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北国の街

1965年、日活、富島健夫「雪の記憶」原作、倉本聰脚本、柳瀬観監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

4才の時に母親を亡くし、病気がちで貧しい手織りもの職人の父親(信欣三)と二人暮しの高校生、小島海彦(舟木一夫)は、新聞配達をしながら東京の大学を目指す優等生。

彼と同級生である藤田(山内賢)は、優秀な兄2人と県会議員の父親を持ちながら、クラスの番長を気取っている男であり、彼の事を理解し心配しているのは担任の先生(葉山良二)だけだった。

そんな藤田は、同じ不良でクラスが違い、ライバル関係にある和田(根岸一正)とは、学校でも互いに牽制しなう仲だった。

一方、銀行員の父親の転勤のため、半年前に転校してきた志野雪子(和泉雅子)はその美貌ゆえに学校中から注目されるアイドル的存在だったが、不良の和田にしつこく付きまとわれていた。

しかし、そんな雪子が秘かに思いを寄せていたのは、いつも通学列車で出会う小島であった。

雪子と海彦は、列車の中で互いにそれとなく互いを意識する仲になっていたが、ある日、事故のため遅れて満員詰め状態になった汽車で、雪子に場所を譲った海彦の学制帽が飛ばされた事がきっかけとなり、急速に会話を交わす仲となる。

そんな二人の様子を見せつけられ面白く思わない和田は、海彦を呼びつけ、彼女を譲れと暴力をふるうのだった。

そんな海彦の様子を見た藤田は、和田とのもめ事の秘密を海彦から聞き出そうとするが、頑として海彦は口を開かない。不良にこびる事をしない海彦の態度に、藤田は少し一目を置きはじめ、いつしか無二の親友に。

和田の執拗な妨害にもめげず、互いの仲を育んで行く雪子と海彦だったが、実は、雪子には海彦にも打ち明けられない秘密を持っていた。

そんな中、父親が病に倒れて長期入院を余儀なくされる。

海彦は、雪子と誓いあった東京への進学の夢を考え直す事になる…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

御三家の一人、舟木一夫主演の北国の小さな街を舞台にした叙情的な純愛物語。

それまで舟木が出演していた明朗青春路線とはがらりと趣を変えた「愛と難病ものパターン」の内容になっており、この後、和泉雅子と再び組んだ「絶唱」(1966)や、松原智恵子と組んだ「夕笛」(1967)など、一連の「お涙もの」映画の先駆けになった作品といえるかも知れない。

全体として、かなり地味な印象のドラマで、見るべき所といえば、美しい地方都市の情景くらいであろうか。

寂しくも見えるその美しい雪景色が、二人の愛の純粋さを際立たせているようにも、又、彼らの前に横たわる厳しい現実の象徴のようにも映る。

基本的には、舟木と和泉の魅力だけに頼ったアイドル作品と考えた方が良いだろう。

確かに、この頃の二人は、青春真っ盛りと言う感じで美しい事は確かなのだが。

不良の役を演じている山内賢というのも、ちょっと珍しい。
どう見ても、強そうではないのだが。

彼も又、雪子の事が好きであるかのようにも見えるのだが、雪子、海彦、和田との三角関係がさらに複雑になる事を避けて、おそらく意図的に掘り下げては描かれていないので、ちょっと、単調なキャラクターに見えるのが惜しい感じもする。

舟木ファンや和泉雅子ファンには必見の一本だろう。