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直撃地獄拳 大逆転

1974年、東映東京、橋本新一脚本、石井輝男脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

総監(池部良)は、緊急事態が起こったので、三人を呼び集めるように部下の恵美(中島ゆたか)に命ずる。

一人は、甲賀忍者の末裔で、現在、自衛隊のレインジャー部隊に所属する甲賀竜一(千葉真一)、もう一人は、元警視庁麻薬捜査係の隼猛(佐藤允)、最後は金庫破りの名人桜一郎(郷えい治)。

しかし、総監の前に姿を現したのは、隼だけだった。
その隼、江河の悪口を言っていると、総監が座るデスクの横に飾ってあった鎧武者が突然立ち上がり、俺が、その甲賀だと怒る。

桜は、女にもてて手が空かないと聞いた甲賀は、その桜の自宅へ向うが、出て来たのは、総金歯でお獅子のような御面相の華子(松井康子)というおばさん。

何とか、桜も合流し、総監から事件の説明を受けると、交通事故で車椅子暮しを余儀なくされたザビーネ・カウフマンの夫人が、慈善事業を日本で開こうと来日したが、彼女が展示用に持って来た時価10億相当の宝石「ファラオの星」が何者かによって盗み出されてしまった。

さらに、彼女の愛娘のジュリーまでも誘拐されて、その身代金を10億要求されていると言う。

そのため、損害保障を要求されている保険会社の会長(丹波哲郎)が、この二つを解決して欲しいと言うのが依頼内容だった。

身代金の受渡し場所として犯人から連絡があったのは、日曜日の午後1時半、国会議事堂前。
ブルーノ・今村(名和宏)という男が、身代金を持ってその場所へ行き、甲賀ら三人は、その側で監視を始める。

すると、一人の女性がブルーノに近づき、「2時、銀座のニューハルク屋の屋上へ来い」という指令が書かれた紙を渡される。

その場所へ出向いたブルーノは、警備員に迷子なのかと尋ねられているジュリーを発見。
その再会に喜んでいる隙に、足元に置いた10億円の入ったバッグは何者かに持ち去られてしまう。

その男を追尾していた甲賀は、怪し気な男たちに追跡の妨害をされるが、得意の拳法でなぎはらい、繋いであったデパートから離れはじめたアドバルーンの広告部分によじ登った犯人の後を追い、自分もアドバルーンのに飛びつく。

その姿を発見し、車で追尾した桜は、運転を誤り、車ごと東京湾に落ちてしまう。

一方、地上に入る犯人の仲間たちからの狙撃を受けた甲賀は、プールの中へ落ちてしまうのだった。

計画に失敗し、総監の部屋に集合した三人だったが、ザビーネ夫人は、すでに犯人グループに10億払い、宝石を取り戻したと言う。

大蔵省から圧力がかかった保険会社としては、結果、宝石の補償費10億と身代金用の10億を払わざるを得なくなったという。

結局、一文にもならなかった甲賀は、抜け駆けして、ザビーネ夫人とジュリーが泊まっているホテルに忍び込むと、ベッドの脇に無造作に置いてあった「ファラオの星」を盗もうとするが、ザビーネ夫人のベッドの下には、すでにガードマンに扮して忍び込んでいた隼が隠れていた。

まんまと「ファラオの星」を取ったと喜んでいた甲賀は、翌朝、恵美から、何故、ザビーネ夫人が盗難届を出さないかと言うと、それはイミテーションだからだと指摘されてがっくり。

その後、犯人グループから10億支払いの振込先に指定されたのは、ロジャース銀行日本支店の口座だったのが、その銀行の総支配人のリコなる人物がシカゴマフィアと関係ありそうだという情報を手に入れた三人は、その銀行に忍び込み、その金庫から大金を強奪しようではないかと計画を立てる。

しかし、その金庫室の前には、赤外線非常ベル地帯、さらに、2千ボルトの電磁バリア地帯が仕掛けられており、普通の侵入の仕方では近づく事すら不可能な状態。

しかし、甲賀は、セスナ機を使いパラシュートで銀行の屋上へ降下、さらに、得意の接着剤を使い、天井伝いに忍び込めると、他の二人に説明するのだった。

かくして、まず電気工事屋の辰造(室田日出男)を仲間に引き入れ、さらに自衛隊の兵器係(山城新伍)から、パラシュートや赤外線透視眼鏡などを調達した三人は、隼戦闘隊の流れをくむと言う隼の操縦するセスナ機で出発するのだが、実は隼の操縦歴等、素人同然だった事が分かる。

何とか、現金を奪った三人だったが、マフィアのボディーガードたちと壮絶な戦いが始まり、何故かそこへやって来た保険会社の会長と秘書の紅美湖(志穂美悦子)は、各々、極秘にマフィア捜査をしていた警視庁の諸木と香港警察の秀麗だと、正体を明かすのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

これこそ「ルパン三世」の実写版じゃないのか?…と思いたくなるような、痛快さとバカバカしさが同居したコミカル犯罪アクションの怪作。

完全に「実写版荒唐無稽ギャグマンガ」と割切って観るしかない世界である。

冒頭でのメインとなる三人のキャラ紹介の部分でもうバカバカしさ炸裂。

後はどうでも良くなってしまう。

バカバカしいなりに、千葉真一と佐藤允には、一応かっこをつけた部分もあるのだが、郷えい治は、その強面イメージとは裏腹に、徹底的に被虐的なキャラに設定されており、これはちょっと珍しい。

その三人に絡む、中島ゆたか扮する恵美というキャラは、無意味にお色気ムンムンで完全に峰不二子状態。

ストーリーの骨格は「犯罪は引き合わない」という良くあるパターンであり、犯罪計画をミニチュアのビルを使って事細かく説明する所等、同じ石井輝男監督の「恋と太陽とギャング」(1962)と全く同じ趣向である事が分かる。

ゲスト的にちらり出演している室田日出男や山城新伍のキャラも、お遊び精神に溢れており、あまりの下らなさに、ただ笑って観ているしかない。

この時期の丹波哲郎や千葉真一といえば、映画007シリーズに影響を受けた「キイハンター」から「Gメン’75」に至る一連の東映アクションテレビ映画全盛期の頃。

この作品も、確実にそうした流れの中から生まれたものだと感じる。

映画的な重厚さより、いかにもテレビ風の軽薄さとスピーディなテンポを取り入れているからだ。

おバカ映画好きには必見の一本。