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喜劇 駅前百年

1967年、東京映画、八住利雄+広沢栄脚本、豊田四郎監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

明治元年に当る1868年、彰義隊の伴野孫之進(伴淳三郎)と薩摩の志士、森田達之助(森繁久彌)は、互いに敵味方として剣を交えていたが、二人ともアームストロング砲の威力の前には手も足も出ず、時代の変化と戦いの無意味さを悟るのだった。

かくして、孫之進は上野に旅人宿「葵館」を開業、どういう訳か、達之助もそこの番頭にちゃっかりおさまっていた。

時は流れ昭和42年、修学旅行生でごった返す上野駅前の旅館「葵館」は開業百年を迎えており、二代目主人孫作(伴淳三郎-二役)と、番頭徳之助(森繁久彌-二役)に受け継がれていた。

そんな「葵館」に、オール観光株式会社、略して「お観K」の堺次郎(フランキー堺)なる人物がやって来て、今来た修学旅行生のグループは自分が斡旋して来たので、マージンを寄越せと孫作に要求してくる。

その時は孫作も徳之助も、次郎を相手にせず追い帰したのだが、その後何故か、徳之助は本郷の「ホテル赤門」の番頭に鞍替えして、次郎とがっちりタッグを組むようになっていた。

女癖の悪い徳之助は孫作に首にされたのだが、赤門の主人で未亡人の景子(淡島恵子)の亭主のような身分になっていた。

今日も、修学旅行生の引率で上京した来た教師の松木(三木のり平)や若手教師(伊東四朗、戸塚睦夫)を連れて、中国人の経営者(山茶花究)がやっているキャバレーに案内する徳之助と次郎であった。

一方、お観ケイなどの有力斡旋業者がいなくなった「葵館」の方は、すっかり客足が落ち、閑古鳥が鳴くような状態になっていた。

そんな所へ、久々の客を連れた見知らぬ女性が現れ、自分は「ホテル赤門」の徳之助からの紹介されて来た「白バラツーリスト」の西里染子(池内淳子)と名乗る。

彼女、元「お観K」の社員だったのだが、独立して、今や一人で旅行会社を切り盛りしているらしい。

彼女の辣腕で、徐々に次郎のエリアの仕事が奪われて行く。
染子は次郎に、一緒に組んで仕事をやらないかと持ちかけるのだが、定時になると自動的に上司(名古屋章)の号令が聞えてくる無線付き時計を身につけたような完璧な会社人間だった次郎には、そんな決断はできるはずもなかった。

そんなこととは無関係に、「葵館」の一人息子孫太郎(松山英太郎)は、動物園でオッットセイの飼育係をやっている由美とかねがね付き合って来たのだが、彼女がライバル関係になる「ホテル赤門」の恵子の姪に当るという事もあり、孫太郎はなかなか彼女の事を両親に打ち明けられずにいた。

由美は、そんな消極的な孫太郎にものたらなさを感じていたのだが、そんな事を知らない恵子と徳之助は、治郎の見合いの相手に由美を紹介してしまう。

一目で由美の事を気に入った治郎だったが、実は、次郎の事をかねてから惚れていた女性が身近にいる事を、次郎自身は気づいていなかった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

シリーズ第一作の原点に立ち戻る意味を込めたのか、設定も監督も一作目と同じにしたシリーズ21作目で、東宝創立25周年記念作品でもある。

てんぷくトリオや、堺正章がザ・スパイダースの一員としてゲスト出演しているのが見所。

てんぷくトリオの三波伸介はターザンとあだ名される先生役で大暴れ、ちゃんと「びっくりしたな〜、もう」というギャグも披露する。

しかし、この頃は、まだ一番年下だった伊東四朗はよほど注意していないと見つけられないくらい扱いが小さい。
まだ、戸塚睦夫の方が目立っているのだ。

堺マチャアキは、伴淳の息子孫太郎の友達という設定。

後半、地元のグループがイベントで歌うという設定で「風が泣いている」を歌う。
お馴染みの赤いミリタリールックのムッシュかまやつひろしも井上順も、大野克夫も井上孝之(現:尭之)も田辺昭知(現:田辺エージェンシー社長)も当然ながら全員若い。

マチャアキは、子役時代から役者としても数多くの作品に出ているので、この頃はもう手慣れた感じ。
伴淳と対当にやり合っている。

設定などは原点回帰しているが、本作のテーマは「世代交替」と観るべきだろう。

記念作とあって、メインの三人組、最初の内こそ張り切って演じているようにも見えるが、かつてフランキーがやっていたような若者の男女間の恋愛ドラマは、すでに松山英太郎と大空真弓に取って替わられている。

着物の中に詰め物を仕込み、女好きな三木のり平を支配する貫禄のある女房役を演じている森光子が妙におかしい。