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鋼鉄の巨人 怪星人の魔城

1957年、新東宝、宮川一郎脚本、石井輝男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

1957年秋、東洋航空のパイロットが天城山上において、音速の2倍、時速6000kmで飛ぶ2機の空飛ぶ円盤を目撃したとの報告があり、世間は興奮のるつぼに陥る。

さらにその後、日本中に脳炎に似た奇病がまん延する。

そんな中、浅山宇宙研究所を訪れていた、円盤の存在など否定している天文学者の深見博士(中村彰)が、浅山博士(高松政雄)の息子の次郎(阿部誠)と亮(岩下亮)と共に、夢中になって望遠鏡を覗いている娘の典子(勝馬典子)を連れて帰ろうとしていたが、円盤を発見できるかも知れないと子供らしい好奇心に取りつかれた彼女は帰りそうもない。

結局、助手の館野(館正三郎)に送らせる事にし、独り帰宅する事になる。

その後、望遠鏡を覗いていた子供達は、こちらに接近してくるスーパー・ジャイアンツの勇姿を発見、大喜び。

一方、その頃、帰宅した深見博士の部屋に、無気味な顔をした怪人が出現、口から怪光線を吐きかけると、博士を催眠状態にして外へ連れ出そうとしていた。

しかし、怪人は、スーパー・ジャイアンツ接近の気配を察し、そのまま、深見博士の身体を路上に放置すると逃げ出そうとする。

そこへ降り立ったのがスーパー・ジャイアンツ。

その怪人との格闘の末、怪人は、橋から川へ飛び込み姿をくらませてしまう。
スーパー・ジャイアンツは、その怪人の正体を、月の裏側にある邪悪な星カピアの住人だと察するのだった。

その頃、散歩に出て交通事故にあったと勘違いされ、部屋で寝かされていた深見博士は、館野を呼び、宇宙人の存在を知った事を告白するのだった。

また、浅山邸では、次郎と亮が、不思議なウロコのようなものが落ちているのを発見、姉の美子(山口美奈子)の共に、典子の兄で生物学者である雄一(浅見比呂志)に鑑定を依頼するが、これは世界中をセンセーションに巻き起こすくらいの発見かも知れないと他言を固く禁じられる事になる。

それから数日後、日本中で、ギーギーと神経な音が聞こえると言う噂が世間に起き、「ギーの音」と名付けられたその怪音騒動は国会でも取り上げられる騒ぎとなる。

そこへ現れたスーパー・ジャイアンツは、議員たちに、これはカピアの陰謀だと説明し、何としても自分が阻止してみせると言い残し飛び去るのだった。

そして、一機の偵察円盤に乗り込むと、これを破壊する。

これによって、「ギーの音」騒動は沈静化するが、又しても奇病がまん延しはじめる。

調査の結果、この奇病の重傷者は皆、山野ホールへ観劇に行った事が判明する。

この奇妙な舞踊劇を観に行った深見博士と助手の下村(杉山弘太郎)は、この舞踊団が宇宙人である可能性を論じあうが、その言葉を証明するように、彼らは、その場に現れたカピア人に襲撃される。

かくして、世間では、学童疎開をさせる事態にまで陥り、駅に、次郎、亮、典子たちを見送りに現れたスーパー・ジャイアンツは、典子に、連絡用として透明な珠を手渡すのだった。

疎開先の森で、蝉捕りに出かけた三人だったが、その時、亮は、嵐に出会う不思議な幻影を見る。
その後、霧に道を見失った三人は、森の奥で無気味な塔と、湿地帯に潜んでいたカピアの集団に出会い、捕らえられてしまう。

その頃、スーパー・ジャイアンツは、山野ホールで、舞踊団に化けたカピア人たちと戦っていた。

湿地帯のカピア人たちは、先に捕えていた深見博士と下村に、自分達への攻撃兵器を開発しているはずだと、沼地の上に吊した典子の姿を見せ、口を割らせようとしていた。

森の中で、その典子が落とした透明な珠を拾っていた亮は、カピア人にそれを投げ付けると、その信号を聞き付けたスーパー・ジャイアンツが、子供らの危険を察知し、湿地帯へ飛び立つのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

宇津井健主演の「スーパー・ジャイアンツ」シリーズ第二弾の前編に当る。

空飛ぶ円盤や宇宙人が登場し、いよいよSF調になったかと思いきや、「脳炎に似た奇病が発生し、その病人が出た家には赤い旗が立てられ…」とか、「神経を逆なでするギーの音」とか、やはり、江戸川乱歩怪奇小説風の世界観が横溢している。

アクション描写は、フィルムの逆回転、サーカス芸のようなとんぼ返り、二人一役のスタントを使うなど、多彩になっている。

ただし、スーパー・ジャイアンツのアクションの基本は、おそらく「相撲」の型であると思われ、その辺が、今の感覚からすると、あまりスマートに見えない部分かも知れない。

このシリーズは、理屈で観て行くと訳が分からないシーンに溢れているのだが、今回一番気になるのは、後半、少年が森の中で見る幻想シーン。

これは、理屈で考えると、最終的に透明な珠を持っていたのは少年なので、「現実」だったという事になるはずだが、どうしてそういう幻想シーンが生まれたのかについては、全く説明がなされていないので、観ている側としては混乱するだけ。

又、空飛ぶ円盤を操るほどの科学力を持った宇宙人が、日本のとある劇場で病気を流行らせる…という行動も良く理解できない。

そうした「良く分からない所だらけ」なのが、このシリーズの魅力でもあるのだが…。

このシリーズには、毎回、セーラー服姿のお姉さん役が登場するのだが、今回登場している山口美奈子という女優さんは、なかなかきれいな人である。

SFというよりも、サーカス趣味に溢れた見世物ワールドと考えた方が良いだろう。