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地震列島

1980年、東宝映画、新藤兼人脚本、大森健二郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

関東大震災を予知したとして有名な川津是親の娘婿、川津陽一(勝野洋)は、恩師丸茂教授(大滝秀治)が会長を勤めている地震予知会の一員だったが、その月例会で、大島の三原山での溶岩の上昇、岩槻の傾斜計の異常等を例に取り、後30日以内に、東京に直下型の大地震が起きると爆弾発言し、他の委員たちからひんしゅくを買う。

川津の発言意図は、防災意識の薄い政府を動かすための半分ははったりだったのだが、この発言が丸茂の逆鱗に触れる事になる。

又、一応内部だけに止められたこの話は気象庁長官(山崎努)から、内閣官房長官(佐藤慶)の耳へと伝わり、関心を持った官房長官は、その後の川津の行動を監視する事になる。

その日、同じ研究所の一員で、プライベートな付き合いもある芦田富子(多岐川裕美)のマンションでひと休みした後帰宅した川津は、息子の隆一が祖母(村瀬幸子)を転倒させ怪我を負わせたと聞き、病院へ駆け付けるが、そこにいた妻裕子(松尾嘉代)や軽症だった祖母は、丸茂からの連絡を受けており、川津家の体面を汚したとして彼に冷たい態度を取るのだった。

一方、芦田富子の幼馴染みでルポライターをやっている橋詰(永島敏行)は、カメラマン(松原千明)と共に、地震の前触れを知らせると言われている雉の取材のため、雉に詳しい農家の主人(三木のり平)を取材した後、富子のマンションに寄るのだが、この時、富子の口から川津の爆弾発言の事を打ち明けられる。

この時から、橋詰は川津の取材を積極的に始める事になり、とうとう、テレビ局で川津の説を発表させる段取りまで整えることに成功する。

しかし、橋詰と共にテレビ局に到着した川津は、何者かに拉致されてしまう。

実は、数日前、ゴルフコンペに訪れていた首相(佐分利信)に対し、近い内に地震は来ると断言した川津を注目していた官房長官の差し金だったのだが、官邸の地下2階に設置された災害対策本部で首相と再び対面させられた川津は、テレビ用に用意していたビデオを首相に見せ、東京の防災をせずにこのまま大地震が起きれば、その復興資金は国家予算の3倍もかかると力説するが、首相はそれを聞き流してしまう。

富子には、結核を患い長期療養している父親(松村達雄)がいる事もあり、ある日富子は川津に対し、二人の中を清算しようと切り出すが、逆に川津は富子に求婚するのであった。
実は川津は、家庭内においては完全に孤立しており、すでに裕子からは離婚の意思を伝えられていたのだった。

その後、裕子が川津が再婚すると言う富子と一度会いたいと言い出し、仲人を勤めてくれた丸茂教授にも同席の許可を得て、翌日、表参道の割烹料理屋で会う段取りを決めた川津だったが、その頃、マリアナ海溝では火山爆発が起こり、各地の装置も異常な数字をはじき出すようになる。

翌日、地下鉄赤坂見附で落ち合い、二人で地下鉄に乗り込んだ川津と裕子、その頃、マンションを出ようとしていた富子、その富子に会いにマンションのエレベーターに乗り込んだ橋詰、大阪から飛行機で羽田に到着しかけていた丸茂らは、全員、時ならぬ、東京直下型の大地震に遭遇する事になる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

表面上は、防災意識の喚起を謳ったメッセージ映画のように見えるが、どう観ても「日本沈没」の二番煎じを狙ったようなデザスター(災害)映画。

特別スタッフとして、「日本沈没」と同じ竹内均、大崎順彦、諏訪彰各氏らが名を列ねている事もあるが、独り自らの学者生命を賭けて、政府に都市防災の再認識を迫るため暴走気味になる地球物理学者の主人公なども、「日本沈没」の田所博士そのままといった感じ。

物語は、この科学者とプライドの高い妻と愛人、さらにその愛人を秘かに想っている幼馴染みとの四角関係を中心にした大人のドラマとして構成されているのだが、大方の観客の関心は、最初から大地震に寄る特撮スペクタクル部分であり、比較的早い段階でスペクタクルが始まる「日本沈没」に比べ、後半になるまで見せ場がない本作は、キャスティングの地味さも相まって、どこかインパクトに欠ける点は否めない。

首相役が高齢の佐分利信というのも、いかにもキャラクター的に弱く、大地震襲来を前に成すすべなく立ちすくんでいる姿はリアルなのかも知れないが、どこか映画的に物足りなさを感じるのも確か。

ただし、特撮部分に関しては、それまで、東宝特撮の弱点として指摘されていた「ミニチュア表現ばかりに傾きがちで、本編部分と連動したスペクタクル感が弱い」という部分を解消するため、地下鉄の車両やマンションの部屋等を実物大でこしらえ、それを破壊して、水攻め、火攻めの連続で見せていくと言うハリウッドばりの見せ方への挑戦は、それなりに評価したい所。

ミニチュア特撮部分に関しては「日本沈没」と同様、さほどリアルな感じでもないのだが…。

この作品、公開時には、劇中で登場するマンションが実在するものをモデルにしていると、その事への訴訟問題ばかりが面白おかしく取りざたされ、まともに作品としての評価がされないまま忘れ去らてた感じがするのが惜しい。

作品としての出来不出来はともかく、田中友幸プロデューサーの作品としては「日本沈没」(1973)と「’84ゴジラ」(1984)を繋ぐ、橋渡し的な存在だったのではないかと今感じる。

個人的には、ちょい役で登場する三木のり平や、始終不機嫌な芝居をしている大滝秀治が印象に残った。

同じ年に公開された「復活の日」同様、後半、ドロドロ汚れメイクになる多岐川裕美にも注目したい。


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