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新諸国物語 紅孔雀 第三篇
月の白骨城

1955年、東映京都、北村寿夫原作、小川正脚本、萩原遼監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

浮寝島から独り船で流された久美は、花の島に漂着し、風小憎と海助の幼女おつやに助けられるが、髑髏葛の毒で心を蝕ばれてしまっていた久美は、小四郎を殺すといいながら二人を後に歩き始める。

久美の様子のおかしいのに気づいたおつやは、この島に100年に一本だけ咲く白鳥草という花の匂いをかげば、心が洗われると風小憎に教え、二人はちょうど今年がその100年目だと言う白鳥草を捜しはじめる。

その頃、吉野の山の禿鷹峠で、一角の放った鉄砲に肩をいぬかれて崖から落ちていた小四郎は、一角の手下たちに発見され、そのままアジトの牢の中に幽閉されてしまう。

一方、那智の嘉門の屋敷では、藤内(高松錦之助)の娘楓(和田道子)が、小四郎の身を案じて旅立つが、すぐに一角の手下の山賊たちに捕らえられ、同じくアジトの牢に入れられてしまう。

楓の後を追った藤内と弘念和尚(岸井明)は、山で海猫のお婆に水筒の水を全て飲まれてしまうが、その後、同じく、お婆に襲われながら助かった小四郎の姉幾重(西条鮎子)とも出会い、三人して一角のアジトに忍び込むが、手下たちに嗅ぎ付けられ、楓を救っただけで一旦身をひくが、そこで五升酒の猩猩こと主水(大友柳太朗)と出会う。

久美がすっかり人が変わったことを、見張りのひさごから知らされた一角は、さっそく久美に合流し、彼女を自分のアジトへ案内するのだった。

久美は、牢に取り残されていた小四郎を牢の外へ連れ出し、そこでいきなり斬り付けようとするが、小四郎の必死の説得に心を怯ませたので、黒刀自の魔力で一天にわかに書き曇り、二人は落雷に打たれてしまう。

倒れた二人を救って、自分の住処に運んだのは主水であった。

主水の住処で気が付いた久美は表面上以前のままのように装っていたが、白鳥党を憎む気持ちに変わりはなく、まずは川で洗濯をしていた楓と幾重を襲うが、主水に妨害され失敗、続いて、突然出現した一角と共に、寝込んでいる小四郎を襲いに行くが、そこに駆け付けたのが、白鳥草を探し当て持って来た風小憎。

風小憎は、久美に花の匂いを嗅がそうとするが、一角に邪魔され、花は川に流されてしまう。

病床の小四郎を短刀で付いた久美だったが、刺した相手はいつの間にか石像に変わっていた。

小四郎の危機を救ったのは、嘉門の友人で胡蝶ケ岳に住む戸がくれ老人(市川百々之助)、彼は鳥の言葉を理解すると言う娘くるみ(夏木葉子)と二人暮しをしていた。

浮寝島では、網の長者、実はされこうべ党の黒幕阿漕太夫(吉田義夫)が黒刀自と合流し、小四郎を殺させるため、浮寝丸(東千代之介)と摩耶(星美智子)を送りだしていた。

久美はと言えば、少し心が元に戻ったのか、一角の油断を付いて鍵を奪い、アジトから逃げ出す。

その後を追った一角は、主水とばったり出会い、二人は戦うことに。

その頃、戸がくれ老人の家で寝ていた小四郎は、夢まくらに立った「白鳥の騎士」なる人物から。そなたは正義の白鳥党の首領になる者だと告げられ、勇気と力を蘇らせるのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

大ヒットした子供向け時代劇五部作の三作目。

吉野山中での小四郎と久美の運命的な再会を軸に繰り広げられる一篇。

久美の行動がサスペンスを盛り上げる要素になっているのだが、見所と言えばそこだけ。

全編、同じような山の中での展開が続くこともあり、シーンごとの位置関係もはっきりしなければ、新たに登場してくる人物たちの存在理由も今一つはっきりしない。

特に、女性キャラが増えて来た割には各々の個性に乏しく、今観ると、馴染みのない顔ぶればかりと言うこともあり、どの女性も同じ人物に見えてしまう所がある。

無尽蔵の財宝を得られる秘密の鍵を奪い合っているにしては、鍵を持った人物たちに皆緊張感がなく、観ている方も、誰の手に鍵があろうがどうでもいい感じに思えてしまう所も作劇として弱いし、活劇部分が少ないのも物足りない。

タイトルに謳われている「白骨城」というのも、何の事なのか最後まで不明。

五部作の中では、やや中だるみ気味の作品と言えるかも知れない。