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交渉人 真下正義

2005年、フジテレビ、十川誠志脚本、本広克行監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

湾岸署前で、マスコミから、「レインボーブリッジ封鎖事件」について質問攻めになる真下正義(ユースケ・サンタマリア)は、ボクの部下のお陰です。警視庁初の交渉

その映像が巻き戻され、「警視庁初の交渉人」のセリフの部分がリピートされる。

東京トランスポーテーションレールウエイ(TTR)総合司令室

その日は、クリスマス・イブと云うこともあり、200万人の人が地下鉄に押し寄せようとしていた。

そんな中、東陽線に変な車両が発見される。

片岡文彦総合指令長(國村隼)は、東車両基地に確認するように命じる。

そんな片岡に電話が入る。

検察庁に集まった幹部たちは、完全にガードされているはずの警察ネットワークに、ネットから直接侵入して来た、真下正義と地下鉄の写真をコラージュした怪し気な脅迫画像を前に、信じるべきか否か善後策を講じていた。

そんな中、弾丸ライナーと名乗る犯人からの予告通り、葛西第二公園のゴミ箱が爆発すると云う事故が起こる。

室井慎次(柳葉敏郎)担当管理官は、現場の捜査指揮は木島丈一郎(寺島進)に任せ、交渉課の真下正義を呼ぶように命ずる。

その電話を受けた真下は、雪乃とのデートの連絡で忙しかった。

それを、交渉課準備室CICの小池 茂(小泉孝太郎 )らが、呆れたように観ていた。

真下は、新宿6時半には必ず行くと雪乃に約束する。

真下と会った室井は、パニックを防ぐために、公表は出来るだけ送らせることにした。責任は俺が取ると伝える。

そこに「メリークリスマスだ、バカやろう!」と乱暴な口を聞きながら、木島が合流すると、自分は地上で犯人を捜すと真下に伝える。

その頃、総合司令室では、東車両基地と連絡がつき、クモが勝手に動き出したらしいと片岡に報告が入る。

クモが東陽町に入るとの報告が続いたので、東陽町の駅員に、誰が運転しているのか確認させる。

クモは、東陽町駅に停まり、運転席に駆けつけた駅員が、写メで運転席を写してみるが、中には誰も乗っていなかった。

その時、総合司令室に真下とCICルームのメンバーが乗り込んで来る。

その時、東陽町に、1033車両が接近しており、ATO(自動制御装置)ガキかナイトの連絡が入ったので、司令室は緊張する。

片岡司令長は、マニュアルに切り替えて、手動で制動をかけるように1033の運転手に命ずる。

しかし、ブレーキをかけた1033車両も、急にはスピードを落とすことが出来ず、そのまま徐々に東陽町駅に突っ込んで来る。

衝突する!と、駅員はホームの乗客たちを避難させる。

衝突寸前になった時、停車していたクモは、意思ある生き物のごとく、ゆっくり動き出し、衝突は何とか回避される。

片岡司令長は、線引き屋を呼ぶように指示を出す。

その時になって、ようやく、挨拶をして来た真下の存在に片岡司令長は気づく。

自動車で移動中だった木島は、爆弾処理班の班長(松重豊)から、ゴミ箱で爆発した爆弾はごく普通のタイプのものだったとの報告を無線で受け、犯人は、現場で様子を観ている可能性があるので、周囲に気をつけろと指示を出した後、犯人は、後2回、爆発を起こすはずだと呟く。

車を運転していた部下が、なぜ判るのかと聞くと、木島は「勘」だと言う。

機材を、司令室の隅の部屋に設置しているCICメンバーたちを横目に、爆弾はまだ、地下鉄のどこに仕掛けられているか判らないし、まだ、犯人からの要求もないと云う真下に、なら、あんたはいらない。6時半までには終わらせたい。あんたは、部屋の隅でコーヒーでも飲んでろと遠ざける。

その様子を観ていた小池や倉橋は、やっぱり解散かな?と、CICの前途に悲観的になる。

そんなCICメンバーや真下の所に来て、愛想良く名刺交換をして来たのは、TTR広報主任矢野君一(石井正則)だった。

片岡司令長の前では笑うなと忠告した矢野は、クモとは何のことだと聞く真下に、フリーゲージトレインだと説明した後、ノートブックパソコンのモニターに映し出されるCG画像で、フリーゲージの説明をし始める。

昔から、私鉄との相互乗り入れを目標として発展して来た地下鉄は、私鉄の規格に合わせるため、今は二種類の幅のレールを併用するようになっている。

クモは、内蔵したコンピューターが、自動的に二種類のレールに車輪を対応させることが出来るため、あらゆる地下鉄路線を走行可能な機種なのだ。

電源を切ってしまったらどうなのか?と聞く真下に、クモは、バッテリーを搭載しているため、自力で走行出来ると矢野は説明する。

今現在、地下鉄内には、200両もの車両が走行中であり、全部を基地に収めることは出来ないと言う矢野は、独立系だから、ネットからのハッキングは出来ないはずなのに…と、クモが誰かに乗っ取られて走行していることを不思議がる。

司令ソフトを操作する業者が司令本部に到着する。

全車両に、手動運転の指示を出すが、この方法が続けられるのは、せいぜい後2時間くらいだと矢野は言う。

その時、木島から無線が入り、後2回爆発があるはずだと知らせて来る。

片岡司令長は、クモが九段下を通過した後、スピードを上げたことを、壁面モニターで確認、駅を封鎖出来ないかと連絡するが、九段下の駅員から「封鎖出来ません!」との悲鳴に近い返事が返って来る。

引き込み線に入れろと片岡は命ずるが、どこも満杯だし、次々と後続の車両が来ているのでと部下たちから反論されるが、ダンパに入れろ!と新たな司令を出す。

後方かクモに接近されていた車両は、最後部の乗客を、出来るだけ前の車両に移動させていた。

その時、電話が司令室に鳴る。

「真下さん?」と呼びかける相手に声は、明らかに加工した人工的な音だった。

真下は、弾丸ライナーさん?と確認し、どこにいるの?と問いかけてみる。

相手は、当ててみなよ。今日はイブだから混んでるでしょう?とうれしそうに答える。

ちょっとだけ、クモのスピード落としてくれない?そうしてくれたら話を聞くよと頼んでみると、以外とあっさり、相手は言う事を聞いてくれる。

真下さんなら判るでしょう?と相手が話して来たので、真下は「判らないね」と言うなり、自分の方から電話を切ってしまう。

その行為を観た地下鉄職員たちは息を飲むが、主導権を握るためだと云う真下の言葉に納得するしかなかった。

しかし、モニター上から、クモの形跡が消えてしまう。

早稲田の先で、東陽線から外れたと片岡司令長が呟く。

相手は一人で仕掛けてるって言うのかと聞く職員に、真下は、こちらに挑戦しているんですと説明する。

そこに、いかにも頑固な職人と云う感じの、線引き屋こと運行ダイヤ編成担当者、熊沢鉄次(金田龍之介)が到着する。

片岡司令長は、臨時ダイヤを組むんですと熊沢に依頼する。

CISメンバーたちは、電話の発信元は秋葉原だと突き止める。

その無線を聞いた木島は、すぐさま秋葉原に向かいながら、相手は地下鉄辞めた奴か、開発に携わっていたものじゃないかと推理する。

それを無線で聞いた小池は、開発に関わった会社は、末端も含めると90社もあるので、その全職員を調べるには、5~5時間かかると伝える。

真下は、高田馬場の所で、職員たちが全員黙ってしまったのはなぜなのか?と矢野に問い、Nゲージ模型が欲しくないか?と誘う。

その時、必死に謝る一人の職員が、司令室から連れ出されていた。

クモは、又動き始めていた。

片岡司令長は真下に、警察では、SATを使って、永田町駅でクモを狙撃するようだと教える。

そこに、警視庁から、開発に関わった会社のデータが入った資料類が宅配便で送られて来る。

段ボール箱を開けてみると、中に詰まっていたのは、大量のフロッピーやZIPと云った、古いメディア類だった。

SATは、永田町駅構内に集合していた。

真下は、クモに爆発物が仕掛けられていないかどうか探さないと、うかつに撃つと爆発し危険だと気づき、木島に無線で、桜田門線の永田町駅に行って、SATの中隊長に知らせてくれと頼む。

その時、2回目の電話が鳴る。

相手は「真下さん?」としか言わないので、爆発物を積んでいるね?と問いかけると、「ジャガーノート」知ってる?と相手は聞いて来る。

インドの古代神だったような…と、真下が答えると、映画だと云うので、急いでノートパソコンで検索すると、客船に爆弾を仕掛ける話だと判る。

真下は、もう一度、爆弾積んでいるね?と問いかけ、答えがないまま、木島には積んでいると伝える。

木島は、ホームで銃を構えて今にも発砲しそうだったSATの所に駈けて来ると「注視!」と叫ぶ。

しかし、その時、司令室の矢野が、永田町のホームはカーブしているので、クモが今のスピードで駅に突入すると、ホームと接触すると警告する。

それを無線で聞いたSAT中隊長は、隊員たちを退避させようとするが、時既に遅く、クモがホームに入って来る。

クモはホームの端に車体を接触させ、火花を散らしながら通過するが、何とか爆発は免れる。

SATの中隊長は「出番のないまま退却か…」と、悔しそうに言いながらホームを去る。

片岡司令長は真下に、お前の読みは正しいのか?と疑念を抱く。

その直後、東車両区で爆発が起きる。

それを知った木島は、3回目もデカイのが来るぞと断定し、何としてでも聞き出せ!と真下に無線で伝える。

警視庁から総合司令室が届く。

CISメンバーは、犯人が使用した携帯は芝公園で盗まれたものと突き止める。

その時、再び犯人から電話があり、嘘言ってない。積んでるとは言わなかったし…

200万人の人質取ってどんな気分?と真下が問いかけると、サイコーだよと言い、なぜこんな事をするのかと聞くと、あんたに勝ちたいだけと言って電話を切る。

3回目もやる気?と云う真下の問いかけには答えなかった。

その会話を聞いていた片岡司令長は、奴とお前の知恵比べが終わるまで、俺たちはきりきり舞いさせられるのか?と苛立つ。

真下は、ボクは彼とは違いますよと答え、クモは、日本橋で渋谷線から九段下線に入りましたよね?と確認する。

でも、渋谷線と九段下線って、乗り換えるには、エスカレーターをかなり降りなければ行けない。

そんな二つの線を、クモが移動する事は、線が繋がっていなければ不可能ってことですと、真下は続ける。

脇線ってあるそうですね?脇線使ったんじゃないですか?と真下は質問するが、片岡司令長はそんな線は存在しないと言下に否定する。

真下はさらに続ける。

東京の地下には、戦前に作られた穴がたくさんあるそうじゃないですか。公表されてない脇線があるんじゃないですか?政治家の緊急脱出用、軍事目的…、だから公表出来ない…

しかし、片岡司令長は答えようとはしなかった。

その時、マニター上のクモの姿が、神保町付近で消える。

小池は、クモの運転席を写した携帯写真の画像分析が出来たと知らせる。

運転席には、携帯を使った受信機のようなものが置かれていた。

木島たちは、芝公園辺りで、不審車を探していたが、宅配の車があるだけだった。

司令室では、線引き屋の熊沢が、脇線の路線図を真下に見せながら、線には客1人1人の命がかかっているんだ、よろしく頼まぁと告げる。

その路線図を見た真下は、片岡たちに協力を頼む。

これは、犯人と地下鉄マンたちの戦争です。脇線の事は公表しませんからと言うと、ようやく片岡たちは発言し出す。

脇線にはセンサーが付いてないので、モニターで見つける事は出来ないと言う。

真下は、では足でクモを探し出して狙撃するので、駅員に案内させてくれ、おそらく爆弾は積んでないと言い切る。

その時、矢野が、真下さんは6時半からデートなんですってと片岡に教える。

すると、片岡も、6時半からボレロを聞きに行くと云うので、真下や矢野が驚いていると、母親とだ…と付け加えた片岡は、怒らないから、笑えよと呟く。

新宿のシンフォニーホール

SATが、次々に、地下鉄構内に突入して行く。

犯人からの電波の発信源は、葛西公園の側にいた黒のカエル急便と特定される。

木島は、さっき見逃した宅配車が該当車両だったと気づき悔しがる。

熊沢が引いたダイヤ変更の第一弾が完成する。

その連絡を受けた各車両の運転士たちは、熊沢さんに命預けるって伝えてくれと通信して来る。

そんな中、片岡司令長の母、智代(八千草薫)から片岡に携帯が入る。

新宿で待っていたけど、1人じゃつまらないから帰ると言うのだ。

智代の横では、同じように待ちぼうけを喰っていた雪乃が真下に電話を入れていた。

すみれさんを誘ったら青島くんまで付いて来るって言い出したので断ったと言う。

その頃、目黒線に入り込んだ捜査隊は、クモを発見出来ず焦っていた。

その時、犯人からの電話が入る。

「オデッサ・ファイル」を知ってるか?と云うので、検索で古い映画のタイトルと知った真下は、好きなの?古い映画?と聞くと、一番好きなのは地下鉄で、映画はサブ的に…と犯人は答える。

どうして好きなの?との問いかけには、何となく…と云う応え。

小池が、声紋のクリーニングが完了した事を報告する。

相手は男、30歳前後、社会との接触少ないタイプで、破壊衝動があると分析する。

新宿のシンフォニーホールでは、指揮者前主十路(西村雅彦)が登場し、演奏が始まったので、雪乃は一人で席に着く。

声紋判定から、過去、地下鉄のソフトに関連した会社を探っていたCISメンバーは、何社かの社名を割り出す。

ナベシマソフト、デジタル・グローバル・ライナー…

それを聞いていた真下は、「デジタル・グローバル・ライナー」は略せば「DGL」「弾丸ライナー」だと気づく。

おそらく、犯人は、開発ソフトの中に、何年か経ったら動き出す「スリーピング・ボム」のような仕掛けを施していたのではないかと真下は推理する。

その時、又、犯人から電話があり、お互い本気になったら、死人出るかも…などと言って来るが、その中継地は代々木だと判明する。

木島はすぐに、代々木に直行する。

代々木で仕事していた?と真下が犯人に語りかけると、知らねえよと犯人ははぐらかす。

真下は、そろそろ表に出たら?と嘲笑する相手に、俺はお前と違う!と怒鳴り、ヒントをあげようと云う犯人の言葉を「聞きたくない!」と拒み、一方的に電話を切ってしまう。

そのやり取りを聞いていた片岡司令長らは凍り付くが、真下は、ヒントを聞き出す演技だと冷静に言う。

木島は、代々木の「デジタル・グローバル・ライナー」に到着していたが、中はもぬけの殻だった。

真下は、そんな木島は、小学生時代虐められていたのではないかと話しかけるが、浮いていただけだと不機嫌そうに答えた木島は、上司の室井の顔を立ててやらないとな…と呟く。

雪乃は、もう一度、ロビーから真下に携帯をかけるが、繋がらなかった。

真下の予想通り、再び「弾丸ライナー」から電話が入る。

クモに爆弾は積んでないよね?と確認した真下は、犯人が伝えて来たヒントの335.2と言う数字を復唱し、クリアしたら、一つ条件をつけさせてくれないかと伝える。

ゲームにはルールがないと詰まらないからだと言うと、犯人も承知する。

ミッシェル・ルグランとフランシス・レイと云う新たなヒントを犯人は伝えて来る。

木島は、代々木上原近辺でローラーをかけようと焦っていた。

その時、総合司令室に洋菓子の配達がある。

「ボレロケーキ」だと言う。

その菓子名を聞いた真下は、先ほどのヒントに出た作曲家たちが「愛と哀しみのボレロ」と云う映画を一緒に作曲している事に気づく。

傍らでこの会話を聞いていた片岡司令長は、今日行く予定だったコンサートチケットを取り出し「ラヴェルのボレロ」と云うコンサート名を真下に見せると、これじゃないのかと教える。

真下は、5000人は言っているコンサートホールを爆破するってこと?と犯人に問いかける。

それを無線で傍受していた木島は、犯人はホール内で客を監視しているかも知れず、下手に客を逃がそうとすると爆発するかも知れないと言う。

その時、犯人が「真下さん、恋人いるよね?」といきなり聞いて来る。

さっき、ケーキ届いたでしょう?と云うので、「ボレロケーキ」の上に飾ってあったクッキーの裏側をめくってみると、そこに「14-41」と云う数字が書かれてある事に気づく。

それは、雪乃が座っている席の番号だった。

真下さん、そこにいて良いの?彼女、死んじゃうよ…、犯人は嘲笑するように言う。

木島は、奴の本当の標的はお前だ!と無線で叫ぶ。

犯人が出した次のヒントは「ミッドナイト プラスワン」

小説で、映画にしたら傑作になっただろうね…と検索結果を見ながら答えた真下は、クリアしたら条件を出す。起爆装置を止めてくれ。君には完全に負けたよ…と続けると、犯人は、今度は泣き落としか…と呆れたような犯人は、電話を切ってしまう。

会話を聞いていた線引き屋の熊沢が、「これの事じゃないか?」と建設途中の路線「14号線」を指差す。

「プラス1」は、地下鉄員たちが新しい線「14号線」をそう呼んでいると云うのだ。

それを傍受していた木島は、裏の裏の裏か…と、又、独りよがりな呟きを吐く、

まだ通電してない線だったが、バッテリー搭載のクモなら走れる!

片岡は真下に向かい「行けよ」と促す。

熊沢も、車両はきっちり俺たちが逃がしてやるから…と言いながら、真下のスーツの両ポケットに、真下が持っていた金属製の箱を詰めてくれる。

矢野が、司令室を出ようとする真下に、自分の車を使ってくれと鍵を投げてくれる。

片岡が「落ち着け!」と言葉をかけると、真下は「大丈夫です。上司が言ってくれてます。責任取ってくれるって」と応え、外に飛び出す。

新宿のシンフォニーホールに潜入した爆弾処理班は、数カ所に仕掛けられた爆弾を発見、起爆装置にオシロスコープが設置されている事に気づく。

処理班は、慎重に起爆装置の解体を始める。

その時、「ボレロの譜面」を検索していたCICグループが、「335.2」と云う犯人のヒントは「335小節の2拍目」の事ではないかと推理する。

先ほど真下が「何かの周波数の事ではないか」と答えた時、犯人は「惜しいけど違う」と云った点を指摘する。

音波は周波数の一種なのだ。

特定の楽器がなると、起爆する仕掛けになっているのだと気づき、その楽器を調べると、シンバルだった。

傍受していた真下は、奴は客席を見ている可能性がある。クモの運転席に設置した携帯から電波を出せると指摘する。

奴は、爆発を観るために、クモと一緒に来るはずと真下は推測する。 

木島をホールに入れさせ、いざとなったら、シンバルを食い止めてくれ、草壁中隊長は新宿に行って狙撃準備と、真下は最後の作戦を指示する。

松重爆弾処理班班長は、コードが7本もあるのに気づき、勘で切るしかないと判断していた。

CICグループは、声紋での過去データ該当者を発見していた。

8年前、警察にいたずら電話をかけて来た羽田雄一、当時21歳

そこに、苛ついた犯人からの電話がかかって来る。

しかし、その直後、羽田雄一は、交通事故で死亡している事が判明する。

車で新宿に近づいていた真下は、君は一体誰なんだと問いかける。

線引き屋の熊沢は、いっその事、幽霊にしてしまった方がやりやすいと呟く。

君は一線を越えたね。俺もオタクだから良く分かる。だけど、ボクはこっち側にいる。答えは裏の裏だよ。ヒントは「プラス1」だ。DTRで新線を作っている、池袋と新宿を結ぶ新線だと真下が語りかけると、犯人は、外れだ、はずれだ!誰が14号線だ!違うよ、違うよと否定したので、当っていると真下は確信する。

今日はクリスマスで、新線は封鎖している。どうする?と聞き、片岡司令長には、クモは14号線にいますと伝える。

その頃、SATは新宿に到着していた。

木島も、シンバル演奏者の後ろに到着していた。

渋滞に巻き込まれていた真下は、広域捜査で検問をしていた緒方(甲本雅裕)と森下(遠山俊也)両刑事に会ったので、車を預けると、走ってシンフォニーホールへと向かう。

松重班長は、左手に握っていたお守りが黄色だったので、赤を切断して見て無事だったので、他の班にも「赤を切れ!」と指示する。

木島は、シンバルを今まさに叩こうとしていた演奏者を背後から羽交い締めにして阻止する。

外では、サンタクロースの格好をした宣伝マンがシンバルを叩く。

真下の携帯が鳴り、ホールが無事だった事を知らせて来る。

草壁中隊長は、新宿駅で迫り来るクモの狙撃の準備をする。

ホールでは、シンバルが鳴らなかったため、あっけにとられた観客が静まり返っていたので、指揮者の前主が一人で拍手し、それに呼応するかのように雪乃も拍手をしたので、ようやくそれに釣られて場内は拍手に包まれる。

真下は、新宿のからすを見ながら、町を歩いていたが、その時、一台の黒いライトバンを発見する。

新宿駅では、SATが、近づいてきたクモに一斉射撃を始め、クモは停車する。

草壁中隊長が。クモの停止を確認すると、総合司令室に拍手が巻き起こる。

真下は黒い車に近づこうとするが、すると、黒い車は少し走って又停車する。

やがて、黒い宅配車は大爆発を起こして炎上する。

警察の記者会見会場

犯人の身元や生死は不明のままだったとの報告がされていた。

矢野が壇上に立ち、記者たちの質問に答え始めたのを室井が見ていた。

その室井に、本部に戻るよう携帯が入ったので、室井はその場を立ち去る。

総合司令室では、帰ろうとする熊沢に近づいた片岡司令長が、俺が広報だった時代、あんたに叱られた事がありましたねと話しかけ、又来て下さいと送り出す。

熊沢は、孫に呼ばれているんだと言いながら、サンタ帽をかぶると、部屋を後にする。

真下は、結局あいつは誰だったんですかね?と、木島に話しかけていた。

木島は、これからうじゃうじゃ出て来るぞ。ああいうのが…と応え、お前、途中から、自信ありげに爆弾な行って言うようになったけど、なぜだと聞いて来る。

真下は、ただの勘ですよ…と、木島のお株を取る。

ようやく雪乃と出会った真下は、一緒になろう!結婚しようと胸ポケットから金属製の箱を取り出し手渡すが、それは、雪乃の写真が入った写真立てだったので、雪乃は凍り付く。

間違えたと気づいた真下は、反対の胸ポケットから、指輪が入った箱を取り出し、開いてみせるが、そこに近づいて来た木島が、飲みに行こうぜと抱きついて来たので、指輪は箱から飛び出して、群衆の足下の方へ転がって行く。

慌てた真下、木島、雪乃は、人の動きを止めさせ、指輪を探し始めるのだった。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

これほどの面白さを、過去経験した日本のサスペンス作品といえば、「新幹線大爆破」(1975)か「天国と地獄」(1963)くらいしか思い付かないような気がする。

しかも驚くべき事は、スターと呼べるような俳優が一人も出ていない、又、良く観ると、さほど予算はかけていないにも関わらず、これだけの緊張感を最後まで持続し得たと言う事は、それだけ脚本に力があると言う事だろう。

とにかくアイデア満載、このシリーズのお馴染みである映画ネタ(かなり渋い作品も含む)だけではなく、今回は鉄道ネタまで多数仕込まれており、多少なりともその方面の知識がある人には、思わずニヤリとしたくなるような内容になっているはず。

逆に言えば、そういう知識があまりない方には、面白さの半分くらいしか伝わらない所があるかも知れない。

例えば、東京の地下鉄の知識。

もちろん、劇中では路線名などは全て架空のものに差し換えられてはいるが、ほぼ、実際の路線図に符合するようなものになっている。

これが意外に難しい。

東京に何十年も住んでいる人の中にも、地下鉄をあまり利用せず、路線名など言われてもピンと来ない人は大勢いる。

もちろんこの作品は全国の観客対象なので、それを知らないからと言って楽しめないような作りにはなっていないのだが、知っているとこれが楽しさ倍増である事は確か。

今、クモがどの線のどの位置にいるかを想像しながら、その後の展開を自分なりに読む、ゲームのような感覚があるからだ。

そういう意味では、完全な「おたく映画」なのだが、その「おたく」が単なる表層的なものだけではなく、時代を象徴する悪ともなり得る事をテーマにしている点も興味深い。

「天国と地獄」も「新幹線大爆破」も、その犯人像は、単なる謎解きの答えではなく、時代の歪みの象徴でもあったと思う。

だから、作品自体に力がみなぎっていたのだ。

そうした意味で、本作の終り方もまさしく「象徴としての終り方」である事に気づくべきだろう。