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仮面ライダー THE FIRST

2005年、「仮面ライダー THE FIRST」製作委員会、井上敏樹脚本、長石多可男監督作品。

昨年「鉄人28号」を観た時は、これほどつまらない作品にぶつかる事は、ここ当分ないだろうと高を括っていたが、甘かった…。

過去、「月光仮面」(1981)や「エイトマン すべての寂しい夜のために」(1992)など、本来、子供向けだった懐かしヒーローを、大人向けとして映画化した作品がいくつかあるが、ことごとく、ひどい作品になっているのは何故なんだろう?

変な例えだが、ジュースは子供向けの飲み物なので、大人用にするために、糖分を全部抜いたジュースを作ったら、すっごくまずい水になってしまいました…と言う感じ。

ダブルライダーが登場する「仮面ライダー対ショッカー」などは、今観ると、さすがに低予算の幼児向け作品というしかなく、とても、マニア以外の普通の大人の観賞に耐えられるものではないが、それでも、魅力的な主役、魅力的な悪役、シンプルかつテンポのある展開、アイデア満載のアクション…等等、理屈抜きに子供をワクワクさせる要素には事欠かず、少なくともこの作品の50倍(?)くらいは面白い。

事実、今年(2005)の東京国際映画祭のイベント上映では、この過去の作品、結構、若い女性客などに好評だったようだ。

そういう初期の作品から、一番「美味しい要素」を全部抜き取って、夢もなければ、ハラハラドキドキも全くない抜け殻のようにしてしまったのがこの作品である。

失礼ながら、ひょっとして、脚本を書いたのは中学生くらいの人?…と疑いたくなるような薄っぺらな話。

冒頭、石橋蓮司と本田博太郎という二大怪優が出て来た時は、ちょっと期待もしたのだが…。

まあ、若干、石ノ森さんのコミックの雰囲気には近いかな〜…といった印象もあるが、承知の通り、過去、空前の仮面ライダーブームが起こったのは、石ノ森さんの原作がヒットしたからではない。

あくまでも、テレビの1号ライダーの魅力と、2号ライダーの「変身!」ポーズがあったからだ。

その人気の原点部分を、何か履き違えて作っている印象が強い。

所詮、オタクなんか、ドラマを観てるんじゃなくて、かっこいいキャラクターさえ出てくれば満足するんだろう…と、完璧に客層を舐めてる感じがひしひしと伝わってくるのが哀しい。

さらに、どうもこの作品、シリーズ化を狙っているような感じがするのが一番怖い事かも知れない。

パッケージなら、必ず買う固定層はいるから採算は取れる…と見越しての事なのだろうが、その通りになったら、今後も、この手の舐めきったようなオタク作品は永遠になくならないはず。