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怪獣大戦争

1965年、東宝、関沢新一脚本、本多猪四郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

色の変化する結晶のような鉱物やP-1号を背景にタイトル

196X年 銀河系宇宙に新しい謎が生まれた。X星の出現である。

X星に向かうP-1号に乗った操縦士グレン(ニック・アダムス)は、同じく操縦士の富士一夫(宝田明)に、WSA地球連合宇宙局へ連絡するように頼む。

地球連合宇宙局にいた桜井博士(田崎潤)は、富士から、そこにハルノ(沢井桂子)はいないかと聞かれるが、近くにいた本人の顔色を見ながら、いないと答える。

富士は、彼女に会ったら、早まったことはするなって伝えてくれと桜井博士に頼む。

通信を終えた桜井博士は、全く立派な兄貴だよ。恋人ができて喧嘩したんだな?何している人なんだ?とハルノに確認すると、発明に凝っているんですとハルノは困ったように答える。

ハルノの恋人、鳥居哲男(久保明)は、下宿で、もっか開発中の痴漢撃退用小型警報機「レディガード」の実験をしている最中だったが、赤ん坊を背負った下宿のおばさん(千石規子)が、うるさくて赤ん坊が泣くから止めてくれと怒鳴り込んで来る。

どこでこの音聞こえました?と聞くと、横町からでも聞こえますよとおばさんが答えたので、かなり遠くまで聞こえることを知った哲男は満足する。

すると、又おばさんが呼ぶので、今は鳴らしていませんよと哲男が不思議がると、電話だと言う。

桜井博士は、地球連合宇宙局内で取材記者たちに囲まれていた。

新発見されたX星は、木星の13個目の衛生だそうだがと聞かれた博士は、暗い星だったのでこれまで見つけられなかったが、軌道のひずみから発見されたと説明する。

最近話題になっている宇宙怪電波の発信源がここではないかと言うことで、今、調査に向かっているのだと言う。

哲男とハルノはレストランで「レディガード」を買うと申し出た世界教育社の人間を待っていた。

そこに現れたのは、波川(水野久美)と言う美女で、支払いは製品化と一緒にと言う条件であった。

波川は、哲男の隣にいたのが富士ハルノだと知ると、連合宇宙局に勤めていることを知っているようで、X星の謎が解けるかどうか、色々調査しているのだと言う。

波川が帰ったあと、ハルノは、「レディガード」ごときに5000万も出すなんて変じゃない?と聞くが、哲男は、君は発明の価値が分かっていない。君の兄さんも、僕の発明が売れたら、逆立ちしてアカンベエするって言ってたなと得意げに言う。

その頃、富士は、宇宙で逆立ち状態になっていた。

P-1号の姿勢制御が狂っていたのだ。

やがて、P-1号は木星に接近し、その裏側にあるX星に向かう。

木星の影に入ったP-1号は、その間、地球との信号は中断する。

X星の温度を測定した結果、摂氏15度と言う結果が出る。

その後着陸すると、放射能反応を調べるが、反応はなかった。

先に、富士が地上に降り、続いてグレンが降りてテレメーターを準備する。

重力は地球の3分の1、気圧は10分の1だった。

その時、上空に雷のようなものが光ったので、富士は、雲もないのに変だな?と首を傾げる。

その後、富士は、国連、日本、アメリカの国旗を、近くの丘に立てに行くが、地上に明らかに人間の靴のような足跡がついているのを発見、グレンに注意を促すが、グレンからの返事はなかった。

元の場所に戻ると、驚いたことに、グレンだけではなく、P-1号もなくなっていた。

唖然としている富士の背後の地面が持ち上がり、光った円柱状の構造物が姿を現す。

その光る建造物から、富士宇宙局員、早く、この中に入りたまえと声が響く。

我々は、君たちが言う、X星人だと声は続き、富士が持っていた光線銃にレーザー光のようなものを発射して来て、富士は思わず銃を落としてしまう。

グレン君もP-1号も我々が保護していると言うので、諦めた富士は、その言葉に従い、光る建造物の中に入ることにする。

その頃、地球連合宇宙局では、P-1号からの連絡が20分も遅れていることを心配していた。

ハルノは兄のことを心配するが、桜井博士は大丈夫だと励ます。

その頃、富士は、光る円柱状のエレベーターのようなもので、地下に降りると、光が案内すると言う声に従い、灯りがともる廊下を進み、暗闇の中でぽつんとイスに座っていたグレンを発見する。

そこに、奇妙な服を着て、サングラスのようなもので眼を隠したX星人が数人やって来て、その内の一人が、自分がこの星の統制官(土屋嘉男)だと名乗り、あなたたちにご相談があると言う。

その時部下らしき一人が、怪物ゼロですと報告したので、管制官の背後に会った巨大モニターに外の様子が映し出される。

そこに写った怪物ゼロとは、キングギドラのことであった。

X星では、固有名詞の代わりに番号で呼ぶそうで、キングギドラの襲撃を受けた彼らは、もはや地上には住めなくなり、こうして地下での生活をするようになった。彼らにキングギドラを撃退する方法はなく、ただ立ち去るのを待つだけなのだと言う。

その時、部下の一人が、酸化水素の工場が破損したと報告に来て、統制官らは突然、母国語らしき言語で話し始めると、富士とグレンの周囲にバリアのようなものを張り、どこかで出かけてしまう。

富士たちは、酸化水素とは「水」のことじゃないか?何か僕たちには言えないことらしいと相談し合うが、そこに戻って来た統制官は、もう怪物ゼロは立ち去ったと二人に教える。

相談とは?とグレンが聞くと、怪物ゼロワンとゼロツー、地球の呼び方でゴジラとラドンをお借りしたい。地球で二匹がキングギドラを撃退したことは知っている。我々はその見返りとして、地球では完治が難しい問わされているガンの特効薬を提供したいと統制官は言う。

かくしてグレンと富士は、地上に競り上がったP-1号に乗り込み、地球家の帰還の準備をする。

地下基地からそれを見送る統制官は、こちらの気持ちを汲んで実現に力を貸して欲しいをマイク越しに頼み、富士は、我々も、宇宙の良き有人を得たことを喜んでいますと答え出発する。

統制官は、飛び上がって行くP-1号を見送りながら、不気味な笑いを浮かべる。

無事地球に帰還した富士とグレンは、国会で、X星人からの依頼を検討する会議に参加する。

その会議の傍聴席には、世界教育社の波川も観に来ていた。

医学界代表(村上冬樹)は、ガンの特効薬以外にも、新しい治癒方法に繋がるかもしれないとX星人の申し出を喜び、主婦代表(塩沢とき)も、いまだに争いが絶えない自分たちが恥ずかしいなどとX星人の人徳を褒め讃える。

防衛代表(清水元)は、ゴジラとラドンの確認に付いて、今現地に調査団を送っている所だと報告する。

その頃、鳥居哲男は、世界教育社を訪れ、「レディガード」の進展具合に付いて確認していたが、応対に出て来た社員(伊吹徹)は、波川は出張中で、「レディガード」に関しては、企画検討中だと、これまで繰り返して来たことを又伝えるだけだった。

奥の部屋で、日焼け装置のようなものに当たっていた世界教育社社長(田武謙三)は、しつこい奴だ。適当に追っ払えと社員に命ずると、その場で「レディガード」の設計図にライターの火を付け燃やしてしまう。

その後、ハルノと会った哲男は、グレンと富士に会うことになる。

グレンは、喫茶店の水を飲みながら、X星人の話はおかしいのではないかと疑問を口にする。

富士は哲男に、発明品が売れたそうだがと確認しながら、愛する妹を任せるには、君は頼りなく感じるんだと兄としての小言を言う。

グレンの方は、そんな哲男に同情的で、自分は先に席を立ち、これからデートだと言いながら店を出て行く。

店の外に停めた車で待っていたのは世界教育社の波川だと窓から観て知った哲男は、出張中なんて噓じゃないか!噓言ってたんだなと怒り、富士が帰ったあと、僕も男だ!波川女史を捕まえるぞ!と息巻くのだった。

明神湖に到着した防衛隊の調査団は、湖底から放射能反応を確認していた。

富士は、桜井博士の元に戻って来ていたが、そこに帰って来たグレンが、その富士に耳打ちし、自分の車で遠出をする。

それは明神湖へ向かう道だった。

途中運転を交代させるために小休止したグレンは、波川とバンガローに泊まった時、統制官に会ったと言い出す。

富士は夢でも観たんだろうと笑うが、グレンは、夜、部屋に統制官が入ってきて、我々の準備は完了している。つまらんことは忘れた方が良いと言ってたと主張する。

その後、バンガローへ向かおうとした二人だったが、防衛隊に阻まれてしまう。

移動指令(田島義文)が、あれをご覧下さいと明神湖を指すのでそちらに目をやると、湖から空飛ぶ円盤が浮上している所だった。

それを観たグレンは、やっぱり奴ら、来ていた…とつぶやく。

円盤は三機浮上するが、移動指令は様子を見る為に攻撃を控える。

その後、明神湖の周辺には、桜井博士やハルノ、政府関係者、野次馬らも集まるが、その中に波川の姿もあった。

やがて、湖畔に降りてきた円盤の中から、統制官らX星人数名が降りてくる。

桜井博士は、秘密裏に地球に来ていた彼らの不審な行動に遺憾の意を述べるが、統制官は素直に謝り、自分たちの到着が遅れていれば、ゴジラやラドンが暴れていた可能性があると言い訳する。

どうやってゴジラやラドンを宇宙へ運ぶのかと桜井博士が聞くと、自分たちはどんな重量のものでも宇宙に運ぶ技術があり、あの二機の円盤が輸送装置なのだと言う。

その言葉を証明するように、一騎の円盤が鷲ヶ沢に飛び去ったので、当地にいた第二調査隊隊長(桐野洋雄)は一旦避難する。

明神湖では、円盤が電磁波を発生、湖中のゴジラをバリアで浮上させる。

国賓としてX星に再び招待された富士は、この様子を見ながら、グレンに支度するよう命じる。

鷲ヶ沢に到着した円盤は、崖の一部を切り崩し、眠っていたラドンをバリアで捕獲すると、明神湖のゴジラの横に並ぶ。

ユニフォームに着替えた富士に、ハルノは、波川さんってどういう人?と質問する。

その並川と車でキスをしていたグレンは、今すぐ結婚してと迫られ、戻って来たらすぐに結婚しようと約束する。

桜井博士とグレン、富士の三人は、統制官らと共に円盤祈り込む。

桜井博士は、操縦室を見せてもらえないかと頼むが、彼らが座っていた席がそうなのだと統制官は言う。

脳波を電子計算機に伝えて操縦するのだと言う。

それは動物にも応用できるかとグレンが聞くと、できる。君は人一倍詮索好きだと計算機に伝えておこうと統制官は答える。

地球を離れて4時間半が経った時、4億5000万キロ飛行したと聞いた桜井博士は驚くが、統制官は、この円盤のスピードは光速の10分の1、我々の理想は光速の壁だと答える。

その頃地球では、波川が、とある島にある別荘に到着していた。

そこは、X星人たちの地球基地であり、待ち構えていた世界教育社の社長は、やって来た波川に、君は必要以上にグレンに興味を持っているらしいな?と追求してくる。

その波川が乗ってきたボートの後ろに隠れていた哲男は、すぐに発見されてしまい、社長は、君はあの男一人の処理も怠っていると叱りつける。

部屋に近づこうとした哲男は、あっけなく落とし穴に落ちてしまう。

一方、X星に到着した統制官たちは、酸化水素吸収管での地上作業を急がせる。

そこに、怪物ゼロことキングギドラが飛来する。

統制官は、ゴジラとラドンを覚醒させる。

目覚めた二匹は、キングギドラと戦い、あっさり撃退。

ゴジラは得意げに「シェー」を4回もやるのだった。

統制官が気づくと、一緒に地下基地で映像を観ていたはずのグレンと富士の姿が見えなくなっていた。

二人はこっそり、基地内を探ろうとしていたが、すぐに見つかってしまい、近くにあったエレベーターでさらに地下へと向かう。

そこには、岩がむき出しになった部屋があり、金の結晶が多数生えていた。

統制官が、この星では、水は金より貴重と言っていた訳が分かった。

その直後、何かを運ぶ女が近づいてきたが、それは波川だったので、グレンは驚いて話しかけるが、女はグレンのことを知れないようだった。

さらに、後ろからもう一人の女がやってくるが、その女の顔も波川だったのでグレンは呆然とする。

すぐに、X星人の追っ手たちが集結し、もとの部屋に連れ戻された二人は、本来なら罰せられる所だが、今回は国賓と言うことで特別に許すことにすると統制官から言われたので、桜井博士は感謝する。

統制官は桜井博士にガンの特効薬のデータをテープにしたものを渡し、P-1号そっくりにコピーした宇宙船の映像を見せる。

桜井博士、グレン、富士の三人は、そのP-1号コピー機に乗り込むと、自分たちの取った行動はこれで良かったのかと悩む。

出発したP-1号コピー機から、X星に取り残されたゴジラとラドンの姿が寂しげに見えていた。

地球では、波川に会ったハルノが、家に帰っていない哲男の所在を知らないかと聞いていたが、波川は、以前はうるさいほどやって来ていたが、近頃は私も会っていないと答える。

その哲男は、島の地下牢の中に幽閉されていた。

地球基地にいた社長は、統制官からの連絡で、第5計画第4項を実行する事にする。

部下が社長に、施設が戻って来たと報告する。

国会に戻って来た富士やグレンたちは、統制官から託されたテープを再生してみるが、そこから聞こえて来たのは、ただいまより、地球はX星の支配下となり、植民地星となる。抵抗すると地球人類を抹殺すると宣言する統制館の言葉だった。

この事態を受け、世界中の株が暴落し、集団発狂者が発生する。

すっかり荒れ果てた世界教育者に銃を片手にやって来たのはグレンだった。

彼は波川に出会うと、X星で出会った並川と同じ顔を持った女のことなどの訳を聞く。

波川は、今までの自分は全て、電子計算機の指令に沿って行動してきたが、あなたは計算違いの人間になったんです。今後はあなたがX星人になるのですと言い出したので、グレンは、君たちの良心は、電子計算機に取られてしまったのか?と呆れる。

それでも波川は悲しそうに、私は地球人にはなれないのですと答えるだけだった。

そこに社長が現れ、植民地指令として、君を基地に連れて行くとグレンに告げる。

波川はグレンにすがりつき、行っちゃ行けない!実験台にされると止めようとしながら、グレンのポケットに何かを忍ばせる。

しかし、その直後、並川は、X星人に光線銃を浴びせられ消滅してしまう。

彼女が一体何をしたと言うのだ!と抗議するグレンに、我々は、計算機に許された以外は、恋愛も結婚も許されないのだと社長は冷たく言い返す。

宇宙局にいた桜井博士は、キングギドラがアメリカに出現したそうだなと富士に教え、やって来たハルノも、哲男が戻って来ないと伝える。

その時、宇宙局の上空に円盤が飛来、P-1号やパラボラアンテナを破壊してしまう。

X星の命令に、地球が返答しなかったためだと言う。

キングギドラも東半球に配置した。電磁波でコントロールしたのだ。ゴジラとラドンも。後24時間だけ待ってやる、これが最後だと言う統制官のアナウンスを聞いていた桜井博士は、電磁波に対するAサイクル光線の影響と言う研究資料を富士に見せる。

その頃、島の屋敷の地下にある牢に釣れて来られたグレンは、哲男と再開していた。

哲男はこの牢は完全防音で、鉄格子も鉄ではなく、叩いても音がしないとグレンに教える。

社長は部下たちに、地球植民地挺身隊は、今後、掃討隊となり、抵抗する地球人たちを全員抹殺すると指示する。

医学代表や主婦代表と共に宇宙局を訪れていた防衛代表は、攻撃か降伏かで迷っていた。

桜井博士は、ゴジラとラドンを取り返すことを考えている。現在、最終的な実験を行っていると全員に伝えると、Aサイクル光線の実験をしていた富士のもとへ全員を案内する。

富士は各代表たちに、可視化したAサイクル光線が電磁波を防ぐ様子を実験してみせる。

桜井博士は、ほぼ完成じゃないかと喜ぶが、富士は、敵の電磁波が、我々の想定以上だったら…と心配する。

宗教代表(松本染升)などは、神に祈るしかないなどと言い出すが、全員、実験の完成に期待することにする。

その頃、上空で待機していた円盤の中では、統制官が、全て計算通りだな?と部下たちに確認していた。

地球基地の地下牢の中では、グレンがポケットから落とした紙切れを哲男が拾ってやっていた。

それは、消される前に波川が入れていたものだった。

そこには、自分は計算になかった恋を知ったことで思い残すことはない。我々X星人は、ある種の音に弱いのですと書かれてあった。

それを一緒に読んでいた哲男は、そうだ!レディガードだ!とひらめく。

彼らが自分のレディガードを欲しがったのは、あの音が苦手だったからに違いないと気づいた哲男は、上着の中に入れていたレディガードを取り出すとその場で鳴らしてみる。

すると、牢の外にいたX星人たちが苦しみ出したので、グレンは格子越しに捕まえると、鍵を奪い牢を開け外に出ると、代わりにX星人二人を牢の中に入れて逃げ出す。

社長たちは、ボートが島を出発したことに気づき、円盤に人質二人が逃げ出したことを知らせる。

すると、間もなく、円盤から光線が浴びせられ、ボートは爆発してしまう。

その様子を確認した社長たちは安心して基地に戻るが、桟橋の下から浮かび上がってきたグレンと哲男は、作戦が巧く行ったと喜び、自分たちは泳いで陸を目指すことにする。

富士は、金属片を空中に散布することによって、Aサイクル光線の効果を増大できると発見していた。

そこに戻って来たグレンと哲男が、レディガードの音がX星人を狂わすことを教える。

桜井博士は、後3時間しかないと、作戦の完成を急がせる。

上空の円盤の中では、計算機の計算に異常が生じたと部下から報告を受けた統制官が、直ちに攻撃するよう命じていた。

ゴジラとラドンが地球上を破壊し始める。

富士はグレンたちに攻撃が始まったことを教え、完成を急がせる。

円盤は、出撃してきたAサイクル光線車を上空から襲い、次々と破壊して行った。

完成したテープを持ったグレンと哲男は、それを放送局に持ち込む。

アナウンサー(池谷三郎)は、今から流す不協和音は故障ではない。そしてスイッチを切らずに、最大ボリュームで音を流してくれと放送する。

放送が始まると、グレンたちは島に戻ることにする。

全国のテレビやラジオから流れ出した不協和音は、上空に浮かんでいた円盤も狂わせ始める。

この機を待っていた防衛隊も一斉に出動する。

統制官たちの円盤は、島上空に到着していた。

グレンは、電波の放射を始めるよう移動指令に依頼する。

円盤の中の統制官は慌て、計算の修正はどうした?と地球基地に呼びかけるが、地球基地のメンバーたちは皆、音波に狂わされており、ダメです!殺人音波が!と叫ぶだけだった。

ゴジラとラドンは、脳波をコントロールしていた電磁波が切れたのでその場にシャーをして倒れる。

キングギドラも倒れていた。

統制官は、直も地球基地を及びかけ、我々が負けるはずがない。今に計算通りになる。我々は脱出する。未来に向かって脱出する。まだ観ぬ未来に向かって…と叫んだ所で、円盤は爆発してしまう。

他の円盤も次々に爆発してしまい、地上に倒れていたゴジラは目覚めると、近くに倒れていたキングギドラ目がけて岩を蹴る。

その様子を観ていた富士は、桜井博士に場所を移動しようと提案する。

目覚めたラドンは、ゴジラの背中を掴むと、そのままキングギドラに激突させる。

そして三匹の怪獣は一斉に湖に落ちてしまう。

やがて、キングギドラだけが湖面に姿を現し、そのまま宇宙へ向けて飛び去って行く。

それを観ていたハルノは、ゴジラとラドンは信田のかしらと心配するが、一緒にいた哲男はいや、死にはしないよと保証する。

そうした二人の様子を見ながら、グレンはどう思う?と聞き、富士は仕方なさそうに、まあねと答える。

そんな二人に桜井博士は、君たち二人は、もう一度X星に飛んで、徹底的に調査するんだと命じたので、グレンと富士はやれやれ…と互いの顔を見合うのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

過去何度も観ている作品だが、観るたびに新しい発見がある作品である。

最後、統制官は、ゴジラとラドン、キングギドラも自分たちが操っていると明かしている。

つまり、X星人にとって、怪獣の脳波を電磁波で自由に操ることは自在なのだ。

であるなら、どうして最初から、鷲ヶ沢のラドン、明神湖のゴジラを目覚めさせ、キングギドラと共に地球を蹂躙し、地球を降伏させなかったのか?

なぜわざわざ、富士やグレンたちを再びX星に連れて行ったのかが分からない。

結局、その為に、自分たちの計画への疑惑を保たれただけで、他にメリットは何もなかったはずなのに…

つまり、この展開は、宇宙でゴジラとラドン、キングギドラを戦わせると言う変わったシチュエーションが欲しかっただけなのではないか?

ゴジラに宇宙で「シェー」をさせたかっただけではないのか?

事前に、世界教育社などと偽り、地球植民地挺身隊などが潜入していたり、国会などを偵察するスパイ活動のような行動の意味も良く分からない。

又、冒頭部分から、X星人にとって、酸化水素(水)が「金」よりも貴重で、重要視していることが描かれているにも関わらず、この意図する所が最後まではっきり説明されていないのも気になる。

明らかに伏線として、何度か出て来るのに、その肝心の説明がないのだ。

つまりこれは、「水の惑星」と言われる「地球」を、かねてからX星人が狙っていたと言うことなのだろう。

でも、後半、その説明がないので、前半部分の「酸化水素」の伏線が中途半端なまま放り出されてしまうと言う結果になっている。

おそらく脚本段階ではあったのかもしれないが、どこかで抜け落ちたか、カットされたのかもしれない。

別に、子供たちにとっては、そう言う理屈はどうでも良く、ゴジラたち怪獣が戦うシーンさえあれば満足だから、誰も疑問に思わなかったのだろうが、さすがに大人になって見返すと、ものすごく気になる部分である。

後半、何か「水」が、X星人撃退のヒントになっていたのかもしれないなどとも想像したくなる。

撃退に関しては「音」が使われており、これで、久保明扮する鳥居哲男の冒険が描かれることになるのだが、この部分なども、X星人の力を持ってすれば、手とを早い時期に抹殺してしまえば良かっただけの話のように思える。

どうせ、征服する地球人なのだ。

あれこれ、複雑な偽装などする必要はなかったのではないか?

グレンと付き合う波川の行動も不可解と言えば不可解で、地球人のX星に対する調査結果など、圧倒的な科学力の差があるX星人にとってみればどうでも良いことで、宇宙飛行士ごときに接近してスパイ活動する必要などないような気がする。

とは言え、こういう一見無駄な設定が話を面白くしていることも事実で、グレンたちがX星に戻らなければ、同じ顔をした複数の波川に出会うなどと言う「驚き」は生まれなかった訳である。

「音」の方も、ラストで放送に乗せ、宇宙人をやっつけると言う、後年、「マーズアタック」ネタにも使われたほどの奇想天外なアイデアに結びつく訳である。

さすがにこの時期になると、予算は大幅に削られていたようで、特撮スペクタクルシーンの大部分は過去の大作の流用である。

それでも、X星の本編セットなどはなかなか工夫が感じられ良くできている。

特撮シーンは、子供向けと割り切って、手を抜いていたのかもしれない。

この映画で流れるマーチは「怪獣大戦争マーチ」とファンの間で称され、今でも愛されている名曲である。