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喜劇 駅前競馬

1966年、東京映画、藤本義一脚本、佐伯幸三監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

第六レース社という競馬新聞を個人で出している坂井次郎(フランキー堺)は、馴染みの駅前売店で、馬のことなら何でも知っていると豪語する、奇妙な馬面の男を見かける。

その頃、郷里の群馬から帰って来た景子(淡島千景)、由美(大空真弓)姉妹と、駒江(乙羽信子)の 仲良し三人トリオは、互いに子宝に恵まれない身の上を相談しあっていた。

由美の亭主は次郎、景子の亭主は漢方を使ったスタミナ料理屋の主人、徳之助(森繁久彌)、そして、駒江の亭主は洗湯「駒形湯」の主人三平(三木のり平)であったが、各々の亭主はみんな競馬に夢中という困った共通点を持っていた。

その頃、駅で小田鹿子(野川由美子)と待ち合わせていた例の馬面の男、馬太郎(藤田まこと)は、巧く親父を騙してくれと打合せをして、彼女を郷里で馬を世話している孫作(伴淳三郎)が一人で暮す実家に行かせていた。

上ノ山村で、ダイニヨシツネという駄馬を育てていた孫作は、突然若い鹿子の訪問を受け面喰らう。

位牌を持って来た彼女がいうのには、中学の時家出した馬太郎はヤクザと喧嘩して死んでしまったので、女房だった自分をここにしばらく住まわせて欲しいという。

戸惑いながらも、成りゆき上断わる理由もない孫作は、鹿子と二人暮しを始める。

一方、馬太郎の方は、競馬場で常連の徳之助、三平らに声をかけ、馬主になった方が儲かるとけしかけていた。

不妊の原因を調べるため病院で検査してもらっていた景子、由美ら三人の妻らは、全員問題ないとの診断を受け、夫たちに全責任を押し付けてくる。

妻たちの要求に困った次郎は、こうなったら、三夫婦の内、どこが最初に子宝に恵まれるか競争しようと、他の二人に提案する。その賞金は、例の馬太郎に頼んで競争馬を買い、その馬がレースで稼いだ賞金を分けようではないかと話がまとまる。

かくして、馬太郎と元騎手だったという三平は、上の山の競りに出かけ、鹿子が孫作に無断で持ち出し、競りにかけていたダイニヨシツネを、馬太郎にいわれるがまま買ってしまう。

金が入った馬太郎、調子に乗って、おでん屋の女将染子(池内淳子)とつい遊んでしまうが、それを見とがめたのが、かねてより、染子と付き合っていた予想屋の久造(山茶花究)だった。

しかし、そこは口八丁の馬太郎、何のかのと話を持ちかけ、久造にも馬主の一人として出資させてしまう。

ダイニヨシツネの馬主になった徳之助と三平は、馬の名前をヨシツネひかりと変え、すっかり御満悦だったが、そこへ久造も馬主として出現しただけでなく、馬の調教師たちから、この馬は駄馬で、あんたたちは悪い奴に騙されたんだと教えられる。

そんなヨシツネを捜して、独り上京して来た孫作は、たまたま立ち寄った第六レース社にいた次郎と徳之助にヨシツネのことを話し、彼らは揃ってヨシツネの厩舎へ向うのだが、そこでヨシツネを缶詰め工場へ売ろうとしていた馬太郎にばったり出くわすのだった。

息子が生きていたのみならず、自分を騙していたことに気づいた孫作だったが、当の馬太郎は、隙を見て、三人の元から一目散に逃げ出してしまう。

金がない孫作は、宿を求めて染子の店へやって来るが、そこで同じく馬太郎から金を貰い損ね、無一文で働いていた鹿子と再会。さらに、質屋の真似事もやっている染子に頼み、自分の身体を質草として金を借りるのだった。

ヨシツネヒカリは結局、競馬の先頭馬としてレース場に入ることだけは出来たが、始まったレースに、いきなり、柵の外から飛び込んで、競走馬と一緒に走り、見事一着になってしまう。

ヨシツネに可能性を感じた徳之助たちは、ヨシツネの体質改善をして、本格的な競走馬として鍛え直すことにする。

かくして、駒形湯に用意された馬用特大トルコ風呂でダイエットさせたヨシツネヒカリは、見違えるような競走馬となり、いよいよレースに参戦することがなるのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シリーズ17作目。

若干テンションが下がった前作を意識してか、この作品と次の「駅前満貫」では、藤本義一が脚本を担当して、ちょっと新しい感覚を取り込んでいる。

若い頃、その風貌から「馬ネタ」を良く使っていた藤田まことと、キュートなお色気が魅力だった野川由美子を中心に、前半は、若くはつらつとした二人に翻弄されていくおじさんたちの顛末、後半は、騙されたに見えたおじさんたちが、一致協力して、駄馬を立派な競走馬に育てるまでが描かれている。

馬とおじさんたちの物語が中心になっている分、レギュラー女優陣の印象は若干弱くなっている。

身持ちが堅いイメージがある染子役の池内淳子は、今回珍しく、強欲であるばかりでなく、尻軽でもあるはすっぱな女を演じている。

往年の人気TV番組「11PM」大阪版で司会の藤本義一とコンビを組んでいた安藤孝子や、「馬」繋がりで三遊亭小金馬などがゲスト出演している。