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学校の怪談
 GAKKOU NO KWAIDAN

1995年、東宝+サンダンス・カンパニー、常光徹 日本民話の会原作、奥寺佐渡子脚色、平山秀幸監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

職員室に鳴り響く電話の音。

それを取って「銀杏ヶ丘小学校」と返事をした教師(笹野高史)に聞こえて来たのは、「私、メリーさん。今、正門の所にいるの』という少女の声。

窓の外を観ても、誰もいないので、教師はいたずらだと思い切ってしまう。

すると、またかって来た電話では、「今、校庭にいるの」、次いで「今、花壇の所」と、同じメリーさんと名乗る少女からの電話が続く。

さすがに、教師も不審に思いはじめるが、「今、昇降口の前にいる」という電話があった時、時計が止まってしまう。

廊下に様子を見に行った教師は、廊下に置かれていた電話がなりはじめるのに気づき、恐る恐るその受話器を取ると、「今、あなたの後ろにいるの」という声が響いて来る。

驚いて、後ろを振り返った教師が観たものは…。

その話をしていたのは、小学生たちだった。

何でも、その教師は、全身の血を抜かれて死んでいたと、オチがつくらしい。

誰もいない学校に一人でいると、霊たちの仲間にされてしまうとも、しゃべっている。

明日から夏休みだと言う一学期の終業式の朝、遅刻しそうになった息子をスクーターで、学校に送り届けているのは、暴走族仲間を持つヤンママ由美子(杉山亜矢子)。

一方、スーパーの経営者の長男、千葉均(町田耕平)は、弟で今学期一日しか学校に行かないかずお(町田昇平)の通信簿ももらって来るように母親から言われて出かける。

実は、かずおは霊感が強い為、霊がいる場所にいると頭が痛くなると言う体質を持っていたのだった。

その頃、学校の裏側で、バスケットボールをしていた子供達が、過って、ハニ太郎という埴輪の置き物の首にボールを当てて壊してしまう。

一方、校門の所まで、子供を送って来た由美子は、自分のスクーターにぶつかりそうになり、ずっこけた小向先生(野村宏伸)のぶざまな姿を観て呆れ返る。

実はこの二人幼馴染みの関係だったのである。

校庭での終業式を終えて、教室に戻って来た小向のクラスの子供達が一斉に天井を見上げて騒ぎ出す。

何事かと、教室に入って来た小向は、天井に記された赤い手形を観て唖然とする。

しかし、その手形は、瀬川将太のいたずらと分かり、すぐに一件落着。

小向は、全員に、絶対、旧校舎に入らないように注意する。

その日、一緒に校門を出かけた篠田亜樹(遠山真澄)の妹美夏(米澤史織)が、24色の絵の具箱を忘れたと言って教室に取りに帰る。

誰もいない教室におっかなびっくり戻って、絵の具箱を取り出した美夏は、下駄箱の所で靴をはきかけている時、突然、外で大きく弾んでいるサッカーボールを目撃する。

その不思議なサッカーボールを追い掛けて行く内に、美夏は、禁じられていた旧校舎に近づいて行く。

鍵がかかっていたはずの扉に、サッカーボールは吸い込まれて消えてしまい、それに吸い寄せられるように、美夏も、一人で、旧校舎の扉の中に入ってしまう。

すぐさま、扉は閉じてしまい、閉じ込められた形になった美夏だったが、そんな事は気にしていない様子で、二階に上がって行くと、トイレの入口から転がり出たトイレットペーパーを見る。

トイレの入口に立った美夏は、奥から三番目の扉が独りでに開くのを観て、誰かいるのかと問いかけるが返事はない。

その三番目の扉の前に立って、何時か友達から聞いたように「花子さん?」と呼び掛け、扉をあけるが、中には誰もいない。

しかし、次の瞬間、天井を見上げた美夏は、何かを見つけたかのようににっこり微笑むと、その身体は浮き上がって天井に吸い込まれてしまう。

その頃、湯川先生(余貴美子)から、弟の分の通信簿ももらっていた均は、弟の不思議な体質を説明していたが、先生に理解されるはずもない。

その湯川先生、小向先生が近々辞めるらしいと言う噂を本人に確認するが、小向が言うには、養子になる話があると意外なものだった。

一方、旧校舎内では、勝手に入り込んだ中村研輔(熱田一)と瀬川将太の悪たれコンビが入り込み、理科室から勝手に骸骨の標本を持ち出し、校長室の椅子に座らせておこうとしていた。

そんな旧校舎前にやって来たのは、何時まで待っても帰って来ない妹の美夏を捜しに来た姉の亜樹だった。

彼女は、入口の前で、独り、地面に霊封じとか言う魔方陣のようなものを、本を観ながら描いて遊んでいた均に会い、妹を見かけなかったかと尋ねるが、均は知らないと答える。

旧校舎に入ったのではないかと入口を調べていた亜樹は、鍵が壊れているのに気づき、思いきって入ってしまう。

それを観ていた均も、好奇心のまま後に続くが、その瞬間、扉は硬く閉ざされてしまい、二人は旧校舎の中に閉じ込められてしまう。

その頃、自宅スーパーでおやつを物色していた弟かずおは、店内のショーケースに映り助けを呼ぶ自分の姿が、兄の均の姿であると直感する。

一方、旧校舎では、篠田亜樹が中村研輔と瀬川将太の悪童コンビに遭遇していた。
研輔と亜樹は互いに犬猿の仲らしい。

教員室にいた小向は、瀬川将太の母親から息子が帰って来ないと電話を受け、とっくに帰ったはずだがと、不思議がっていた。

そんな小向は、均そっくりの子供が来たのに気づくが、その子は、兄の均を捜しに来た弟のかずおだと言う。

旧校舎の中で妹を捜しまわっていた亜樹は、突然、見知らぬ少女から肩を叩かれ、肝を潰していた。

その少女は、6年3組の小室香織(岡本綾)と名乗る。

そこへ近づいて来た研輔と将太だったが、将太の方は、香織の可愛さに呆然としてしまった様子。

そんな子供達は、突如出現したテケテケにパニックになる。

そんな事になっているとは全く知らない小向とかずおは、旧校舎の入口の前まで来るが、ちゃんとしっかり施錠されているを確認する。

しかし、玄関の中では、その小向の姿を観て、助けを求めている子供達がいたのだが、小向には自分達の姿も声も聞こえてない様子。

研輔たちは、消化器で玄関のガラス部分を壊そうとするが、何故かびくともしない。

そんな校舎内の異変を、表にいるかずおは感じていた。
均が地面の置き忘れた魔法陣の本も見つけたからだ。

夕暮れが迫り、小向は構内放送で千葉均を呼び掛けるが、応答はない。

旧校舎内の子供達は、暗くなって来た室内を照らす為に理科室でロウソクを灯していた。

亜樹と香織は、美夏を捜しに二階へ登って、美夏の靴を発見する。

一方、将太は、腕にはめていたミサンガを落としたと、理科室を捜しまわる。

二階の亜樹と香織は、地響きのような足音に気づき、闇に閉ざされかけた廊下の奥を見ると、巨大な子供の足がこちらに向って歩いて来るのを発見、二人して逃げ出す。

香織は、音楽教室に逃げ込み、亜樹の方は、一階に降り、階段下の物置き部屋に隠れるが、その扉を開けて、巨大な丸めがねをかけた子供が覗き込んだので、部屋の奥に逃げ込む内に暗闇の空間に落ち込んでしまう。

一方、理科室でミサンガを捜していた将太は、床に落ちていたそれを見つけるが、その奥で、ホルマリン漬けのかえるの標本が動いているのを観て腰を抜かす。

さらに、人体標本が動きだし、均を捕まえる。

研輔と将太は、大きな熊の標本で、人体模型に対抗して均を助けるのだった。

その頃、小向は、職員室でかずおに、自分が子供の頃、女の子を家庭科室に閉じ込めたエピソードを話して聞かせていた。

友人たちに命令されて嫌々やった事だが、怖くなって、後から、助けに行ったけれど、その時、すでに女の子はいなくなっていた。

その子は後で転校していったが、小向にとって苦い子供時代の記憶として頭にこびりついていた。

そんな所にやって来たのが、帰って来ない研輔を心配してやって来た母、由美子だった。

そこへ、どこからともなく亜樹がやってきて、そこにいた三人に旧校舎内での変異を話すが、小向はまるで信じられない様子。

旧校舎内では、何時の間にか理科室に現れた用務員さんのようなおじさん(佐藤正宏)の姿に、研輔、将太たちは喜んで近づく。

しかし、ぶつぶつ言いながら廊下に出たそのおじさんを追い掛けた子供達は、誰もいない廊下を観て不思議がる。

そんなおじさん、今まで、学校で観た事なかったからだ。

その頃、怯え切った研輔、将太、均たちは、トイレに行く事が出来ず、我慢の限界に来て、廊下の隅に立ち小便をしてしまう。

旧校舎の入口に、小向たちを案内していた亜樹に、かずおは、お守りになるからと言いながら、本から魔法陣が描かれたページを破って渡す。

その亜樹と小向は、旧校舎の中に入り込み、又しても閉じ込められてしまう。

研輔、将太、均らは、校舎内に現れた小向と亜樹に出会い、一瞬喜びかけるのだが、小向の背中にテケテケが負ぶさっているのを観て逃げ出してしまう。

訳が分からないのは小向、美術室に逃げ込んだ均に、何故逃げるのかと扉を開けようとするが、テケテケに怯えた均は、中から突っかい棒を掛けて、扉を開かないようにする。

ところが、その部屋にあった粘土細工たちがいきなり動き始め、合体して人間の腕になると、床一面に腕だらけの状態になり、均を捕まえそうになる。

音楽室に逃げ込んだ将太は、そこに隠れていた香織と再会、互いに身を寄せあう内に、何となく嬉しくなって「イチゴ牛乳とコーヒー牛乳どっちが好き?」とか他愛無い質問をぶつける将太だったが、怪し気な楽団が演奏する幻影を観てしまい震え出す。

その頃、外では、仲間を呼びに帰ろうとする由美子のスクーターのバックミラーに、「大切なものが校舎の裏で壊された」と伝える均の姿が映ったかと思うと、鏡は粉々に割れてしまう。

由美子は鍵を焼き切るバーナーを取りに帰ると言い、かずおには一人で兄を助けるんだと勇気づけて立ち去る。

旧校舎内では、不思議なおじさんが、ぶつぶつ言いながら、一人で階段下の物置き部屋を片付けていた。

二人きりになっていた研輔と亜樹は、けんけんしながらも互いの事等を打ち明けあっていたが、そこにやって来た将太と均に再会する。

入口の前では、かずおが一人で、大きな魔法陣を地面に描き始めていた。

その頃、旧校舎内で一人になっていた小向は、相変わらずぶつぶつ文句を言いながら掃除をしているおじさんが、昔良く知っていたクマヒゲさんだったので、懐かしく呼び掛けるが、相手は特に反応なし。

子供達を知らないかと尋ねてみると、子供のいそうな場所は大体分かると言って、階段下の物置き部屋を指し示す。

本当にそこに隠れていた子供達は、小向の背後に立っているクマヒゲさんが、奇妙な形に変身する姿を観て、またもや、先生が変なものを連れて来たと逃げ出す。

いぶかし気に、後ろを振り向いた小向は、そこに蜘蛛に変身しかかったクマヒゲさんを発見、自分も子供達と一緒に逃げ出すのだった。

その頃、表には、由美子がヤンキー仲間たちを大勢連れて来ていた。

小向と子供達は、とある教室に逃げ込むが、そこは床と天井がひっくり返った不思議な部屋だった。

テケテケも、又出現。

やがて、天井に並んでいた机と椅子が、蛍光灯が並んだ床に落ちて来はじめる。

その落下から逃げ回っていた子供たちだったが、机が頭に落ちかけて、もはやこれまでと思われた亜樹は、先ほどかずおから渡されていた、魔法陣を書いた紙切れを夢中でふりかざすと、机は空中で制止してしまう。

その効果に驚いた小向は、その紙を良く見せてくれと、亜樹と取り合いをしている内に、真っ二つに引きちぎれてしまう。

さすがに、大人気ない事をしたと、ちぎれた紙をくっつけようと、合わせた小向の手の平の上で、二枚の紙は合体して、光る蝶になって飛び去る。

一方、医務室に逃げ込んでいた研輔と将太は、そこに、マスクをした白衣の女性がおり、その女性がマスクを取ると、口裂け女だったので、「ポマード」を連呼しながら逃げ出すのだった。

外では、ヤンキーの仲間たちが、かずおに言われ、校舎の裏から、何か壊れたものを見つけて来るように散っていた。

光る蝶々を追っていた小向や亜樹たちは、不思議な部屋に案内され、その奥の棚の中に、眠っているかのような美夏を発見する。

そこへ、蜘蛛に変身しかかったクマヒゲさんがやって来て、暴れている内に、その眼鏡が取れてしまう。

床に落ちた眼鏡には、目も一緒に付いているのを発見した小向は、近くにいた均に踏んずけろ言い、気持ちが悪いからと躊躇する均だったが、クマヒゲさんが迫って来たので、仕方なく、眼鏡を踏み付けてしまう。

すると、クマヒゲさんは、目が見えなくなったらしく、さらに暴れ廻る。

外では、色々なガラクタを集めて来たヤンキーたちが、かずおの元に戻って来る。

そのうちの一人が、由美子に職員室で、電話がかかっていたと教える。

研輔と将太は、給食運搬用の昇降機に乗り込み、新たに現れたモンスターから逃げ出していた。

昇降機が開いた先には、小向たちがおり、久々に全員が揃う事になる。

外では、ガラクタの中から、首の取れた埴輪を見つけだしたかずおが、それを組み合わせて、魔法陣のまん中に安置していた。

その時にも、新たなモンスターは子供達に迫っており、先ほどから懸命に、封鎖された扉をこじ開けようとしていた小向と香織は焦る。

間方陣の中心に置かれた埴輪は、急に発光し始め、魔法陣自体も光りはじめる。

しかし、埴輪を支えていたかずおは、その光の渦の中に閉じ込められてしまう。

怪物は更に、子供達に襲いかかろうとしていた。

将太は一計を案じ、金網バリケードにしがみついていたモンスターに、電線を触れ、感電死させる。

その頃、別の場所で、モンスターに襲われていた亜樹を消化器で救ったのは研輔だった。

子供達は、協力して金網バリケードを作ると、怪物たちをそれ以上、入口近辺に入って来させないようにしてする。

そうした中、ようやく開いた扉の外は、何もない闇の世界だった。

ためらう小向であったが、子供の頃、家庭科室からいなくなった少女は、きっと、自分で思いきって外へ飛び出したのだと思い出し、眠っている美夏を抱えて暗闇の中に飛び込む。

亜樹、研輔、均らも、思いきってその後に続く。

将太は、憧れの香織と一緒に飛び出そうと誘うが、抱こうとした香織の身体は実体がなかった。

彼女は、自分は一緒に行けないのだけど、楽しかったと告げる。

訳も分からないまま、将太は一人で闇の中へ身を踊らすのだった。

外で見守る由美子やヤンキーたちの前で、旧校舎全体のみならず、校庭全体も光りはじめる。

その旧校舎の中では、クマヒゲさんが「廊下は走るなよ」とまだ言っている。

埴輪から光が走ったかと思うと、学校のプールに小向と美夏が落下して来る。

それに続いて、子供達も。

最後にプールに出現した将太は、まだ小村香織が来ていないと叫ぶが、その言葉を聞いた由美子が、先ほど職員室に、その小村香織と言う少女が、入院先の病院で亡くなったと、父親からで電話があった事を知らせるのだった。

そんな中、赤い服の少女が、校庭に消えて行く。

その後、アパートのいた小向は、母親に見合いの話を断わろうと電話をしていたが、そんな所にやって来た由美子から、パチンコの景品の桃缶を投げてもらう。

一方、将太は研輔に、香織に好きだと告白していれば良かったとちょっぴり後悔の告白をしていたが、そこにヒマワリの花束を持った美夏たちがやって来る。

子供達は、香織に出会った時、自己紹介されたけど、自分達はしていなかった事を思い出し、その場でめいめいの名前を大きな声で叫ぶのだった。

青空の上の天国にいる香織に聞こえるように…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

当時、全国の子供達に流行っていた「学校の怪談話」を元にした、子供向け怪奇冒険映画。

旧校舎と言う閉鎖空間に舞台を絞り、そこに様々なモンスターや妖怪たちを登場させる、現代版「お化け屋敷」の趣向になっている。

その中に、唯一大人として巻き込まれる事になる小向先生は、頼りがいのある大人と言うよりも、逆に面倒ばかり巻き起こすダメ大人としてユーモラスに描かれているのも楽しい。

若い野村宏伸が、その頼りないダメ教師を巧く演じており、子供達の人気を得た為か、この後のシリーズにも登場する中核キャラになる。

クマヒゲさんが変身する蜘蛛モンスターは、かなり怖い。

テクニック的には、それまでの着ぐるみを中心とした怪獣特撮とは一戦を画し、モデルアニメやCGを多用した、日本映画としては、かなり先進的なテクニックを多用したSFX映画になっている。

もちろん、出来の良い着ぐるみやミニチュア技術なども平行して使われている。

怖いだけではなく、ユーモアやリリシズムもあり、大人が観ても楽しめる娯楽作品になっている。