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ジャイアント・ピーチ

1996年、アメリカ、ロアルド・ダール原作、カーリー・カートパトリック+ジョナサン・ロバーツ+スティーヴ・ブルーム脚本、ティム・バートン監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

イギリスのとある海辺に両親と幸せに暮していた少年ジェームズ・ヘンドリー・トロッターは、一緒に雲を観ながら、空想好きな両親から「見方を変えてごらん」と教えられていた。
彼らの夢は、高いビルがあるニューヨークに旅行することだった。

しかし、そんな優しい両親は、突如出現した凶暴なサイに食べられて亡くなってしまう。

その結果、ジェームズ少年は、いじわるな叔母二人、スポンジとスパイカーの家に世話になることになるのだが、二人はジェームズをこき使うばかりで、満足な食事も与えず、虐待の限りを加えていた。

そんなジェームズが、ある日、ゴミ箱に捨てられていたスナックの袋に、昔夢見たニューヨークの絵を描き、風船にして空に飛ばした所、しばらくして、庭で掃除させられていたジェームズの前に不思議なおじさんが現れ、その風船の中のものを触れれば、君に不思議なことが起こると予言するのだった。

風船の中身を掴み、家に戻ろうとしていたジェームズは途中で躓いて、風船から手を放してしまい、中にいた緑色に光る虫のようなものが周囲に逃げ出す。

そんなジェームズの様子を観に来たスポンジとスパイカーの二人は、庭の枯れ木に何故か一個だけ、桃の実がなっていることに気づく。

二人の叔母、ジェームズに木に登らせてその桃を取らそうとしていると、何と、その桃の実が見る見る膨らみ、あっという間に巨大な桃に成長する様子を観てビックリ!

すぐさま、これは金になると感じ取った二人の叔母は、早速翌日から、その巨大桃を見世物にして金儲けを始めるが、ジェームズへの対応に変化はなかった。

いつものように、庭に掃除に出たジェームズは、空腹から、巨大桃の一部をつかみ取って食べるのだが、その時、昨夜逃げ出した光る昆虫のようなものも彼の口の中に紛れ込む。

ジェームズは、自分が食べた部分の穴から巨大桃の中に侵入してみるのだが、その中には空洞があり、そこには土ボタル、キリギリス、クモ、てんとう虫、ミミズ、むかでなどが住んでおり、身体がいつの間にか小さくなっていたジェームズを歓迎するのであった。

やがて、又してもジェームズを探しに二人の叔母が近づいて来たことを知ったむかでは、桃の枝を食いちぎり、巨大桃は庭先から転げ落ちながら海へと落下してしまうのだった。

やがてジェームズは、空を飛ぶ鴎の群れにこの巨大桃を糸で繋ぎ、空を飛んでニューヨークへ向うアイデアを出すのだが…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

ティム・バートンが実写と人形アニメとミュージカル要素で綴るメルヘンの世界。

冒頭とラスト近くの部分が実写になっており、途中は人形アニメで描かれているのだが、単なる人形アニメに留まらず、複雑なテクニックを組み合わせた贅沢な幻想世界になっている。

特に、桃の果実のドロドロした状態を動かしている表現など、一体どうやって撮っているのか驚かされるような部分が多い。

ただし、その世界観は、いつものバートンらしく個性(アク)の強いもの。

虫のキャラクターなども独特のデフォルメが施されており、万人向けかどうかは疑問だが、最初は馴染みにくいそれらの虫たちも、冒険を通して、徐々に愛すべき存在に見えてくる所が素晴らしい。

途中で出会うメカニカルなサメも面白いが、氷の海の下に眠っていた海賊船の亡霊たちの表現などがいかにもバートンらしい。

しかし、この作品で一番印象深いのは、二人の醜い叔母を演じた女優たちだろう。
ディフォルメされた虫たちよりもインパクトがあるその風貌。

この迫力は、さすがに人形では表現しきれない、実写の魅力だろう。

メルヘンとはいえ、どちらかというと、童心に帰りたい大人向きの世界かも知れない。