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にっぽん三銃士
 博多帯しめ一本どっこの巻

1972年、東京映画、五木寛之原作、長野洋脚本、岡本喜八脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

ひょんな事から知り合い、一緒に貨車に乗り込み、九州博多に到着した24才、戦無派の風見一郎(岡田裕介)、36才の戦後派、八木修(ミッキー安川)、48才の戦中派、黒田忠吾(小林桂樹)のさえない三人組。

駅に到着そうそう、閉じ込められた貨車から脱出するため貨車の床に穴を開けようと、積んであった木箱に火をつけて外に出たはいいが、何と、その貨車には「火気厳禁 DYNAMITE」の文字が!

死を決意し、必死に火を消し止めた三人だったが、その「火気厳禁」の文字は、東京のポスターゲリラの書いたいたずらと分かり、しばし呆然とする三人だった。

博多の屋台でラーメンをすする三人、さて支払いをしようと、黒田が懐から出した札は半分しかなかった。

ちぎれた半分の札を表で拾ったのが、博多の夜の女王といわれる「カラスのお新」(市川翠扇)。
黒田が持っている残り半分の札を見た彼女は、それを「割り符」の合図と勘違いし、彼ら三人を仲間と思い、そのまま自らの住まいである不法住居地に連れてくる事に。

何でも、お新、直方生まれで苦難の半生を経た後、今は、近隣の飲食店から飲み残しのビールを掻き集め、それをブレンドして「玄海ビール」と称して売っては、仲間たちと食い繋いでいるらしい。

そのまま、お新の元で働く事になった三人だったが、最初の賃金を貰った一郎は、気晴らしのつもりで出かけたパチンコ屋で大当り。

大量の景品煙草を貰って帰る途中で、怪し気な連中の車に無理矢理拉致されてしまう。

車に乗っていたのは、地元一体を取り仕切るヤクザ、ウルフ興業の総務部長こと、北風の健(田中邦衛)で、どうやら彼らは、一郎たち三人組を、お新が香港から招き寄せた腕利きの殺し屋だと勘違いしている模様。

調子に乗った一郎は、その勘違いに合わせはじめる。

帰って来た一郎から事情を聞いた黒田と八木も、その気になって、翌日やって来た健と交渉しようとするが、あっさり化けの皮がはがれてしまうのだった。

しかし、その時、お新のビール工場の方では、ウルフ興業の連中が乗り込み、破壊行動をし始めたので、男と見込んでいた健を軽蔑する一郎たち。

実は、健も、その破壊工作に関しては全く知らなかったらしい。

どうやら、陰で、大九建設という会社が、この辺一帯の不法建築物を買取り、その跡地に大会社の工場を作ろうと計画している事が分かってくるのだが、何やらその背後には、きな臭い匂いが立ちこめていた…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

東宝創立40周年記念作品で、2部作の後編に当る。

今回は、九州博多を舞台に、地元ヤクザたちと対立する、貧しい階級の人たちと団結して助けようとする三人組の活躍がコミカルに描かれている。

どうやら、大半のシーンは本格的なロケを行っているようで、懐かしい平和台球場を始め、地元の名所がいくつも映し出されている。

仁侠映画全盛だった頃の世相を反映しているのか、 高倉健張りの男気を発揮するヤクザに扮する田中邦衛が見物。

東京ではストレスに負け、自信喪失していた三人の主人公たちが、純朴な人たちと肉体労働したり、闘争に巻き込まれる事で、自らの自信とバイタリティを回復していく展開となっている。

実は、黒田の戦時中の部下だった事が分かる大九建設の水島という男に扮しているのが堺左千夫、地元の大学で「どんたく反戦」というグループのリーダーをやっているのが東野孝彦(=英心)だったりする。

今回も、前編同様、新人の藤岡麻理が体当たり演技をしてみせる。

渾沌とした70年代初頭の頃の世相が良く出た一編である。