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岸和田少年愚連隊
BOYS BE AMBITIOUS

1996年、松竹、吉本興業、中場利一原作、鄭義信 我妻正義 脚本、井筒和幸監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

1975年、大坂、岸和田、リョーコ(大河内奈々子)は、鑑別所に向うチュンバこと、とし (矢部浩之)とバスに乗っていた。
チュンバはおばはんが来なかった事を確認していた。
おばはんとは、母親エミ(秋野暢子)の事だった。

リョーコが、チュンバと付き合い出したのは、昨年の夏からだった。

不良中学生のチュンバは、小鉄(岡村隆史)、アキラ(宮川大輔)、サンダ(辰巳裕二)ガイラ(辰巳浩三)兄弟らとつるんで、毎日喧嘩に明け暮れていた。

今日も、ボウリング場で襲撃されたチュンバとサンダが、馴染みの床屋で仕返しの打合せをしていた。

彼らを襲った西中の連中は、今、市民プールにいると言う事が分かり、さっそく、タクシーで乗り込んだ彼らは、プールサイドで大立ち回りを演ずる。

その後のだんじり祭りが終わった頃、

学校をサボって電車に乗っていたチュンバと小鉄は、路線に仁王立ちになり、電車を止めて、ムリヤリ乗り込んで来た派手なファッションの中年親父を目撃する。

伝説の「親父顔高校生」カオルちゃん(小林稔侍)だった。

早くも、電車内で因縁を付けて来た高校生と喧嘩をはじめたカオルちゃんとかかわり合いを恐れた二人は、電車を降り、踏み切りを渡ろうとしたところで、向こうから来た西中の連中と鉢合わせになる。

ここは、逃げた方が得策と、路地を逃げ回りはじめた二人の内、小鉄は「小林」という見知らぬ家に逃げ込む。

一方、チュンバの方は、とある家に侵入するが、そこには、女子中学生連中がたむろしており、その中にいたリョーコが「最近、約束を忘れて、毎日1回電話をして来ない」と言い掛かりを付けてくる。

やむなく、そんなリョーコを連れて、チュンバは町中に張込んだ敵連中の目をかいくぐりながら、逃げ回るのだった。

そんなチュンバの家に時々遊びに来るリョーコは、何とも奇妙な家族を目撃する。

チュンバの父親(石倉三郎)は、満足な働きもせず、テレビの「野生の王国」にハマっている。
とぼけた祖父(笑福亭松之助)も、そんな父親に付き合っている。

一応、学校のサッカー部に所属しているチュンバと小鉄、ガイラたちだったが、しょっちゅう部活をサボって、お好み焼き屋で暇を潰しているので、顧問のウルトラマンこと赤井先生(塩見三省)に睨まれている。

一方、酒好きのぐうたら教師、杉山先生(笹野高史)とは馬があうのだが、ある日、厳しい赤井にいたずらをしようと、サッカーボールのように絵の具で塗ったボウリング玉を、先生に蹴らせようと企むが、何と、その結果は、杉山先生の複雑骨折というひどい事になる。

間もなく、鑑別所から帰って来たサイ(宮迫博之)も仲間に復帰したものの、アキラの裏切りにより、サダ(木下ほうか)グループにボコボコにされてしまったので、彼らは、相手の学校に乗り込み、カポネにでもなった気分に酔っていたサダらに徹底的に仕返しするのであった。

その後、秀才だったサンダは、ミッション系の進学校へ、チュンバと小鉄は工業高校に入学、そこで番長気取りだったカオルちゃんの弟をこてんぱんにのしてしまう。

しかし、その後、一人でバイクに乗っていた所を逆襲された小鉄は、それをきっかけに、背中に刺青を入れる事にする。

しかし、完成した刺青は「梅茶漬け」の包装紙の模様だった。

洗湯でそれを父親(徳井優)に見られ、どつかれた彼は、チュンバに別れを告げ、そのまま街を出る事になる。

その後、サイとガイラは暴力団に入るが、チュンバはさすがにそこまではせず、彼らから紹介された飲み屋のバイト等して働き始めるが、肝心の下っ端のガイラは警察に引っ張られてしまう。

ほどなく、東京でしゃぶしゃぶ屋をやると言っていた小鉄が何時の間にか戻って来ているのを発見したチュンバは、カオルちゃんに、無理矢理「当り屋」をさせられているサイも目撃、行き掛り上、自分がカオルちゃんと対決し、ボコボコにさせられるはめになる。

さらに、兄貴分(大杉蓮)からコケにされたサイは、ついに日頃の鬱憤に耐えかねて、その兄貴をブチのめしてしまう。

小鉄からの悪知恵で、ゲームセンターから機械をパクって、リースを始めようと目論んだチュンバだったが、あっさり、ゲームセンターの経営者(山城新伍)一味から逆襲され、びびった小鉄は、すんなり自分から警察に自首してしまうのだった。

度重なる傷害事件での裁判所出廷と、無気力な家族たちの世話に疲れ果てたチュンバの母親は、ある日、家から出ていってしまう。

やがて、小鉄と一緒に、ホテルのコックのバイトとして真面目に働くようになったチュンバだったが、ある夜、ホテルに来ていた見知らぬワル(山本太郎)グループから襲撃されてしまうのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

井筒監督の「ガキ帝国」(1981)を彷彿と指せるような、ヤンチャ少年たちの数年間を、当時の流行歌やユーモラスな会話を交えて追った痛快青春グラフィティ。

「ガキ帝国」の時、主役だった島田紳助、松本竜介、いわゆる紳竜コンビの時もそうだったが、本作でもナイナイコンビのキャラクターが巧く引き出されている感じで、観ていて違和感がない。

これは、他の吉本系芸人にも言える事で、特に、変な芝居をしている感じではなく、本人の自然なキャラクターに見える所がすごい。

その個性の引き出し方に、監督のセンスを感じた。

山城新伍とか大杉蓮、志賀勝などゲスト陣、明石家さんまの師匠笑福亭松之助や、かしまし娘の正司花江らベテラン芸人さんらも愉快だが、個人的に受けたのは、吉本新喜劇の山田スミ子が出ていた事!
故岡八郎などと一緒に活躍していた人だが、ひどく懐かしかった。

ピンクの作業ズボンも強烈な、最強のワル親父カオルちゃんを演じる小林稔侍が「宇宙大怪獣ギララ」を観に来るというエピソードも、妙にリアルでおかしい。

荒削りな印象だった「ガキ帝国」に比べると、より完成度が高まったような印象の佳作になっている。