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花と嵐とギャング

1961年、ニュー東映、藤原審爾原作、佐治乾脚本、石井輝男監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

羽田空港に降り立ったジョー(鶴田浩二)は、いきなり見知らぬアフリカ系外国人二人に両手を奪われ、拉致されそうになる。

しかし、彼らが乗るはずだった車で待っていたのは、ヌード雑誌を見ていたジョーの義弟で、3年間のムショから帰ったばかりのスマイリー(高倉健)、あっという間に、外国人二人をノシた二人は、スマイリーの妻でジョーの妹佐和(小宮光江)の待つバーに帰り着く。

家族の近況を尋ねるジョーに対し、佐和は、17になる弟正夫(小川守)が東京に出て来ていると言う。

その後、神戸の会長(佐々木孝丸)宅に出向いたジョーは、空港で現れた外国人が狙っていた、運んで来た現金を渡す。

そんなジョーに会長は、ブツをチョロまかした山田(潮健児)という若いのを正夫に殺させると告げる。

その現場に出向いたジョーは、山田に拳銃を突き付けながらもブルっている弟正夫を止め、自分が山田に焼きを入れると、弟が去った後、秘かに山田を逃してやる。

その頃、スマイリーは、仲間のツンパこと山藤(沖竜次)から銀行襲撃の計画をまかされていた。

スマイリーは、少しでも分け前を増やそうと、あらかじめ互いに殺しあいそうなくらい犬猿の仲である楽隊(江原真二郎)とウィスパー(曽根晴美)を仲間に加え、綿密な計画を説明する。

一方、山藤は、子分(八名信夫)をその銀行内であらかじめ待機させ、彼らの計画を邪魔しようと企んでいた。

かくして、明和銀行の前で宝くじ売りに扮した権爺から、銀行内に残っている客の数を合図で知ったスマイリーと楽隊、ウィスパー三人は銀行内に侵入するが、客を脅す役だった楽隊に、いきなり待機していた子分が組みかかり、その様子を見たウィスパーは、これ幸いとばかりに、二人に銃弾を浴びせかける。

異常に気づいたスマイリーだったが、計画通り、金庫内の現金を詰めたバッグを手にすると、ウィスパーと共に逃走を計ることにする。

しかし、その後、その奪った現金は、正夫と彼の恋人圭子(新井茂子)と共に姿を消す。

このトラブルの原因を、スマイリー夫婦らの裏切りにあると責めるウィスパーに対し、当のスマイリーは、銀行内にいた素人の客がいきなり銃を持ったギャングにつかみ掛かるなんておかしいと、暗に山藤の計略に気づいた事を臭わせるのだった。

一方、死んだと思われていた楽隊は、奇跡的に助かって入院しており、それを知ったウィスパーは、自分の裏切りがばれないように再び病室に暗殺に出かけるが、すでに、楽隊は逃げ出した後だった。

ストリッパーマリ(愛川かおる)の元に身を寄せていた楽隊は、子供を使い、山藤からまんまと分け前をせしめると共に、ウィスパーへの復讐を誓っていた。

会長は、山田を沖縄に逃した事もあって、正夫を抹殺しようとするが、その件で呼出された正夫の母、まさ(清川虹子)は頑として承知しなかった。
彼女も又、いっぱしのギャングとして名をなした女だったからである。

そんな義母の家に行ったスマイリーと佐和は、銀行から奪った5000万の入ったバッグを見つける。

その後、そのバッグを持って、外国人女性とボートに乗ったジョーと合流していた正夫、圭子は、追っ手の山藤らに追い付かれるが、ジョーの機転もあって、間一髪、正夫たちは逃げ出す事に成功する。

しかし、ジョーは会長に飛び出され、今回の不始末の責任を取るためにも、自分の手で、スマイリーと正夫を始末して来いと命ぜられる。

その頃、スマイリーとウィスパーは、圭子が勤めて行った喫茶店の同僚から証言を得て、稽古がいそうだと言う朝日牧場の名を知ると、二人して、牧場のあるつつじヶ丘駅に降り立つのだった。

偶然にも、その圭子の乗る馬車に同乗させてもらって牧場に向っていた二人だったが、彼らの会話から狙われているのが自分達だと気づいた圭子は、一人、馬を引き離して牧場にいる正夫の元へ向うのだった。

しかし、牧場には既に先客がおり、それはジョーだった。

逃げる直前だった正夫、圭子、ジョーを追い詰めたスマイリーとウィスパーは、逆に自分達も、山藤とその仲間たちに囲まれてしまった事に気づく。

さらに、牧場の屋根には、傷が癒えた楽隊まで、ウィスパーを狙って待ち構えていた。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

この映画、何より、健さんが演じている役名がスマイリーというのがすごい。

ギャングたちが、各々、愛称で呼び合っているのだが、「ツンパ」というニックネームも意表を突いている。
どういういわれがあるか知らないが、要するに「パンツ」の逆さ言葉だろう。

ウィスパーや楽隊という名前も、考えてみると妙なネーミングだ。

健さんは続く「恋と太陽とギャング」でも同じ様なキャラを演じているが、網走帰りでちょっと頭が弱く、しかも、強面の義母がいる妻にはベタ惚れで、養子のような形でくっついている気楽なギャングといった役所。

女房からベッドに誘われると、無邪気な笑顔になってしまうという、初々しい健さんの姿が見られるだけでも貴重。

ストーリーは、ギャング一家の一番下のまだ10代の弟が、組の大仕事に関わったはいいが、勝手に裏切って逃亡してしまったので、その実兄と義兄に当る鶴田浩二と健さんが、その後始末に向うと言うもの。

ニュー東映の通俗犯罪映画の一本で、特にどうこう言う出来ではないが、全般的に、若者向けを意識したような軽い仕上がりになっている。

外国人女性とヨットでクルージングを楽しんでいる鶴田浩二という絵柄も、ちょっと珍しいような気がする。

クライマックスは、正に西部劇の雰囲気。