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どっちもどっち

1990年、フィールド・ハウス+東宝、鎌田敏夫脚本、生野慈朗監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

マンションに独り住まいの門脇亜由子(松田聖子)は、「来てくれなきゃ、死んじゃうから」という決まり文句で男を騙しているようなタイプの女だった。

ちょうどそんな言葉を使って男と電話していた彼女に、友人からキャッチがかかって来て、あなたが買った宝くじが500万円に当っていると知らせが入る。

慌てた亜由子は一階のゴミ集積場へ。

すでに外れたとあきらめ、購入したクジを捨てていたのだった。

何とかゴミの中から宝くじを見つけ、ほっとした瞬間、亜由子の人生は終わってしまう。

運悪く、マンション屋上から投身自殺した予備校生にぶつかって即死してしまったのであった。

そんな、亜由子の部屋に新しく引っ越して来たのが、TNB東洋テレビのスポーツ担当ディレクター村田正道(明石家さんま)であった。

幼い頃、母親が家出をしてしまった事がトラウマとなり、今では村田、テレビのチャンネルを変えるように、とっかえひっかえ女を弄ぶような「チャンネル男」と化していた。

そんな村田に愛想をつかし、いきなり退職する事にしたのが、スイッチャーとして同じ職場で勤めていた恋人青木慶子(沢口靖子)だった。

TVカメラマンで友人の誠(布施博)が調べてくれた彼女の新しい職場を訪れた村田は、今後半年間は、他の女性とは一切付き合わないことにするから、それが実行出来たら、又会ってくれないかと伝えるのだった。

こうして、気分転換もかね、新しいマンションに引っ越して来た村田だったが、夜、慶子との再会を想い、独り悶々とした気分でいる頃、いきなり目の前に若い女性が出現した事に気づく。

何と、彼女こそ、この部屋の前の住人だった門脇亜由子の幽霊だった。

生きている内にやりたかった事がたくさんあったにもかかわらず、実行した事といえばダイエットだけだったという彼女は、今や、食べても太らない身体になったとかで、図々しくも、村田の部屋にある食べ物を片っ端に平らげて行く。

さらに、昔太っていた事がいまだにコンプレックスらしく、「デブ」といわれると、猛烈に怒って、ポルダーガイスト現象を起こすという困った幽霊だった。

さらに、村田にとって厄介な事には、彼女の姿は、何故か村田だけにしか見えず、部屋を訪れて来た誠や慶子には全く見えない事だった。

そのため、約束の半年が過ぎ、久々に村田の部屋を訪れた慶子は、亜由子のいたずらに翻弄されている村田を、浮気症が全く直っていないのをごまかしているだと勘違いしてしまう。

そんな慶子に、村田との仲を取り持とうとしていた誠は、実は自分も彼女の事が好きなのだという事を告白してしまうのだった…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

さんま、聖子という、テレビの人気者を主役にした「トレンディドラマ」風のファンタジー・ラブコメディ。

浮気症のさんまが、ちょっと小悪魔的というか、奔放なキャラクターの松田聖子と、真面目一方の沢口靖子という全く正反対のタイプの女性に翻弄されていく内に、本当の愛に目覚めて行く…というテーマそのものは分かるし、普通のテレビドラマとしてみれば、それなりにまとまっているようにも感じられるのだが、さんまはともかく、それを支えるべき女性二人が、共に何か俳優として本格的な実績があるような感じの人でもなく、「全く生活感のない」アイドルイメージの強い人たちなので、全体的にバラエティ番組のコントを観ているような感覚で、今一つ笑いにも繋がらないし、感情移入もできない所がちょっとつらい。

特に、本作で主役の一人をやっている松田聖子は、失礼ながら、すでにコントを演じて可愛いと感じるような年頃でもないし、かえって、その厚化粧とブリッコ演技が痛々しく見えてしまうくらい。

よほどのファンでもない限り、この時期の彼女目当てに、この作品を劇場に観に行った人がどれだけいるのだろうか。

また、さんまの恋人を演じている沢口靖子にしても、きれいではあるが、いつまで経っても「お人形」のようなイメージが抜けず、何をやっても人間らしさが感じられない。

一応、自分から逃げる女に興味を持った…と説明はしてあるのだが、 それでも主役のさんまが、そんなタイプの女性に夢中になるという設定自体に、何となく説得力を感じないのだ。

また、作品にバラエティ感を強めているのは、マンションの隣人役を演じている森口博子や定岡正二といった安い顔ぶれにも原因がある。

せっかくゲスト出演しているイッセー尾形にしても、演出のせいなのか、やっている事がコント風で薄っぺらい。

唯一、役者らしい人物といえば、布施博ただ一人。

これでは、本格的なコメディ映画を期待する方が無理だろう。

ただし、東宝映画が製作協力している事もあり、ハイビジョン合成が中心ながら、浅田英一氏の手になる特撮シーンが、結構たくさん登場している。

ただ、こちらも、どこかで観たものの焼き直し感が強いのが残念。

夜の東京を、クリスファー・リーブの「スーパーマン」(1978)よろしく、手を繋いで飛ぶさんまちゃんと沢口靖子の合成シーンは、ちょっと見物かも知れない。

何故、さんまちゃんが空を飛べるのか、最後まで分からないのだが、沢口靖子が、マーゴット・キダーより可愛いのは確か。

どちらかといえば、女性向けの内容かも知れない。