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学校の怪談3

1997年、東宝+サンダンス・カンパニー、常光徹 日本民話の会原作、しまだみちる脚色、金子修介脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

「もういいか〜い?」「ま〜だだよ〜」、運動会が終わった小学校の中で、居残っていた体操着姿の子供達がかくれんぼうをしている。

それを観た校長(津川雅彦)は、「運動会は終わったよ、早く帰らないと、お化けが出るよ」と脅すように、男子に話し掛ける。

その言葉で、鬼の男子は帰ってしまったが、美術室の机の下に隠れていている内に眠ってしまっていた女子児童は、目覚めて立ち上がるが、その時、鏡台が動いて、その少女を吸い込んでしまう。

後には、女の子が頭に巻いていた赤い鉢巻きが残されているだけ…。

ある学校の体育会の当日、学校にいるタイチという子供の幽霊の話を、二人三脚のレースを待っている生徒たちが話している。

身体が弱かったタイチは、いつも、窓から外で遊んでいる子供達を眺めていたと言うのだ。

さらにタイチは、体育会の日にしか出なくて、二人三脚で転んだ子供に目をつけるんだとも。

そんな中、5年2組の久保田良(吉澤拓真)と藤井繭子(前田亜季)の仲良しコンビが二人三脚で走るが、ゴール寸前で転んでしまう。

タイチのうわさ話をしていた子供達は凍り付き、にわかに空に暗雲が立ちこめて来る。

校舎内では、赤い服を着た少女の後ろ姿が通り過ぎて行く…。

体育会終了後、美術室で、体育会の応援用に派手なメイクをしていた八橋先生(西田尚美)は、同僚の為山先生(野村宏伸)からそのメイクを落としてもらっていた。

八橋先生から、趣味でやっている「ダイナマイト八橋」としてのボクシングの試合を観に来てくれと、チケットを渡された為山先生は、自分が作った「シャカシャカ」という「テケテケ」の親戚だという妖怪を形作った粘土細工を見せて、博多美人と結婚式があるのでとさっさと帰って行く。

運動会の後でも、良、繭子、茜(米澤史織)、真琴(山田一統)らは、いつも通り「あべ学習塾」という塾に通っており、厳しい先生(野田秀樹)の目を盗んで、繭子は良に渡すプレゼントを作っていた。

その頃、一人、美術室に残っていた八橋先生は、長年開かずの間状態だった部屋の扉の鍵が取れた事に気づき、その中に入って観ると、荒れ果てた物置き状態だったその中に、大きな鏡が置かれているのを発見し、それを外に持ち出すと、鏡に向ってシャドーボクシングの練習を始める。

一方、 バスで自宅アパートへ帰って来た良の方は、仕事帰りの母親(黒木瞳)と道でばったり出会う。

学校の職員室で残業していた八橋先生は、蛍光灯が点滅するのをいぶかっていた。

アパートへの道すがら、良の母親は、自分の再婚話に付いて話していた。
東京に引っ越すかも知れないとも言われた良は、不機嫌になる。

母親の再婚にも乗り気ではないし、今の友達達と別れる事になるのも嫌だったからだ。

さらに、部屋に入った良を驚かせたのは、母親の再婚相手である木村(佐戸井けん太)が、台所で勝手に料理をして待っていた事だ。

もっと驚いたのは、その木村の子供らしい生意気そうな悟(豊永利行)と妹の柚香(野口由佳)が、勝手に自分の部屋に居座っているではないか。

悟は、自分の事を「ビル・ゲイツの再来」などと自惚れて、良の部屋に漫画本しかない事をバカにするし、柚香リンは、良の鼻の下にあるほくろを鼻くそだと思い「鼻くそお兄」などと勝手にあだ名をつけてしまう。

さすがに、頭に来た良は、アパートを飛び出してしまう。

柚香リンは、そんな良の事を気に入ったらしく追い掛けて行くし、仕方なく、悟も後を追う事になる。

その夜、学校で落ち合う約束をしていた舞子は、自分が一番先に来たらしく、他の友達達の姿が見えない事に気づき、怯えながらも学校に入って行くが、怪談の横にあった鏡から、手を引っ張られそうになる。

少し遅れてやって来た良と、茜、真琴は、学校内から聞こえて来た繭子の悲鳴を聞き駆け付けるが、繭子は鏡の中に吸い込まれてしまう。

茜と真琴は、自分達に近づいて来る鎖を引きずるような音に怯えるが、それは八橋先生が背負って来たサンドバッグの鎖の音だった。

八橋先生は、電気をつけようとするが、何故かすぐ消えてしまう。

廊下には、大玉転がし用の赤い玉があり、その周囲には楽器が浮いている。

その大玉が、いきなり裂けて、牙の生えた巨大な口になり、八橋先生たちの方に襲って来る。

その頃、良の母親と木村は、子供達の姿が見えなくなった事に気づいていた。

一方、良を追って学校に到着した柚香リンと悟は、小学校が歪んで見える事に気づく。

真琴と茜の姿が見えない事に気づいた良が構内を探していると、赤い大玉があるのに気づくが、繭子を探す事にする。

良は、赤い鉢巻きが動いているのを目撃する。

その良が繭子を呼ぶ声を聞き付けた柚香は、その声のする方に向って行く。

美術室に入り込んだ良は、そこにあった鏡に吸い込まれるが、それを目撃した柚香リンと悟も、同じように鏡に吸い込まれてしまう。

その頃、赤い大玉の中に閉じ込められていた八橋先生と茜と真琴は、自力で、紙を中から破って、外に抜け出していた。

良は、何時の間にか、塾の教室にいる自分に気づく。

おかしな事に、その教室に貼っている文字等は、全て左右逆になっている。

ビデオの受像機には、不思議な事に、今年の春、掃除の時、いたずらでモップを振り回していた良が人体解剖像の首を落としてしまった様子が映し出されていた。

すると突然、塾の先生が首をコキコキさせながら現れ、やがてその姿は人体解剖像に変身して襲いかかって来る。

驚いた良は、柚香りんと悟に合流し、一緒に逃げ出す。

すると、三人は、コピー機が作動中の部屋に入り込み、そのコピー用紙が集まって、巨大な人形になるのを目撃する。

その時、机の引き出しが開いたかと思うと、そこから繭子が出て来て、髪の人形を見ると、近くにあった掃除機でその人形を吸い取ろうとし始める。

すると、巨大紙人形は、火が付いて燃えだし、自動的に消滅して行くのだった。

繭子は良に会いたいと思っていたら、ここに来れたと話す。
良も又、同じ気持ちだったのだ。

その頃、美術室の鏡の前に来た八橋先生、茜、真琴は、鏡に吸い込まれてしまう。

不思議な塾の外に出た良達は、道で人面犬を見つける。

さらに、のっぺらぼうの警官が通りかかり、大きな鎌をふりかざして、良たちに向って来るではないか。

逃げる良たちは、ちょうどバス停に泊まったバスに乗り込むが、その乗客達は全員ゾンビだった。

美術室の中で気が付いた八橋先生らは、飾ってあったシャカシャカの粘土細工が動きだして襲って来たので、全員逃げ出すが、廊下の奥に追い詰められた八橋先生は、目前に迫ったシャカシャカから、一本のバラの花を差し出され、ひょっとして、自分は襲われているのではなく、もてているんだと気づき、「パンツをはいた方が良くない?」と問いかけると、シャカシャカは羞恥に顔を染めて逃げ出して行く。

一方、ゾンビバスの中で恐怖に震えていた良達は、自分のアパートの前に着いたので、降りようとするが、その時、最後に降りかけた良は、ゾンビの運転手から手を掴まれる。

どうやら、料金を払えと言っているらしい。

仕方なく、財布の中から小銭を全部料金箱に放り込むと、ドアの外へ飛び出す。

着いた場所は、何だか、本当のアパートの近くのようだった。

自転車に乗って側を通り過ぎた警官も、今度はちゃんと顔があったからだ。

喜んだ4人は、アパートへ帰る。

しかし、彼らは、先ほど通り過ぎた警官の顔が、すぐにのっぺらぼうに戻った事に気づいていなかった。

部屋に入ると、木村と赤い服に着替えた母親がちゃんと待っていた。

母親は、台所で大きな包丁を研いでいる最中だったが、良たちがのっぺらぼうにあった怖い体験談を聞かせると、それはこんな顔じゃなかった?と振り向いて、のっぺらぼうの顔を見せるのだった。

柚香リンは、パパリンの顔ものっぺらぼうに変化している事に気づき逃げ出す。

やっぱり、元の世界には戻っていなかった事を知った4人は、学校に戻る事にする。

八橋先生と別れ別れになり、ある教室内で二人きりになった茜と真琴は、何となく話をする事になるが、茜の事が好きな真琴は、自分がマザコンだとからかわれるのを嫌がり、将来はケーキ屋さんになりたいと言い出す。

茜の家がケーキ屋である事を知った上での事で、つまりは、茜のお婿さんになりたいとプロポーズしているのだ。

八橋先生はもうシャカシャカにやられたと思い込んでいるので、自分の運命は自分で切り開けと言う先生の言葉を遺言だと思い込む二人。

その時、しゃがみ込んでいた茜にどこからともなく水がかかる。

上を見上げると、壁にかかった世界地図の海の部分から大量の水が溢れ出し、あっという間に部屋を満たすと、二人は溺れそうになってしまう。

良たちは、入口から校舎に入ったつもりなのに、何故か、給食室に迷い込んでいた。

空間が歪んでいるようだ。

そこへ、4人を追って来たのっぺらぼうの母親と木村、さらには鎌を持った警官たちが襲いかかる。

そこへ八橋先生もやって来て、のっぺらぼうを見ると、自分も胸がないんだから、顔がないのなんか怖くないと、妙な理屈で自分を勇気づけると、妖怪に立ち向かおうとする。

のっぺらぼう木村は、良を捕まえるが、その時、不思議な光が、そののっぺらぼうに降り注ぐと、木村は急におとなしくなってしまう。

やがて、のっぺらぼう達は鏡の中に入って行き、そこに閉じ込められてしまうのだった。

その時になって、八橋先生は茜と真琴の事を思い出す。

その茜は、ぐしょ濡れになってトイレの前にしゃがみ込んでいた。

真琴の方は、裸にカーテンを巻き付けた姿で、トイレに入っていたが、用を済ませた後、トイレットペーパーがない事に気づき焦るが、どこからともなく伸びて来た手がトイレットペーパーを渡す。

安心したのもつかの間、今の手は誰のか分からなくなった真琴は、素っ裸のまま外に飛び出す。

それを観た茜は思わず悲鳴を上げて、手で顔を覆うが、しっかり指の間から真琴の裸を観察していた。

やがて、服が乾いて身に付けた茜は、タイチの幽霊を発見、その幽霊が招いているようだったので、そちらに真琴と一緒に歩いて行くと、八橋先生たちに再会する事が出来た。

茜は、今観たタイチの幻の事を話すと、八橋先生は、自分も子供の頃は身体が弱かった事を打ち明ける。

彼らが、教室に貼られた子供達が描いた絵を観ていると、その中の絵が、二人三脚をしている絵に変化して動き出すのを見る。

柚香リンは、こっちだって、読んでいる声が聞こえると言い出す。

すると、何時の間にか、妖怪テケテケが八橋先生の背中に負ぶさっているではないか。

勇気を奮い起こした八橋先生は、そのテケテケにボクシングを挑み、卑怯な手を使って、ノックアウトしてしまう。

しかし、子供達が逃げ込んでいた教室は、扉が開かなくなってしまい、さらに両面の壁が中心に向って迫って来るではないか。

このままでは、みんな、教室の壁に押しつぶされてしまう。

しかし、廊下に出ていた先生は、中に入ろうとして呼び掛けても、誰も返事をしないので、扉を開けようとするが開かない。

窮地に追い込まれた良は、さっき、繭子と自分が互いに会いたいと願ったら会えた事を思い出し、皆に、八橋先生の事を思い浮かべるように提案する。

皆すぐさま、その通りにするが、一人、悟だけは、そんな非科学的な事は信用できないと無視する。

やがて、悟を除く全員は、何時の間にか、八橋先生のいる廊下に立っていたが、悟だけは元の部屋の中。

悟に、こちらの事を強く念じろと声をかけても、もう、壁に押しつぶされそうになってパニック状態になっていた悟には、そんなゆとりすらない。

仕方がないので、良と繭子が、悟の事を念じはじめると、ようやく、悟の身体も廊下に出現する。

その悟が落とした定期入れの中には、良の母親の写真が入っているのを良は気づく。

悟は、新しい母親ができる事を心から喜んでいたのだ。

良は、そんな悟の気持ちを理解できたように感じ、二人は初めて仲直りする。

そんな彼らの前に、タイチの幽霊が出現し、こちらへ来いと招いている方へ行ってみると、そこは美術室だった。

そこにあった黒板に、チョークが一人で「ごめんね」の文字を描きはじめる。

りょうは、そんなタイチに霊と握手すると、タイチの霊は実体化する。

タイチは、自分がいじわるな事を考えると、妖怪達が悪さをするんだと説明して、赤い鉢巻きを返すのだった。

全員、鏡を通り抜けると元の世界に帰れると分かるが、良は何故か、自分は残ると言い出し、返してもらった赤い鉢巻きで、良と二人三脚をすると言い出す。

すると、繭子や八橋先生も参加すると言い出し、全員でやろうと言う事になる。

何時の間にか、美術室は運動場に変化していた。

八橋先生のスタートの声を合図に、タイチと繭子に足を結んだタイチは、二人に抱えられるように走り出す。

茜と真琴、柚香と悟も走り出す。

嬉しそうだったタイチだったが、その時、にわかに黒雲が空を覆いだし、タイチは大変な事を考えてしまったと告白する。

自分は生きている人と仲良くなってはいけなかったのに、皆といつまでもここにずっといたいと考えてしまった。

でも、そうなるには、皆が生きていない事になり、妖怪にしてしまえと命じられたと言うのだ。

図工室に戻ろうとした良達に、階段脇に飾ってあったゴジラのハリボテの中から恐竜の骨格が出現して襲いかかって来る。

校庭には、大きなひび割れが出来、どんどん崩れはじめる。

繭子もその亀裂に落ちかけるが、良がそれを助け、代わりに恐竜骨格が落ちてしまう。

その時、タイチの鏡も割れてしまい、帰り道がなくなってしまうが、タイチは僕が道になると言って、その身体が光に包まれはじめる。

しかし、理屈っぽい悟は、タイチの言葉を鵜呑みにして良いのか?妖怪の罠なのではないかと尻込みを始める。

しかし、他に道はなく、信じるしかないと決心した茜と真琴は、その光の中に飛び込んで行く。

さらに、真由子をよろしくと八橋先生に託すと、良は、悟と柚香の手を取って、その光の中に身を投じる。

その後に、八橋先生と繭子が続く。

暗闇の中に走る光の道をひた走っていた良が振り返ると、タイチの霊が又浮かび上がり、僕はいつまでも子供のままなんだと告げる。

やがて、元の校舎に戻った事が分かるが、何故か、八橋先生はシャカシャカに脅かされる。

その頃、良のアパートでは、失踪した子供達の捜査願いを出した母と木村が、警官(螢雪治朗)に慰められたいた。

そんな所に帰って来た良と、柚香と悟は、すかり仲良し兄弟になっていた。

それからしばらくして、良が東京に行く事になり、木村の車で学校で待っていた友達とのお別れをしていた。

繭子は、お手製の金メダルを良の胸にかけて、その頬にキスをするのだった。

さらに、不思議な事に、空から、赤い鉢巻きが良の足元に落ちて来る。

タイチの霊もお別れを告げているのだ。

その鉢巻きを拾い、車に乗り込んだ良は、校舎から手を振って見送る同級生達にも手を振って出発するのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

好調シリーズの3作目。
監督が「平成ガメラ」シリーズで、一躍、名を上げた金子修介に代わり、テンポの良い活劇調がうまく生かされた作品になっている。
両親同士の再婚によって、新たな兄弟関係になる子供達の心理的屈折などが、ストーリーの中核になっているのだが、その点が、やや「あざとい」設定かな?…と、若干気にならないでもないが、スピーディーな展開と、サスペンスフルな演出(音楽がなかなか良い)も相俟って、すぐに物語世界に溶け込む事ができる。
お化け達のキャラクターに関するアイデア自体は、やや、息切れ気味では…とも感じるが、CGやモデルアニメなど、意欲的な技法を積極的に取り入れ、観客を飽きさせる事はない。
物語後半のリリシズムも、シリーズのお約束とは言え、嫌みにはなっておらず、素直に感情移入出来る。
子供から大人まで、広い客層に歓迎される、近年の邦画では貴重となった、娯楽ファンタジーの佳作だと思う。