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ゴジラの逆襲

1955年、東宝、香山滋原作、村田武雄+日高繁明脚本、小田基義監督。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

雲の映像を背景にしたタイトルにアンギラスの声が重なる。

海の上に機影が写る。

海洋漁業の飛行艇操縦士月岡(小泉博)は、北緯34度、東経136度付近で鰹の大群を確認、大阪の本社に第二國竜丸に知らせるよう無線で報告。

無線係の山路秀美(若山セツ子)が、その報告を受け、隣に座っていた井上やす子(木匠マユリ)が、無電で第二國竜丸に連絡をする。

恋人同士である月岡は、その無線で、今日踊りに行かないかと誘い、秀美はその前にアスターでお食事よと甘える。

それを聞いていたやす子は、いくら社長令嬢だからと言って、今の会話は規則違反だと注意するが、ぜんざいをおごると秀美から謝られると、すぐに笑顔に戻るのだった。

その時、今度は、同社操縦士小林(千秋実)から無線が入り、エンジンが不調、エンジン停止!救援を頼む!と言う緊迫した声が届いたので、緊張した秀美は現在地を問いただす。

岩戸島近海と言う報告を受けた秀美は、それを月岡に連絡、さらに、社長室の社長で父親である山路耕平(笠間雪雄)にも知らせる。

ほどなく、月岡は岩戸島に不時着していた小林機と、岩場で手を振る小林の姿を発見、近くに着水すると、小林と合流し、たき火で濡れた衣服を乾かしていた。

今回は、無線係の2人に感謝するんだななどと冗談を言い合っていた二人は、妙な声肉付き岩場の方に目をやると、そこに巨大なゴジラの姿を発見したので驚愕する。

さらに、ゴジラは、見慣れぬ別の怪獣と戦っているようだった。

二頭の怪獣は組み合ったまま、崖から海に落下してしまったので、その隙に、月岡と小林は、岩戸島を脱出する。

大阪市警察本部

新怪獣を観たと言う二人は、対策本部に呼ばれ、田所博士(清水将夫)から渡された恐竜図鑑の中から、ゴジラと戦っていた新怪獣は「アンキロサウルス」だったと証言する。

田所博士は、我々の想像が当たっていたようです。水爆がゴジラの眠りを覚ましたように、アンキロサウルス、通称アンギラスの目も覚まさせたようだ。今から7000万~1億5000万年前の地質時代と呼ばれる頃に生息した恐竜で、ゴジラも同じ時代の生き物だが、150~200フィートの体長があると、外国の文献を読みながら解説する。

続いて、ゴジラ対策をと要望され立ち上がった山根博士は、対策はなく、無為無策と言うのが現状ですと答えると、東京でのゴジラ被害の状況をフィルムで上映してみせる。

上映後、放射能因子を浴びたゴジラに敵うものはなく、東京湾で使用したオキシジェン・デストロイヤーも、発明者の芹沢博士と共にもうこの世にはないと力なく答える。

大阪警視総監(笈川武夫)から、ゴジラは1匹だけではなかったんですなと聞かれた山根博士は、今やゴジラは、原水爆以外の脅威になった。

ゴジラは、水爆に対する怒りを持っている為か、光に敏感で激怒する習性があるので、厳重な灯火管制をし、照明弾などを使って、海に誘い出すくらいしか方策はないだろうと続ける。

その後、株式会社海洋漁業の屋上で秀美と二人きりになった月岡は、静かな市内を眺めながら、何とか東京の二の舞だけは踏みたくないなと案じ、小林を救いに行き、もう最後だと思った時、秀美さんの顔だけが浮かんだと付け加え、秀美を喜ばせるが、その時、ジェット機が上空を飛び去って行き、ゴジラ探索が開始されたことを二人は知るのだった。

しかし、なかなかゴジラの行方は掴めなかった。

捜索本部に詰めていた田所博士は、ゴジラが発見された付近の海底には無数の洞窟があり、そう言う所に潜んでいたら、なかなか見つからないはずだと助言する。

その後、北緯34度3分、東経135度50分の地点にゴジラを発見したとの報が入る。

そのままの移動コースで行けば、四国南岸地区への上陸が予想された。

海洋漁業では、山路社長、月岡、小林らが、ゴジラによる会社への影響を心配していた。

ラジオニュースでは、とりあえず大阪への接近はなさそうだと言うことで、一応全員、安堵する。

大阪のダンスホールでは、歌手(星野みよ子)が歌う中、秀美と月岡が、他の客に混じりダンスを踊っていた。

その最中、場内に非常ブザーが鳴り響き、19時30分、ゴジラが大阪湾内に侵入しつつあるとの放送が流れる。

客はパニック状態になり、一斉に会場を逃げ出す。

大阪市内は、一斉に電気が消え、灯火管制に入る。

戦車など防衛部隊が海岸地区へ移動し始める。

海辺を警戒していた警官隊の一人が、海上に出現したゴジラの姿を発見する。

作戦通り、ジェット機から照明弾を投下、市中の警官隊は、避難民たちを誘導していた。

港に接近していたゴジラだったが、投下された大量の照明弾につられ、尻尾で灯台を破壊して海へと戻って行く。

作戦成功に、海岸付近を監視していた警官隊たちは一斉に喜び合う。

山路社長の家に、車で秀美を送って来た月岡だったが、屋敷の中から出て来た小林から、社長は工場の方へ向かったと教えられたので、秀美を屋敷に残し、小林と共に工場へ向かうことにする。

秀美は月岡に、パパのことお願いよと頼む。

工場のベランダにいた山路社長は、照明弾の方向を注視していたが、遠ざかって行くゴジラの姿を観ながら、胸を撫で下ろしていた。

その頃、囚人を護送する一台の護送車が大阪市内を走っていた。

囚人たちは互いに目配せをし、一人の囚人(牧荘吉)が立ち上がると、運転席との間の窓の前に立ちふさがる。

護衛の警官(中丸忠雄)が、席に着くよう注意すると、その途端、他の囚人が二人の護衛に飛びかかり、口を押さえる。

運転席に座っていた警官は、何をしていると振り返るが、窓をふさいでいた囚人が、又、囚人の一人が発作を起こす持病になったと説明する。

護衛の拳銃を奪い取った囚人は、それを発射して後部ドアのロックを破壊、一斉に逃げ始める。

異変に気づいた運転席の警官二人は、車を停めると、追跡を始める。

囚人たちは3人ずつ2組に別れて逃げる。

3人組の一方は、停まっていたタンクローリーを奪い逃走し始める。

追っていた警官二人は、ちょうど通りかかった月岡と小林が乗った乗用車を止めると、それに乗り込んで、タンクローリーの追跡を頼む。

タンクローリーは、前方から来たパトカーに道を阻まれたため、道を曲がり、工場地帯の壁にぶつかってしまう。

そのまま囚人が乗ったタンクローリーは、燃料タンクに激突、爆発炎上する。

工場地帯から上がった炎に、一旦海へ戻りかけていたゴジラが気づき、又、反転すると、大阪に上陸する。

待機していた防衛隊は陸上と空から一斉に迎撃し始めるが、ゴジラは放射能火炎を吐き、ジェット機を墜落させる。

その時、工場のベランダで監視していた山路社長が、もう1匹、新たな怪獣が上陸したのを発見する。

アンギラスだった。

照明弾の灯りが、別の怪獣までおびき出してしまったと嘆く。

その頃、屋敷の自室にいた秀美は、窓から見える大阪方面の炎を心配げに見つめていた。

その頃、別方向に逃げていた3人の囚人は、ゴジラとアンギラスが倒したビルの瓦礫に驚き、地下街へと逃げる。

逃げ切ったと安心していた3人だったが、次の瞬間、組み合ったゴジラとアンギラスが川に落下、その川底が抜け、地下街に流れ込んだ大量の水が彼らを一瞬に飲み込んでしまう。

警視総監は現場からの電話を受け、部下たちに全員退避を命ずる。

ゴジラとアンギラスは大阪城に接近、激しい戦いの最中、大阪城は完全に破壊されてしまう。

ゴジラはアンギラスの首筋を噛み切ると、アンギラスはお堀に落下、その上からゴジラは放射能火炎を浴びせかける。

屋敷では、秀美が大阪の被害状況をテレビ中継で観ていた。

ゴジラは既に、海の方に去り始めていた。

廃墟と化した自社の缶詰工場を、北海道から飛んで来た支店長芝木信吾(沢村宗之助)と共に観に来た山路社長は、その後、焼けた事務所内を整理している秀美たちと会う。

山路社長はその場にいた小林に、今度、北海道支社へ行ってくれんかと頼む。

小林は喜んでその依頼を受け、今度のゴジラ騒ぎの為に、月岡と秀美の結婚が延びたことに同情する。

芝木と共に北海道支社へ来た小林は、花嫁さんを捜して来ますと、冗談めかして魚群を探しに行くことを柴木に告げる。

そうした会話の為、小林は北海道支社では、いつの間にか「花婿さん」と呼ばれるようになっていた。

飛び立った小林は、北緯42度東経146度付近を航行中の北海丸を確認、「大漁を祈る」と書いた通信筒を落下する。

それを読んだ船長(熊谷二良)たちは、遠ざかって行く小林機に手を振って答えるのだった。

その頃会社では、柴木支店長が部下に、小林の歓迎会の為に「弥生」の女将に電話を入れといてくれと頼んでいた。

小林は、支社からの無線で直ちに帰還せよとの知らせを受ける。

その声を聞いた小林は、秀美さんだなとすぐに分かり、月岡や山路社長と共に、今北海道支社に到着したのだと教えられる。

月岡もその場にいることを知った小林は、キミに会いたがっている人がいると謎めいたことを言い、それを一緒に聞いていた秀美をやきもきさせる。

月岡自身も心当たりがないようだった。

その夜の料亭「弥生」

秀美と月岡を伴い小林が訪れると、出迎えた女将が、花婿さんのお出ましねと歓迎する。

小林は、そこで月岡に会いたがっている連中を会わせる。

それは、大学時代の飛行隊仲間で、今は、防衛隊に勤める田島(土屋嘉男)、池田(山本廉)、そして当時の教官で、今は、防衛隊の隊長になった寺沢(恩田清二郎)たちだった。

会社とは別の部屋で飲んでいたのであった。

小林は、まず二階で行われていた会社の宴会に出席、山路社長から盃を頂戴するが、下の階の防衛隊グループの部屋から歌が聞こえて来たので、矢も盾も溜まらなくなって部屋を出ると、通りかかった仲居の盆から、お銚子2本頂戴すると、それを土産に、月岡や秀美もいる部屋にお邪魔する。

秀美は、お婿さんとはあなたのことだったのねと小林に聞くと、花嫁候補はまだいないのかと問いただす。

すると、小林は、相手がいるようなそぶりを見せる。

そこに、山路社長や柴木支店長と共に会社の人間が入って来て、第二瑞光丸が沈没したらしい。又ゴジラのようだと伝えに来る。

緊張が部屋中に走り、寺沢隊長は、池田に捜査へ向かわせると但馬には待機するよう命じる。

月岡も飛行艇でゴジラ探索に出発、天候悪化を理由に、帰還するよう心配する秀美からの度重なる無線が入るが、それを無視して捜査を続ける。

無線室で落ち込んでいる秀美の元にやって来た小林は、女の子ってどんなものを欲しがるのか教えて欲しいと言って来る。

秀美は、小林の花嫁候補のことだと察し、ハンドバッグ、時計、靴下でも良いのよなどと教えてやる。

そこへ、月岡から、ゴジラを発見したと言う報告が入ったので、秀美は深追いしないでと連絡する。

現在地点は、東経148度、北緯51度付近の神子島付近であり、燃料は帰還にギリギリだと言う知らせを聞いていた小林は、自分が代わりにこれから向かうと無線機で知らせる。

何が一番ふさわしいか、考えといてくれと秀美に言い残して小林は無線室を後にするが、秀美は、小林が忘れて行った手帳に、女学生の可愛らしい写真が挟まれているのを発見し、思わず微笑む。

防衛隊本部にいた寺沢隊長は、但馬に、全機に爆弾を搭載し、出撃準備をするよう指示を出す。

月岡は、やって来た小林機を確認すると、翼を揺らして合図をし帰還すると、防衛隊本部で、神子島の説明をする。

ゴジラは、その入江に向かっているので、又外海へ出る前に、入江の入口付近を封鎖できないかと提案する。

寺沢隊長は池田に、ガソリン缶を搭載した上陸艇で、神子島に向かうよう命じる。

一方、神子島上空で、なかなか応援部隊が到着しないのにじれていた小林は、ゴジラが逃げないように、飛行艇を接近させて気を引いていた。

月岡を後部座席に乗せた但馬らの戦闘機部隊がようやく飛来し、ゴジラに爆弾を投下するが、周囲の氷が崩れるだけで、ゴジラへの効果はなさそうだった。

その時、ゴジラに接近し過ぎた小林機が、ゴジラが吐く白熱光にやられ炎上、そのまま島の山肌に激突し、雪崩が起きる。

それを目撃した月岡は、雪崩でゴジラを埋めるんだと、操縦席の但馬に知らせる。

報告を受けた秀美は、父親の山路社長に、小林さんが二度と帰って来ないことと、ゴジラを封じ込めるたった一つの方法を残してくれたことを知らせる。

無線室に戻って来た秀美は、小林の手帳に挟まっていた、女学生の写真と小林自身の写真を仲良く並べて立てかけると、思わず涙ぐむのだった。

一旦、防衛隊本部に戻って来た月岡は、ゴジラの上の山腹を狙ってロケット弾攻撃するしかないが、投下した後急上昇するとき、他の山の頂きに衝突するかも知れず、大変危険な離れ業を演じなければ行けないと、他の隊員たちに説明する。

やがて、戦闘機にミサイル弾の装着が完了し、月岡も寺沢隊長に志願して、自らも戦闘機に乗り込むことになる。

その頃、池田の乗った上陸艇が神子島に到着、積んで来たガソリン缶を入江の入口付近に運び入れる。

ゴジラが近づいて来そうだったので急いで上陸艇に戻り、島からはなれた所から機銃掃射でガソリン缶を爆発させる。

その炎で海への進路をふさがれた形のゴジラだったが、炎は3分程度しか持たないものだった。

その時、月岡や但馬が乗った戦闘機部隊が到着、次々に山腹にロケット弾を撃ち込むが、ゴジラの白熱光にやられるものあり、急上昇に失敗し、山腹に激突する機がある中、攻撃によって生じた雪崩が、徐々にゴジラの身体を埋めて行った。

それを黙視した月岡は、小林、とうとうゴジラをやっつけたぞ!とつぶやきながら涙ぐむのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「ゴジラ」(1954)の直後に作られた続編。

何度か見直している作品だが、やはり、前作に比べてしまうと荒削りな印象は拭えず、興行面でも評判面でも前作を凌げなかったことが分かる作品になっている。

話が、ゴジラとアンギラスが大阪で戦う前半部分と、北海道近辺の孤島にゴジラを封印する作戦の二つに分断されているのが、全体としての印象を弱めているような気がする。

低予算の喜劇などを量産していた小田監督らしく、この作品もそつなくまとめているが、そつなさ過ぎて全体的に平板になっているような気もする。

小林の最後など、もっと劇的に描くことも可能だったのだろうが、妙に淡々としている。

特撮も荒く、戦闘期シーンはほとんどピアノ線がバレているし、大阪城シーンでは、小さな家がきちんと地面に接合されておらず、ただ箱を置くようにしてあるだけなので、ゴジラやアンギラスが角の部分を踏みつけてしまうと、家全体が箱のように起き上がってしまったりする部分もあり、かなり興ざめな部分も多い。

それでも、冒頭の岩戸島でのゴジラとアンギラスの決戦シーンや、大阪の地下街に川の水が流入する所など見事なシーンも散見できる。

やはり、短い製作期間にも関わらず特撮シーンが多過ぎて、失敗シーンも使わざるを得ない状況だったのだろう。

この頃のゴジラの顔は、怖さを強調する為か、牙が全部外向きになっており、口を閉じたとき、どうやっても噛み合ないような気がする造形になっている。

大阪部分も北海道部分も、民衆がゴジラに恐怖する様があまり描かれていないのも、迫力不足の一因かも知れない。

大阪での避難シーンがある以外、会社関係者と防衛隊や警官以外の民衆は、その後はどこにも登場しない。

何となく内々だけの話になっており、スケール感を感じさせない所がある。

今回気がついたのだが、ラストの神子島、一見、岩場に雪が降り積もっているだけの島のように見えるのだが、ロケット弾を撃ち込むと、雪崩を打って落ちて来るのは氷塊である。

氷山でもないのに、あの氷はどこにあるのだろう?

観るたびに新しい発見がある作品と言えるかも知れない。