る。

うちの工場にはタイヤがたくさんあるからとまで言うので、仕方なく一緒に出向いてみたスクラップ工場では「与作、歌える?」とか「人殺しした事ある?」「カレーとハヤシライス、一緒に食べちゃったりする?」「おばあちゃんの名前、キリコでしょう?」など、その男が奇妙な質問を繰り返して来るので、「何が聞きたいの?」と半分きれかけた南だったが、男は「君と僕は似ているんじゃないかと思って」と答えて来るが、南はもう聞いていなかった。

何故なら、そこの事務所に「城山組」の文字を発見し、愕然としていたから。

そこが城山組だったのだ!

その後、城山組の組長(川地民夫)に、これから出す問題に答えられたら助ける、負けたら、あんたの一番大事なものをもらうと言われた南、訳も分からないうちに「座っているのに立っているものは何?、制限時間は三十秒」といきなりクイズを出され、顔半分が白い男(実は、能勢という名前だったのだが)が時間を刻みはじめたので、パニクルが、時間一杯で「時間!」という正解を思い付く。

その結果、能勢に協力してやるよう、城山は命じる。

しかし、今日はもう暮れかけて来たので探すのは明日からなどと、能勢が呑気な事を言い出したので、急いでいるんだとまたもやキレかけた南だったが、頼みごとをしているんだったら、相手の言う事を聞くようにと言われ、仕方なく、能勢に連れられて「マサカズ旅館」という古びた旅館に連れて行かれる事になる。

いくら声を掛けても、誰もいないかのような旅館だったが、ようやく出て来た女将マサ(冨田恵子)と、極度の人見知りのようなカズ(曽根晴美)がいる無気味な旅館に泊まる事になった南は、その夜も奇妙な事に巻き込まれて行く。

一緒に泊まって行って良いかと、いきなり能勢も上がりそうだったので、取りあえず引取ってもらった南、その後、カズが「お食事はいかがしますか?」と聞きに来たので「お願いします」と答えると、カズは「エ!?」と意外そうに答えた後、「主人に相談して来ます」と奇妙な受け答えをして下がって行く。

その後、女将のマサが、今日は材料が少ないのでBコースしか出来ないのだがとやって来たので、それで良いと答えると、できるまで少し時間がかかるので、その間風呂でもどうかと勧めて来る。

その言葉に従い、入浴していると、ガラス戸の向こうに人影が見える。

湯加減を聞いて来たので、良いと答えると、お背中流しましょうか?と問いかけて来る。

断わった南だったが、その言葉が聞こえなかったように、いきなり、バスタオルを巻いた女将が勝手に入って来る。

さらに、その大きな胸を自慢しながら、乳も出るんですよと言って、いきなり胸を自分でもみはじめると、バスタオル越しに乳が滲んで来るのが見える。

飲みます?と聞いて来たので、さすがに南がきっぱり断わると、最近、そうやって断わるお客さん多いんですよね、と女将は平然としている。

気まずくなった所に、カズの「食事の用意が出来た」との声が聞こえて来たので、南は救われたように部屋に戻る。

しかし、部屋に用意されていた食事は、何故か二人前あり、訳をカズに尋ねると、それがBコースなのだと言う。

取りあえず、食事をし始めた南だったが、天井から白い汁が垂れて来て、味噌汁の中に落ちているのに気づき、気味が悪くなって食べるのを止める事にする。

その夜、南は夢をみていた。

尾崎を後部座席に乗せ、車を運転している南に、いきなり尾崎が包茎手術したものを見せてみろと言って来る。

嫌々出してみると、フランケンシュタインの○○○○みたいだなと感心した尾崎は、女が出来たらこれを履かせろと、ジバンシーの真っ赤な穴開きパンティをプレゼントしてくれるのだ。

翌朝目覚めた南は、机に上に置いた大きな皿一杯に白い液体がたまっているのを発見する。

さらに、「朝食はAコースにさせて頂きました」の書き置きとともに、何故か「三人前」の食事が置かれている事にも。

しかも、何故か、御飯の代わりに赤飯がつがれていた。

表に出てみると、頭にガーゼを当てた能勢が不機嫌そうに迎えに来ていた。

夕べは、嫌な事が怒りそうだったので帰りたくなかったのに、無理矢理帰した南が悪いとふて腐れている。

取りあえず、昨日寄った「憩い」に向った二人、そこには、又、昨日と同じ、金色ジャンパーと銀色ジャンパーの男二人が向かい合って、同じような話をしていたので、近づいて話を聞こうとした能勢の顔を観た二人は、いきなり、西中の能勢っちやろ?と、逆に聞いて来る。

旧友だった事が分かり、いきなり三人で話が盛り上がりはじめたので、苛立った南が、昨日、誰か男が来なかったかと話に割り込むと、ジャンパーの二人も、コーヒーを運んで来たマスターも知らないと答える。

そもそも、昨日、南がこの店に来た事すら覚えていないと言うではないか。

逆上した南が、金色ジャンパーの男につかみ掛かろうとしたので、それを制した能勢は、人探ししたかったら、探偵を見つけろと、店を追い出してしまう。

ふて腐れて車の運転席に戻った南は、そこへ飛んで来た紙飛行機に「そこで待て 能勢」と書かれているのを見つける。

仕方がないので、独り「マサカズ旅館」に戻って来た南の話を聞いた女将は、いきなり、弟は霊媒ができるのでやってみようか言い出す。

唐突な話に面喰らう南だったが、あまりに女将が勧めるので、取りあえずやってもらう事にする。

ところが、乗馬用の鞭を持って現れた女将は、弟のカズの上半身を裸にすると、いきなり鞭でしばきはじめ、痛がるカズは逃げ回る。

そのカズに、本当に霊媒ができるのかと問いかけると、そんな事は一度もやった事がないと言うではないか。

しかし、女将は、霊媒ができるとかできないの問題ではなく、お客さまにサービスするのがこの旅館のモットーなんだと訳の分からない事を言いながら、逃げるカズを追い掛けて部屋を出て行ってしまう。

その姿を唖然と観ていた南は、何時の間に帰って来たのか、能勢がコーヒーを飲みながらがたがた震えている姿を発見する。

能勢は、先ほど「憩い」にいたジャンパーの二人組は、中学時代の番長と副番長だったので断れなかった、さらに、あそこにいたマスターは、3年前に交通事故で死んだ人間だと言って怯えている。

すると、いきなり、トイレの扉が開き、見知らぬ男が大便をしている最中なのが見える。

気を取り直した能勢は、あの二人組は、やっぱり昨日、40前後の男が店に入って来たのを観たらしく、餅米はどこだと奇妙な事を聞かれたので、一番近い米屋を教えてやったと南に告げるのだった。

その情報をもとに、米屋に出かけた南は、そこの主人(長門裕之)から、確かにそんな男がやって来て、胡麻とか小豆はどこだと言うので、一番近い酒屋を教えてやったと教えられる。

しかし、その酒屋は、嫁さんがアメリカ人だが行くのか?と、奇妙な質問をして来る。

当然、その酒屋へ向った南は、米屋の主人が言う通り、ミラングとか言う奇妙なアメリカ人妻が、何故か、壁に貼られたカンペを読みながら、片言の日本語で、昨日やって来た男から安い宿を聞かれたので、マサカズ旅館を教えたと教えられ、すぐさま旅館に舞い戻る事になる。

外では、子供が牛乳を飲んでおり、牛乳箱の底からも乳が滴り落ちている。

マサカズ旅館に戻った南は、人影の見えたガラス戸の中を覗くと、そこで、カズは並んだ牛乳瓶の蓋をはめており、その傍らのテーブルでは、女将が自分の乳房を絞って、そこから出る乳を、空の牛乳瓶に詰めているではないか。

南はその女将に向って、昨日、俺以外に誰か泊まらなかったかと尋ねると、夜中の一時頃客が来たので、あんたが泊まっている部屋の上に当る2階の物置き部屋に案内したと答える。

さらに、今朝出て行ったその客から、餅米と胡麻と小豆をもらったので、今朝方、朝食に赤飯を焚いたと言うではないか。

南は、今朝の朝食に出された赤飯を思い出していた。

隠し扉を外して、階段を上がると、二階の部屋には、確かに尾崎がいた臭いが残っていたので、もしかしたら、もう一度、兄貴が戻って来るかも知れないので、ここで自分も泊まって良いかと交渉し、本来泊める部屋ではないが、正規の料金出してもらえるのなら構わないと了承を得る事になる。

その夜、まんじりともせず起きていた南は、二階に近づいて来る足跡が聞こえるので、思いきって襖を開けてみるが、外には誰もいなかった。

廊下に出て様子を確認した後、部屋に戻ってみると、そこには、頭が牛で、下はブリーフしか履いていない人間が立っているのを発見する。

その牛男は、ダラダラよだれを垂らしており、唖然としている南に何か手渡した後、長い舌を突き出すと、南の顔をベロベロと嘗め廻しはじめる。

気絶した南が気づいてみると、そこにはもう何もいなかった。

夢を観ていたのだと思った南だったが、その胸元には、先ほど牛男から手渡されたと思しき紙があるではないか。

広げてみると、そこには「処分場にて待つ 尾崎」の文字が…。

翌日、車の処分場に到着した南は、尾崎を探し求めて呼んでいるが、見つけたのは、そこの従業員と思しき男と、「誰を処分したいんだ?」と繰り返している、奇妙なサングラス姿で親分風の男(丹波哲郎)だけだった。

南から、尾崎の風体を聞いた従業員は、確かにそんな男が昨日ここで倒れていたので、もう処分してプレスしてしまったと言い、中身はこことポリバケツを開けてみせられると、そこには脳髄等血に塗れた臓物が浮いている。

さらに、ノシイカのようにペッチャンコになって、ハンガーに吊された洗濯物のようになった人間の皮を見せられ、これが尾崎だと言われる。

訳が分からないまま、車に戻った南だったが、いきなり後部座席から「遅かったですね」と声をかけられ驚愕する。

そこには、見知らぬ和服姿の女が座っており、誰だと問いかけると、尾崎です。あなたの兄貴の…と、その女が言うではないか。

ふざけるな!と怒る南に対し、その女は、次々と、南と尾崎の二人しか知らないはずの話を披露する。

取りあえず、東京の組長に連絡をとり、処分は済ませたが、ちょっと妙な事が起きたので、詳しい事は戻ってから報告すると伝えた南だったが、気が付くと、又、今まで乗っていたはずの女の姿がない。

慌てて、周囲を探していると、停まった長距離トラックの運転席に、乗り込もうとしている女の姿を発見したので、急いで走って行き、女を乗せようとしていた運転手をのしてしまう。

誘われたから…と言い訳をする女を自分の車に押し込んだ南は、取りあえず東京に向うが、途中泊まったホテルでは、ベッドで寝ている女の身体を触ってみる事にする。

すると、気づいて目覚めた女から「Hがしたいのなら、何時でもやって良い」と言われたので、バツが悪くなった南だが、断固拒否するのだった。

翌日、東京に戻った南は、自分だけが先に事務所で報告するからと言うと、女は自分も行くと言う。

事務所で、戻って来た南から話を聞き終えた組長は、「お前の言っている事はまるで分からない。そんな事言っていると、お前まで処分場送りになるぞ」と心配そうに答えていた。

そこへいきなり入って来た女は、自分は、組長に昔しょっちゅうお世話になった寅田丑之助の娘でサキ子だと名乗り、自分をここで働かせてくれないかと、組長に直談判しはじめる。

全く、寅田という名前に覚えがないようだった組長だったが、女が美人なので、すぐさま、思い出した振りをして、「自宅で書類の整理がしたいので手伝って」と言い、そのまま自宅に連れて帰る事になる。

女がやられると察知した南は、自分も組長のマンションに駆け付けると、屋上から、ホースを垂らして、組長の部屋の前まで降りて来るが、そこでバランスを崩してしまい、落ちそうになったので、思わず声をだし、気づいた組長から部屋の中に入れてもらう事になる。

あやうく、女は組長にやられる寸前だったらしく、女は布団に寝かされており、組長の尻にはオタマがささっていた。

その組長に対し、思わず、兄貴は誰にも渡せないと叫んだ南は、怒った組長から、ガラスの灰皿でしこたま頭を殴られてしまう。

しかし、血まみれになりながらも、組長と組合った南は、尻餅を付いた組長のオタマが、尻の穴に深く突き刺さって悶絶したのを見届けると、電気スタンドの傘と電球を抜き、そのニクロム線をオタマに接触させ、組長を感電死させるのだった。

その様子を黙って見守っていた女は、南に連れられホテルに向うと、以前、兄貴からもらったジバンシーの穴開きパンティを履かせられ、寝る事になる。

しかし、合体した南は、何か股間に違和感を感じ、身体を話そうとするが、女の身体は離れず、ズルズルと隣の部屋まで付いて来てしまう。

あげくの果て、ようやく抜けたと思うと、女の股間から、大人の手が伸びて来るではないか。

南が唖然として観ている中、出産をするように苦痛を浮かべた女の股から、大きな大人の顔が現れる。

それは尾崎だった。

生まれて来る尾崎も苦しそうだったが、苦闘の末、ようやくスポンと飛び出す。

尾崎を生み終えた女は、体中の血管が浮き出した異形の姿になっていたが、その後風呂に入ると、もとの状態に戻っていた。

女は風呂の中ですがすがしそうに歯を磨いており、戻した歯ブラシのカップには、別の二本の歯ブラシが刺さっていた。

その後、仲良く町を歩く尾崎と南と女の三人の姿があった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シュールな怪奇ファンタジー風作品。

最初から最後まで、不条理の連続なので、ストーリーを追っても意味はない。

シーンごとのイメージの面白さを楽しむ類いの作品だと思う。

衰えた性欲を補う為に、尻にオタマを差し込んで女と寝るヤクザの組長と言うのが秀逸。

石橋蓮司が、怖さと間抜けさを両立させた、何とも絶妙のとぼけた演技を見せてくれる。

顔半分の色素がないと言う奇妙な能勢を演じる火野正平や、旅館の奇妙な兄弟を演ずる二人も印象的。

喫茶店「憩い」の常連客らしき二人組を演じている間寛平と木村進は、昔コンビで吉本の舞台に立っていた二人だ。

木村進は、吉本新喜劇で長らく座長として活躍した後、父親二代目の後をついで「三代目博多淡海」になるが、その後病に倒れたらしいが、この作品では下半身不髄というハンデを感じさせない、独特のインパクトある存在感を見せている。

川地民夫、長門裕之、丹波哲郎ら大御所から、小沢仁志、加藤雅也など、意外な顔ぶれも登場しており、OVというチープさはあまり感じさせない。

意外な掘り出し物と言った感じの作品だと思う。