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大怪獣東京に現わる

有り体に言ってしまえば、「低予算の青春映画」だと思う。
東京に大怪獣が出現した…というニュースがテレビで流れ、北陸に住む平凡な人々が、だんだん浮き足立っていき…という、かなり無理のある設定で、コメディのようでもあるし、シュールな実験映画のようでもある。
桃井かおり扮する平凡な主婦や、多くの大人たちも登場するが、一番印象に残るのは、小さな町を出ようと迷っている若者たちの姿であり、監督の関心も実はそこにあるように思える。
感傷的なラストシーンなど観ていると、かつて、邦画の青春物などで良く馴染んだ、どこか切ない雰囲気が、そのまま再現されているのに気付くだろう。
怪獣の姿は一切画面上に出ないにしては、怪獣映画の「ムード」はどこかしら感じられなくはなく、地図上に「矢印」で示された「記号」としての怪獣表現も、だんだん、そう見えて来ないでもない…ところが面白い。
福岡に上陸した亀怪獣は、クルクル回って空を飛ぶらしく、やがて二匹の怪獣は決戦する事になるのだが、これは、誰が考えても「ゴジラVSガメラ」夢の対決であろう。
マニアなら、泣いて喜ぶシーンかも知れない。(笑)
怪獣映画として、何かを期待すると肩すかしを食うだろうが、普通の邦画として観れば、地味ながら、色々楽しめる部分もあるように思える。
「珍品」の名に相応しい異色作と言えよう。