1960年、日活、木戸礼原作、松浦健郎脚色、野口博志監督作品。
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四日市に向う列車の中、一人で載っていた女性(白木マリ)が、近くの席を占領していた酔ったチンピラたちからちょっかいをかけられていた。
そのチンピラたちをさばいてくれたのが、女性の向い側に座っていた青年(赤木圭一郎)だった。
目的地の四日市に迎えが来ているかも知れないからと、その女性と分かれ、一つ前の駅で降りて一駅歩いて浜辺を歩いていた青年は、一発の銃声を聞く。
見ると、チンピラ風の若い男が、命を狙っていたらしき五郎(宍戸錠)という男から、逆に拳銃を撃ち落とされていたのだった。
青年は、その男の持っていた拳銃を撃ち落とすと、チンピラを救ってやる。
五郎は、青年の拳銃の腕を気に入り、勝負を挑むが、青年は銃を海に投げ込んでしまう。
四日市の波止場で一人佇んでいた青年に近づいて来たのは、先ほど列車で出会った女だった。青年は、ここは3年前、女と出会っていた思い出の場所なのだと説明する。
歌手のジーナと名乗るその女、当地のクラブに呼ばれて来たのだが、その呼んだ相手と言うのがダニのような嫌な奴なので、倒してくれないかと頼んで来るが、青年は断わる。
その後、街をぶらついていたその青年、先ほど砂浜で救ってやったチンピラと再会し、礼がしたいと言う彼の勧めで「カフェハウス 異邦人」という洒落た喫茶店に案内される。
そこには、そのチンピラのお気に入りらしい美少女、節子(吉永小百合)がウエイトレスとして働いていた。
大津組の貞夫と名乗ったチンピラ(杉山俊夫)は、自分の組の親分は、ハイライト興業の丈二という男に足を撃たれ、それ以来、足が不自由になったので、ムショから出て来たら俺がぶち殺してやると息巻く。
では、その親分の所へ案内してくれと店を出かかった青年は、店のマダムらしい女性(浅丘ルリ子)が帰って来たのを見て驚く。
店を出た貞夫の説明によると、この店は、父親が脳いっ血で倒れた後、彼女がはじめたもので、そのマダム、近々、警察の人間と結婚する予定だと言う。
大津組にやって来た青年の姿を見て驚いたのは、組の辰吉(高品格)だった。
その青年こそ、ムショ帰りの丈二だったのだ!
殺気立つ辰を制し、奥から聞こえて来たのは、親分大津(菅井一郎)の歓迎する言葉だった。
大津は、自分を撃った犯人が、実は丈二ではない事を一番良く知っている男だった。
実は、丈二は、当時の親分の身替わりとしてムショへ行った男だったのだ。
久々に大津と面会した丈二は、大津の息子で、自分の高校時代の柔道部の先輩だった昇(二谷英明)が、東京の大学を出た後、この土地の警察署に勤めている事、近々、ある女性と結婚する予定である事を聞かされるのだった。
その頃、ハイライト興業の経営するクラブでは、社長の麻島均(嵯峨善兵)に用心棒として雇われていた五郎が、ねぐらである地下室で銃の試し撃ちをしていた。
そこへ、昇ら警察が麻薬捜査のガサ入れに入るが、マネージャーの金(藤村有弘)から知らせられると、そういう修羅場に慣れている五郎は、慌てず、拳銃の痕跡を素早く消すのだった。
実は、この五郎こそ、歌手のジーナに惚れ、クラブに呼び寄せたダニと呼ばれた男だった。
結局、何も収穫がなく、クラブを去ろうとする昇は、入口でばったり丈二と出くわす。
丈二は、五郎の恋人がジーナと知り、優しくしろとアドバイスするのだった。
麻島は配下のものたちに、今では厄介者となった丈二を殺せと命令するのだった。
その後、「異邦人」へ出向いた丈二は、節子から、マダムの手紙を手渡され、そこで待っていると記してあったロープウェイの山頂へ向う。
3年ぶりに再会したマダムの圭子と丈二だったが、元の中に戻る事を望んでいる圭子に対し、丈二は自らを、ムショ帰りの半端者と卑下するのだった。
そこへ隠れていた五郎を発見した丈二は、相手から勝負を挑まれるが、互いの銃の腕を見せあっただけで、気心を通いあわせるのだった。
その夜、自宅アパートに帰宅して来た昇は、圭子が待っていた事に驚くが、さらに、婚約を破棄してくれといわれ、更に驚く。しかし、丈二と圭子の関係を知っていた彼にとって、それは予想できた展開だった。
一方、クラブでは、五郎が、歌手のジーナに強引に迫っていたが、全く相手にされなかった。
ある日、「異邦人」が何者かの手によって襲撃され、メチャクチャに破壊される。
これに憤ったのは、貞夫たち。
「異邦人」は、大津組の縄張りだったからだ。
しかし、息子が警察の部長刑事をしている以上、もう昔のようにヤクザな真似は出来ないと自重している大津は、襲撃者がハイライト興業の連中らしいと分かっていても、容易に動こうとしなかった。
これに業を煮やした貞夫は、節子に別れの挨拶に行くと、一人で、ハイライト興業の「クラブキャデラック」に乗り込んで行く。
袋叩きにあいそうになった貞夫を救ったのは、丈二だった。
その頃、大津は、辰吉に、3年前、自分が足を撃たれた事件の真相を話して聞かせていた。
クラブでは、麻島社長が丈二に、昇を消すように命じていた。
さらに、丈二が出かけた後、社長は、五郎に、丈二と昇、両名とも消せと命ずるのだった。
丈二を尾行していた五郎は、いよいよ第三波止場で、ハイライト興業と勝負をする事に決めた大津親分の伝令としてクラブに向っていた貞吉が、丈二と出会った様子を目撃していた。
丈二は、貞吉がこのまま伝令として出かけては、クラブで消されてしまうと判断し、殴って気絶させると、タクシーで大津組に帰そうとする。
その後、昇が、アパートの前の屋台で独り飲んでいる所へやって来た丈二は、誘われるまま、昇と酒を飲もうとするが、背後から、二人を狙っていた五郎の気配を感じ取り、間一髪で難を逃れるのだった。
大津組から決闘の連絡を受けた麻島は、卑怯者らしく、約束の時間より早く現場の倉庫に到着し、時間通りに来る大津組を待ち構えていた。
いよいよ、死ぬかも知れない出入りの現場に出かける貞吉は、恋人の節子にキスをねだりに行くのだが、同じように、丈二も又、節子と同じアパートに住んでいた圭子の様子を、遠くから眺めて、出入りの場所へ向うのだった。
その頃、クラブにいた金は、一斉捜査でやって来た来た昇たちにあっさり逮捕されていた。
そんな倉庫へやって来たのは、ジーナだった。
彼女は、五郎の隠し持っていた拳銃を持ち出し、五郎を殺そうとやって来たのだった。
麻島たちが待ち受ける倉庫の中にどこからともなく足音が響き、丈二が姿を現す。
卑怯な麻島の作戦を見抜いて、先に潜入していたのだった。
いよいよ、五郎と丈二の一騎討ちが始まる。
しかし、丈二の拳銃には、後1発しか銃弾が残されていなかった…。
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早撃ちが得意な主人公を赤木圭一郎が演じるシリーズ第2作。
この作品で赤木が演じているのは、他の作品の主人公、通称「抜き撃ちの竜」ではなく、丈二という別キャラクターである。
それをライバルと付け狙うもう一人の銃の名手を演じているのは、もちろん宍戸錠。
この二人の関係は、シリーズ全てにおいて、全く同じと言って良い。
ただ、この作品の錠さんは、かなりクールなプロの殺し屋として描かれており、はっきり容赦なく人を撃ち殺す、ちょっと残虐とも思えるシーンがいくつかある。
ヒロイン役は、前作に続き、浅丘ルリ子に加え、今回は、歌手のジーナと言う役で白木マリが参加して、後半、重要な役割を演ずる事になる。
さらに、この作品で注目すべきは、吉永小百合が「新人」として初登場している事。
見るからに初々しく、可愛らしいの一言。
新人ながら、チンピラの貞吉とキスシーン(ややごまかし気味だが)まで披露している。
四日市近辺の風景もたっぷり挿入されており、前作に比べスケール感も増している。
ヤクザを父と親友に持つ異色刑事役として出演している二谷英明の真面目なキャラクターも印象的。
昔気質なヤクザ役の高品格もなかなか味があり、印象的。
クライマックスで、ちらりミニチュア特撮が使用されている所にも注目して欲しい。
