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喜劇 駅前医院

1965年、東京映画、長瀬喜伴+斉藤良輔脚本、佐伯幸三監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

駅前にある産婦人科と内科専門「森田医院」は本日、若先生(佐原健二)らが伊豆へ慰安旅行へ出かけてしまい休診日。

表では、労務者相手に関東成沢組のチンピラヤクザ、次郎(フランキー堺)が路上博打をして暇つぶしをしている。

そんな森田医院に、警官の伴野巡査(伴淳三郎)が若い女性を連れて訪れ、ゆっくり寝ていた大先生(森繁久彌)を叩き起こす事になる。

大先生の身の回りの世話をしていたのは、元夫人警官だった伴野の妻(京塚昌子)。

何でも、夕べ遅く、長野から上京してきた津田悠子(関みどり)という若い女性が、道を訪ねた男女二人に荷物を奪われ、あまつさえ、男の方に乱暴されてしまったのだと言う。

さっそく怪我の治療をした大先生であったが、傷心の悠子はしばらく伴野巡査の家に預かる事になる。

悠子は襲われた男の鼻を思いっきり咬んでしまったと言うので、犯人の目印は鼻を怪我した男だと目星をつけた伴野は、次郎と付き合っている染子(池内淳子)の身持ちの悪い兄、竹(山茶花究)が怪しいと目星をつけ家を訪ねるが、悠子は違うと言う。

その後、怪しいマスク姿の男と女のコンビを発見した伴野巡査は、追跡劇の後、ちょうど近くに居合わせた次郎の協力もあって、無事犯人を検挙するのだが、その事が、次郎の親分成沢(左卜全)の耳に入り、次郎は大目玉を食らってしまう。

実は捕まえた男は、親分とは付き合いのある組の舎弟だったからだ。

男のけじめを付けようと森田医院を訪れ、指を詰めてくれと大先生に頼む次郎だったが、尊敬する森の石松はけじめをつける時は頭を丸めたものだという大先生のホラ話を真に受け…というか、渡りに船とばかりに丸坊主になる方法を選ぶ。

翌日、伊豆から帰ってきた若先生と看護婦の由美(大空真弓)は、泊まった旅館で大先生とも懇意の女将景子(淡島千景)と番頭の三平(三木のり平)も連れてきていた。

その頃、次郎は、産婆をやっている母親(沢村貞子)から染子の悪い噂を聞き、染子を問いつめ、やがて独り合点して、彼女に乱暴したと思われる三島組へ単身乗り込んで行くのだったが、誤解を苦にした染子の方は睡眠薬を飲んで森田病院へ運ばれる騒ぎに…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

「駅前団地」(1961)に続き、森繁が医者の役を演ずるシリーズ第11作目。
レギュラー陣の中では、今回も淡路景子が登場していない。

今回は、テーマミュージックも何やら似ている坂本九のヒット曲「幸せなら手をたたこう」がベースになっている。

「医は仁術」と信じ、貧しいながらも、長年、町医者として貢献してきた老医師を、今は、たあいない手品好き、音楽好きの好々爺という実に味のあるキャラクターとして描いているのが好感が持てる作品となっている。

いつものトボケ演技を押さえ、生真面目な老警官役に挑んでいる伴淳も珍しい。
同年公開の名作「飢餓海峡」の老刑事、弓坂役を意識しての事だろうか。

三島組の留守を守っている妻役が中村メイコ、伊豆の旅館に中年男と泊まりに来る尻軽女に山東昭子、若先生の遊び友達として、大先生に遊びでいれた刺青を消してもらいに来る青年が松山英太郎、警察署長役が松村達雄。

中でも注目は、堕胎を依頼にしに来るストリッパーピンキーマリを演じている芳村真理。

たまたま、病院の連中は全員でかけており、留守番を頼まれていた三木のり平が、つい好奇心から着ていた白衣からマリに医者と間違われ、そのまま何となく産婦人科医として治療しかけると言う辺りのドタバタがおかしい。

伊豆の旅館の芸者役として登場する中尾ミエが、今回は「さのさ」を披露している。