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喜劇 駅前漫画

1966年、東京映画、長瀬喜伴脚本、佐伯幸三監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

おかしな改造オープンカーに乗って来た怪し気なスーツ姿の男、バックを大事そうに抱えて、とある建物の二階の部屋に忍び込むと、待ち受けていた3人の男女の前で、バックの暗号錠を「007」に合わせる。

中に入っていたのは、大量の鯛焼き。

漫画家坂井次郎(フランキー堺)が、アシスタントのマスオ(松山英太郎)イタ子(横山道代)ミミ子(黒柳徹子)のために、おやつを買って来たのであった。

仕掛けだらけの仕事部屋「サカイマンガコーボー(工房)」の中に据え付けられている望遠鏡で、外の道に落ちていた百円札を見つけたマスオは、喜んで拾いに外に出るが、その百円札は小学生の音松(蔵忠芳)と久太郎(頭師佳孝)の仕掛けたいたずらだった。

音松と久太郎は、いつも、由美(大空真弓)が働くガソリンスタンドに置いてあるマンガ雑誌を立ち読みしていたが、そこへ音松の父親、松木三平(三木のり平)が車がパンクしたとやってくる。
しかし、それも音松達が仕掛けたいたずらだった。

久太郎の両親、伴野孫作(伴淳三郎)と藤子(淡路恵子)が経営している伴野商会は、ブリキの玩具を作っている町の零細企業。

しかし、最近は戦車や戦闘機、軍艦といった古い玩具が売れなくなってしまい、工場の持主でお得意先の井矢見ストアの井矢見太郎社長(山茶花究)からも返品の山。

その結果、借金を取りに来た取引相手の松木にも全く金を払えない状態であった。

もちろん、松木の方も、帰宅後、待ち受けていた妻(中村メイコ)に、金がもらえなかったと報告したため、晩御飯も抜かれてしまう始末。

息子の久太郎から、オバQを売り出せばとアドバイスを受けた孫作だったが、夜、夢にうなされることになる。

工場の棚に並んだ戦車や兎の人形、ブリキのロボットたちが全部動き出して、自分達が廃棄処分になることを知り騒ぎだす。

やがて、そのおもちゃたちが前進しだし、廊下を通って伴淳のいる部屋へ入り込む。

伴淳は、自分を踏みつぶしそうになる戦車をはねとばした後、砂漠の中に逃げ込むのだが、たくさんのQ太郎(声は曽我町子)が出現、出現した巨大ロボットや軍艦と戦うのだった…。

連載を持っている週刊コメディ編集部に遊びに来ていた坂井は、編集長(市村俊幸)から大嫌いなトコロテンを振舞われ、胸がむかつく。

その編集長から、月世界をテーマにした新しいマンガが描けないだろうかと相談を受けた坂井、途中で立ち寄ったガソリンスタンドで、相変わらず立ち読みをしていた音松と久太郎に、最近、どんなことが学校で流行っているかと訪ねると、どこでも好きな所へいける「月、月、月」という呪文が流行っているという。

そこへ、ガソリンスタンドのオーナーでもある井矢見とその息子チビ太(中谷清昭)が車で乗り付けて来たのを目撃した坂井、その車に同乗していた美しい女性に一目惚れしてしまう。

後日、坂井の仕事部屋の真下に当る一階部分が改装工事を始める。

うるさいので、文句をいいに降りて来た坂井は、そこで井矢見と先日の美女に出会うことになる。

何と、染子(池内淳子)というその女性が、新しくお汁粉屋を始めるのだという。

思わぬ展開に喜んだ坂井は、空いた壁面にマンガを描いてやろうかと申込むが、井矢見は相手にしない。
結局、その場に居合わせた伴野のアイデアで、由美の父親で画家の森田徳之助(森繁久彌)に描いてもらおうということに話がまとまる。

しかし、出来上がった壁画は画風が古いと、井矢見が勝手に町内の洗湯の壁絵として売り、お汁粉屋の壁面には、自分が頼んだ絵を独断ではめ込んでしまう。

一方、何とか染子に近づこうと、徹夜明けの仕事場から、出来たばかりのお汁粉屋に直行した坂井は、染子が振舞ってくれたトコロテンを無理して食べてしまい、腹痛を起こすはめに…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シリーズ15作目。

少年コミック誌ブームを背景に作られた、ファンタジー色の濃い異色編。

オバケのQ太郎がアニメと実写で登場し、伴淳やフランキーと絡むサービスシーンもある。

井矢見を演じる山茶花久は、見た目は普通の紳士風だが、言葉は「おそ松くん」のイヤミと同じ。
後半で、「シェー!」も披露してみせる。

フランキー演じる漫画家、零細玩具工場の主人を演じる伴淳が、マンガ関連の仕事なのに対し、森繁扮するのは、マンガとは違って、レトロな童画風の絵を描く売れない中年画家の役。

これは、明らかに「週刊新潮」の表紙画でお馴染みだった谷内六郎さんをモデルにしたキャラクターだと思われる。

実際、劇中でも、洗湯に飾られたその画風は谷内氏の作風そのものだし、雑誌の表紙を飾るようになるというエピソードも同じ。

この森繁が、子供達と戯れる様は、叙情的でほのぼのとした気分にさせられる。

フランキーのアシスタント役で登場する、奇抜なファッションに身を包んだ若き日の黒柳徹子が見物。