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サマータイムマシーン・ブルース

2005年、ROBOT+東芝エンタテインメント+博報堂DYメディアパートナーズ+IMAGICA、上田誠原作+脚本、本広克行監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

夏休み中の、とある地方大学。

SF研究会のメンバーたちが、グラウンドで草野球に興じている。

それを、写真撮影しているのは、同じ部室をしようしている写真部の伊藤唯。

メンバーの一人、曽我の打った打球がグランド隅にあったカッパ像を倒してしまう。

それは、何時の頃からか、この町の守護神とされてきたカッパ像であった。

野球を終えた彼らは、汗を流しに、馴染みの銭湯へ出かける。

そこで、いつもメンバーの一人、新美が愛用しているヴィダルサスーンのシャンプーがなくなるという不思議な事が起こる。

さらに、部室に帰って来たメンバーたちは、何故か、部室に鍵がかかっているのを発見したり、何となくおかしなことが起きるようになる。

そんな中、少し遅れて部室に帰って来た甲本は、他のメンバーたちから、いきなり訳の分からない事をいわれ、唖然としている内に、ふざけた部員たちの動きが連鎖反応を起こし、新美が飲みかけていたコーラが、部室に設置してあったクーラーのリモコンにかかってしまい故障したあげく、クーラーが使用できなくなると言う困った事態に陥る。

メンバーたちは、クラブの顧問で、万年大学助手の穂積に、リモコンの修理を頼むが、不器用な穂積は、それを壊してしまう。

翌日、SF研の部屋に、突然、見知らぬマッシュルームヘアでもっさりした青年が出現する。

彼が、部室を出て行った後、SF研メンバーたちは、部屋の中に、摩訶不思議な形の機械のようなものがあるのを発見する事になる。

どう観ても、それはタイムマシンだった。

試しに、曽我を試験台として、その機械に乗せてみて、前日に数字を合わせ、レバーを引いてみた所、瞬時に、その奇妙な機械はねじれて姿を消してしまう。

やがて、再び、部屋の中に姿を現した機械に乗っていた曽我の話では、確かに自分は昨日のこの部屋に跳んで行ったと言う。

何となく、思い当たる事があった伊藤唯は、昨日、自分が撮影した写真を現像してみると、何と、その内の一枚に、野球をしているメンバーたち(曽我も含む)の様子を、部室から覗いている、もう一人の曽我の姿が映っているではないか。

つまり、同一時間帯に二人、曽我が写っているのだ。

それを観て、あの機械が本物のタイムマシンである事を知ったメンバーたちは、ふと、ある事を思い付く。

この機械で、昨日に戻って、壊れたクーラーのリモコンを持ってくれば、今すぐ、冷房が使えるようになると言うのだ。

それは名案だと、石松、新美、小泉の3人のメンバーたちが、タイムマシーンで昨日に跳んで行くが、どうした訳かなかなか戻って来ない。

実は、昨日に戻った三人、野球をし終わって、銭湯に行く自分達の後を、面白がって追跡しはじめたのだ。

一方、翌日に残ったメンバー、甲本、曽我の二人は、ひょんな事から、タイムパラドックスのことを説明する事になった穂積から、過去から何かを持って来たりしたら、その時点で、時間の流れに矛盾が生じ、この世界は消えてしまうのだと言う、とんでもない話を聞く事になる。

先に過去に戻った連中がリモコンを持って来ない内に何とか連れ帰って来させようと、甲本と曽我はタイムマシンで昨日に戻るのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ひょっとして、この作品、「本邦初のタイムマシン実写映画」なのではないだろうか。

もともと舞台劇の映画化なので、話自体がかっちり出来ており、地味な展開ながら安心して観ていらる。

SF設定の中で繰り広げられる「青春おバカもの」と言った感じ。

「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の日本版パロディと言っても良いかも知れない。

これ、巧いな〜と感じるのは、話の中心を「地方大学のSF研究会」に絞った所。

この話の中で、25年というちょっと中途半端な時間旅行者が登場する。

でも、例え25年の差と言っても、当然、互いに着ているファッション等が食い違っている可能性は高い。

それが「SF研」が舞台と考えると不自然じゃないのだ。

何となく、SFオタク=ファッション的にださい…というイメージ(真実?)があるから。

さらに、SF研に入っている奴で「まともに、SFなんかを研究している者等いない」「中には、SFが何の略なのかさえ知らない者もいる」…というような、妙にリアルな視点が背景にあるので、笑えると同時に、展開に微妙なサスペンスが生じて来る訳である。

だって、タイムマシンというもの自体は何となくイメージ的に知っていても、「タイムパラドックス」の何たるかを熟知しているSF研メンバーもほとんどいないから。

タイムマシンを使っての彼らのちょっとした悪ふざけが、結果的に「世界を滅ぼしてしまう原因になるかも知れない」。

他にも、町の中に、B級、C級のSF映画なんかかけている名画座(館主がSFオタ)なんかがある。
その小屋の歴史的運命なども、SF映画マニアなら最初から予測可能だろう。

…というように、この作品、一般の方にも楽しいコメディだと思うが、SFオタクが観ると、細部に色々、オタク泣かせの小ネタがさり気なく配されているので、よけい笑える内容になっていると思う。