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賞金稼ぎ

1969年、高田宏治+伊上勝脚本、小沢茂弘監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

宝歴2年、オランダのロッテルダム号は、ゲーベル銃千丁と交換に、無条件講話条約の提携を幕府に申込むが、時の将軍家重(鶴田浩二)は、これを拒否する。

これをきっかけに、オランダ大使のカプタン・シーゲルは、薩摩藩を相手に銃の取引を始めようとする。

老中、牧野豊後守(三島雅夫)は、薩摩藩江戸家老、伊集院右京(片岡千恵蔵)を呼び、薩摩藩の動向を探ろうとする。

6月12日、東照宮に詣でた家重は、腹心、錣(しころ)市兵衛(若山富三郎)に、藩内の過激派の動きを押さえるため、急遽、薩摩に帰ることにした右京を護衛しろと命ずるのだった。

家重はいかなる形にせよ、争いを好まず、平和だけを望んでいたのだった。

小田原の近くで、さっそく、右京の駕篭は、待ち伏せていた一群に襲撃される。

それを未然に防ぎ、右京らの一行に旅を急ぐように促した市兵衛は、倒した首領らしき男の身元を調べ、その正体が桜島山岳党の小野里民部(藤本秀夫)と知る。

そんな市兵衛に、曲垣藤九郎(潮健児)と名乗る奇妙な浪人者が近づいて来て、そのまま道中を共にすることになる。

川留になった大井川の宿で、市兵衛は川人足相手に博打を挑んでいたうら若き娘を見つける。

彼女を女と見くびって、裏に連れ出した川人足たちは、たちまち彼女の思わぬ反撃に出会い、今夜、こっそり川を渡せと命ぜられることになるが、その様子を影からうかがっていた市兵衛は、彼女がタダモノではないと見抜き、彼女とその場で対決することになる。

彼女こそ、老中が薩摩に差し向けた隠し目付けの陽炎(野川由美子)だった。

霧島越えで薩摩に侵入しようとしていた陽炎は、山の尾根で先行していた市兵衛、藤九郎と再会する。

進む先には、かつて薩摩に入り込んで殺された隠密たちの死体がさらされており、この路は無理だと判断した市兵衛は、思い切って、関所を強引に突破することにする。

草として、薬屋として薩摩に根を下ろしていた伊賀忍者名張の与藤次(睦五郎)の家に入り込んだ陽炎は、彼が、地元の女と結婚し、すでに与作という息子までもうけていることを知る。

一方、浪速からやって来た按摩に化け、桜島に潜入した市兵衛は、彼を怪んで近づいて来た山岳党の一人、茜(真山知子)という女から詰問を受けるが、小野里民部から大切な言付けを頼まれて来たとだまし、彼女に山岳党の砦に案内してもらう。

そでは、首領の淀山二階堂(天津敏)と配下の大隈(藤岡重慶)が、ゲーベル銃の試し撃ちをしている最中だった。

山岳党の仲間になっていた与藤次も、市兵衛の顔を知らなかったことから、一旦は客人として招き入れるが、二階堂は市兵衛のことを最初から疑っていた。

相手を油断させるため、茜とネンゴロの仲になった市兵衛だったが、二階堂から目が見えることを見抜かれ、ゲーベル銃で撃たれ、崖から落とされてしまう。

何とか、命は助かった市兵衛は、待ち受けていた藤九郎と再会、彼が右京の配下の者だったことを聞かされる。

そんな二人は、与藤次の裏切りにより、山岳党に捕まって砦に連れられていく陽炎の姿を目撃する。

火あぶりの拷問を受けていた陽炎は、舌を噛んで自害したかに見えた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

仕込みづえと秘密兵器を駆使して大活躍する豪快な隠密を主人公にした劇画風の娯楽時代劇。

主役若山富三郎が按摩に化けて登場するシーンは、弟勝新の座頭市そっくり。

おそらく、意図的なお遊び演出なのだろう。

くノ一的存在として登場する野川由美子も、お色気だけが見せ場かと思いきや、意外にもタフに描かれており、これ又漫画的設定で楽しい。

途中から、若山のお供をすることになる正体不明の浪人ものを演じている潮健児も、「河童の三平」のイタチ男風のキャラとダブり、そのうさん臭さが懐かしい。

若山と野川が真っ向からプロレス紛いの肉弾戦に及ぶシーンは、静止画演出ながら痛快。

野川には後半、「肉体の門」を連想させる拷問シーンまで用意されている。

悪役の天津敏も堂々たる風格で申し分なし。

何だか、70年代くらいのテレビ通俗娯楽時代劇でも観ているようなテンポと感覚で、深みはないのだが、肩の凝らない娯楽作品であることは間違いない。