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冬物語

1989年、東宝映画+フィルムフェイス、原秀則原作、前田順之介脚本、倉内均監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

予備校に入る事になった森川光(山本陽一)は、入学願書を書いている時、隣で書いていた女の子からカバンをぶつけられる。

しかし、その直後、メチャメチャかわいい別の女の子を発見、彼女が東大クラスと志望クラスを願書に書き込んでいるのを見た光は、自分も思わず同じクラスを書き込んで提出してしまう。

しかし、光にとって、東大コース等、最初から付いていけるはずもなく、あの美少女が、毎回模擬試験でトップを取っており、東大文�合格も間違いないだろうと、周囲が認める秀才、雨宮しおり(水野真紀)だと知った後も、なかなかアプローチが成功しない。

クラスの飲み会に出席しても、どうしても一人だけ浮いてしまう光だった。

結局、途中から、私立文系コースに変更するが、そのクラスで再会したのが、カバンをぶつけられた女の子、倉橋奈緒子(宮崎萬純)だった。

奈緒子は、飲み会の席で、光が雨宮しおり目的で東大コースに入っていた事を喝破する。

奈緒子は、医者をやっている父親(柳生博)との折り合いが悪く、家業を継ぐために医学部を受ける事にも疑問を持ち、二回の受験の失敗の後、勝手に文系に乗り換えた二浪だったのだ。

そんな彼女の事を、何度か、彼女に半ば強引に誘われて連れていかれた飲み会や独り住まいしているマンションで知った光は、そんな彼女が、自分にアプローチしている事に気づく。

しかし、光のしおりに対する憧れに変化はなく、奈緒子も、しおりに会って、互いに自己紹介しあう仲となる。

しおりの方は、光の気持ちに気づくと、自分には、高校時代から憧れている1年先輩がおり、その彼が東大に行っているので、自分も彼に会うために東大を目指しているのだと告白する。

しかし、後日、横浜にその、東大生の彼氏、圭(斉藤隆治)とドライブに出かけたしおりは、彼から身体を求められ、思わず拒絶してしまう。

圭の言い分によれば、愛しあっている者同士が、2年間も何の肉体的接触もないのはおかしいと言う。

しかし、そこでひとたび一線を踏み越えてしまえば、しおりの受験に対する姿勢はメチャメチャになってしまう。

受験を取るのか、愛情を取るのか、二者選択を迫られ、答えに窮したしおりの態度を観た圭は、別れようと言い出す。

一方、奈緒子の方も、自室で光と深い仲になろうと迫るが、光にその気はなかった。

そんな二人で、名画座に洋画を観に行くが、退屈な内容に飽きていた光に対し、奈緒子の方は真剣に見入っていた。
その映画は、赤ん坊が出て来るものだった。

やがて、クリスマスの日、あれ以来、勉強に身が入らなくなったしおりは、圭を呼出すと、予約したホテルの鍵を出してみせる。

しかし、圭は喜ぶどころか、そんなしおりを軽蔑したかのように去っていく。

すっかり絶望したしおりは、夜、光に電話をかける。

すぐに、その場にチャリで駆けつけた光だったが、しおりは何も言わず、彼のチャリに乗って走り出す。

思わず、光の方も、他人のチャリを奪って、彼女の後を追跡する事になる。

そんな二人は、夜明けの新宿で、何となく心を通わすのだった。

その頃、奈緒子の部屋には、待っていた光の代わりに、予期せぬ父親がやって来たので、思わず、自分が医学部を志望していない事を打ち明け、父親から、それは現実から逃げているだけだと諭される事になる。

やがて、正月、願書提出の大切な時期に、夜中のサイクリングが祟ったのか、光は熱を出して寝込んでしまう。

そんな彼の元に、バラの花束が届き、そこには「北海道のししゃもはうまい!」というメッセージが添えられていたのを読んだ光は、釧路出身だと言っていたしおりからのものだと思い、迷わず、単身北海道へ飛ぶ。

しかし、そこで待っていたのは奈緒子だった。

彼女は、表面上はスキーでもしに行こうと言っていたが、本心は、彼女も奈緒子の事を心配して来たのだった。

そんな二人で乗りこんだ電車がとある駅に到着した時、奈緒子は反対側の電車の車内に、心配していたしおりの姿を発見する。

二人は、反対方向に走り去った電車の後を追うため、電車を降りると、牛乳配達車を止め、それに乗せてもらうが、その車は途中で雪に埋もれ動けなくなる。

あせった光は、近くにあったチャリを盗むと、一人で先を急ぐ。

取り残された奈緒子は、近づいて来た車を止め、それに乗せてもらうが、その車に乗っていた妊婦の奥さんがいきなり産気づいてしまう。

慌てた奈緒子は、近くの教会に車を向わせる。

一方、窓越しに、電車を追っていた光の姿にようやく気づいたしおりは、次の駅で降りて、光を待つ事になる。

再会した二人は、新年の挨拶を交わすと熱い抱擁を交わすのだった。

その後、通りすがりの車に同乗させてもらい、奈緒子を探しに道を戻りはじめた二人は、救急車が入っていった教会の前に止まって様子を見る。

すると、その教会から、生まれたばかりの赤ん坊を抱いた奈緒子の姿が現れる。

近づいた光に、奈緒子は、医学部に進む事を決心したと告げる。

光は、赤ん坊を抱く彼女の姿に、いつか彼女と観た名画の一場面を重ねていた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

少年サンデーに連載されていたコミックの映画化。

微妙な三角関係になった男女三人を中心に、それぞれに悩みを抱えた受験生たちの1年間が淡々と描かれていく。

特に、大きなドラマが起こる訳ではなく、ごく普通のドラマと言った感じで、特別、映画として見ごたえがあると言う感じではないが、さほど嫌みな感じもなく、最後までさらりと観てしまえる。

水野真紀は、いかにも面白みのないお嬢様と言った雰囲気で、正直な所、あまり魅力的とも思えないのだが、開けっ広げに見える宮崎萬純のキャラクターとの対比としてはハマリ役になっていると感じる。

奈緒子の母親として江波杏子、光の両親として犬塚弘など、懐かしい顔ぶれが登場しているのも見所だが、今、一番意外な顔として発見できるのは、光の私立文系クラスの級友として出ている彦摩呂だろう。

今は、テレビの食べ物レポーターとして、かなり太っているが、この当時は、結構アイドル顔である。

特に、何と言う事もない内容だが、今でも、同世代の若者には、それなりに感情移入できる作品かも知れない。