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花の高2トリオ 初恋時代

1975年、ホリ企画制作+サンミュージック、才賀明脚本、森永健次郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

超高層ビルが立ち並ぶ東京、新宿の道路を、一人の少女高木アカネ(桜田淳子)が旅行カバンを持ってふらふらと歩いていると、後ろからバイクに乗った青年が近づき、危うく少女の身体に接触しかけて、カバンが弾き飛ばされる。

これに怒った少女が抗議をすると、停まったバイクの青年の方も、横断歩道でもない所を歩いている少女の方を非難しはじめる。

そこへ、胸に十字架を下げた別の少女津田アオイ(山口百恵)が近づいて来て、青年の淫らな視線は姦淫せるなり…と訳の分からない事言い出す。

そこへ現れた警官(鈴木ヒロミツ)は、すっかり、少女の可愛さに浮かれ、一方的に青年の方を注意しはじめる。

そこへ、又しても現れた、もう一人の少女小田切ミドリ(森昌子)が、大変だと指差す方を、そこにいた全員が見ると、ビルの上から揚っていたアドバルーンに誰かがしがみついている。


慌てて、そこにいた全員がビルの屋上に登ってみると、ちょうど、ガードマンたちによって、アドバルーンから引きづり下ろされた青年が尻餅を付いている所だった。

自殺か?と疑った、警官だったが、その青年が言うには、空へ昇る研究をしていたのだと言う。

訳が分からないまま、下の降りて来た三人の少女たちは、互いに同じ、高校2年生で、偶然にも、全員、夏休みで上京して来たもの同士と言う事が分かるが、取りあえずそこで別れる事になる。

バイクの青年と喧嘩していた気の強い少女は、現金にも、そのバイクに無理矢理乗せてもらって目的地を目指す事にする。

その後、ブテック「ケイコ」にやって来たミドリは、ここの経営者で叔母の矢沢恵子を訪ねて来た姪であると自己紹介するが、店員は、店の主人は出かけており4、5日しないと戻って来ないし、何も聞いていないと相手にしてくれない。

そんなブティック「ケイコ」に、今度は、先ほど別れたばかりのアオイがやって来て、自分は恵子の教え子だと自己紹介する。

驚く事に、その後には、バイクでやって来たあのアカネまで「ケイコ」に入って来て、自分は恵子先生のファンで、高校を卒業したら弟子にしてもらう約束があるものだと自己紹介するが、やはり、何も聞いていない店員は相手にしない。

困った三人は、当てにしていた泊まる所がない事が分かったので、急遽、別居中の恵子の夫で、小説家の矢沢一平の住所を、無理矢理店員から聞き出す事にする。

その住所を頼りに、一平にお家を捜しまわった三人娘は、妙な布に絡まっているおかしなおじさんの姿を発見する。

どうも、その人物こそが、矢沢一平のようだった。

取りあえず、三人は、一平の家に上がり込むが、そこにも奇妙な布切れが広がっている。

それは何かと尋ねると、気球用の布だと言う。

そう、矢沢一平は、熱気球の虜になっており、何としてでも、自力で熱気球を作る事が夢だった。

その反動で、最近トント小説等書いていないようだった。

そんなロマンチックな話を聞いていた三人娘だったが、布の合間に見えかくれする床を這い回るゴキブリを発見、全員パニックになる。

そんな様子を、何時の間にやって来たのか、あのアドバルーンに掴まっていた青年、啓太(クロベー)がにやにやしながら眺めていた。

彼は、一平のお手伝いをしている青年だった。

さすがに、ゴキブリが出るような家には住めないと、そこもあきらめた三人娘は、近くの草原に出て、互いの学校の事等教えはじめる。

植物のことに詳しいミドリは農業高校、アオイはカトリック系の高校、そして、アカネは女性の方が強い、男女共学の県立高校だと言う。

他の二人は、アカネの男勝りの勝ち気な性格を観て来たので、その説明に納得してしまう。

そんな三人は、近くを流れていた河で練習をしているボート部の姿を見つける。

その内、向こう岸で、ボートに併走しておかしな走り方をしている青年を観たあかねは、同じ郷里の高校の先輩、岩井五郎(川口厚)だと気づき声をかける。

再会した五郎が東南大学のボート部に所属していると知った三人は、興味を引かれ、そのまま、ボート部の部室に入り込むと、勝手に、部員たちの食事作りを自ら勝手でる。

やがて、戻って来た先輩の中、キャプテンの柳田(夏夕介)は、見知らぬ少女たちの姿に驚き、例え五郎の知り合いだとしても、合宿に女性をまぜる事は出来ないと、彼女たちを追い出してしまうのだった。

ふて腐れて外に出た三人は、そのまま、近くにあったボート置き場に入り込み、物珍し気に、ボート等を観ていたが、その内、彼女たちが中にいる事を知らない部員が扉を締めてしまう。

閉じ込められた事を知った三人は慌てるが、仲間がいる心強さもあり、そのままそのボート置き場で一夜を明かす事にする。

根っから食いしん坊のミドリが、荷物の中に多数の果物等を入れていたので、食事に不自由はなかった。

翌日、ボート置き場を開きに来た部員たちは、すやすや眠っている三人娘を発見して驚く。

その頃、一平と啓太は、河原でトランシーバーによる交信の練習をしていた。
そんな彼らの姿に好奇心を抱いた子供達が近寄って来る。

その時、一平は、ふと傍らに佇む松葉づえの少年の姿を発見する。

子供らにその少年の事を尋ねると、交通事故で両親を亡くし、自らも怪我をして、今、近くの病院に入院している子供なのだと言う。

ボート置き場に無断で忍び込んだとして、三人娘たちは罰として部室の掃除をさせられていた。

そうした柳田の仕打ちに、アカネは一人で怒っていた。

一方、アオイに一目惚れした岩井五郎は、一緒に掃除をしながら、自分は女性恐怖症なのだが、アオイは自分のタイプだ等と彼女を口説いていたが、アオイは窓の外の何かに夢中で上の空。

実は、彼女は、たくましい大学生である柳田に参ってしまっていたのだ。

その頃、買い物に行かせられていたミドリは、偶然、気球用の布を買って帰る途中の啓太と出会い、河原で一緒におやつを食べる事にする。

その際、慶太は、自分は酒屋に勤めていたのだが、人付き合いが苦手で、今の仕事を手伝うようになったとこれまでのいきさつを話し、自分は、ミドリのような土の匂いがする女性が好きだと口走るのだった。

その日の夕方、矢沢恵子が一平の自宅を訪ねて来る。

見ると、一平は額にばんそうこうを貼っているではないか。

電車の中で、タバコを吸っている奴がいたので注意したら、逆に殴られたのだと言う。

そういう彼の人の良さに呆れながらも、恵子は、ここへ、三人娘が訪ねて来なかったかと聞く。

そういえば…と、一平が思い出している時、ちょうど帰って来た啓太が、その三人が今いる所を知っていると恵子に教える。

その三人娘は、五郎に頼んで、ボートに勝手に乗せてもらっていた。

それを発見した柳田たちは、五郎に罰を与えようとするが、暴力は止めて、三人娘たちも含め、ボート漕ぎの練習を陸上でやらせる。

ちょうどそこへやって来たのが恵子。

彼女が、この娘たちを連れて帰って良いかと訪ねると、柳田はほっとしたかのように了承するのだった。

恵子が用意した豪華な宿泊部屋に連れていかれた三人は、さらにプレゼントとして、恵子が用意した素敵な服をもらい大喜びする。

アカネは、真夏にもう冬のデザインを考案して忙しく働く先輩たちの姿に憧れるのだった。

その夜、一平がどうした訳か、恵子の家を訪ねて来る。

土産に持って来た鯛焼きを喜んでもらったミドリは、他の二人にその差し入れを分けながら、無意識の内に、隣の部屋の一平と恵子の会話に耳をそばだてていた。

別居して1年近く経つ二人の仲は今もぎこちなかった。

なかなか訪問の理由を言い出さない一平に対し、恵子は、又、気球用の資金を借りに来たのだろうと先んじて言い出すのだった。

一旦帰りかけた一平は、20万出して欲しそうだが、今までも何度も資金援助してもらっている手前、強い態度に出れない。

たまらず、二人の中に割って入ったミドリは、気球が完成したら、一平が小説を書く事を条件に、20万出してあげてと叔母に頼むのだった。

その後、寝室の三人娘たちは、互いの理想の男性像を披露しあうが、奇しくも、全員、東南大学の柳田が好きだと言う事が分かる。

その頃、自宅に戻って来た一平は留守番をしていた啓太に、気球を作る事をもう諦めると、弱気を言い出す。

夜、三人娘たちは、各々、夢の中で、憧れの柳田と再会していた。

アオイは、恋をした懺悔をしている神父が柳田だった事に気づき、ポ〜ッとなる。

ミドリは、貧しい村娘だったが、現れた柳田から「幸せの国」へ行こうと誘われ、気が付くと、白いドレスを着ていることに気づき、喜んで、柳田と幸せの国を目指して旅立つ。

アカネは、悪魔に毒を飲まされ苦しんでいる所を、現れた王子姿の柳田からキスで直そうとされ、恥ずかしがる。

後日、川辺に出かけた失意の一平は、又してもあの少年を見かけたので、思いきって話し掛けてみる。

少年が言うには、自分の父親は、飛行機に乗せてくれると言う約束を守らないまま死んでしまったと言う。

大人は嘘つきだと言うその子に対し、一平は、昔撮った気球の写真を見せ、自分が気球を作るから、それまでに君の足が直ったら、それに乗せて、その子の祖父と祖母がいると言う霞ヶ浦まで連れていってやると約束する。

帰宅して来た一平は、啓太と共に、気球を作るため自ら働いて金を作る決心をする。

その頃、恵子は、一平との仲が巧く行かないので、外に飲みに行く事にする。

ミドリとアカネは、その隙を狙って、好奇心から恵子の部屋の酒を黙って飲み始める。

ミドリは笑い上戸、アカネは泣き上戸になるが、翌日は二人とも二日酔いに苦しむ。

一方、一平と啓太は、ビルの窓ふきに仕事を始めるが、ゴンドラに乗っている時も、空を飛ぶ練習だ等と、どこか上の空だった一平は、ゴンドラから足を滑らせて落下し怪我をしてしまう。

その見舞いに出かけたアオイは、入院中の一平から、ヒロシと言う少年と約束をしている話を聞く。

ミドリとアカネも誘って、そのヒロシと言う少年がいる病院へ向ったアオイは、一平が怪我をして、直るには一ヶ月かかると教えるが、それを聞いたヒロシは、たっぱり大人は嘘つきだと怒り出す。

ヒロシは誕生日までに気球ができると信じてリハビリに励んでいたのだと、看護婦(藤田弓子)から聞かされたアオイは、では自分達が代わりに気球を作ってやると、ヒロシに言ってしまう。

しかし、それを聞いていたアカネは、猛反対する。

そんな事、できるはずがないと感じたからだ。

ミドリは、啓太に出合い、協力を要請する。

アオイは、工学部の学生である東南大の柳田にバーナー部分の作成を依頼しに行くが、秋の関東レガッタの優勝を狙っている柳田から、余計な事をしている暇はないときっぱり断わられる。

アカネは、何時か出会った、あのバイク青年、春山鉄治(長岡義隆)とドライブに行っていたが、その途中でアオイと出会い、柳田から相手にされなかった事を聞くと、最初から無理だったと諭すのだった。

しかし、それを聞いていた鉄治は、気球作りを断わった柳田を襲い、河原で大げんかになる。

それを目撃したアカネは、必死で二人を止めようと叫ぶ内に、自らも気球作りに興味を抱くようになるが、問題は先立つ資金。

そんな三人娘たちの様子を観ていた恵子は、そんなに気球が作りたければ、資金も自分達で作らないと意味がないのではないかと忠告する。

そのアドバイス通り、アルバイトをはじめた三人。

アオイはちんどん屋、ミドリは神子さん、アカネは人間マネキンをやるが、どれも巧く行かない。

結局、三人揃って芸者の真似事を始め、雛菊、菊菊、良く菊と名乗るが、お客(南利明)を前に失敗ばかり、あげくの果て、女将(十勝花子)から歌を披露するよう勧められた三人だったが、フレ〜フレ〜東南と、応援団の真似をするだけであった。

しかし、取りあえず、資金はたまり、河原で作りはじめた気球。

そこに、勝つ事ばかりに執着して、エリートスポーツマンとしての姿勢を見失っていたと部員一同に反省した柳田も駆けつけて来て、手伝いを始めるのだった。

とうとう気球は出来上がり、後は出発を待つばかり。

翌日は、空も晴れ渡り、絶好の気球日和。

張り切って、バーナーに点火しようとした五郎たちだったが、何故か着火しない。

そこにやって来た柳田が、バーナー部分を再点検した後、無事着火成功し、三人娘とヒロシを乗せた気球「気まぐれ号」は空に向って昇りはじめる。

柳田たちも、気球を追うようにボートで河を下りはじめる。

そんな河原に、病院を勝手に抜け出して来た一平も駆けつけ、啓太らと共に、自動車に乗って、追跡を始める。かねてより練習していた通り、トランシーバーで、気球に乗ったメンバーたちと会話し、アドバイスを与えていく。

やがて、気球は無事、霞ヶ浦の祖父、祖母の自宅の庭の着陸、ひろしは、久々に再会を果たすのだった。

ひろしは、車で到着したみんなを前に、松葉づえを外し、もう独りで歩けるようになった所を見せる。

気が付くと、恵子も来ているではないか。

一平は、そんな妻と、よりを戻したようだった。

安心した三人娘たちは、再び、気球に乗り込むと、東京への岐路に付くのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

テレビスカウト番組「スター誕生」出身同士で、当時、大人気だった山口百恵、森昌子、桜田淳子という三人娘主演のアイドル映画。

内容は、いたって他愛無いものだが、当時の彼女たちの姿を再確認できる貴重な作品である。

この映画を観ていて、改めて驚くのは、当時の東京がスモッグで絶えず霞んでいる事。

最初は、アイドルたちのスケジュール調整の為、天気の悪い日でも、強引に撮るしかなかったのだろうと納得して観ていたが、最後まで、くっきりした青空が出て来る事はなかった。

ひょっとすると、夏休み映画なので、撮影は、天候不純な梅雨頃だったのかも知れないが、とにかく、全般的にもやった様子が、今観ると気になって仕方がない。

この頃のホリプロ作品には良く出ている夏夕介が、この作品でも登場、典型的な二枚目スポーツマンを演じている。

大人の役で登場するフランキー堺と南田洋子が、どちらも、やや疲れ気味な表情なのが、当時の日本映画の状況とダブって見える。

アイドル映画として物足りないのは、三人が歌うシーンが全くない事。

一応、都倉俊一、亜久悠コンビに寄る軽快な主題歌は、三人で歌っているものの、劇中での歌唱シーンがない。

三人が芸者ごっこをする所で、歌いそうな雰囲気はあったのだが、結局肩透かしを食らわせているのは、何か歌えない裏事情があったのかも知れない。

看護婦役として、ちらり登場している藤田弓子は、まださほど太っていず、最初は誰なのか分からなかった。

クロベー等も、懐かしいと言うしかない。