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THE 有頂天ホテル

2005年、三谷幸喜脚本、監督作品。

カーテンを描いた、クラシカルなオープニングアニメタイトルに象徴されるように、ちょっと懐かしい昔の名画や古典演劇を見るような、ゆったり安心して楽しめる「グランドホテル形式(限られた時間と空間の中での群像劇)」の娯楽作品。

おおまかにエピソードを紹介すると…、




●舞台はホテルの大晦日パーティの直前。

●客を捜すためホテル内に侵入したコールガール(篠原涼子)と、それを追い返そうとするホテルマンたちのいたちごっこ。

●ホテルが選んだマン・オブ・ザ・イヤーの人物(堀田衛)が、実は、そのコールガールと関係があった事がばれそうになる。

●そのマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた人物の婦人(原田美枝子)は、ホテルの副支配人(役所広司)の元妻であった。

●政治スキャンダルを抱えた若手政治家(佐藤浩市)と、彼の元カノのホテル客室係(松たか子)が同じホテル内にいる。

●その元カノのホテル従業員は、仕事の途中、ひょんな事から客の女性を演じなければならなくなる。

●歌手を夢見ていたボーイ(香取慎吾)が、見切りを付けて国へ帰ろうとするが、ハプニングでもう一日だけ手伝うはめになる。

●そのボーイと、ホテル内で偶然出会ったスチュワーデス風の幼馴染み(麻生久美子)の二人は、成りゆき上、大物演歌歌手(西田敏行)の面倒を見なければいけなくなる。

●パーティの出し物の一つ、腹話術師(榎木兵衛)愛用のアヒルが逃げ出して、それをホテル探偵(石井公則)が追い掛ける。

●そのホテル探偵は、ある女性客の盗まれた服も捜している。

●普段は地味な筆耕係の青年(オダギリジョー)が、いきなり、巨大な垂れ幕文字を書かされるはめになる。

●歌手志望だった女性(YOU)が、芸能会社の社長命令で、仕事を取るために、ホテルマンと寝るよう命じられる。

●とぼけた総支配人(伊東四朗)が、ふとした行為をしたばっかりに、ホテル中を逃げ回らなくてはならなくなる。



こういういくつかのエピソードがからみ合いながら、新年のカウントダウンの瞬間を迎える…という展開で、いくつかのもめ事の解決が、パズル風に旨く最後に付いてしまうと言う、一種のハートウォーミングなストーリーパターンになっている。

随所に、小ネタというか、くすぐり程度のギャグは用意されているが、特に大爆笑を狙ったドタバタ喜劇と言う感じではない。

まじめな副支配人が、次々に起こる事件を何とか旨くまとめようと奮戦する話という感じで、そのあたふた感を、観客も一緒に体験しながら、同時ににやにや楽しむ感じが楽しい。

登場人物の中には、ちょっと見、奇妙な特殊メイクをしているケースも多く、油断していると、本人と気づかないかも知れない。

贅沢なキャスティングながら、それをさり気なく配して、さらっと見せている所が粋。