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大魔神逆襲

1966年、大映京都、吉田哲郎脚本、森一生監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

雪山に金色に輝く雪が舞い上がるカットをバックにタイトル

大木が倒れ、民家が倒れる。

巨大な魔神の手。

又、お山の荒神様が暴れ出したぞ!

赤子を抱く妻と共に、家の中で怯える夫。

次の瞬間、その民家も押しつぶされる。

魔神の巨大な足。

川が決壊し、大水が村を襲う。

何とか、その流れから助かった村人たちは、恐ろしい荒神様じゃと怯えながら、手を合わせて祈る。

日照りが起き、乾いた大地に地割れが走る。火山が爆発する。

祟りに違いない。恐ろしい荒神様じゃと口々に言いながら、村人たちは皆手を合わせる。

地震、噴火、洪水、日照りなどは、皆、魔の山の神の仕業と信じられていた時代の物語である。

その魔のお山を、顔から血を流した一人の男が必死に歩いていた。

小山藩のとある村では、村人総出で、冬支度をしている最中だった。

子供である鶴吉(二宮秀樹)、金太(飯塚真英)、大作(堀井晋次)たちも仕事を手伝っていたが、大作は腹が減ったなどと早くもへこたれかけていた。

そこに突然、以前から行方不明になっていた三平(仲村隆)が帰って来たので、発見した鶴吉や、三平の弟、金太は驚く。

村人たちが、三平を寝かせ訳を聞くと、仕事で木を切っていた木こりら全員が、突然、隣の国の侍に捉えられ、地獄谷と言う場所に連れて行かれて、大掛かりな建物を造らされていると言う。

名主様を呼びに行かせ、御領主様は助けに行かないのか?と村人が聞くと、御領主様は、大雪が近いのでとても行けないし、軍隊を出しても、途中で雪に封じ込められてしまうだけだろうと言っていると三平が悔しがる。

村人たちは、何か手はないのかと仲間たち救出に頭をしぼるが、三平は、魔神のお山を越えるのだ。自分はそこを越えて来た。他の道は敵の目が光っていると言い、魔神のお山を越えろと皆に伝えてくれ、と言いながら息絶える。

しかし、それを聞いた村人たちは頭を抱える。

三平は村一番の木こりだったから、魔神のお山を越えて来られたのだ。三平が死んだのも、その祟りかも知れないと怯えているのだった。

鶴吉はその後、一人で魔神のお山を眺めていた。

何をしているのかと金太と大作が近づいて聞くと、あのお山を一人で越えるつもりだと言うので、金太と大作も行くと言い出す。

急いで家に帰り、こっそり握り飯を作っていた鶴丸の様子を、弟の杉松(長友宗之)も観ていた。

待ち合わせの場所に来た金太と鶴吉は、「ぐず」の大作が、大きな荷物を背負って来たので驚くが、中身は全部食い物だと言う。

さらに、杉松まで付いて来たので、みんなは驚き、とてもお前のような小さい子供ではお山には登れない。母ちゃんには黙っているんだぞと言い聞かせ、と帰らせる。

その頃、地獄谷では、三平を取り逃がした二人の配下が戻って来て、組頭の松永大膳(名和宏)に報告していたが、大膳は、万一、逃げ延びた奴が隣国小山の城下にでも走られたらどうする?と二人を鞭打ち叱ると、国境を越え、魔神の山に入り、逃げ出した木こりの亡骸を確認して来い!と、他の家臣に命じる。

一方、鶴吉、大作、金太の3人は、親たちから聞いていた、お日様の沈む西へ、西へと歩みを進めていた。

金太は、兄ちゃんが、地獄谷には硫黄があるので、黄色い煙が上っているらしいとみんなに教える。

その時、大作は、自分の草履を放り投げ、裏返ったので、いけない!兄ちゃん、死んでいる!と言い出すが、金太と鶴吉は、そんなことはないからと言い聞かして進む。

やがて、近くに住む老婆かね(北林谷栄)と出会うが、かねは、このお山に入ってはいかん。この山には魔神様が住んでおられると言うので、鶴丸たち走っていると答える。

知っているなら、お山に入ると、神隠しにあって、二度と出て来られぬぞ。荒神様がお怒りになり、大雪が降るし、召使いのタカがいつも観ておられると言いながら、かねは子供たちを追い返すと、その場を立ち去って行く。

帰ると見せかけ、木の陰で様子を観ていた子供たちは、かねがいなくなると又先へ進もうとするが、そこに兄ちゃん!と近づいて来たのは杉松だった。

幼い杉松がこんな山奥まで密かについて来たことにさすがに3人は驚くが、こんな所から一人で帰らせる訳にも行かず、結局、泣かない、だだをこねないと言う約束をさせて連れて行くことにする。

その頃、地獄谷では、御大将の荒川飛騨守(安部徹)が工事の視察に訪れ、後二日で完成すると組頭の松永大膳から報告を受ける。

ここは、硫黄を採取し、火薬を作る工場だった。

大膳は、これが完成すれば、近隣諸国制覇の夢は叶うたも同じと断言する。

この話を遠くから聞いていた木こりたちは、三平はどうしたのか?たどり着けなかったのか?と小声で話し合う。

そんな木こりたちに近づいた飛騨守は、もっとこき使え!働かせるんだ!と見張りたちに檄を飛ばす。

子供たちは、鬱蒼とした山の奥深く入り込んでいた。

幼い杉松などは、鳥の鳴き声にさえ怯える始末。

崖をよじ上っていたとき、金太が足を滑らせ落ちかけるが、下にいた大作が頭で金太の体重を支え、押し上げてやる。

しかし、次の瞬間落石に合い、全員崖下に落下してしまう。

強い風が吹き、最初に気がついた鶴吉がみんなを揺り起こす。

何とか全員無事だったので、身体をくっつけ合って強い風を避ける。

やがて、風が治まり、一羽のタカが木にとまって、子供たちの様子を見守っているようだった。

鶴吉たちは、魔神の使いだと怯える。

やがて、彼らは山頂につき、そこに石の埴輪像が立っているのを見つける。

鶴吉たちはその像の前に跪くと、神様、俺たちがお山に入ったことを許して下さい。どうか、このお山を通らせて下さいと手を合わせて祈ると、それに呼応するかのように強い風が吹く。

上空をタカが旋回していたので、鶴吉たちは、それを合図に再出発する。

その内、杉松が腹が減って動けないとだだをこねだしたので、仕方なく、昼飯を食うことにする。

みんなで楽しく握り飯を頬張っていたとき、鶴吉が、近づいて来る荒川家の家来3人を発見、身を隠すが、そのとき握り飯を一つ落としてしまう。

一旦は、通り過ぎた侍たちだったが、大作がうっかり木の枝を折って音を立ててしまったので、侍たちは戻って来て、足下に落ちていた握り飯に気づく。

周囲を見渡すと、逃げる子供たちの姿を見つけたので追うことにする。

子供たちは、深い谷にかかる細い木の橋を渡らねばならない場所に行き着く。

金太は、一番ぐずな大作を先に渡そうとするが、大作は怖じけて動こうとしない。

その時、怖いもの知らずの杉松がとことこと木橋を渡りかけるが、あっさりと折れてしまい、危うく落ちかけた杉松は金太と鶴吉が支えて持ち上げる。

先ほどの侍は、こんな魔神の山に子供がいるのは合点がゆかぬ。何か訳があるんだと言いながら、必死に探しまわっていた。

その時、木を切る音が聞こえたので、その方向へ向かってみると、鶴吉たちが木を切って崖に渡そうとしている所だった。

何とか木が倒れ、橋ができたので、4人はそれを渡る。

侍たちが近づいて来たのに気づいた子供たちは、木を落とそうとするが、重くてなかなか動かない。

間もなく侍たちが崖向こうに到着し、木を渡ろうとした時、杉松が放った矢が侍たちの足に刺さる。

痛さで身を引いた瞬間、子供たちは木を崖下に落下させることに成功する。

侍は、配下の二人に銃を撃たせるが、弾は当たらなかった。

やがて、鶴吉たちは、麓へ通じる道を見つける。

魔神の山を越えたのだった。

その頃、小山の村では、子供たちがいなくなったことを知った大人たちが、名主嘉右ヱ門(南部彰三)を中心に話し合っていた。

結局、どうしても探しに行くと言う母親お春を含めた数名が、魔神の山に登ることになる。

子供たちは、たき火を焚いて休息していたが、逃げる最中、大半の荷物を失ってしまったので、皆空腹に耐えていた。

その時、鶴吉が、父親に食べさせる為に持って来ていた粟餅を取り出し、みんなで分け合って食べようと言い出す。

鶴吉の父親吉兵衛(早川雄三)は、地獄谷での夜、小屋の中で木の人形を作り、そこに「鶴吉」と「杉松」と言う名前を彫り込んでいた。

庄八(山下洵一郎)は、工事が終わったら、みんな殺される。三平の次は俺が行こうと提案していたが、吉兵衛は、お前が死んだら弟の大作はどうなる?と問いかけていた。

その時、見張りが近づいたので、皆は一斉に寝た振りをする。

それでも翌日、工事の最中、一人が転ぶ芝居をし、仲間や見張りたちの注意がそちらに集中した隙を見計らい、庄八は逃亡を企てるが、すぐに見張りに見つかってしまい、砦を逃げ出してすぐに右足を撃たれてしまう。

捕まった庄八と木こり仲間は、硫黄の泉に連れて来られ、荒川飛騨守に、逃げる奴、夜の命令に逆らう奴がどうなるか、良く観ておけと言うなり、大膳から蹴られた庄八は、硫黄の泉に落ち死んでしまう。

庄八は落とされる直前、吉兵衛に、弟大作のことを頼んでいた。

木こりたちは、仲間の無惨な最期を見せられ、無念の想いで泣くしかなかった。

同じ頃、山道を下っていた大作は、旨そうな食べ物の匂いを嗅ぎ付けていた。

見ると、先ほど自分たちを追っていた侍とその配下の二人が、あばら屋で飯を食っているではないか!

侍は、あの子供たちは木こりに関わりのあるガキだ。ひっ捉えねば…と話していたが、その時、山の中を逃げる子供たちの姿に気づき後を追いかける。

無人になった小屋に近づいたのは杉松だった。

それに気づいた大作たちは、石を見当違いの方向に投げて、侍たちの目をくらませる。

子供を見失い、小屋に戻って来た侍は、飯の鍋がなくなっていることに気づき、やられた!と叫ぶ。

杉松が持って来た鍋を受け取った子供たちは、それで握り飯を作り、嬉しそうに食べ始める。

魔神の山に踏み入ったお春や名主たちは、荒川の様子を探りに行くと言う小山の侍数名と出会い、案内をするよう命じられていた。

一方、子供たちは、行き止まりの道に突き当たっていた。

鼻の良い大作は、雪の匂いがする。雪が近いぞと言い出す。

仕方なく、岩場を降りかけた一行だったが、杉松を背負おうとした金太が、落石に右足を潰されてしまい動けなくなる。

その金太を大作が背負い、河原まで降りて来るが、タカが上空を待っていた。

鶴吉は筏を作ることを思いつき、みんなで協力して筏を作ると、それに乗って川を下り出す。

しかし、途中で岩場に激突、川に投げ出された子供のうち、大作と鶴吉は岸辺にたどり着き、杉松を岩場に押し上げた金太は、足が痛いからダメだと、必死に手を掴んで離さない杉松に言い聞かせ、そこで力尽き川に流されてしまう。

杉松は、岩場に残された金太の巾着袋を見つけ、流されて行く金太の名をいつまでも呼び続けていた。

上空のタカは、そんな子供たちの運命を見守っていた。

夜、3人になった子供たちは木の穴の中で休息していた。

鶴吉と大作は、薪を集めに出て行くが、その間、杉松は悪夢にうなされていた。

雪の中でタカに襲われていた夢だった。

父ちゃん!と叫んだ所で目が覚め、帰って来た鶴丸から、心配しないで寝ろと言われる。

やがて、山に雪が舞い降り始める。

それに気づいた鶴丸は、杉松と大作を揺り起こし、眠ったら凍え死ぬと注意する。

それでも翌朝、一面は雪に覆われていた。

鶴吉たちは山越えを躊躇するが、行くしかないと決意する。

地獄谷では工事が終了していた。

荒川飛騨守は、小山藩から攻めるので、間道を案内しろと木こりたちに迫る。

案内すれば、褒賞を与え、女房子供の所へ戻してやろうと言うのだったが、木こりたちは、この大雪では無理だと断る。

荒川飛騨守は、口答えをした一人を斬り捨てると、全員を硫黄の谷へ連れて行けと命じる。

一方、鶴吉たちを折っていた侍は、彼らが落として行った矢を拾っていた。

鶴吉たちは雪崩に遭い、何とか、助かるが、疲労はピークに達しており、全員睡魔に襲われてしまう。

鶴吉は数字を数えさせて、杉松と大作が寝入るのを防ごうとするが、結局自らも寝入ってしまう。

その時、雪が顔に落ち、目覚めた鶴吉は、すぐ間近に、あの侍たちが迫っていることを発見する。

侍は、配下たちに、子供を鉄砲で撃つように命じるが、その侍たちにタカが襲いかかり、全員、目を突かれて死んでしまう。

しかし、タカも、侍が放った銃弾を受け、雪の中に落ちてしまう。

その頃、名主の嘉右ヱ門 たちは、魔神の山の頂上にある石像の場所までたどり着いていたが、突如地震が起きて立ちすくんでいた。

撃たれたタカの額から血が流れるのと呼応するように、石像の額からも血が流れ出す。

鶴吉は、死んだタカを雪の中に生めると、突き出した崖の上まで進み、金太は川に流されました。大作と杉坊は起きてくれません。これらはみんな、神様のお怒りでしょうか?お山を越えたのは、父ちゃんたちを助ける為に仕方なかったんです。私がこの身を捧げますから、大作と杉松だけは助けてやって下さいと祈り、崖から身を投げる。

その時、山頂の埴輪像が動きだし、両手を顔の前に上げると、怒りに満ちた大魔神に変身する。

大魔神は全身が金色に輝き出す。

大作と杉松は何故か目が覚め、鶴吉の姿を探していると、突き出した崖の方に続いた足跡を見つける。

その崖下の方に言ってみると、積もった雪の中央部分が金色に輝いていた。

やがてそこから大魔神が出現し、その右手には生け贄になろうとした鶴吉の身体が握りしめられていた。

大魔神は、そっと鶴吉の身体を崖上に置く。

気がついた鶴吉は、目の前にいる大魔神に気づき驚く。

雪に埋められていたタカも金色に輝くと生き返り、空に飛び立って行く。

その頃、地獄谷の硫黄の泉の前で、間道への案内をするかどうかの返答を迫られていた吉兵衛たちの前に、荒川飛騨守がやって来て、一刻経ったが返事はどうだと聞き、誰も返事をしないのを知ると、叩き込めと松永大膳に命じる。

吉兵衛が大膳に捕まり、硫黄の中に落とされそうになるが、抵抗したとき、鶴吉と杉松と書いた木の人形が地面に落ちる。

それを知った大膳は、足で人形を硫黄の中に蹴落とす。

その時、タカが出現し、突然吹雪が起こる。

大魔神が接近し、巨大な岩壁を突き崩し、その姿を現す。

驚愕した荒川飛騨守は、鉄砲隊に発砲を命じる。

さらに、逃げ出す配下たちにも戦えと命じ、自分と大膳は真っ先に逃げ出す飛騨守。

大魔神は、一人の侍を掴むと、岩に押し付ける。

配下たちは、繋いであった丸太の束の綱を切って落とすが、大魔神は、足場に溜まったその大木を両手で掴むと、配下の者たちに投げつけて来る。

砦の門に入った飛騨守たちは、大砲で応戦するが、門に接近した大魔神は、門を手で突き破ると、両手で門全体を持ち上げ、侍たちの方に投げつけて来る。

飛騨守は、火薬の詰まった洞窟内に逃げ込むが、大魔神は崖の上を突き崩すと、そこから巨大な手を差し入れて、飛騨守を掴もうと追い回す。

洞窟を逃げ出し外に出た飛騨守は、硫黄を貯めた巨大な桶がある櫓に登ると、そこから滑車を使い逃げ出す。

それを追って来た大魔神は、硫黄の桶を叩き潰し、櫓も破壊する。

やぐらには流れ出た硫黄が付着し、発火する。

大魔神は腰の剣を抜く。

その様子を観ていた吉兵衛たち木こりは、思わず手を合わせて祈る。

大魔神が剣を地面に突き立てると、地割れが起き、大膳は崩れた岩の下敷きになって息絶える。

飛騨守も転んだ所を大魔神の左手に掴まれてしまい、硫黄の泉の崖の所まで運ばれると、その身体を崖に押し付けられ、剣で胸を一突きにされてしまう。

手を離された飛騨守の身体は、そのままずり落ち、硫黄の泉の中に沈んで行く。

飛騨守の身体が沈んだ泉からは、鶴吉と杉松と刻まれた木の人形2個が浮き上がって来る。

その時、吉兵衛は、山を越えてやって来た鶴吉と杉松の姿を発見、思わず抱きしめてやる。

その背後に立っていた大作も、仲間の木こりたちが招いて労苦をねぎらうのだった。

鶴吉は大魔神に向かい、神様、ありがとうございましたと手を合わせると、大作や杉松、木こりたちも一斉に手を合わせる。

大魔神は埴輪像に変身し、空は晴れる中、やがて雪の固まりになって飛び散って消えて行く。

立ち上がった杉松は、「神様〜!」と叫ぶ。

その声に応えるかのように、魔神の化身であるタカも空高く飛び立って行く。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「大魔神」三部作のうち、末尾を飾る「雪の大魔神」と俗に称されている作品である。

改めて見直してみると、実に丁寧に作られていることが分かる。

普通、続編、シリーズ3作目などは、正編に見劣りするケースが多い中、この三部作は、どの作品にもそうした劣化を感じさせない。

冒頭の地震や洪水などのスペクタクルシーンから、きちんと作られたセットや特撮で再現されており、全体的に予算をかなりかけている様子がうかがえる。

話は、子供4人による冒険旅行の設定になっているが、その描写も、本格的なロケーションと丁寧に作り込まれたセットで描かれており、単なる子供騙しになっていない所が凄い。

子供の一人、金太が、途中、川に流され命を落とすシーンがあったり、草履占いで、大作が兄が死んでいることを予言する所なども、単なるハッピーエンドの勧善懲悪ものではないことを現している。

雪山のセットなどは、今観ても感心させられる出来である。

合成シーンなどは、さすがに当時のカラー技術での限界部分もあり、マスクがずれていたり、ブルーバックの残像があったりするが、その辺は致し方ないと言う所だろう。

1、2作目に比べ、スター級のキャスティングがないのが惜しまれるが、その分を子供たちが補っており、安部徹と名和宏の悪役振りも楽しい。

子供たちを案じ、自らも山に登ったお春や名主たちすら、大魔神の前では容赦がなく、同行した小山の侍たちは岩の下敷きになってしまう辺りは、大魔神の恐ろしさを良く表現している。

1作、2作では、若い娘の願いだけで動くように思われた大魔神だが、この3作目では、純真な男の子の願いも聞くことが分かる。

身を投げて、友と弟を救おうとする健気な鶴吉を演じているのは、テレビ特撮「マグマ大使」でガムを演じた二宮秀樹であり、1作目に続いての登場である。