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喜劇 駅前探検

1967年、東京映画、桑田忠親原案、藤本義一脚本、井上和男脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

太古の地図が記された地球儀が映し出され、マルコ・ポーロが「東方見聞録」で、ジパングのことを黄金の国を称したことをナレーター(森繁久彌)が説明する。

さらに、海の上に浮かぶ浚渫船で、沈んだ徳川幕府の船から積み荷の御用金3兆5千億円分を引き上げる計画を客たちに説明している怪し気な男、三井三平(三木のり平)を、ナレーターが彼に話し掛けるように紹介する。

さらに、発掘現場から恐竜の化石を掘り起こしている無欲な学者坂井次郎。

そして最後に、昔のゴールドラッシュ時代のような格好で、独り山奥で砂金を探し続ける山師、森田徳之助を、同じように紹介する。

質屋の主人、伴野孫作(伴淳三郎)と後妻のお浜(中村メイコ)は、恐竜の全身骨格を持って店に入って来た次郎の姿を観てビックリ。

これで、10万円貸してくれという。

少し遅れて、久々に下界に降りて来た徳之助も、金歯の入ればを出して3万貸せという。

次郎と徳之助の互いの品物をほめる言葉にごまかされ、孫作は言いなりの金額を二人に貸すはめになる。

その代わり、二人に鑑定してもらいたいものがあると奥の部屋に呼ばれた二人は、孫作から古い枕絵のような本を見せられるが、その間から、尾張屋家政が埋めた埋蔵金のありかを記したと思しき古文書を発見、4人は色めき立つのだった。
難でも、その本一切、向いの料亭「千也」の女将から譲り受けたというのだが、肝心の古文書、半分しかないのだ。

自分は人の埋めたものなどに興味はないと徳之助、生活資金を全く入れないのでふてくされた女房お信(京塚昌子)と、次郎の下で発掘の手伝いをしている息子徳一(松山英太郎)の待つ自宅に帰ってしまう。

その後、金の無心で、昔番頭として勤めていた「千也」の女将景子(淡島千景)の所に出向いた徳之助は、「豊臣の女たち」という本を書くために、資料探しに来ているという女流作家、池ノ内染子(池内淳子)が、偶然にも、もう半分の古文書を家の中から発見した現場に居合わせることになる。

女将景子は先祖が豊臣のとかかの方だったということで、常日頃から熱狂的な豊臣ファンだった。

染子の言葉から、昔、この家から持ち出した文箱が家にあることに気づいた徳之助は、それを見つけだし、かつて大学のクラスメイト関係だった次郎と染子によって、その文箱に貼られた書状も含め、全ての古文書が揃ったことが明らかになる。

しかし、景子は、尾張屋家政は徳川方に寝返った人物と知り、徳川の財宝など興味がないと降りたものだから、徳之助、次郎、染子、それに、孫作も加わった4人で財宝発掘に出かけるのだが、たまたま「千也」に来ており、その話を盗み聞いた砂山(砂塚秀夫)は、親分の三平に知らせ、仲間の九太郎(山茶花究)と共に、徳之助らの後を尾行することになる。

目指す場所の池の中から、金色の瓢箪を見つけだした徳之助たちだったが、その瓢箪からは一枚の将棋の駒が転がり出ただけ。
さらに、その夜、テントに寝ている間、砂山によって、その瓢箪を盗まれてしまう。

財宝は、振り出しに戻って「千也」にあるに違いないと見当をつけた九太郎たちは、三平を、石田三成の家臣で、おかかの方を救ったこともある四方家付図之丞の末孫と名乗り、景子に近づき、まんまと「千也」の池を掘りはじめることに成功する。

一方、同じく「千也」が怪しいと睨んだ徳之助、染子、次郎コンビ、さらに近所で馴染みの女祈祷師(野川由美子)の予言を信じた孫作までも、めいめい勝手に、自宅の裏庭から穴を掘りはじめてしまう。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シリーズ20作目。

井上監督になって2本目で、前作以上にスケールも大きくなり、かなりアイデアに富んだドタバタコメディになっている。

前作「駅前学園」がやや「若大将」風のイメージだったとするならば、今回は若干「クレージーもの」の匂いがする。

前回大人しかった森繁だが、今回は久々にロケ先の山で馬に跨がり、歌を披露するなどサービス満点。

伴淳、フランキー、三木のり平らも元気一杯で、久々にテンションの高い作品になっている。

今回も、野川由美子が色っぽくて怪し気な祈祷師として、新たに組んだ小学生雷門ケン坊との珍妙なコンビで登場、その人を喰ったような怪演で笑わせる。

淡島千景も、豊臣ファンの女将と、回想シーンでのおかかの方の二役で登場、存在感を見せつける。

ただ、家庭を顧みない山師として描かれている森繁が、本来の無類の女好きという設定からやや離れていたり、全く鉄道や駅らしきものが登場するシーンがないので、「駅前」らしさは薄いと感じる向きもあるかも知れない。

往年のNHKの人気ドラマ「事件記者」の面々(原保美、園井啓介、滝田裕介、近藤洋介)や、警官役として谷幹一がゲスト出演してところが見物。