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新諸国物語 紅孔雀 完結篇
廃墟の秘宝

1955年、東映京都、北村寿夫原作、小川正脚本、萩原遼監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

浮寝丸(東千代之助)と小四郎(中村錦之助)の勝負の場に駆け付けた五升酒の猩猩こと主水(大友柳太朗)は、又しても心を迷わせた浮寝丸を諭し、勝負をやめさせるのだが、その様子を近くから見ていた黒刀自(毛利菊枝)は、又しても変心した浮寝丸を懲らしめるため嵐を呼び起こすが、それに負けじと横笛を吹き鳴らした浮寝丸の両の目は不思議なことに開くのであった。

それを見て観念したのか、黒刀自はみんなの前にひれふして、実は浮寝丸はされこうべ党の首領の家に生まれたというのは真っ赤な偽りで、本当は白鳥党の姉小路大納言の息子であり、18年前に連れ去られたその大納言は今、ギヤマン御殿に幽閉されていると告白するのだった。

その頃、花の島では久美を、海賊の川合軍太夫と鬼鮫(団琢磨)がさらおうとして、信夫一角(三条雅也)と対峙していた。
軍太夫は、久美を帰して欲しければ、髑髏丸に紅孔雀の鍵をもってこいと言い残して去る。

一方、海岸に流れ着いていた白鳥草を発見した風小憎とおつやは、神社に預けた久美に会いに出かけるが、久美の姿は消えており、裏に回ってみると神社の下に穴を発見、その中に入ると、そこの牢に幽閉されていた那智の嘉門(有馬宏治)を発見するが、二人とも一角に発見され、そのまま牢に入れられてしまう。

改心したかに見えた黒刀自だったが、夜の間に阿漕太夫の待つギヤマン御殿に出かけ、浮寝丸が裏切ったとを報告していた。

そうした黒刀自の動きを察した小四郎たちは二手に別れることにし、浮寝丸は藤内(高松錦之助)、楓(和田道子)と共に父親を助けるためにギヤマン御殿へ、小四郎は主水と共に嘉門がいそうな花の島へ向う。

ぎやまん御殿では、一角の元配下だったひさごと海猫のお婆も阿漕太夫の手下にしてくれと訪ねて来ていた。

花の島に到着した小四郎と主水は、おつやがいなくなったと騒ぐ海助たちの姿を見て、二手に別れて子供達の捜査を開始する。

どくろ丸に単身乗り込んだ一角は、鍵と久美を引き換えようとするが、秘宝の地図を持っていると言う軍太夫の言葉を聞き、手を組むことにするのだが、そこへ現れたのが一角の姿を見かけて後を付けていた小四郎。

小四郎は、鬼鮫の撃つ鉄砲を避けながら、久美を連れて海に飛び込む。

その頃、浮寝島のギヤマン御殿では、侵入した浮寝丸たち三人が、阿漕太夫たちの待ち伏せを受け、落とし穴へと落とされていた。

しかし、スパイだった鬼鮫から、一角と軍太夫が手を組んで花の島の山中に入ったことを知らされた阿漕太夫は、遅れてはならじと、一党を連れて秘宝の眠る花の島へ渡る。

その隙に、以前よりギヤマン御殿の様子を偵察していた野反玄太に助けられた浮寝丸たちは、地下牢に閉じ込められていた父、姉小路大納言を救出、その大納言の言葉により、久美が実は自分の妹だったと言う事実を知らされた浮寝丸も又、花の島へと向うのだった。

花の島では、漁師の海助に救助されていた小四郎に、気づいた久美が又襲いかかろうとする。

そこへ帰って来たのが、神社で、幽閉されていた嘉門と風小憎、おつやを見つけた主水一行。

風小憎は、持っていた白鳥草を小四郎に渡し、その花の匂いを嗅がされた久美は、元の優しい心を取り戻す。
彼らも嘉門を伴い、秘宝の眠る山中へ向う。

また、戸がくれ老人(市川百々之助)の元で病の事に付いていた弘念和尚(岸井明)も、小鳥の言葉から、花の島の様子を聞き出したくるみ(夏木葉子)の言葉に慌て、幾重(西条鮎子)、老人らと共に花の島へ向うことにする。

一足先に、目的の場所に到着した一角たち一行は、鍵で洞窟内の岩を開け、そこに眠っていた黄金の山を目にするのだが、一角は油断していた軍太夫を斬り殺し、財宝を一人占めしようとする。

そこへ、遅れて到着した阿漕太夫一味、さらに小四郎、主水一行、さらに遅れて浮寝丸一行も合流し、洞窟内での最後の大決戦が始まるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

大ヒットした子供向け時代劇五部作の最終作。

完結篇の宿命とはいえ、前作までに設定された謎やサスペンスを、ことごとく都合良くまとめてしまう強引さに唖然とさせられる一篇。

その分、展開も早く、見せ場もこれまでの各篇の中では一番多いともいえる。

特に、主要人物たちの不思議なつながりが明かされる当たりは、いかにも大河ロマンといった趣き。

ただ、正直言えば、ものすごくスケールの大きな冒険ファンタジーを予感させる導入部分がありながら、回を追うに連れ見る見るスケールダウンし、最後は、単に、小さな漁村一帯の勢力争いを見せられただけのような印象になっているのが残念。

原作となったラジオドラマの方は、もっとディテールも描いていたのかも知れないが、映画では、随分要所要所をはしょった感じで、展開が早い割には説明不足の面も多く、理屈で考え出すと分からないことだらけ。

低予算で作られているので、大仰なタイトルの割には、ビジュアルも大したことなく、当時の子供達の想像力で補っていた部分が多いのだろう。

全編御都合主義の固まり、子供騙しそのものと言ってしまえばそれまでだが、何も考えず、子供に戻った気持ちで素直に楽しむのが一番。