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1959年、歌舞伎座、有馬頼義原作、芝野文夫脚本、佐伯幸三監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

歌手の南部ゆかり(水谷良重)は、公演の最後の夜、恋人で編集者の結城三郎(三橋達也)とデートを楽しんでいた。

社員10人の零細雑誌社に勤めている結城は、久々に10日間の休暇が取れたので、雲仙にも出かけようかと話し合っていたが、ゆかりは、高給アパートに住んでいる姉を訪ねたいから一緒に来て欲しいと頼む。

その頃、ゆかりの姉でモデルをしている野島花江(七浦弘子)は、アパートの自室で、デートに誘いに来たドラマーの柴小七(笈田敏夫)に、風邪気味で熱があるからと断わっていた。

その様子を、向いの部屋の郡司(滝田裕介)が覗いている。

その後、花江が電話中に、今度はデザイナーの水野(藤村有弘)が部屋に入って来るが、同じく、体調が悪いと言って帰ってもらう。

さらに、隣に住む落選代議士荒川長十郎(菅井一郎)まで、勝手に入ってくるので、電話中だと追い返す花江。

その後、同じ階に住むヌードカメラマンの吉岡(丸山明宏)が、泥酔状態で花江の部屋に入って行った。

そんなアパートに、ゆかりと三郎は到着するのだが、建物の外で、車で帰る関西財閥の雄、長沢英五(山村聡)を見かける。

やがて、7階の姉の部屋にの前にやって来た二人は、ノックをするが何の返事もない。
たまたま近づいて来た管理人(丘窮児)に、姉は留守なのだろうかと尋ねると、そんなはずはないといって、鍵を持って来て部屋を開けてくれる。

電気が消えた真っ暗な部屋のベッドに誰かが寝ている気配がある事に気づいたゆかりは、電気をつけ、近づくと、それは変わり果てた姉の姿だった。

ほどなく、青山警察署が駆けつけるが、その連中が部屋に到着する前にやって来た荒川は、椅子の下の落ちていた象牙細工のライターをこっそり拾い上げて去って行く。

捜査主任(大平透)は、軍事の証言から、当夜被害者の部屋を来訪していた柴を含め、アパートの同じ階に住む住人を全員呼んで事情を聞くが、特に目新しい証言は得られなかった。

同じく親族として呼出されたゆかりは、姉が書いたと思しき遺書のような文面を見せられ、事件現場は、完全な密室だった事もあり、自殺ではないかという。

その頃、娘の佐喜子(赤沢阿沙子)とテニスを楽しんでいた長沢は、インタビューを取りにやって来た新聞記者の相手をした後、意外な訪問者の顔を見る事になる。

昔から知り合いの荒川だった。

彼は、事件現場で拾ったと例のライターを長沢に見せ、選挙資金として50万ほど融通してくれないかとほのめかすのだった。

一方、いよいよ旅行に出発しようと、一人、美容院に出かけたゆかりは、そこの経営者で、現在、荒川と同じ部屋で同棲生活している高倉艶子(市川春代)が、馴染みの女性客から、娘のためにフランス語の原書の翻訳を頼まれていた事を催促されている会話を小耳に挟む。

さらに、店員が艶子に「あの翻訳は、花江さんに頼んでおられたんでしょう?」と言っているのに疑問を抱いたゆかりは、三郎を伴って姉の部屋の本棚を調べてみると、果たして、翻訳途中の原書が発見される。

こうした状況で、自殺するはずがないと考えた三郎は、知人で刑事をやっている立花(南原伸二)に相談する。

一方、クラブ「オペラ」のマダム月代(小暮実千代)は、荒川にせがまれ、5万円を貸していた。

ゆかりは、花江の妹である事を隠し姉の部屋に住みはじめると、声をかけて来た島に、彼が働いているクラブ「オペラ」で、歌手として働かせてもらえないかと頼むのだった。

その「オペラ」にやって来た長沢は荒川から、先日のライターを受取る代金として50万円を渡す。
その様子を同じ席で見ていた月代は、自分が長沢に贈ったライターを、何故、荒川から買い戻しているのか、長沢に問いつめる。

どうやら、この三人は、古くからの知り合いらしい。

後日、事件当夜、泥酔して花江の部屋に入り込んだ吉岡が、死亡直後の花江の写真を無意識に撮っていた事が分かり、その写真を現像してみると、そこには、テーブル上に、来客を示す2個のコップと、カーテンの後ろに隠れていたらしき男物の靴の一部、さらにソファの下の落ちていた象牙のライターらしきものが写っていた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

水谷良江(現:八重子)と三橋達也主演のミステリー映画。

2時間サスペンスを観ているような感じで、全体的にかなり地味な印象だが、何と言っても、男役として出演している丸山(現:美輪)明宏が観られるだけでも貴重な作品。

美輪さん、やはり、この当時から、男とも女ともつかない「美輪明宏」以外の何者にも見えないのがすごい。

さすが、神武以来の美少年「シスターボーイ」!

意外だったのは、同じくこの作品に出演している若い滝田裕介も、美輪さんに何となく似た感じの美青年だった事を知った事。

さらに意外だったのは、大平透が刑事役として出演していた事。

大平透と言えば、古くはテレビ「スーパーマン」から「スパイ大作戦」の「おはよう!フェルプス君」、「ハクション大魔王」「マグマ大使のゴア」「笑ゥせぇるすまん喪黒福造」などの声優として有名な人。

おそらく、日本の声優第一号なのではないだろうか。

調べてみたら、テレビヒーローものの元祖「まぼろし探偵」で、二代目富士警部を演じた事があったらしいが、役者としてはほとんど記憶にない人。

とにかく、珍しい映像である。

水谷良江は、歌手と言う設定なので、劇中で何曲も歌を披露している。

筋立てとしては、若干、社会派推理っぽい雰囲気で、ものすごいどんでん返しなどがある訳ではないが、それなりに楽しめる作りになっている。