2005年、「奇談」製作委員会、諸星大二郎「生命の木」原作、小松隆志脚本+監督作品。
原作は昔読んでおり、おぼろげながらも基本的な話の骨格は承知していたので、最初からすんなり物語世界に入る事ができた。
逆に言うと、原作を知らない人が観ると、難解なセリフなども多く、ついていけない所があるかも知れない。
多少、話を膨らませてある感じは受けたが、特に違和感はなかった。
ただし、独特の絵柄の原作が持つ雰囲気とはかなり違ったあっさりした印象にはなっているが、これはこれで映画としては成立しているのではないか。
諸星大二郎原作の映画化としては「妖怪ハンター ヒルコ」(1991)に次ぐものだが、「妖怪ハンター」が当時流行っていたSFXや特殊メイクなどを駆使した、どちらかというと特撮マニア向けの作りであったのに対し、今回は、謎解きドラマを中心に据えたもので、地味と言えば地味だが、安心して観られる大人向けの作りになっている。
稗田礼二郎に扮した阿部寛は、「妖怪ハンター」での沢田研二同様、かなりマンガのイメージとは違うが、今回の方が違和感が少ない。
クライマックスのビジュアルは、かなり原作と近い感じだが、あまりに忠実過ぎるのか、実写VFXの限界なのか、迫力は今一つと言った感じ。
主役を演じた女性は、女優として、今一つ華がない感じだが、この物語には合っているようにも感じる。
それなりに無難にまとめた作品とも言えよう。
