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ゲゲゲの鬼太郎
大海獣('96)

1996年、東映動画、水木しげる原作、星山博之脚本、勝間田具治監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

茶碗風呂に入っていた目玉の親父(声-田ノ中勇)は、部屋に飛び込んで来たセミからオシッコを引っ掛けられる。

さらにカラスが飛び込んで来て、手紙を落とす。

それは、川村メグミという少女からの手紙で、バルル島へ行っている父親が妖怪にさらわれて帰って来なくなったと言う。

どうやら、バルル島では、妖怪の住む山に人間が入り込まないと言う暗黙の掟が古来よりあったのだが、最近、日本人たちが多数やって来てはその掟を破って山に入りはじめたため、すでに7〜8人消えており、そうした日本人の行為を止めようとしていた父親(声-島田敏)も、何時しかいなくなったという。

どうして、日本人たちがこの島に入り込むようになったかと言うと、命の水と言う、不老不死の水をたたえる湖があるという噂に釣られて来たらしい。

今日も、何故か案内役を勤めているねずみ男(声-千葉繁)に引き連れられた日本人3人組が、命の水を求めて森の奥に入り込もうとしていた。

そんなバルル島でへ一反もめん(声-龍田直樹)に乗ってやってきた鬼太郎(声-松岡洋子)と目玉の親父は、ジャングルの中で、キムジナーという妖怪たちから攻撃を受け、さらに出現したアカマタ(声-古谷徹)から、鬼太郎は妖気を吸い取られてしまう。

目玉の親父と一反もめんは、鬼太郎を助ける薬草を求めて、日本に帰る事にする。

一方、ジャングルで道に迷ったねずみ男は、筏に乗って、川を下る三人の日本人を見つけるが、その三人は、空中に現れた妖怪チンポ(声-古川登志夫)のチンポ光線を浴び、捕らえられるのを目撃する。

すっかり力を失い、アカマタ、チンポ、やし落とし(郷里大輔)の三人のねぐらに捕まってきた鬼太郎は 、そこで、メグミの父川村に出会う。

さらに、ねずみ男も、その洞窟に捕らえられてしまう。

今こそ、島を汚し続ける日本人を総攻撃しようと決意したアカマタたちだったが、自分達だけの力では日本制服は無理な事は承知しており、くじらの祖先に当るゼオクロノドンの骨格に念力を送り、蘇らせようとするが、今一歩で力が足りなかった。

やがて、不思議な船が日本の近くの海にあらわれる。

そこに乗っていたアカマタたちは、ちゃんちゃんこと下駄を奪った鬼太郎に、命の水を無理矢理飲ませる。

すると、見る間に、鬼太郎の手足から毛が生えて来て、鬼太郎は大海獣に変身して海に落ちてしまう。

その頃、山で薬草を探していた目玉の親父だったが、昔と違い、人間の開発によって、すっかり山が荒れ果ててしまい、薬草などどこにもない事に気づく。

羽田空港に上陸した大海獣は、新宿都庁を通過しようとするが、そこへカラスに釣られて飛んで来た猫娘(声-西村ちなみ)が、危うく、大海獣に襲われそうになる。

実は、大海獣になった実感がない鬼太郎が、懐かしさのあまり、猫娘に手を触れようとしていただけなのだが、相手にそれが伝わるはずもない。

一反もめんに乗ってやって来た目玉の親父を見て、思わず、声をかけた鬼太郎であったが、現実には、口から光線を吐く大海獣になってしまっていた。

目玉親父は、その大海獣が、自分の息子の変わり果てた姿と気づかないまま、まだバルル島にいると信じていた鬼太郎を助けるため、薬草が残っていそうな日の出山に向うのだった。

国会議事堂を通過し、防衛軍の戦車攻撃を受けた大海獣は、口から光線を戦車に浴びせかける。
すると、戦車や人間は毛だらけになってしまった。

その後、ビルのガラスに写った我が姿を見て、自分の様変わりにようやく気づいた鬼太郎は、傷心のまま、東京湾へ潜って溺れて行く。

そんな鬼太郎、大海獣を救ったのは、ゼオクロノドンの子孫に当るくじらたちだった。

大海獣は、とある島に身を寄せ、気絶状態になる。

その頃、日本に近づいて来た妖怪船に乗っていたねずみ男は、隙を見て、やしの身を二つ盗み出すと、それを浮き袋代わりに海へ飛び込む。

そうして漂流していたネズミ男と巡り会ったのが、バルル島へ引き返す途中だった一単もめんと目玉の親父。

親父は、ネズミ男から、事の次第を聞くと、すぐさま、彼を助けて日本へ舞い戻るの事にする。

その後、井戸仙人(声-八奈見乗児)から教えられた、くるみに似たココの実を煎じた薬を、海岸に倒れていた大海獣に飲ませると、大海獣はたちまち元の鬼太郎に戻る。

かくして、妖怪船に乗り込んだ鬼太郎は、下駄とちゃんちゃんこを奪い帰し、アカマタたちと最後の決戦に挑む事になる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

4度目のテレビアニメをベースにした作品で、鬼太郎のエピソードの中でも人気の高い「大海獣」の映画化。

テレビ版を再編集した白黒劇場版があるが、これは、完全なオリジナル劇場版である。

オリジナルであるため、本来の「大海獣」の話とはかなり細部が異なっている。

アカマタ、チンポ、やし落としという南洋の島に住む三妖怪が、日本を攻めに来ると言う別のエピソードが加わっているのだ。

この時代になると、もう、CG処理による海面処理などといった新しいテクニックが加わり、従来の鬼太郎とはひと味違った美しい画面を作り出しているのも特長といえる。

大海獣と変じた鬼太郎が日本へ上陸してくる様は、怪獣映画を見るような迫力で見せてくれる。

本作のラストは、独自のメッセージを込めた美しいものだが、本来の大海獣のクライマックスを知っている身としては、ちょっと物足りなさがあるのも事実。

しかし、これはこれで、完成度の高い作品だと思う。