1967年、大映東京、花登筐原作+脚本、舟橋和郎脚本、島耕二監督作品。
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昭和13年、日華事変の戦火は広東省にも広がっていた。
とある農家を捜査中の日本軍は、豚小屋の中に隠れている一人の中国人女性(平井岐代子)を発見する。
その女性は、妊娠中のようで、日本語も分かるようだった。
聞けば、夫は亡くなったと言う。
山川伍長は、すぐに衛星兵を呼んで、母体が安全かどうか調べさせると共に、わずかばかりの金を、将来生まれて来る子供の為にと渡し、子供が生まれる頃には戦争は終わっているよと優しい言葉をかけてやるのだった。
山川伍長の名前を覚えた母親は、決して、その恩を忘れる事はなかった。
それから28年の月日が流れ、27才になった王(ワン-フランキー堺)は、日本で恩人の山川伍長を捜す為に、ブルネオ丸という船の釜焚きをしながら、ただで日本に到着する事が出来た。
間もなく、日本に到着と言うその時、船長(丸山修)から呼ばれた王は、山川さんに会おうとする君の気持ちに打たれ、服をプレゼントすると言われる。
さらに、その代わり、今日の昼12時に、東京タワーの下で待っている、自分の友人に、これを渡して欲しいと、ビニール袋いっぱいの唐辛子を渡される。
船を降りた王は、港にいたクリーニング屋の六さん(三角八郎)に、いきなり、山川と言う人を知らないかと尋ねてしまう。
もちろん、六さんが知るはずもなく、それでも、王の名前を聞いて閃いたのか、自分の配達用のバイクの後ろに王を乗せると、そのまま、栄町派出所の老警官長島(船越英二)の所へ連れて行く。
王さんの相手なら長島がピッタリだろうという洒落であった。
それでも、王さんの話を聞いた長島は、彼が日本に乗って来た船の名前を聞き出し、それをメモに記して、ちょうど、交替でやって来た巡査に引き継がせるのだった。
長島は、腹を空かせていると言う王さんを連れて、万来軒というラーメン店に連れて来る。
その方来店は、何故か閉まっており、中では、「葉っぱの会」という近所の若者たちの会合が開かれており、その中には、先ほど王さんを連れて来た六さんの姿もあった。
取りあえず、女将(清川玉枝)ら他のメンバーたちにも、自分は母親から山川伍長にもらった金を返すように言い付かって来たと説明した王さんだったが、山川伍長から受取った金額を尋ねられた王さんは、23円50銭だったので、2倍の50円にして返すつもりだと答える。
さらに、お礼の気持ちとして2000円用意して来たとも言う。
何でも、船の船長から、1000円あれば、日本では家が一件買える価値だと聞いていたからだそうだが、その船長は60年前の日本のことしか知らなかったそうだ。
それを聞いた女将さんは、気の毒そうに、60年前ならいざ知らず、今では、ラーメン一杯100円だから、それが20杯しか食べられない価値だと教えるのだった。
これには、王さんも驚愕する。
その姿を気の毒に感じた長島巡査は、それだったら、5万円返したらどうかとアドバイスするが、とても、そんな金額は持っていないと、王さんはしょげかえる。
そんな様子を観ていた六さんは、良い事を思い付いたと他のメンバーたちにアイデアを披露する。
つまり「根っこの会」に対抗して作ったこの「葉っぱの会」だが、具体的に何の活動もやっていない。
この際、王さんに山川と言う人を探し出して会わせれば、マスコミも飛びつき、会のPRになるというのであった。
さらに、5万円も、自分達が、葉っぱの会の名前を全面に出して、街頭募金して集めようと言う。
その時、交番の巡査から長島に電話が入り、ブルネオ丸と言うのは要注意の船で、船長は札付きのワルだという知らせが入る。
そこで、長島は、住む所もない王さんに、自分が間借している、この店のに買いに一緒に泊まらないかと誘うのだった。
その言葉に感謝した王さんだったが、女将さんに作ってもらったラーメンがあまりにまずいので、これで100円は高いと思わず呟いてしまうのだった。
それを聞いた女将さんは、ちょっとむっとしながらも、唐辛子でも入れたらと王さんに渡すが、その言葉で、王さんは、船長との約束を思い出してしまう。
慌てて向った東京タワーの下で、王さんを待っていたのは、怪し気な二人組、サブ(人見きよし)とノブ(丸井太郎)だった。
彼らは、唐辛子を持った王さんを襲おうと近づくが、彼のすぐ後ろから制服姿の長島が付いて来ている事に気づき、しらばっくれてその場を逃げ出してしまう。
結局、渡す相手に出会えなかったと万来軒に戻って来た王さん、長島巡査は唐辛子が怪しいのではないかと調べてみるが、何の変哲もない唐辛子そのものだった。
その頃、船長から麻薬を受取るはずだったギャングのボス月森興行の月森(市村俊幸)は、ノブからの電話報告に激怒していた。
もう、麻薬の事を警察が嗅ぎ付けたかと、一瞬冷や汗をかくが、警察方面から、そういう情報が伝わっていない所を見ると、単なる偶然だったようだと一安心。
麻薬は、服に縫い付けてあるのだった。
その夜、方来軒の二階で、母親の遺影に手を合わせていた所、隣から「王さん!」と呼ぶ声。
はい!と返事をして、窓から見ると、隣の部屋に住む娘マヤ(渚まゆみ)が、何やら写真を観ていた。
そのマヤの方も、突然、見知らぬ男から返事をされ、面喰らった様子。
怒って、窓を締めてしまう。
その話を王さんから聞かされた長島は、笑いながら、あの娘が好きなのは野球の王さんなのだが、もうその王選手が結婚してしまったので落ち込んでいるのだろうと教える。
その頃、月森は、泥棒が得意だと常日頃豪語していたサブに、尾行の末、分かっている王さんの所から服を盗み出して来いと命令する。
嫌々ながら、ラーメン店の二階に忍び込んだサブは、たまたま寝覚めた王さんとばっちり目が合ってしまうが、紐を口にくわえさせて、寝ぼけていた王さんを寝かしつける。
しかし、その後、室内を懐中電灯で物色している内に、長島のかけた警官の制服を見つけたので腰を抜かし、泡を喰って逃げ出してしまうのだった。
その気配に再び目覚めた王さんは泥棒だと騒ぎはじめるが、その声で起きた寝ぼけ眼の長島は、勘違いだろうと相手にせず、又寝入ってしまうのだった。
サブの失敗に呆れた月森は、今度は配下で、ヤクザらしく見えない中年男大田(星ひかる)に、ラーメン店に様子を見に行かせる。
その万来軒では、翌日から、厨房で王さんがラーメン作りをはじめていた。
そこへやって来たマヤは、これまで、野球の王さんと結婚すると廻りに言いふらしていた手前、ここままでは治まりが付かないから、あんた、王さんの兄と言う事にしてデートしてくれないかと誘って来る。
しかし、王さんは、マヤのようなチャラチャラとした現代女性が大嫌いだったので、すぐさま断わる。
その後、店から出て来たマヤに声をかけて来たのは、見張りをしていたサブで、王さんがラーメン店にいるかどうか確かめるが、マヤは、サブの事をトップ屋と勝手に勘違いし、雑誌に載って有名になれるかも知れないと考えたマヤは、自分と王さんとは近い内に結婚するかも知れないなどとホラを吹きはじめる。
その頃、万来軒では、王さんが作ったラーメンが、女将と長島さんから絶賛されていた。
そんな店にやって来たのが、六さんたち「葉っぱの会」のメンバーたち。
山川伍長を捜すポスターが出来たと言う。
その話を聞いていたのが、店内に客として忍び込んでいた大田で、興味を持ったのか、その山川と言う人物の事を王さんに問いただすが、心当たりがあるのかと聞かれ、もちろん自分は知らないと言う。
その後、長島が出かけたとサブから報告を受けた月森に電話を入れた大田は、何故か、まだ店の中には私服がごろごろいるからと報告し、万来軒に仲間を近付けないようにするのだった。
しかし、月森の所には、取引相手から催促が来ていて、まごまごしていられなかった。
そうしたある日、王さんは、病院に山中と言う元軍人がいると言う情報を聞き、早速会いに出かけるが、入院していた山川正左衛門(杉狂児)という人物は、陸軍ではなく海軍出身と名乗り、隣のベッドにいた谷村彦久郎(高村栄一)という老人同様、精神に異常をきたした病人のようだった。
がっかりして帰宅途中の王さんの腕に、すれ違った男が女物のバッグを引っ掛けて行く。
どうやら、逃亡途中のかっぱらいの証拠隠滅目的の仕業らしかったが、正直者の王さんは、そのバッグをすぐに長島巡査に届け、持主の婦人(若松和子)は、中には入っていた、明らかに偽物の宝石指輪を数百万するものと見栄をはったあげく、礼金として王さんに5万差し上げると言い出す。
そんな大金は受け取れないと遠慮する王さんだったが、中島巡査は、相手の気持ちを汲んで、黙って受取るようにアドバイスするのだった。
しかし、王さんには、そんな見栄っ張りの女性しかいない、今の日本人女性には幻滅した様子。
そんな王さんに、富士山を見に行かないかと誘った長島巡査、着いた所は、ペンキ絵のある銭湯だった。
その銭湯で、大声で歌っていたサブと、それを注意しようとした長島巡査がもめている間、ノブは脱衣所からズボンを盗み出すが、それは、長島巡査のものだった。
そのドジを挽回する為に、以前出会ったマヤに又声をかけたノブは、彼女が思い込んでいる通りトップ屋を装い、月森興行に王さんを連れて来てくれと頼む。
安請け合いしたマヤは、路上で募金活動をしていた葉っぱの会の面々に、王さんの所在を聞くが、誰も知らないと言う。
そうこうしている内に、マヤがいじめられていると勘違いしたのか、通りがかりの男が、マヤを助けてやる。
その男が、ボクサーの卵だと聞いたマヤは、たちまち、その男の虜になってしまい、あろう事が、王さんではなく、その男を結婚相手として月森興行に連れて行ってしまう。
その頃、今日も、山川に関する何の手がかりもえられないまま、長島と共に万来軒に帰って来た王さんは、自分が日本に滞在できるのは、あと10日間しかないと焦りの言葉をはいてしまう。
その言葉に気づいたかのように、長島も又、2週間くらいの日数では、とても日本中の山川全部を調べあげる事は不可能だと弱気をはく。
そんな所に、出前の電話が入り、自分が行ってやると申し出た王さんは、ちょうど、昼食に戻って来ていた葉っぱの会の花ちゃんに家を案内してもらって、山下町の大野という豪邸にラーメンを届ける事が出来た。
ところが、その家では、ラーメンを注文した女主人(若水ヤエ子)から、お手伝いさんが、やけに冷遇されている所を目撃してしまい、同情した王さんは、すぐに万来軒に戻ると、特別製のラーメンを作って、その女主人が出かけた後の大野家に舞い戻ると、戸惑うお手伝いさんに、そのラーメンを食べさせようとするのだった。
しかし、慌てて運んで来たせいか、ドンブリの中のスープはすっかりなくなっており、王さんは面目を潰すが、それでも、生まれてこのかた人に親切にしてもらった事がなかったと言うユキ(高鞠子)というそのお手伝いさんは、感謝のうれし涙を流し、お礼の印として、戦争から帰って来て以来、男手一つで自分を育ててくれた父親が作った夫婦茶碗で、亡き母の形見である片方を王さんにプレゼントする。
戦争から帰って来たと言う言葉が気になった王さんは、一応、父親の名前を尋ねるが、大田一郎だと言う。
その後再び、月森から命じられて方来軒にやって来た大田は、あんたの捜している山川と思しき人物を見つけたと王さんに報告する。
その頃、月森の配下である蛭川(中村是好)はガードマンに身をやつし、王さんと会う山川に成り済ます計画を仲間たちと打ち合わせていた。
そんな事とは知らず、のこのこやって来た王さんは、蛭川を山川だと信じ感激の対面となるが、互いに抱き合った蛭川の方は、やたらに、王さんの洋服のあちこちを、何かを捜すように触りはじめる。
不審に思った王さんが、再度、昔のことを聞くと、蛭川は、赤ん坊だった王さんのことを良く覚えていると言うではないか。
山川と別れて一年後に生まれた自分のことを知っているはずがないと悟った王さんは、相手が偽者だと気づく。
その時、物陰に隠れていた月森の配下のものたちが、王さんに襲いかかるが、どうした訳か、すぐさま、パトカーが近づいて来たので、男たちは何もしないまま逃げ出してしまう。
パトカーから降り立った長島に王さんが事情を聞くと、誰か男の声で、ここで王さんが危ない事になっていると知らせる電話があったと言う。
月森の元に戻って来た蛭川は、王の洋服のエリの中に縫い込んであったのを確認したから、もう一度チャンスをくれと言い、バー「黒猫」で準備を進める。
ゆり(春川ますみ)というちょっと頭の弱いホステスを山川の娘に仕立て上げた蛭川は、来店した王さんが服を脱ぐように、店内にあるストーブ類を全て強にして、室温を50度近くにまで上げて待つ事にする。
そんあ所に呼出されてやって来た王さんは、ゆりを王の娘と信じ込み、彼女に勧められるままに、強い酒をがぶ飲みするが、何時まで経っても、服を脱ぐ気配すら見せない。
逆に、相手をしているゆりや、店の他の従業員たちの方がばてそうになり、訳を聞くと、大連育ちのの自分には、ここの酒も弱いし、暑さもちょうど良いくらいだと言う。
さらに、蛭川が睡眠薬を溶かした酒を用意していたのに、ゆりの方が間違えてその酒を飲んでしまう。
結果、ホテルに向ったゆりは、もうもうろう状態。
それでもゆりは、蛭川に命じられた通り、何とか、王さんをベッドに誘って服を脱がせようとするが、王さんは相手にしないし、風呂に入れと言っても言う事を聞かない。
とうとう、眠気に耐えきれなくなったゆりは、一人でベッドに転がり込むのだった。
又しても作戦が失敗した月森だったが、今度は別の配下が、山川組と言うヤクザがいるので、そいつらに手伝ってもらおうとアイデアを出す。
その頃、王さんからもらったラーメンドンブリを大切に抱えていたゆきは、女主人から突然、態度が気に入らないと、首を言い渡されてしまう。
一方、ボクサーの卵との仲も簡単に切れ、独り歩いていたマヤは、山川建設事務所にはいっていく王さんに姿を目撃していた。
解雇されたゆきはと言えば、もらったドンブリを店に返そうと歩いている途中、自動車にはねられそうになって取り落とし、大切なドンブリを割ってしまう。
それでも、その割れたドンブリの破片を持って、何とか万来軒に返しに来たゆきの話を聞いた女将は、その誠実な姿勢に感激するのだった。
その時、店でラーメンを食べながら、ゆきの話を聞いていたサブとノブは、女将の隙をみて食い逃げするが、ゆきが大田の娘で、王さんと親しいと言う事を知る事になる。
その万来軒にやってきたマヤは、ちょうど店を出るゆきとすれ違う事になるが、女将に事情を聞いて、王さんの居所を教えようと、ちょうど、表にいた六さんのバイクの後ろに乗せてもらって後を追いはじめる。
その頃、山川組の事務所では、山川組組長(北城寿太郎)が王さんに、麻雀をしてそちらが勝ったら、捜している山川に会わせる。負けたら、そのその服をもらうと奇妙な勝負を吹き掛けていた。
ゆきの後をジープで付けていたサブとノブは、とうとうユキを拉致してしまうが、その様子を目撃したのが、ゆきを捜していたマヤと六。
山川事務所で、困惑しながらも勝負に応じる事にした王さんは、二歳の頃から麻雀に慣れ親しんでおり、今では、牌を裏返さなくても図柄を見抜けるほどになっていたから、やくざたちがかなうはずもない。
あっさり、王さんが勝ったものだから、居直ったやくざたちは、強引に王さんを襲おうとするが、王さんはたまたまそこにかかって来た電話に出て、何とか警察と話しているように装い、難を逃れようとするが、すぐに嘘がばれて捕まりそうになるが、麻雀牌をぶつける等応戦し、どうやら無事事務所から逃げ出す事に成功する。
そんな王さんを待っていたのが六さん。
ゆきが誘拐されてと教えて、バイクの後ろに乗せると、サブたちのジープを追い掛ける。
王さんは、一旦はジープに飛び移り、ジープを止めようとするが、何せ、止め方をしらない。
横を併走している六さんが言葉であれこれ説明しても、巧く意思の疎通が出来ず、結局、王さんは振り飛ばされて、ジープに逃げられてしまう。
それでも、何とか月森事務所を発見した王さんは、六さんに警察への連絡を頼むと、自分一人で中に入る事にする。
室内には、点灯する矢印があり、それに添って行くと、シャッターがあったので、その中に入ると、王さんは閉じ込められてしまう。
中で待っていたのは、ゆきや太田を側に従えた月森らヤクザ一同。
そこで、はじめて太田は、自分こそ王さんが捜していた山川である事を打ち明けるのだった。
何でも、娘の病気を直す為、月森に金を借りたのが元で、ヤクザの世界から足を洗えなくなってしまったと言う。
服を奪われそうになった王さんは、猛烈に抵抗し、何とか、ゆきと大田を、月森らから離す事に成功し、昔のお礼として今持っている4000円だけ返したいと申し出るが、大田は受け取れないと拒否する。
王さんは、何とか、二人を助けて、この部屋を逃げ出そうと、消化器やドラム缶を使って、必死の応戦をするが、紐に捕まって、ターザンみたいに月森の上を飛ぶ内に、月森のナイフで服を切り裂かれ、中に仕込んであった麻薬がこぼれ出す。
やがて、ヤクザが放った銃弾が、シャッターに当ってその拍子に開いてしまい、外まで来ていた長島をはじめとする警官たちが乱入して来るのだった。
やくざたちが一斉検挙された後、ようやく落ち着いた王さんは、もう一度、4000円を差し出し、近い内必ず50000円返すつもりだと言うので、とうとう大田こと山川は、それを素直に受取る事にする。
後日、葉っぱの会のメンバーたちから、万来軒でお祝の会を開いてもらった王さんは、日本で初めて出会った本当の娘、ゆきのためにラーメンを作ると言い出し、出来上がったラーメンを持って、長島のいる交番に来ると、そこで、片腕を怪我したゆきに、自らラーメンを食べさせる王さん。
その外には、葉っぱの会のメンバーがやって来て、お祝の歌を送るのだった…。
▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼
珍妙な外国人二世役などが得意だったフランキー主演の人情コメディ。
今回は、社長シリーズ等で見せたアクの強い二世キャラではなく、素朴で純真な中国人に扮している。
彼の目を通して描かれる、戦後、変化した日本人イメージの風刺にもなっている。
王さんという名前から連想して、長島と言う巡査とコンビを汲ませる等、当時の、王、長島人気のすごさが伺い知れる。
巨人軍の王さんが、ちょうど結婚した直後の映画だと言う事も分かる。
王さんの服に仕込んだ麻薬を取り戻す為、何とか、その服を脱がせようと、やくざたちがアイデアを絞ると言う設定は、何だか「北風と太陽」の寓話のようで楽しいし、それがことごとく失敗するというアイデアも発想自体は平凡だが、フランキーのとぼけたキャラと相まって来るとおかしさが増してくるから不思議だ。
フランキーとは名コンビだった月森役のブーチャンこと市村俊幸が、今回はあまり笑いを取る演技をしていないのが若干不満にも感じるが、基本的に、ドタバタと言うほどの内容ではないので当然かも知れない。
長島巡査役、船越英二の、いかにも人が良さそうな好々爺キャラが好ましい。
女優陣の中では、意外にも、地味なゆき役の高鞠子よりも、派手なマヤ役の渚まゆみの方が印象に残るし、何と言っても、ちょっと頭の弱そうなホステス役の春川ますみが何ともお茶目で強烈。