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フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)

1965年、東宝、馬淵薫脚本、本多猪四郎監督作品。

アメリカのベネディクト・プロとの提携作品。
第2次世界大戦末期、ドイツのU-ボートから日本の潜水艦に手渡されたフランケンシュタインの心臓は、広島への原爆投下で突然変異してしまう…。
戦後、謎の少年が発見され、彼は信じられないようなスピードで成長を遂げて、巨大なモンスターへと変身していく。
戦後のまだ貧しく暗い世相を背景に、存在を許されない一少年が成長していく様は、単なる怪物物語と言う以上の悲劇性を背負っており、観る者に強い印象を刻み付けるはずだ。
唯一、彼が心を通いあわせる、水野久美とのほのかな愛情表現も涙を誘う。
怪物の大きさの設定が、従来の怪獣ほど巨大ではないため、ミニチュアの迫力も手伝って、特撮シーンが強烈なリアリティを獲得しているのが見事である。
やがて現れたバラゴンと、存在を許されぬ怪物は、互いに戦いながら地上から姿を消すのだが、その何とも形容しがたいラストも強い余韻を残すものである。
数ある怪獣映画の中でも、テーマの悲劇性が印象深い名作と言えよう。
ちなみにこのラストには、突然大鮹が現れる、海外バージョンもある。