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花嫁吸血魔

1960年、新東宝、七条門原作、長崎一平脚本、並木鏡太郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

コウモリが舞う無気味な洞窟。

その中に、片方の眼球が飛び出したように崩れ、片手も足も身体も全身が不自由な無気味な男、捨助(由木城太郎)が入って行く。

奥には牢のようなものが作られており、鍾乳石の影から、顔中あばただらけの、これ又無気味な老婆が現れ、どこへ行っていたのかと叱りつける。

洞窟内の祈祷所のような場所で祈りはじめた老婆、捨助は、コウモリを一匹捕まえると、短刀でそれをつき殺し、その生き血を盃に受取ると、老婆に差し出す。

それを一気に飲み干した老婆は、影山家の血を引く者が帰るまでは死なんと、意味不明な事を言うと、大きな水瓶に張られた水をかき回しはじめるのだった。

舞台変わって、東京のバレエ学校「ニュー東京舞踊学校」。

白井藤子(池内淳子)、滝内喜代子(天草博子)、篠原英子(瀬戸麗子)、玉木里枝(三田泰子)たちが、熱心に練習していた。

そんな学校の玄関口に現れた毎朝新報の記者太田基保(高宮敬二)に、その学校の生徒らしき女性が「騙したのね!」と怒りをぶつけている。

どうやら、男にもて遊ばれただけで、あっさり捨てられた恨み言を行っているらしい。

そんな所へ立ち寄った英子は、芸能界への紹介を口実に性懲りも無く女漁りを繰り返している基保に、ファッションモデルクラブを紹介してくれと言い寄って来る。

すでに英子とも遊んでいた基保は、今晩も付き合わないかと誘い、栄枯もあっさり承知する。

その時、藤子が帰る所を見かけた基保は、極東映画への契約が決まったそうでおめでとうと声をかける。

何も知らない様子の藤子も驚いたが、側にいた英子も、その話は、滝内喜代子に決まっていたのではないかと疑問を口にするが、基保の話によると、喜代子の方はキャンセルになったそうである。

その頃、学校の校長室では、校長(山下明子)が、その喜代子を呼んで謝罪している所であった。

まだ正式決定前に、彼女に採用の話を教えていた為であった。

映画会社への道を閉ざされた喜代子は、絶望のどん底に落とされる。

その頃、藤子の自宅では、病床の母親(津路清子)が、債権者たちから、早急な家の明け渡しを求められていると弁護士(新宮寺寛)から説明されていた。

すでに抵当権の設定もしてあるので、法律的にもどうしようもない状態であると、弁護士は、半ば脅迫的に母親に迫っていた。

ちょうどそこへ帰宅して来た藤子は、その話を聞いてしまい、はじめて、母と二人暮しの自分の家が経済的に破綻状態にある事を知る。

弁護士が帰った後、藤子は母親に、自分は学校を辞めて明日から働くと申し出るが、母親はたいそうすまながりながらも、卒業まで後わずかなので、ぜひとも卒業してしまいなさいと勧めるのだった。

その夜は学校の友人の誕生日パーティだった。

里枝は、妹の早苗(矢代京子)がバレエ学校の生徒と言う関係で、招待されてパーティに参加していた新聞記者の貞夫に、芝居の切符を同封したプレゼントを渡し、自分の気持ちをアピールしようとしていたが、貞夫はどこか上の空だった。

やがて、遅れてやって来た藤子を見つけた貞夫は、母親が病気なのでと、友人にプレゼントだけ渡して帰ろうとする彼女に、踊ってくれと申込む。

その時、テーブルに、自分が渡したプレゼントが放置してあるのを見つけた里枝は、藤子に強い嫉妬心を覚えるのだが、他の女性たちも、かねてより同じ気持ちを持っていたのか、藤子を、男を誑し込む魔性の女だと陰口を叩きあう。

やはり、パーティに参加してすでに踊っていた基保も又、貞夫と踊っている藤子の方ばかり気にしているので、相手をしていた英子も又、藤子を恨むのであった。

踊り終え、そろそろ帰宅しないといけないと言い出しベランダに出た藤子に貞夫は、これからは妹の友人として付き合ってくれないかと申込み、藤子も了承する。

帰宅した藤子は、嬉しそうな顔をした母親から、今し方、極東映画の人がやって来て、採用が決まったので、明日撮影所の方に来るように言われたと報告する。

それを聞いた藤子も、これでようやく収入を得られる道が開いたと喜ぶのだった。

翌日の撮影所では、中華料理屋の前で、ヤクザに絡まれていたヨウコを、長年会えなかった恋人が救い出すと言うシーンを秋山監督(岡竜弘)が撮影中だった。

そこへ、やって来た専務(杉寛)は、連れて来た藤子を秋山監督に紹介した後、今日はもうこれで帰って良いと藤子に伝えていた。

撮影所を出た藤子は、車で来て待っていた貞夫からドライブに行かないかと誘われる。

町中で里枝は、偶然にも、途中の酒屋でジュースを買っていた貞夫と、車に乗っている藤子の姿を目撃してしまうのだった。

その頃、基保は喫茶店で、英子に約束していたファッションモデルクラブへの紹介状を渡すと同時に、きっぱりこれで縁を切ろうと別れ話を持ちかけていた。

その様子を観ていた里枝と喜代子は、傷心の英子に声をかけ、三人で藤子の事を恨むのだった。

一方、海辺にやって来た貞夫は、思いきったように藤子に求婚し、藤子も喜んで受け入れていた。

後日、藤子は、かねてより誘われていた貞夫、早苗兄弟と、英子、里枝、喜代子、基保らで城ヶ島へドライブに出かける。

海の見える岡の上で休憩していた時、藤子に執拗に視線を向けている基保に気づいた貞夫は、藤子に目をつけるのは止めろと忠告するが、基保は、本気で惚れているのなら早く結婚しろ、俺も本気じゃないとは限らんとやり返すのだった。

固まっていた里枝、喜代子、英子ら三人は、早苗と仲良くしている藤子をねたましそうに見つめて、互いに相談しあうと、藤子に近づき、「あちらにきれいな花があるから取りに行きましょう」と誘いかける。

その後、4人が花を摘んでいた方向から突然悲鳴が聞こえ、それに驚いた貞夫らが視線を向けると、藤子が崖から転げ落ち、岩場に落ちたではないか!

デビュー直前の映画のニューフェースが、顔に大怪我をして入院したニュースは、新聞各紙を賑わした。

白井家では、弁護士立ち会いの元、すでに家財の差し押えが始まっていた。

藤子の大切にしていたバレエシューズまで持って行こうとするので、これだけは勘弁してくれと、必死の抵抗をする母親だったが、そんな事をすると公務執行妨害になると脅す弁護士。

そんな自宅に、病身の母親を案じ、病院を勝手に抜け出した藤子が、包帯姿のまま帰って来るが、布団に臥せったままの母親に声をかけても返事がない。

母親の手がかみそりを持っているのに気づき、抱きついて揺すぶるが、もう母親は事切れていた。

遺書には、もうこれ以上の恥辱には絶えられなくなったので死を選択した。

お前は、血族を示す手鏡を持って、曾お祖母様に当るお琴様と言う方を訪ねて行くようにと書かれてあった。

顔に包帯をしたまま、母親の遺骨を抱えた藤子は、その遺書に書かれていたお琴様を探して、山を登って行くが、途中で道を尋ねた地元の男(広瀬康治)は、あんな気味が悪い所には近づかない方が良いと忠告するのだった。

それでも、聞き出した道を登って行った藤子は、無気味な捨助に出会いおののくが、さらに草むらの中から現れた怪し気な老婆から、何もかも承知していたかのように声をかけられる。

その老婆こそ、お琴様だったのである。

洞窟の中の祈祷所に連れて来られた藤子は、お琴様から、お前はここに死にに来たのだろうと、ズバリ本心を見透かされたような指摘をされる。

そして、お琴様から促され、捨吉が藤子の顔の包帯を取ってやると、彼女の左目には醜い傷跡がくっきり残っていた。

お琴様は、自分の秘法で、その傷を直してやるが、お前を陥れたのは誰だと問いかける。

しかし、自分で足を滑らせたと思い込んでいた藤子は、誰からも悪い事はされていないと反論するが、お琴様は、お前は突き落とされたのだと言いながら、彼女に瓶に張った水の表面を見るように言う。

すると、不思議な事に、そこに城ヶ島でのピクニックの様子が映し出され、英子、喜代子、里枝の三人が秘かに藤子を陥れる作戦を話し合う所、さらに、花を摘んでいた藤子の背中を、他の三人が一斉に押す所も映し出された。

お琴様は、自分達の先祖は、平安時代より朝廷に伝えた陰陽師の一族であり、野に下った後も独自の祈りの秘法も加え、全く独自の呪術を会得するようになったと教える。

そして、興隆すべき影山の血筋を邪魔した者には復讐をしなければならないと、強い口調で言い放つのだった。

やがて、目の前の藤子に催眠術をかけはじめたお琴様は、眠って横たえた藤子の目の傷の上に、捨吉が取って来たコウモリを乗せ、その上から包帯をする。

その頃、藤子の後を追って山を登って来た貞夫は、藤子が出会った地元民に、同じように道を尋ねると、同じ道を登って行く。

誰もいなくなった祈祷所で、独り目覚めた藤子は、包帯を取って、コウモリが張り付けてあった事を知るとおびえるが、瓶の水に顔を写すと、傷は直っていなかった。

念のため、神棚に飾ってあった丸鏡に顔を写すと、直るどころか、かえって悪化して、二目と観られぬ顔に変貌していた。

絶望した藤子は、たまたま落ちていた山刀を拾い上げると、思いきって、それで自らの胸を突くのだった。

そこへ戻って来た捨吉とお琴様は、自害した藤子の死体を観て驚愕するが、そなたにはもはや、人間としての幸せは戻って来ないが、復讐はしなければいけないと言いながら、祈祷を始めるのだった。

そして、お琴様は自らの手首を斬ると、そこから溢れ出て来た血を藤子の口元に持って行くと、その場に倒れ伏すのだった。

やがて、死んでいたはずの藤子が目覚めて起き上がり、顔を触ってみると傷が直っている事に気づき喜ぶ。

しかし、それもつかも間、急に苦しみはじめたかと思うと、彼女の両の腕には毛が生えはじめ、地面に伏した彼女の身体は一瞬にして、毛むくじゃらの怪物に変身するのだった。

その頃、山を登って来た貞夫は、捨吉から、俗名白井藤子と書かれた墓を見せられ愕然としていた。

時は過ぎ、東京で行われた第6回ミス太平洋コンテスト日本代表選出大会の会場。

審査員として招かれていた里枝、英子、喜代子の三人は、それなりに以前の目標を勝ち得ていた。

英子は基保の妻におさまっていたし、喜代子は映画女優になっていた。

里枝も、テレビ、レコード等で活躍する人気者になっており、近い内に、貞夫の田舎で結婚をする事になっていた。

そんな三人は、コンテストに登場した影山小夜子と言う参加者が、白井藤子に瓜二つなのに驚く。

結局、その影山小夜子が入賞してしまい、英子の家に集まった三人は、あれは藤子ではないかと怯えるのだった。

皮肉な事に、その部屋には、夫の基保が好きで掛けていると言う、城ヶ島でのピクニックの時の写真があるので、余計に三人は過去を思い出していたたまれなくなる。

すると、そこに突然、当の影山小夜子がやって来たではないか!

受賞のお礼をしに来たと言いながら、部屋に上がり込んだ小夜子は、壁にかかった写真を見ると、私も行った事があるような気がすると、意味ありげなセリフを残してかえって行くのだった。

帰宅した小夜子は、取材の為待ち受けていた新聞記者たちを退けて、部屋に入るが、そこには、何時の間に忍び込んでいたのか、基保がいるではないか。

彼は、部屋の鍵をかけると、お前は藤子だ、前から愛していた、芸能界へのバックアップなら幾らでもしてやると言いながら、強引に抱きついて来る。

しかし、それをはね除けた小夜子は、急に笑い出すのだった。

そうやって、これまでも何人もの女性を犠牲にして来たのだろうと基保を嘲る。

やがて、昼間なのに、部屋の中は急に停電したかのように暗くなり、やがて、点滅する部屋の中、驚く基保の前で、小夜子は毛むくじゃらの怪物に変身し、基保に襲いかかるのだった。

その後、工場横の空き地に集結するパトカー。

刑事たちは、草むらに捨てられた基保の首筋に、獣にかまれたような痕があるのに気づく。

死因は、鋭い爪か牙と断定され、都内に怪物が現れたと言うニュースが、新聞に踊る。

やがて、基保の妻、英子の部屋も暗くなり、部屋の中にコウモリが飛ぶ。

怯える英子の前に出現した怪物は、英子の首筋に噛みつくと、床に置いてあった雑誌「週刊サンケイ」の表紙の上に、血が滴るのだった。

その後、女優滝内喜代子と作曲家石山健一(西一樹)の結婚が報じられる。

結婚式を終え、ホテルの寝室でネグリジェに着替えた喜代子が、部屋には入って来た石山と抱き合うが、その石山は何時の間にか怪物に変身しており、喜代子の首筋に噛みつく。

怪物は、部屋をすり抜け廊下に出ていたが、やがて部屋の前に来て、喜代子に呼び掛けても返事がないので、不審に思い、中に入った本物の石山は、首筋に噛み痕を残し死んでいる新妻の姿を発見する。

ホテル周辺は騒然となり、犯人追跡の為、大勢の男たちがホテルの外に飛び出すが、その頃、怪物は、停めてあった自動車の中に逃げ込んでいた。

犯人を追う男たちは、その車にも気づき中を確認するが、誰も乗っていない。

しかし、その男たちが立ち去った後、車の運転席では、変身して人間の姿に戻った小夜子が起き上がると、そのまま自分の車を運転して逃亡する。

英子と喜代子が連続して怪死した事を知った里枝は、恐怖に怯え、貞夫に婚約解消を申込んでいた。

自分も、死んだ彼女たちと一緒に藤子に悪い事をしたと告白し、泣き崩れるのだった。

呆然とする貞夫と里枝がいる部屋にも、コウモリの影が飛んでいた。

それは、小夜子の化身した姿だったのだが、今の貞夫が里枝を心から愛している様子を観た小夜子は、里枝は殺してはならないと感じ取り、自分はもう遠くに立ち去らねばならないと自らに言い聞かすのだった。

やがて、貞夫の郷里の実家で、里枝との婚礼が執り行なわれる。

そんな席の貞夫に、来客があると言うので玄関に出てみた貞夫は、そこに影山小夜子の姿を見る。

里枝に結婚のお祝がしたかっただけだと、貞夫に贈り物を手渡した小夜子は、すぐさま車で立ち去ろうとするが、その車に近づいた貞夫は、思わず藤子と呼び掛けるのだった。

そして、里枝は、君に対してやった事を後悔しているとも打ち明ける。

小夜子は、自分は山国の故郷に帰るし、もう二度と貴女達の前に現れる事もないだろうと言って車を出す。

しかし、その小夜子は、運転している車の中で、自らの意思とは裏腹に身体が苦しみだし、又しても変身しはじめる。

嫌よ!お祖母様!もうたくさん!、これ以上人殺しはしたくないと叫ぶ小夜子だったが、ハンドルを握ったその腕は毛むくじゃらになっていた。

その頃、貞夫の実家では、村長(秋山要之助)が、会津磐梯山の歌に合わせて踊り出すし、正に宴たけなわだった。

そんな中、初夜を迎えた里枝と貞夫は、寝室で抱き合うが、そんな部屋に怪物が出現。

一瞬、誰かが来たような気配を感じた貞夫は、一人で部屋を出て行くが、残された里枝は、目の前に現れた怪物に襲われ、重なった二人の姿は一緒に消えるのだった。

部屋に戻って来た貞夫は怪物の姿を観て騒ぎ出す。

家の中にいた来客たちは、異変に気づき、貞夫から里枝がいなくなったと聞くと、一斉に家中を探しはじめる。

そんな中、必死に家中を捜しまわっていた貞夫は、部屋の中で死んでいる里枝を発見。

一方、光武という男は、猟銃を持って犯人を探していたが、玄関先で怪物の姿を発見し発砲する。

その音に気づいて集まって来た来客たちに、怪物は門を乗り越えて逃げたと言う光武。

怪物は、撃たれた傷が痛むのか、林に中を苦しそうに逃亡していた。

やがて、湖に出ると、その中には入り込み倒れ込む。

その後を追って来た貞夫は、湖の浅瀬で仰向きに倒れていた小夜子、否、藤子の亡骸を発見。

きれいだった元の状態に戻っている、その顔を愛おしそうに見つめた貞夫は、彼女の身体を抱きかかえると、どこへともなく立ち去るのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼


新東宝お得意のゲテモノ映画。

主演が、池内淳子である事でカルト化している作品でもある。

内容は何やら、昔の少女怪奇マンガに出てきそうな、女同士の醜い嫉妬合戦と、虐められた者に対する復讐劇。

冒頭からいきなり、グロテスクなメイクの人物や、無気味なセットが現れ、鬼面人を驚かす類いの演出が目立つ。

ノートルダムのカジモドを意識したのだろう捨吉の方は、今では放送禁止の見本のような身体障害者表現。

お琴役の老婆は、顔から胸元に掛けて、ひきわり納豆と言うか、フリーズドライのコーヒーのようなぶつぶつを、びっしり貼付けており、怖いと言うより、観る者の生理的嫌悪感をこれでもかと掻き立てるような俗悪表現になっている。

藤子が岩に顔を強打し、左目の周囲に醜いアザが残るのは、四谷怪談を始めとする古典的な怪談の発想だし、毛むくじゃらの怪物に変身する様は、おそらく「狼男」からの頂きだろう。

陰陽師などという言葉も登場し、いうなれば、古今東西のゲテモノ映画要素の寄せ集めとも言うべき作りなのだが、変身シーンはなかなかのもの。

最初の変身シーン、ワンカットで、藤子の顔が見る見る黒ずんで行く様は、どうやって撮ったのか判然としない。

地面にうずくまった藤子の全身が、毛むくじゃらの怪物に変身する所等、技法的には単純なオーバーラップと分かっていても、後の「狼男アメリカン」の変身シーンを彷彿とするような見事な映像になっている。

怪物の身体は、何やら、黒い海草をたくさんぶら下げた蓑状のもので、腕を広げると、かつて、ジュディ・オングが「魅せられて」で着ていた衣装にそっくり。

しかも、歩く時は、幼稚園児がお遊戯でチョウチョの飛ぶ真似をするジェスチャーそのもので、腕をぱたぱたするだけ。

おそらく、コウモリの力で甦ったバットウーマンの発想から思い付いたアクションなのであろうが、どう観ても、マヌケそのもの。

又、部屋の中に出現したり、脱出する際の怪物は、身体が透明になったり実体化したりで、昔風の幽霊表現である。

ところが、小夜子の姿に戻ってみると、ちゃんと、肉体があるようで、車の運転とかしている。

怪物の時だけ実体がないのかと思えば、最後に猟銃で撃たれて負傷したりで、訳が分からない。

一体、この怪物は、霊体なのか実体なのか、最後まで分からない所ももどかしい。

はっきり言えば、いい加減そのものような怪物なのだが、毛むくじゃらの顔の中で唯一出ている目の部分は、どうやら、池内淳子本人のもののように見え、彼女の女優根性を見るだけでも価値のある作品と言えるかも知れない。

ちなみに、極東映画の撮影所として映し出される場所は、今は国際放映が管理するTBSの砧スタジオになっている元の新東宝撮影所だろうか?

その中で停まっていたロケバスの横に書いてある作品名は「風雲地獄島の決斗」というもので、勿論、架空の作品だろうが、これ又、カルト映画好きの好奇心をそそるようなタイトルである。

余談になるが、貞夫として登場する新聞記者の名前だが、ネットのデータベース等には「光武」と出ており、確かに、後半、実家で、猟銃を持って怪物を撃った中年男性は「光武」と呼ばれており、貞夫の父親のようにも思えるが、貞夫自身が登場している最初の方では、そうした名前では呼ばれていない。聞こえた感じでは「須川」か「佐川」と呼ばれている。

後半登場する光武と言うのも、ひょっとすると、名字ではなく、下の名前なのではないかとも思える。


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