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喜劇 駅前満貫

1967年、東京映画、藤本義一脚本、佐伯幸三監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

恵比須駅で改札口で切符が見当たらないことに気づく染子(池内淳子)、駅員(立原博)にせかされ、慌てている所に近づいた見知らぬ男(森繁久彌)、90円の切符代を一方的に立て替えて、ちゃっかり染子の手を握って去っていく。

染子は、坂井プランニングセンターという事務所に、かつて梅川で一緒だった坂井(フランキー堺)と再会、孫作(伴淳三郎)の近況を尋ねるが、孫作は伊豆に行っており、月に2、3度しか上京しないと聞かされる。

坂井は、あれこれ怪し気な発明を考えては売る商売をやっているらしい。

それで、同じく梅川での同僚だった景子(淡島千景)の所へ寄りたいと住所を尋ねると、近くにある満貫荘という麻雀屋を経営していると教えられる。

そこへ行く道を、途中のラーメン店珍萬亭の主人久さん(山茶花究)に聞くと、ちょうど出前先だというので一緒に連れていってもらう。

そこで、店番をしていた景子の息子徳一(松山英太郎)に、近くの実家にバイクに乗せて連れていってもらい、ようやく、染子は旧友と再会することができる。

染子は、大坂の化粧品店のボンボンと結婚しているといい、生活のため、二階を人に貸そうと考えているという景子の言葉を聞き、自分に貸してくれないかと言い出す。

実は、結婚した松木三平(三木のり平)という亭主と巧くいかず、別れたいというのであった。

そんな所へ帰って来た徳之助(森繁久彌)は、染子の顔を見てビックリ、駅で手を握ったあの女性だったからだ。

かくして、染子は、景子、徳之助夫婦の自宅の二階に住みはじめるのだった。

その頃、伊豆でみかん園を経営していた孫作と妻(乙羽信子)は、逃げた女房を捜している三平の話を聞いていた。

同情した孫作は、自分が資金を出している坂井プランニングセンターで勤めながら染子を捜せと紹介し、当座の生活資金として5万円もカンパしてやる。

上京し、坂井プランニングセンターで働きはじめた三平だったが、次郎発明の怪し気な機械を売ると称しては、かねてよりお気に入りのホステス鹿子(野川由美子)がいるキャバレーへ出向き、ママ(横山道代)からも露骨に嫌な顔をされるが、五万円を持っている所を見せ、まんまと鹿子のいるテーブルへ。

しかし、そこには徳之助という先客がおり、二人は鹿子の口車に乗せられるままに、彼女のアパートへ出向き、手足を縛られ、朝を迎えたかと思うと、有り金全て彼女に抜かれた状態で外へ放り出されてしまう。

外泊をごまかすため、互いに戦友だったとことにしようと口裏を合わせて、徳之助の自宅に帰った二人だったが、松木の正体を知っている上に、二階の染子に会わせる訳にはいかないと判断した景子に、小言を食らって松木は追い出されてしまうのだった。

さらに、きっぱり、染子と三平を別れさせた方がいいと考えた景子は、伊豆の孫作の元を訪れるのだが、同じく、新しく考案したポータブル電気麻雀の機械を製作するために10万円の資金提供を頼みに来た坂井に、孫作は、坂井プランニングセンターはもう止めて、不動産屋にすると申込を断わる姿を見るのだった。

その後、自宅へ戻った景子は、資金提供者がなく行き詰まっている次郎に対し、2階で染子と一緒に住めば、10万円出してやると大胆な提案をする。
染子と次郎が、そのまま結婚してくれればという策略だった。

次郎は、かねてより、プランニングセンターで助手をやっていた松田千代子(松尾嘉代)と恋人付き合いをしていることもあり、彼女に断わった上で、染子と一緒の二階に住みはじめることになる。

一方、又しても連絡が途絶えた三平を捜しに上京した孫作は、鹿子のアパートを訪ねるが、そこで又しても、鹿子の魔の手に引っ掛かった孫作、遅れて訪ねて来た妻にこてんぱんにやっつけられることになる。

やがて、伊豆のみかん園に町内で出かける計画が起き、出会ったその日から一目惚れ状態であったラーメン屋の久さんも、徳一の言葉に乗せられて参加することになる。

景子と染子も出かけ、徳之助だけが留守番をすることになったのだが、忘れ物を取りに独り戻って来た染子を見るや、徳之助は仮病を使って、まんまと彼女を引き止めることに成功する。

女房がいない隙に、ようやくかねてより目を付けておいた染子と一緒に時間を過ごすチャンスを手に入れた徳之助だったが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シリーズ18作目。

フランキーの恋人役として松尾嘉代が初登場、その初々しい美貌は魅力的。

彼女との仲がクライマックスを迎える時には、加山雄三の「君といつまでも」の曲がかかり、フランキーが「ぼか〜、幸せだな〜」などと加山のセリフをいっている所から、若大将人気が絶好調の時期の作品だったことが分かる。

おじさまたちを翻弄する野川由美子の演技は磨きがかかり、地方から上京して来た小金持という設定の伴淳を、徹底的にいじりまくる彼女の小悪魔的演技振りは見事というしかない。

いじられる伴淳の方も手慣れたもので、その場に出現した女房役の乙羽信子との喧嘩シーンでも笑わせる。

ゲスト出演しているかしまし娘も元気一杯。

劇中、甘えようとするのにつれない素振りの妻、淡島千景に対し、愚痴るように「昔は、夫婦善哉で…」と、楽屋落ちを口走る森繁が、映画ファンにはおかしい。