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学校の怪談4

1999年、東宝+サンダンス・カンパニー、常光徹 日本民話の会原作、奥寺佐渡子脚本、平山秀幸監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

モノクロの時代、海のすぐ近くに建つ戸野崎尋常小学校で、夏休み、鬼ごっこをしている5人の子供達がいた。

こうちゃん(福田亮太)とい言う子がジャンケンに負けて、鬼にされる。

人形を抱いた妹のサカエ(春名美咲)を連れたゆきちゃん(森安加代子)が、こうちゃんに「見つけてね」とそっと囁きかける。

てっちゃんこと哲夫(小比木優也)は、理科室の骸骨標本の箱の中に隠れる。

進(内海卓哉)は、とある教室の棚の上に寝そべって隠れる。

ゆきとさかえは、職員室の棚の中に一緒に身を潜める。

「もう、いいよ〜!」の声に、目を開けて、皆を捜し始めたこうちゃんだったが、校舎内でうろついている最中、外から聞こえて来る半鐘の音に気を取られる。

港では、浜に繋がれていた漁船が回転し始め、水が大きく引き、やがて、井戸水が逆流して、ポンプから溢れ出す。

何となく、異様な雰囲気を感じたこうちゃんは、様子が変だから、みんな出て来てと叫ぶが、誰も答えてくれない。

たまりかねたこうちゃんは、一人でその場を逃げ出してしまう。

一方、戸棚に隠れていたさかえとゆきは、暑さに耐えかねて外に出、職員室の窓から見えた巨大な津波をただ呆然と見つめる。

津波は、あっという間に校舎全体を飲み込み、戸野崎尋常小学校は海底に没してしまう。

その海の中には、「もういいか〜い?」「もういいよ〜」の声が響いていた。

時代は現代に移る。

本土上陸した台風13号の暴風雨の中、東京から来た甥と姪を乗せた車が走っていた。

運転しているのは、夫を亡くし、今は、一人で民宿「はまゆり荘」を経営している国見晴美(原田三枝子)だった。

兄のこうちゃんこと恒(広瀬斗史輝)は、車に酔ったのか、後部座席でへたっている。

対称的に、助手席に座った妹の弥恵(豊田眞唯)は、元気一杯だった。

車は、大きな扉をくぐり抜ける。

昔、この町が大津波にやられたので、その後出来た波よけの扉だと言う。

やがて、車は「はまゆり荘」に到着し、こうちゃんとゆみは、留守番していた晴美の娘で従兄弟に当るあゆむ(皆川優紀)と久々に再会する。

あゆみは、今回の台風は久々の大きさで、海の亡霊が暴れているのだろうと冗談を言うが、こうちゃんは、その手の怖い話が苦手のようで、話をそらそうとするが、妹のゆみの方は大好きらしく、興味津々。

昔、津波で亡くなった子供達を弔うため作られたのか、海の側に4体の地蔵が嵐の中、雨に打たれていた。

翌日は、台風一過の快晴。

恒と弥恵を連れてあゆむが海辺に出てみると、同級生達が台風で汚れた砂浜の掃除をしていた。

弥恵は、突堤で海を見つめている一人の老人(笑福亭松之助)の姿を目撃する。

しかし、掃除とは名ばかり、博士とあだ名されている米山(長者康之)、倫平(久保孝則)、通称科学班長官の護(塚田光)、そして、児童会長である事から会長と呼ばれている周治(坂井英人)などは、浜に流れ着いたガラクタ等でふざけあっていた。

そんな中、会長は、古いランドセルを拾い上げる。

その中を開けてみると、中から無数の蟹がはい出して来る。

とりわけ、一匹の巨大な人面のような甲羅を持った蟹には、さしもの子供達も息を飲んでしまう。

気味が悪いので、会長は、再びその鞄を、海に投げ捨ててしまうのだった。

その瞬間、海の底から、「戸野崎尋常小学校」と書かれた表札が浮かび上がって来た事に誰も気づかなかった。

恒、と弥恵を連れたあゆむは、自分の通っている新しい戸野崎小学校へ向う。

津波で水没した戸野崎尋常小学校に代わって、海から離れた場所に建てられた学校だった。

その学校内には、戸野崎尋常小学校時代の子供達を写した写真が飾ってあったので、恒は興味を持って見つめる。

その頃、ちょうど出かける母親とすれ違いながら帰宅した会長は、玄関を開けて凍り付いてしまう。

家の中に、先ほど海に捨てたはずの、あの古いランドセルが置いてあったからである。

まだ海岸にいた米山博士たちは、地蔵を的変わりにして、石投げをしていた。

護が投げた石は、一番小さな地蔵の顔に当ってしまい、さすがに、ちょっと悪い事をしたと固まるのだが、その側の道を、会長がランドセルをバットに吊して海に向っている姿を発見する。

会長は、家にあったランドセルは、米山たちのいたずらだと思っているようだが、もちろん、米山たちは知るはずもない。

突堤に着いた会長は、バットの先に吊したランドセルを海に漬けて、落とそうとするが、なかなかランドセルは離れない。

その内、何か強い力でバットごと海に引き込まれそうになり、思わず、金属バットを話してしまった会長は、海の中に、笑っている子供の姿を観た後、今度は、自分自身も海に落ちてしまう。

その後、「はまゆり荘」に会長が行方不明になったと言う連絡が入り、晴美は弥恵たち子供を残して、捜しに出かける。

その晴美を外で独り見送っていた弥恵に、いつか突堤の所で見かけたお爺さんが近づいて来る。

弥恵が友達がいなくなったと教えると、そのお爺さんは、自分は川に近くで文房具屋をやっている者だと教えてくれる。

その頃、チャリで帰宅していた倫平は、道のまん中で小さなお地蔵様が、目から涙を流して立っているのを見つけ、思わず立ち止まる。

やがて、消えて行った地蔵を観た倫平は、恐怖に駆られ、逃げ帰る途中で、米山と倫平に遭遇したので、自分は呪われたかも知れないと怯えた声を出すが、米山らはバカにして相手にしない。

その後、一緒に3人で帰ると中、今は使われなくなっている線路の踏切を渡った米山と倫平、そして、少し遅れて渡りかけていた護は、突然、鳴り出した警報機の音に驚く。

そして、彼らは、もはや通るはずのない幻の電車が通過して行く様を唖然としながら観ていた。

そして、その電車が通り過ぎた後、護の姿は、自転車だけを残して消えていた。

米山と倫平は、通り過ぎて行く電車の後ろの窓に、見知らぬ子供二人に手を取られた護が乗っているのを観るのだった。

その夜、会長が見つからないまま、子供達だけで寝る事になった恒は、妹とあゆむとの女の子同士が寝ている部屋の隣りに一人で寝る事になる。

しかし、その部屋が、亡くなったはるみの父親が寝ていた部屋だと知ると、急に怖くなり、取りあえず、一階にあるトイレに行く事にするが、そこでは、不思議な体験をする。

恒が通った後、トイレの鏡に少女の影が映り、「こうちゃん!」と呼ぶ声が聞こえて来る。

気がつくと、恒は、古い校舎の中に立っている自分に気がつく。

そこは職員室らしく、戸棚の中には誰かが隠れているように、中から手と足が覗き、開きかけていた。

恒は怯えて、用も済ませず、二階に駆け上がると、妹たちが寝ている部屋との間のふすまを開いて、布団をその隣の方へ引っ張って行くのだった。

翌日、学校のプールでは、米沢と倫平が、昨日体験した窓ろ紙の電車の事を友達達に打ち明けていたが、誰も信用しない。

しかし、恒だけは、二人の話を真剣に聞いていりようで、自分にも怖い話があると言いかけるが、途中で止めてしまう。

プールの中で泳いでいた白石という女の子等は、そんな怪奇話を特にバカにしていたが、その直後、彼女は、誰かに足を引っ張られて溺れかかる。

近くにいた先生は、あやうく助けあげるが、その後に、誰かの靴が浮いていた。

その帰り道、弥恵は、兄に、先ほど話し掛けていた話の続きを尋ねるが、恒は何も答えずに先に帰ってしまう。

ポツンと独り取り残された感じになった弥恵は、又しても、海を観ているお爺さんに出会ったので、何をしているのかと尋ねると、夕べ捜していた友達は見つかったのかと聞いて来た後、自分が小学校の頃の友達を待っているのだと言う。

何となく、そのお爺さんと仲良し気分になった弥恵は、何か兄に仕掛けるいたずらを知らないかと尋ねると、いたずらは知らないが、自分の好きな果物の事を想像しながら、手の平に渦巻きを書いて、鼻に近付けると、その果物の匂いがすると教えてくれる。

弥恵が言われた通りに、手の平を鼻に近付けると、お爺さんは、その手の平の上からぱちんと叩いて、手の平を鼻にぶつけてしまう。

それが、いたずらだったのだ。

気に入って、そのお爺さんと一緒に帰る弥恵だったが、その時、突堤の先から、いなくなっていたはずの会長が一人登って来るのに気づかなかった。

会長が無事自宅に帰って来たと知ったあゆむたちは、見舞いに出かけるが、ベッドにパジャマ姿で座っていた会長は、どこかボ〜ッとしており、今までどこにいたのかという問いに、どこかの学校で、無理矢理鬼ごっこの鬼をやらされていたと答える。

そんな中、ジュースを運んで来た会長の母親は、4人しかいないはずの子供に、5個のコップを持って来て、もう一人の女の子はどうしたのかと奇妙な事を聞く。

女子は、あゆむと須美子(竹島由夏)の二人しかいないはずなのに…と、めいめいがジュースのコップをとった時、全員の視線が須美子の肩に注がれる。

須美子の肩に、人形が見えたのだ。

その直後、お盆に残っていたジュースのコップが空になっている事に全員が気づく。

その夜、弥恵は不思議な夢にうなされていた。

海辺にいる兄の恒が、知らない子供達についてどんどん古い学校の方に行く夢だった。

弥恵は、夢の中で「そっちに行っちゃダメ!」と呼び掛けるが、兄は聞こえない様子で、ずんずん遠ざかって行く。

晴美に起こされた弥絵が、隣の部屋に寝ているはずの恒を確認しようとふすまをあけると、布団の中は、もぬけの殻だった。

晴美の運転するチャリに乗って、弥恵も兄を捜しに出かけるが、間もなく、突堤の先でぼんやり海を観ながらしゃがんでいる恒を発見する。

弥恵は、そんな兄に何でいなくなったのか訪ねるが、恒は、何で、自分に行くなと声をかけたのかと、不思議な事に、夢の中の事を聞く。

翌日から、恒の様子が何となくおかしくなる。

弥恵が、お爺さんから教えてもらった例のいたずらを仕掛けても、何の反応もない。

恒は、あの顔には見覚えがあると言いながら、小学校へ出かけて行く。

そこに貼ってあった古い写真に映っている子供達が、自分を連れて行こうとした子供達だと確認したのだ。

すると、又しても、「こうちゃん!」と呼び掛ける声がして、恒と弥恵は、すぐ横の職員室の棚の中から、誰かが出て来そうに開いているのを観て、思わず外に逃げ出す。

弥恵は、もうこの学校には来ない方が良いと兄に忠告するが、その恒は、「見つけてあげないと」と言ったかと思うと、小学校の後ろに迫る巨大な津波の幻想を観て、その場に倒れ込んでしまうのだった。

「はまゆり荘」に運び込まれ、往診に来た医者から日射病と判断された恒は静かに寝かされていたが、晴美は、今夜、地元で行われる灯籠流しに連れて行けるか心配していた。

その頃、海岸にいた耶恵に、又、近寄って来たお爺さんは、きれいな貝殻を渡してくれる。

そんなお爺さんに、弥恵は幽霊観た事あるかと尋ねてみると、お爺さんは、自分が転校して来た初めての夏、一緒に遊んだ友達と又会いたいな〜と呟くのだった。

人が死ぬ時は、小指の先からほどけて来るとも教えてくれるが、それを弥恵が真面目に聞いていると、冗談だと言う。

弥恵は、自分の兄が夢の中で連れて行かれそうになっているのだが、それは、お爺さんの友達達ではないのかとさらに聞いてみるが、お爺さんは何も答えなかった。

灯籠流しに出かける為、浴衣に着替え終わっていたあゆむのもとに、一緒に行く約束だった須美子から電話が入り、プールで足を掴まれた子が今高熱を出していると聞き、自分も呪われているのではないかと怖いから、今日は行かないで家にいると伝えて来るが、その電話の調子も途中からおかしくなる。

須美子は、私がいなくなったら捜してねと、何とか伝えようとする。

その須美子、横を観てみると、何時の間に現れたのか、人形が立っており、その首が、ゆっくりこちらを向くではないか。

酒屋の子である須美子は、醸造タンクの影に隠れようとするが、タンクの上から水が滴って来て、上を見上げると、タンクに上に手招いている女の子の手が見える。

怖くなって、醸造所内を逃げ回る須美子だったが、どこからともなく、追い掛けて来るげたのおとが響いて来る。

しばらく物陰に身を潜め、誰もいないと分かって、階段を降りかけたところで、「ゆみちゃん見っけ!」という嬉し気な声が聞こえ、階段の裏側に少女さかえの顔があらわれる。

一方、須美子の事が心配になったあゆむは、迎えに行くと出かける。

熱射病がおさまり、出かける事ができるようになった恒と弥恵は、晴美に連れられて灯籠流しに出かけるが、川に流した灯籠に手を合わせている晴美に、何を祈ったのかと聞く恒に、お父さんがあの世でも元気でくらますようにと祈ったと答える。

そして、お盆が終わると、魂が帰って行くのだと、灯籠流しの由来を話して聞かせ、死んだ人の魂は怖くないのよ弥恵に教え聞かせるのだった。

その後、縁日の射的場に向った3人だったが、恒は雑踏の中に、何時か夢の中で出会った子供達がお面をかぶって立っている姿を発見し、そのままその後をついて行く。

その様子を観た弥恵もその後に続き、独り、射撃に夢中になっていた晴美は、二人の姿が消えた事に初めて気づくのだった。

恒はずんずん、灯台の方に向って歩いて行き、その中に入って行く。

その後ろから、弥恵が追い掛けて行くが、灯台の中の階段を一番上まで登った所で、兄の姿が消えた事に気づく。

弥恵のすぐ後ろの空間には、ゆきの身体が浮かんでいた。

その後、 家で留守番をしていたあゆむと弥恵に、行方不明になった恒を捜しに出かけた晴美から電話が入るが、見つからないらしい。

弥恵は、川の側の文房具屋のお爺さんが事情を知っていると考え、あゆむにその事を教えるが、あゆむが言うには、そのお爺さんなら、昨年死んだと言うではないか。

真夜中の一時、母の帰りを待ちくたびれて、あゆむが卓袱台でうたた寝をしていたが、弥恵は、兄が見つからないと言う声を聞く。家に帰ろうと呼び掛ける弥恵。

さらに二階に上がった弥恵は、窓ガラスの外から大勢の子供の手が叩くのを観る。

さらに、障子に「ヤエ ひとりで帰れ」という大きな血文字が現れる。

それでも、怖がらず、上がり框の所で独り起きていた弥恵は、手に持っていた貝殻を観て、あのお爺さんの事を再び思い出し、死んだ人の霊は怖くないと晴美から教わっていた事もあり、思いきって家を抜け出して、文房具屋さんを捜しに行く。

その店はすぐに見つかった。

不思議な事に電気がついており、中に入ると、あのお爺さんが新聞を読んでいる。

弥恵の姿に気づいたお爺さんは、子供がこんな深夜まで起きていてはいけないと叱るが、弥恵は、兄がいなくなった、お爺さんは死んでいるんでしょう?と、問いかける。

お爺さんは肯定するが、どうする事もできないと言う。

しかし、そのお爺さんの小指の先が、光のようにほどけているのを観た弥得が指摘すると、お爺さんは慌てたようにその指を押さえ付けると、「もう帰らなきゃならんようだ」と呟く。

しかし、弥恵は、「帰っちゃダメ!」とお爺さんの小指を押さえてやると、「かくれんぼうの鬼はお爺さんなんだから」と説得する。

本来の鬼ではない兄では、かくれんぼうは捜せないと言うのだ。

自分だけが助かって生き延びたお爺さんは、昔の友達に会って、何と言えば良いんだと、行くのを渋るが、弥恵は、そんなお爺さんを強引に海岸に連れて行く。

その間も、友達が死んで以来、ずっとつまらなかったとこぼすお爺さん。

やがて、突然、弥恵とお爺さんの行く手に旧校舎が出現する。

中に入って行くと、海のお守りだとお爺さんが言う不思議な生物が浮遊していたりする。

てっちゃん、すすむ〜!と声をかけるお爺さんだったが、何の返事もない。

やっぱりダメだとあきらめかけたお爺さんに、弥恵は、私も手伝ってあげると言い出す。

お爺さんは、見つけてくれたら何でもごちそうしてやると言うので、弥恵はアイスクリームをねだり、一人で校舎内を捜しはじめる。

お爺さんは、疲れたのか、その場に座り込んでしまった。

弥恵は、骨だけの姿で空中を泳いでいる魚とか不思議なものに遭遇するが、怖がらず、かくれた子供らを捜し続ける。

ゆきの「見つけてね」の声を思い出したお爺さんは再び立ち上がると、自分も捜し始める。

弥恵は、とある教室の棚の上に「町田進」と書かれた服を発見する。

お爺さんの方も、骸骨標本の後ろに、「岡井哲」と書かれた服を発見する。

そして、弥恵と合流したお爺さんは、職員室に向い、その棚の中から、ゆきとさかえを見つけるのだった。

何時の間にか、実体化していた哲と進も側に寄って来る。

昔こうちゃんと呼ばれていたお爺さんは、ごめん!やっと見つけたよと、かつての友達達に詫びる。

お兄ちゃんを返して、という弥恵の言葉に、お爺さんは、約束すると答え、弥恵と指切りするが、その小指は又、光のようにほどけはじめる。

弥恵に、他の子供達もありがとうと言い残して、お爺さんと一緒に消え去るのだった。

最後に、アイスをごちそうするからな〜!というお爺さんの声が残った。

窓の外を観ていた弥恵は、兄、恒が海の中を浮かび上がって行く姿を観て、自分も窓を開けると、外の海の中に飛び込んで行く。

海上に浮かび上がり泳いでいた弥恵は、気がつくと、晴美とあゆむから朝の海岸で揺り起こされていた。

文房具屋さんから助けてもらったと答えた弥恵は、まだ兄が戻らない事を聞くと、自然に灯台に向い、その中の階段を登りはじめる。

すると、一番上の手すりの所に、浴衣姿の恒が眠っているではないか。

その後、元気を取り戻した恒とあゆむと一緒にアイスを食べていた弥恵は、3人とも当りだった事を発見し、お爺さんが約束を守った事に気づく。

弥恵は、お礼の気持ちで、当たりと言う文字が入った軸を、海に投げ入れる。

遠い昔の校舎内、こうちゃんは、床に落ちた当たりくじを嬉しそうに拾い上げ、他の友達達と、又新しい遊びをしようと校庭に駆けて行くのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

人気シリーズ「学校の怪談」の4作目で最終作。

脚本、監督コンビは再び、「1」「2」のスタッフに戻っている。

モンスター的な妖怪などを賑々しく登場させ、けれん味たっぷりの特撮とユーモア混じりに描いていた前作までと違い、この作品では、ユーモアは極力押さえられ、子供を使ったオーソドックスな幽霊話になっている。

お盆と言う時期と言い、海辺という舞台設定と言い、子供達には、かなり地味な印象かも知れないが、大人には「郷愁」を誘い、味わいのある作品となっている。

やはり、幼くして不慮の事故で亡くなった子供達と言う設定が、まず胸を締め付ける。

その子らの無垢ないたずら心と言うか、遊び心の延長が、現代に怪異現象として出現すると言う展開だが、怖さよりも、大人には切なさがたまらない。

あまり怖くない原因は、主人公の少女、弥恵が、どうやら霊感体質らしく、霊現象に怯えていない為だろう。

他の子供達は怯えているのだが、彼女だけは、現実と幻影の境の区別がついていない。

その一番の象徴が、お爺さんとの付き合いである。

観客も、最初の内は、お爺さんを現実だと思って観ている。

後半、それは、弥恵にしか見えていない幻影だと分かるのだが、最後まで、霊と言う怖さは感じないように描かれている。

死んだ人の霊は怖くないと言う晴美の言葉も、それを補強している。

お盆に先祖を供養する意味を優しく教える言葉だ。

この言葉で、ラストの友達同士の再会が、怖いどころか感動のシーンに変化する。

ただ、こういう演出は、大人になってこそ理解できる事で、子供達にはどこまで伝わったか疑問。

そうした大人向きの演出のためか、ブーム自体が終わったからか、このシリーズは、この作品を持って終了するのだが、楽しかったシリーズだけに、今考えても、ちょっと惜しい気がする。

明石家さんまの師匠、笑福亭松之助さんはセリフ棒読みながら、飄々とした味わいがある。