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星に願いを。

2003年、「星に願いを。」フィルムパートナーズ、森らいみ+冬月カヲル脚本、富樫森監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

函館の病院に勤める青島奏(竹内結子)は、交通事故のため目も口も不自由になってしまった青年、天見笙吾(吉沢悠)の担当看護婦だった。

その奏の厳しくも献身的な看護の甲斐もあって、リハビリを続けた笙吾は、入院中、パソコンによる曲作りや、好きなハーモニカを吹く事で、秘かに芽生えた奏への恋心を伝えていたのだが、奏の方は、そんな彼の気持ちに気づくはずもなかった。

その笙吾、今では、なんとか歩けるまでに回復してきた事から、通院という形で治療を続けていたものの、視力や言葉の回復は見られず、担当医の葉月(高橋和也)は、アメリカの最新医療方法で治療させてはどうかと院内で進言するが、渡米には治療費が掛かり過ぎる事を理由に他の医者たちから反対されてしまう。

そんな中、奏は、東京の大学病院へ近々転勤すると言う葉月から、一緒に来てくれないかと、遠回しな求婚の言葉を聞かされる。

仕事に忙殺される中、恋等面倒で、全く考えてもこなかった彼女は、思わぬ相手からの突然のその申し出を真面目に受け止める事が出来ず、返事に窮してしまう。

一緒にいても負担にならないような人がいいと考える彼女の本当の恋人は、意外と近くにいる事を彼女自身がまだ気づいていないのだった。

ある日、通院途中に、宝くじを買っている奏の声を聞き分けた笙吾は、彼女と近くの橋まで一緒に出かけるのだが、星空の下、奏から「自分は近く、アメリカの赤十字病院へ行くつもりなのだが、一緒に行かないか」と、手のひらに文字を書く形で誘われる。

しかし、その返事もしないで別れた後、一人でハーモニカを弄んでいた笙吾は、それを手から落とし、手探りでそれを探しながら道路に出る内にトラックに跳ねられてしまう。

その直後、急患として奏の病院に運ばれて来た笙吾は、彼女の目の前で息を引取ってしまうのだった。

愕然とする奏は、一人、笙吾の遺体と対面しながら、自分が本当に愛していたのが彼だった事に気づく。

その頃、笙吾は、見知らぬ場所で目を覚ましていた。

そこは、路面電車の車内で、自分は、目も見えるし、口もきける事を発見する。

その時、いきなり不思議なコール音と共に、「あなたは死んだけれど、3〜4日間だけ、相手に自分と知らさなければ、世の中に出る事ができる」と言う女性の声を車中で聞く。

「相手に、自分だと教えてしまうと、その瞬間に消えてしまうのだ」とも。

あまりの意外さに、にわかには信じられなかった笙吾だったが、電車の外に立つ老夫婦の妻の方が、自分の事を夫に教えた後、消えてしまったのを目の当たりにした彼は、信じられないながらも、自分の葬式が行われていた教会へと出かけてみる。

そこで、自分の位牌に向って泣き崩れる奏と葉月が帰りがけ、自分とすれ違っても、自分が笙吾である事に気づかない事を知った彼は、電車の声が言っていた事は全て本当だった事を悟る。

その日から、奏はぼーっとし始め、仕事が出来なくなる。

失ったものの大きさに耐えられなくなったのだ。

命を預かる仕事として、これ以上、看護婦としての仕事は無理だと判断した葉月は、彼女に看護婦を止めるよう忠告をすると同時に、もう一度、自分と結婚してくれないかと伝えるが、結局、彼女は、看護婦を辞め、妊娠している姉(牧瀬里穂)の元に身を寄せるようになる。

一方、誰もいない自宅に戻っていた笙吾は、自分の生命保険が下りている事に気づく。

何とか、哀しんでいる奏の役に立ちたいと、彼女を呼出すと、アロー生命保険会社の景山と名乗って、アメリカ留学を望んでいた彼女の役に立たせて欲しいと言う笙吾の遺言があったと嘘をつき、彼女に金を渡そうとするが、遺言状等があるはずがないと、その話の不自然さに気づいた彼女は頑として拒む。

目の前の見知らぬ男が、生きていた頃の笙吾と同様に、トマトジュースを一気飲みする癖を持っている事も、今の奏には気づくはずもなかった。

再度、奏の姉の家を訪ねて同じ申し出を繰りかえす笙吾だったが、彼女が以前宝くじを買っていたのは、笙吾をアメリカにやって最新治療を受けさせるためだったのであり、彼が亡くなった今となっては、自分が大金等もらっても何の意味もないのだと聞かされ愕然とする。

生きる力を失っている奏に、何とか自分の気持ちを伝えたい笙吾だったが、その熱い気持ちは、自分と気づかない彼女の前では空回りするだけ。

しかし、その直後、奏の姉が交通事故にあって、病院に運び込まれると言う事態が起こる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ちょっと丁寧に撮られたテレビドラマを見ているような感覚だが、函館のロケーションが巧く生かされたファンタジーラブストーリー。

何となく、死んだ者が条件付きで数日間だけ生き残れるという基本アイデア自体がわざとらしいのだが、そこを気にしなければ、それなりにウルウル来る話にはなっている。

それなりに見られるのは、一画面ごとの絵作りというか、画面構成が丁寧なのと、竹内結子の存在の自然さだろうか。

喫茶店のマスターを演じている國村隼も、出演時間は短いながら印象に残る存在感がある。

全体的に低予算でちんまりした話なので、男性にはどこか物足りなさが残るのだが、この手のラブストーリーが好きな若い女性等には、それなりに感情移入できる作品かも知れない。