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右門捕物帖 片目の狼

1959年、東映京都、佐々木味津三原作、高岩肇+鷹沢和善脚本、沢島忠監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

川舟に乗って、夜明けの見回りをしていた北町奉行筆頭同心、あばたの敬四郎、通称あば敬こと、村上敬四郎(進藤英太郎)と岡っ引のチョン切れの松(喜味こいし)は、川沿いの大きな木にぶら下がった首吊り死体を発見する。

おっかなびっくり近づいてみると、何と、その木には、他に4体もの首吊りしたいが下がっているではないか。

臆病な二人は、それを見て気絶してしまう。

おしゃべり伝六(堺駿二)の賑やかな声で気が付いた二人は、すでに、むっつり右門として知られる男前の同心、近藤右門(大友柳太朗)が、問題の木の上に登って、この5人は他殺であると断定する姿を見る事になる。

木の周囲に生い茂った葦の間から、弓弦を拾い上げた右門は、伝六にその出所を当らせる。

慌て者の伝六は、取りあえず、探偵マニアの射的屋の娘、おゆみ(桜町弘子)に聞きに行くが、そんなものは弓屋で聞けと追い出される始末。

その後に、死んだ五人の人相書きを持っておゆみの元へやって来た松は、伝六が弓弦を探っていると聞いて、不思議に思いながらも、取りあえずそれをあば敬に報告する。

弓屋で、問題の弓弦は、西条流の半弓の弦で、それを作っているのは、河童坂の大弓屋と聞き込んだ伝六は、右門と共に、その店を訪れるが、先に様子を見に来たものの、何の成果も上げられなかったあば敬とすれ違う事になる。

番頭喜助(夢路こいし)に、主人の六郎左衛門(原建策)に会いたいと告げた右門は、最近は弓弦等作っていないと答える主人に、芦原に落ちていた弓弦を指し示し、これは最近作られた新品であると問いつめると、にわかに相手は、右門に弓を突き付けるのだった。

しかし、一瞬の隙を突き、草加流の逆手技で相手を取り押さえた右門だったが、六郎左衛門は何者かに矢を射られ絶命してしまう。

さらに、喜助も逃げ出したと言うので、伝六に追わせるが、神社の前で出会った牛若の半次(里見浩太朗)の言葉に惑わされ、姿を見失ってしまう。

役人に反抗する事が大好きな半次は、積み重ねたお神酒樽の後ろに隠した喜助に訳を聞こうと近づくが、喜助は何時の間にか殺されており、その片手には棗の実が数個握りしめられていた。

伝六から渡されたその棗の実の一つを噛んでみた右門は、中から地図の描かれた小さな紙片を発見する。

右門は伝六に、喜助の死体を発見する前後に猿回しに会わなかったと尋ね、その男が下手人だと断定するが、地図の秘密については何も分からなかった。

棗の実は、猿のエサなのだ。

その猿回し、吉兵衛(沢村宗之助)は、駒形橋の松原玄庵(三島雅夫)という町医者の屋敷の隠し階段から秘密の部屋へ入り込むと、そこに集結していた仲間らに右門が嗅ぎ付けたようだと報告する。

その夜、五人の遺体を安置してあった番屋に、頭巾姿の町娘が走り込んで来て、人に追われていると言う。

見張り番をしていたあば敬たちは、すっかり女に鼻の下を伸ばし、女の後を追うが、そこで会ったのは牛若の反次であった。

半次は、あば敬たち役人相手に一暴れすると、頭巾姿の娘を捕まえ、その素性を知ろうとするが、何時の間にか、その姿を見失ってしまう。

その後、番屋へ戻って来たあば敬らは、5人の遺体がすっかり消えており、「返上仕り候 片目の狼」と記された紙片が一枚残されているのに気づく。あの娘は囮だったのである。

その紙片を老中松平伊豆守(山形勲)に見せて、商人や鳶職人など、まちまちな町人姿だった5人の死体は、皆、元はいっぱしの腕利きの侍だと思うと報告していた右門は、伊豆守から、彼ら五人は将軍家のお庭番であった事実を知らされる。

実は、五日後に迫った上様の寛永寺参詣の為の下調べをさせていたのだと言う。

どうやら、将軍暗殺か、伊豆守失脚を狙った計画が進行中だと察した右門だったが、六助と帰りかけた伊豆家の門前で、籠に乗せられた五人の死体を再び発見する事になる。

ごった返す町の雑踏の中、猿回しの吉兵衛とぶつかった女が、虚無僧から手を捕まれ、神社の裏に連れて行かれる。

虚無僧は右門の変装であった。

捕まったのは、巾着きりの稲妻のお由(雪代敬子)。

彼女は捕まると思い込んでいた右門から、仲間たちを全員集め、江戸中の猿回しから財布や胴巻きを掏ってくるよう依頼される。

こうして集まった財布の中から見つけた地図をつなぎ合わせたものを改めて吟味していた右門だったが、寛永寺らしきものが記されている事が分かった以外は、何も分からなかった。

そんな中、猿回しに化けていた伝六が、同じ猿回しから声をかけられ、とある旅芸人の一座の楽屋へ行ってみると、そこに江戸中の猿回しが集まっており、財布をすられたと報告しあっていた。

さらに、伝六の正体を見抜いた彼らは、伝六を殺そうと襲いかかるが、そこに現れたのが、虚無僧姿の右門その人、彼は、伝六が小屋に入ったのを目撃したおゆみからの報告を受けて駆けつけたのであった。

右門と猿回したちは、互いに斬りあって、楽屋から娘芸人たちが歌を披露していた舞台へなだれ込むが、その舞台に立っていた娘の一人が、先日、番屋へ現れた頭巾姿の娘梢(花園ひろみ)であった。

偶然、舞台を見に来ていて、彼女に気づいた半次は、右門たちの大立ち回りの後、彼女を悪人たちの手から連れ出そうと説得する。

ようやく、梢を小屋から連れ出した半次だったが、又しても、吉兵衛らに襲撃される。

しかし、そこを助けたのも、やっぱり紫頭巾に身をやつした右門だった。

あらかじめ用意してあった船で逃げ出した吉兵衛らに対し、右門はその船に小柄を投げて目印にするのだった。

かくして、ただ、悪人らに脅されていただけだった事が分かった梢は右門の家に匿われる事になり、右門の人柄に惚れ込んだお由と半次は、これを機会に堅気になる約束をするのだった。

翌日、お大尽の船遊びを装って、昨夜逃げた川船を探していた右門たちは、倉のある玄庵の屋敷の裏で小柄の刺さった船を発見する。

その倉の中では、吉兵衛らの仲間の一人赤沢玄蕃(阿部九州男)が、火薬職人に大量の火薬箱を作らせていた。全ての箱が出来上がると、赤沢はやって来た玄庵の目配せと共に、口封じのため、その職人を惨殺してしまうのだった。

そんな玄庵の家に、深川のお駒と名乗る女が持病のしゃくがひどくなったとかつぎこまれてくる。

お由とおゆみの芝居であった。
その夜、お由が玄庵の懐中から掏摸とった印篭を吟味していた右門は、火鉢の中の灰の様子がおかしいと気づき、庭でその灰に火を付けてみると爆発が起こる。

さらにその後、町の各所にある用水桶が何者かによって連続放火されると言う事件が発生する。

翌日、印篭を持って伊豆守の元を訪れた右門は、そこに記されていた家紋が藤堂但馬守のものだと教える。

しかし、その藤堂但馬守なる人物は、現在、業病を患って臥せっているらしいので、とても「片目の狼」ではないだうとも。

右門は、今度の事件は火薬を使って上様御参詣の列を襲うものではないかと推理を聞かせるが、そこへやって来たあば敬が、夕べの放火された用水桶には、全て油が積められており、今回の事件は火薬等ではなく、油を使った火災で、江戸中のかく乱を狙っているのではないかと違った推論を述べる。

翌日、そのあば敬が陣頭に立ち、寛永寺の周辺をくまなく捜査するが、火薬のかけらも見つからない。

もう、上様御出立の時間が後数刻に迫ろうとする中、右門にはまだ、犯人らの陰謀の謎がつかみ切れていなかった。

上様御出立を実行していいものか、それとも中止すべきか、伊豆守は、他の重臣たちから判断を迫られる。

そんな中、最後の手段として、右門は、伊豆守の名代として、但馬守の見舞いと称し、屋敷内の様子を探りたいと伊豆守に願い出るのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

かつて、嵐寛寿郎が演じていたむっつり右門に大友柳太朗が扮し、新たに作られた捕物帳新シリーズの第一作。

シリーズ最初の作品らしく、中心人物の説明は丁寧にされている。