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キングコング('76)

企画不足が原因なのか、監督たちの個人的な思い入れが原因なのか、今でも「リメイク作品」は後を立たない。
そうした現象のきっかけになったような、有名古典作品のリメイク大作。
1972年の「ポセイドン・アドベンチャー」、1974年の「タワ−リング・インフェルノ」など、この時期、大衆は、かつてのハリウッド大作の再来のような作品を歓迎し始めていた。
これに目を付けたプロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスは、当時最新の技術で、有名なモンスタ−を大予算で復活させる事を思いつき、その企画に絶対の自信を持って、実行に移したのだった。
しかし、当初、最大の宣伝材料だった、ロボット技術による等身大コングは全くうまく動かず、「でくの坊」状態であったため、若手のSFXマンで、「エイプ(猿)スーツ」作りで才能を発揮し始めていた、リック・ベイカーにスーツ作りを依頼、リック自らが中に入って演じる「着ぐるみ」に、ほとんどのシーンが差し換えるはめに陥る。
かつての暗い時代背景や、「未知のロスト・ワールド」などと言った、オリジナル作品の時代では、まだ通用した要素も、70年代では、もはや「陳腐」以外の何物でもなく、基本的に設定の無理がある上に、技術的にも、期待された程、観客を喜ばせる成果が実現できなかった事も重なり、結果は、「何とも間抜けな大作」にしかなりえなかった。
部分的には、空気圧で豊かな表情を見せるコングの顔のシーンや、その後、有名になったジェシカ・ラングの美女役など、見るべき要素もないわけではないが、すでに、名作古典として、映画史に刻まれているオリジナル作品とは、比べるべくもない水準に留まった凡作と言うしかあるまい。