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スーパー・ジャイアンツ
 人工衛星と人類の破滅

1957年、新東宝、宮川一郎脚本、石井輝男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ソ連の人工衛星が打ち上げられた1957年10月4日は、古い時代と新しい時代の分かれ目、宇宙世紀元年ともいえる年となった。

こうした人工衛星が、兵器として使われないとは誰も言えない時代になったのだ。

エメラルド星から、飛び立ったスーパー・ジャイアンツ(宇津井健)は、宇宙を飛行する見慣れぬ星を発見する。

腕の地球計がその星の内部に放射性物質の反応を感知したので、頭のアンテナから信号を送るが何の応答もない。

やむなく宇宙船に飛び乗り、これを破壊しようとするが、燃える隕石が接近して来たため、途中で逃げられてしまう。

スーパー・ジャイアンツは、その星、実は宇宙ステーションが、気象観測の名を借り、地球から発信された兵器ではないかと疑うのだった。

その頃、地球の城北天文台では、大切なレンズが壊れると事故が発生、宇宙観測に支障をきたす事態が起こる。

又同時に、東洋天文台など、別の場所でも同様な不思議な事故が続出していた。

調査に出かけた山中博士(林寛)は、どんな高温にも耐えるはずのU2デカトロンという装置が溶けてしまっている事実を知り驚愕する。

その装置がなければ、博士が建設中の宇宙艇も完成できない事になるのだ。

それを知った娘のかおる(三ツ矢歌子)と弟の良一(池田輝久)は、部品の製造元の極東精密電気の会社に自分達が出かけて、U2デカトロンを購入して来ると出かけるのだが、一足先に来た人物が、全部買い占めて行ったと聞き、その行動に不審を覚える。

その人物が乗った車をタクシーで追ったかおりたちは、外国人墓地に降り立つ。

謎の人物は、とある墓の前に来ると、脇にあったスイッチを入れ、墓の蓋を動かすと、その中に消えて行く。

その様子を見ていた二人は、その墓に近づき、警察に知らせようとするが、墓の後ろから現れた神父風の男の手にあった拳銃に脅され、そのまま、墓の中に入れられ、その地下奥にあった扉の向こうに、軍隊風の一団と広大な秘密基地を発見する事になる。

その後、かおりたちの帰りが遅いのを心配していた山中博士の元に、怪し気な外国人が訪れると、かおりが書いた手紙を見せ、二人を預かったと脅迫するのであった。

その頃、国会議事堂で会議中の国会議員たちの元へ、スーパー・ジャイアンツがやって来て、ナチスのような軍隊国家が、宇宙ステーションを完成させ、ソ連の人工衛星より前に宇宙へ送りだしていた事。そして宇宙から地球を侵略しようとしていると言う事情を説明し、自ら、その討伐に飛び立って行く。

一方、囚われの身になったかおり、良一、山中博士、助手の浅見(浅見比呂志)は、秘密国家に従うよう「思想改造機」なる装置にかけられ、洗脳されていた。

その頃、宇宙ステーションを追い掛けていたスーパー・ジャイアンツは、それにたどり着き、爆破してしまう。

博士たちを同乗させた宇宙艇は、原爆ロケットを搭載して地球から発射し、EF4軌道に乗って、ゴルドン大火星の上を飛んで行く。

炎に取り巻かれた大火星の熱気には、さしものスーパー・ジャイアンツも、耐えられないであろうと考えた参謀長(川原健)の作戦だった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

宇津井健主演「スーパー・ジャイアンツ」シリーズ第三弾の前編に当る。

ソ連の人工衛星成功が世間を賑わし、宇宙時代到来の時代を象徴した一編になっている。

冒頭、宇宙ステーションが登場し、いよいよ本格的宇宙SFになったかと思いきや、放射能の反応があるのに返事がないと言う理由だけで、スーパー・ジャイアンツが問答無用でそれを破壊しようとする無謀さにあっけに取られる所から始まる。

事件は、又しても、少女時代の三ツ矢歌子と弟が、怪し気な男を外人墓地まで尾行するという、少年探偵団風展開になる。

それでも今回は、比較的早く地球上の話は終りになり、全員、宇宙へ向うので、後半部分は若干空想科学風になる。

今回も、スーパー・ジャイアンツは、律儀に国会議員たちに事件を説明しに行き、その誠実さには好感が持てる。

宇宙ステーションのミニチュアは、サイズが小さいのを除けば、比較的良くできていると言って良いのではないだろうか。

敵が、ナチスのような軍服スタイルと言うのも、一見場違いのようで、実は、後年の「宇宙戦艦ヤマト」や「スター・ウォーズ」の原点とも言うべき発想なのかも知れない。