1973年、東映東京、真樹日佐夫+影丸譲也原作、松本功+山本英明脚本、三堀篤監督作品。
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名門として知られる都立鷹の台高校水泳部、顧問教師と共にその練習振りを観察していた先輩の大貫は今年は大学に推薦できるほどの選手がいないと嘆いて帰りかけるが、そこに安井という生徒が、今日、父親が招待しているので来てくれないかと大貫に声をかけ、周りの仲間たちにももっと頭を使えと自慢げに諭していた。
暗に裏口入学の事をほのめかしていたのだが、その時、そんな水泳部の連中の頭上に、女性用の水着が降って落ちてくる。
水泳部の連中が見上げると、飛び込み台の頂上に男の影。
ワルといわれ恐れられている氷室洋二(谷隼人)であった。
氷室は、水泳部の連中のせこさを嫌い、プールサイドで大暴れすることになる。
数日後、大関(安岡力也)らが教室でさいころ博打をしている教室に、新任の体育教師でクラスの副担任となるという島健作(佐藤允)が入ってくる。
彼は、柔道5段の腕前で全日本代表にもなった猛者だという。
氷室の矯正を意図した島は、柔道の稽古と称して、氷室をこてんぱんに叩きのめす。
そんな島の強行手段が学内で許されていたのは、PTA会長の武見総太郎(水島道太郎)が彼の推薦人だったからである。
都議会議院への立候補を目指している武見は、自分の娘の亜矢子(大森早苗)の結婚相手として、島を考えていたのだった。
そんな島と亜矢子のデート現場に現れた氷室、今回は得意の木刀で勝負を挑み、島を負傷させる。
この事件に激怒した、氷室の父で剣道無心塾の師範でもあった洋之進(安部徹)は、洋二を勘当してしまう。
かくて、氷室は、かつての教師で、今はバーのホステスをしている美杉麗子(渥美マリ)のアパートに転がり込むことになる。
そんなある日、砂浜で剣道の練習をしていた氷室の元へ、レイプされたかのような女二人が駆け寄り、彼の持っていた木刀を奪い取ると、そこへバイクに乗った武見順平(小野進也)らが襲ってくる。
そんな彼らをも撃退した氷室は、先ほど騙して来た女の身体にも傷をつける。
その仕返しのため、その女たちは、バー勤めを終えた麗子を拉致して男に暴行させるのであった。
その後、すっかり身も心も荒んでしまった麗子は、酔ったはずみで車に轢かれそうになる。
その車に乗っていたのは、島との婚約パーティから抜け出して来ていた亜矢子だったのを目撃した氷室は、彼女を捕まえ、強引に乱暴する。
その事実を知った弟の順平は、大学の柔道部の連中などを呼んで、氷室を襲撃するが、逆に全治3ケ月の重傷を負わされてしまう。
さらに、そんな氷室を説得するために、習い覚えた剣道で勝負を挑んだ担任の宇津木教諭(三角八郎)は、折れた木刀が腹部に刺さり、そのまま病院で死亡してしまう。
宇津木は死ぬ前に、この事故の責任は自分にあると言い残していたが、その場にいた島は、意図的にそれを殺人だったと遅れて到着した刑事に伝えてしまう。
この事件の責任をとって、父、氷室洋之進は割腹自殺、洋二は特別少年院へ送致されることになるが、後に同じ房に入って来たかつての悪友(尾藤イサオ)の話によって、自分をはめた島が、もうすぐ、柔道の使節としてブラジルへ渡ることを知る。
氷室は、島への復讐を果たすために、麗子の協力をあおぎ、脱獄を計るのだった…。
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少年マガジンに掲載されていた劇画の映画化で、シリーズ2作目に当る。
今となっては、こんなエロとバイオレンスに終始した内容が少年雑誌に掲載されていたこと自体が驚きなのだが、当時は、青年コミック誌と少年コミック誌の境がまだ曖昧で、大学生などが少年雑誌を好んで読んでいた時代である。
映画版の方も冒頭からお色気サービス満載なのだが、今観ると、さほど過激というほどでもなく、主人公がやたら高い所に立って登場したり、トランポリンアクションなどが使われていたりと、どちらかというとテレビの変身ヒーローもののようなノリで作られている。
劇中、主人公氷室洋二のライバル的人物として登場してくる小野進也は、前年、テレビドラマ「ワイルド7」(1972)で主人公の飛葉を演じた男。
氷室を演じる谷隼人も、この小野進也も、共に典型的な劇画風二枚目。
こういうキャスティングにも、テレビヒーローものの延長のような意図を感じる。
全体的にチープな感じではあるが、若者向けのストレス発散型アクションものとしては、それなりに面白く出来ており、シリーズが3本も作られたというのも分かるような気がする。
また、氷室の舎弟的存在であり、その濃い見た目に似合わず、ちょっとヘタレが入っている不良学生を演じている若い頃の安岡力也もハマリ役。
他にも、東宝系の佐藤充や大映系の渥美マリ、松竹系の佐藤蛾次郎などが集結しているのが、ちょっと珍しい。
なかなか渋い主題歌も歌っている尾藤イサオは、氷室のダチとして本編にも登場して後半活躍してくれる。
