TOP

映画評index

ジャンル映画評

シリーズ作品

懐かしテレビ評

円谷英二関連作品

更新

サイドバー

駅馬車

1939年、アメリカ、アーネスト・ヘイコックス原作、ダドリー・ニコルズ脚本、ジョン・フォード監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

騎兵隊の部隊に、アパッチ賊の首領「ジェロニモ」が出没しているという電報が届く。

その頃、ドライフォークからの駅馬車がトントの町に到着する。
御者 バック(アンディ・デヴァイン)は、銀行の頭取ゲートウッド(バートン・チャーチル)に、運んで来た5万ドルの現金を渡す。

さらに、バックは保安官事務所で護衛を頼むが、刑務所からリンゴ・キッドが逃げ出したのでダメだと一旦断わられるが、これから向うローズバーグの町で、ルーク・プラマーら三兄弟を見かけたとバックが話すと、保安官のカーリー(ジョージ・バンクラフト)が同行することになる。

馬車に乗り込むのは、アルコール依存が過ぎて、婦人矯正会のメンバーたちから町を追放されることになったドクター・ブーン(トーマス・ミッチェル)、彼に同行することにしたダラス(クレア・トレバー)、ローズバーグにいる夫のマロリー大尉に会うために、身重であるにもかかわらず、はるばるバージニアからやって来たルーシー(ルイズ・プラット)、酒の行商人ピーコック(ドナルド・ミーク)、そして、女性たちを護衛するためにと、賭博師のハーフィールド(ジョン・キャラダイン)、そして、何となく言動が怪しくなった銀行頭取ゲートウッドの6人。

電報が普通になったし、アパッチが待っている気配があるということで騎兵隊が護衛に付くことになる。

かくして、トントを出発した駅馬車は、途中で、一人の男を拾うことになる。
その男こそ、リンゴ(ジョン・ウェイン)であった。

彼は、ライフルをカーリーに預けると、大人しく馬車に乗り込む。

中継地に到着した騎兵隊は、命令では護衛はここまでなのでと帰ってしまう。
ルーシーの夫は、アパッチ賊を追って、先の町へ移動したという。

馬車の乗組員たちは、この先、騎兵隊の護衛なしでも進むかどうかの決を取ることになり、結局、進むことになる。

何とかメキシコの町へ到着した一行だったが、ルーシーが会いたがっていたマロリー大尉は、怪我をしてローズバーグへ運ばれたという。

その言葉にショックを受けたルーシーは、長旅の疲れも重なり、倒れ込んでしまうのだった。

彼女が出産間近だということに気づいたダラスたちは、準備に取りかかるが、泥酔したブーンは無理矢理酔いを冷まさせて、出産に臨むのだった。

赤ん坊が生まれた翌朝、宿の主人の妻でアパッチ族の女や町の住民たちがそっくり姿を消し、一行は、アパッチ族襲来の時期近しと判断する。

そんな中、リンゴから求婚されたダラスは、こっそり彼を逃そうとするが、山の頂上から上るアパッチ族の狼煙を見かけたリンゴは、逃亡を止め、カーリーと共に駅馬車に戻り、一行はすぐさま宿を後にすることになる。

やがて、アパッチ族に焼き討ちされたような町を通過し、橋がなくなった川を渡ったところで、アパッチ族の放った矢がピーコックの胸に刺さり、駅馬車は、大勢のアパッチ族の追撃から必死に逃げようと戦うことになる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

この作品、今観ると、駅馬車に乗り込む人物たちの背景をはじめ、釈然としない部分が結構ある。

今、この作品を作るとすれば、後半のサスペンスを盛り上げるために、もう少し、人物設定などは丁寧に描くのではないだろうか。

しかし、これはもちろん、この作品が作られた時代というものを考えねばならず、当時の倫理上、はっきり表現できなかった部分もあるだろうし、逆に、当時のアメリカ人の観客には、説明しなくても理解できた類いのことなのかも知れない。

又、そうした描写をくだくだしく語るより、観客の想像に委ねた方が良いという監督の判断だったのかも知れない。

逆にいえば、今のハリウッド映画は、あれやこれや説明し過ぎだし、観客の方も「ツッコミ探し」のような味方をする傾向が増えて来たのかも知れない。

とはいえ、危険地帯を通過するサスペンスものというシンプルな基本ラインは、今観ても十分伝わって来るし、有名なスタント技満載のクライマックスシーンの迫力も色褪せていない。

粋な終り方も嬉しい。

何より、若々しいジョン・ウェインが朴訥な青年風で好ましい。

今は観る機会が少なくなり、馴染みの薄い西部劇というジャンルを知る手がかりとして、初心者でも比較的理解しやすい入門編的アクション作品ではないだろうか。