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1961年、新東宝、石井輝男脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

東洋貿易の社員、吉岡(吉田輝雄)は、銀座の服部時計店の前で、いきなり見知らぬ女が彼に抱きつき、親し気に声をかけられた後、去って行く。

あっけに取られた吉岡は、さらに刑事らしき男たちから腕を捕まれ、見覚えのない財布を示されて唖然とする。

彼は、女スリに、自分が森川部長から預かった書類を盗まれ、代わりに、他人の財布を持たされた事に気づく。

警察に連行された吉岡を引き取りに行くと会社を出た、吉岡の恋人でタイピストの滝川玲子(三条魔子)の向った先は、中年男との逢い引きの場だった。

間違いが分かり、釈放されて会社に復帰した吉岡だったが、森川部長のから預かった品物は戻って来なかった事もあり、彼は、部長から、大阪転勤を命じられる。

この処分に愕然とした吉岡は、玲子を呼出し事情を話すが、後日、彼女は森川部長に吉岡の大阪左遷を取り消すよう直談判する。
実は、玲子は森川の愛人でもあり、彼女は、会社がとある組織から接待用として受け入れているコールガールだったのだ。

その頃、銀座で吉岡と接触した女スリ真弓(三原葉子)は、馴染みのスリ係の刑事須藤(細川利夫)からあれこれ尋問を受けるが、適当にからかってしまう。

後日、玲子は、コールガール斡旋業者の隠れ蓑として使われている「ビザール・クロッキークラブ」という店のボス瀬川(沖竜次)に会いに行き、この仕事から足を洗いたいと申し入れていた。

そんな玲子の裏の顔等全く知らなかった吉岡は、大阪転勤前にもう一度会う約束をしていた彼女のアパートを深夜訪れるが、彼女は不在のようなのでふて腐れて帰る。

ところが、その夜、玲子は自室で何者かに絞殺されており、その容疑者として、深夜訪れた自分が疑われているとのラジオ放送を、翌日吉岡は聞いて唖然とする。

そんな吉岡は、銀座で偶然真弓と再会、彼女と話すために、近くにあったバー「ぼっくす」という店に入る。

真弓が言うのは、吉岡から掏ったのは、定期入れに入った「B」の文字が記されたカードだけだという。
不思議そうに、そのカードを検分していた吉岡に、そのカードを眼にしたその店のバーテンが思わぬ事を言い出すのだった。
「指定の時間と場所をどうぞ」という、その言葉にピンと来た真弓は、万事承知している風を装いながら、「10時にサンライズホテルに」と告げて、吉岡と共にその場所へ向う。

案の定、約束の時間になると、女が現れたので、吉岡は、拳銃を持っている振りをしながら、彼女を脅し、組織の内情を探ろうとする。

しかし、コールガールが言うには、明日の朝、東京駅で、次に客の予約が入っている事以外は何も知らないと言う。

そこで、真弓は、そのコールガールに入れ替わる作戦を取り、目印となるウィンクチャンを腕に捕まらせて東京駅で客と出会うのだった。

しかし、その男からは何の情報も得られそうになかったので、男が入浴中に現金だけ抜き取って、さっさと逃げる真弓だった。

その頃、吉岡の方は、バー「ぼっくす」の店の前に、カードと同じく「B」と記された目印が貼られているのに気づき、同じ目印が這ってある別の店を探す事になる。

その内、「ル・フランセス」という喫茶店にも、同じ目印が貼ってある事に気づき、その場所を張る事にする。

その店で見つけた秋子(池内淳子)に接近した吉岡は、彼女に猟奇的な見世物を注文して観ると、彼女は、吉岡を、上京仕立ての地方出の娘が、悪い男にたぶらかされている現場に連れて行かれる。

思わず、警察へ連絡しようとした吉岡だったが、実は、それは好奇な客目当ての芝居だったのである。

一方、馬券売り場に現れた真弓、カモと思い掏ろうとした男が須川、スリは見事に失敗し、腕を掴まれてしまった真弓は、その度胸を買われて、ビザール・クロッキークラブのモデルとしてスカウトされる事になる。

一方、秋子もビザール・クロッキークラブのモデルをしており、その店に潜入した吉岡は、真弓がヌードモデルとしてポーズを取っている様を観て驚く。

しかし、瀬川たちは、森川部長のカードを使っている吉岡の事を既に知っており、真弓と吉岡は、地下室に連れ込まれ、椅子に縛り付けられた上で、瀬川から撃たれそうになるが、真弓は客がいるうちに発砲するのは危険じゃないのか…と、閉店時まで殺すのを待つように説得するのだった…。

その頃、路上で遊んでいた小さな子供が紙飛行機に夢中になっている最中、タクシーに轢かれそうになる現場に居合わせた須藤は、その子の相手をしばらくしてやっているうちに、紙飛行機に文字が書かれている事に気づく。

それは、クロッキークラブに幽閉された真弓が、助けを求めるため外に投げた手紙だった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

石井輝男監督の「地帯シリーズ」の一本。

このシリーズは今回はじめて観たが、この作品を観る限り、「通俗犯罪サスペンス」のような内容である。

あっけらかんとした女スリに扮した三原葉子の陽性キャラがチャーミング。

会社の同僚と平凡な恋愛をしていたつもりの会社員が巻き込まれた裏社会の陰謀を、ひょんな事から知り合った彼女も一緒に解きあかすと言う、軽いタッチの都会派ミステリーになっている。

彼女と付き合う事になる二枚目風のサラリーマン役が吉田輝雄。

意外な所では、池内淳子が裏社会の一員として出てくる。
芸者役などは良くやっている彼女だが、こういうちょっとダーティなイメージの役は珍しい。

劇中に登場する「クロッキークラブ」という風俗も珍しい。

要するに、表向きは「絵画教室」なのだが、その実態は、ただヌードモデルを眺める方が目的というもの。

当時、実際にあったビジネスなのかも知れない。

後半は、典型的なサスペンス活劇風になり、通俗ながら、それなりに楽しめる出来になっている。