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ラブストーリーを君に

1988年、東映+オスカープロモーション、ディディエ・ドゥコワン原作、丸山昇一脚本、澤井信一郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

山岳部仲間の荒木(柳沢慎吾)と共に、登山から帰って来た大学生の上條明(仲村トオル)は、新宿駅前で、かつて家庭教師をしていた中学2年の広瀬由美(後藤久美子)とばったり再会する。

由美は、今は離婚し料理学校の講師をしている母親(佐藤友美)と、その学校の理事長でもある祖母(高峰三枝子)と三人暮しをしていたのだが、実は病院での検査の結果、急性骨髄白血病で余命は後半年あるかないかという症状である事が判明していた。

もちろん、由美はその事を知らされておらず、普通の日常生活を送っていたのだが、それは、ベッドに縛り付けて半年なり1年寿命が伸びたからと言って、それが生きていると言えるだろうかと考える、担当小児科医の千葉(露口茂)のアドバイスに母親も従った結果であった。

母親は、由美が上條の大学まで会いに出かけたと嬉しそうに話すのを聞き、彼女が上條明を本当に好きなのだと察すると、彼のアルバイト先を訪ね、由美の病状を話すと共に、最期の日々を一緒に過ごしてやってくれないかと頼む。

驚きながらも結果的に承知した明は、その後、由美の家を訪れたりするのだが、由美に本当の事を打ち明けられない苦しみを胸に抱きながら、複雑な毎日を送りはじめる。

やがて、明は、母校でもある日高西中に教育実習のため帰郷。

一方、新体操のクラブ活動の最中倒れた由美は、病気療養をかね、祖母の軽井沢の別荘に身を寄せる事になる。

そこで、散歩に出かけた由美は、穂高のポスターを発見、思いきって、明のいる穂高西中を単身訪ねてみる事にする。

到着した学校では会う機会がなく、一旦は帰りかけた由美だったが、他の教師(草薙幸二郎)から彼女が会いに来ていた事を知らされて、急遽、バイクで迎えに来た明と再会、二人は、明の兄夫婦(なべおさみ、丘みつ子)の家で楽しい一日を過ごすのだった。

一方、母親から由美の病状を知らされて、カナダから東京に戻って来た父親(緒形拳)は、由美と明がデートする様を、こっそり陰から観察するのだった。

やがて、由美は離婚以来久々に父親と再会する事になるのだが、しばらくの逢瀬の後、父親は又カナダに戻ってしまう。

そうこうする内に、由美の病状は悪化、いよいよ入院を余儀なくされるのだが、明は彼女が歩ける内に、一緒に山へ連れていく決心をする…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

当時、人気絶頂だった国民的美少女ゴクミ(後藤久美子)と仲村トオルの共演が話題を呼んだ難病ドラマ。

しかしこの作品、興行的には全くふるわず、今回観てみて、その理由がはっきり分かったような気がする。

「ラブストーリー」とタイトルに謳っているにしては、あまりにもゴクミの14才という年齢設定が幼く、そんな彼女と大学生の仲村トオルとの間で本当の恋や愛が成立するはずもなく、結果的に一夏の少女の思い出作り…といった感じの単調なドラマになっている。

あくまでも、美少女ゴクミのプロモーションフィルムといった印象。

確かに、この頃の彼女は、文句なくかわいらしい。

一方、仲村トオルの方は生彩がないと言うか、少女の真面目なお守役とでも言うべきこうした設定では、どだい彼の魅力が引き出せるはずもなく、損な役柄だったように思える。

父親役を演ずる緒形拳も、この時期悪役ばかり演じていた時期で、あまりドラマの雰囲気に馴染んでいないように見える。

物語の冒頭から、由美の病状が明らかにされているため、観客にとっても、ドラマの展開は最初から誰にでも想像できるもので、何の意外性もないのがつらい。

あくまでも、アイドル二人の姿と、美しい山の風景等を見る作品と、割切った方が良いだろう

三田佳子が、女医の役でちらり登場していたりする。