ターゲットが今一つ見えにくいのが気になる点を除いては、最近観たジュブナイル(少年もの)映画の中では一番素直に観られた秀作だと思う。
小学校のビデオ観賞とか映写会などで観せられて、ちょっと照れくさそうに「結構、面白かったな」とクラスメイトたちと打ち明けあうような…、そんな印象の作品である。
テーマが結構シリアスなので、「説教臭かったり」「お涙頂戴」のあざとい作品になっているのではないかと危惧したが、それはなかった。
確かに後半は「説教」と取れなくもないセリフが出て来たり「お涙頂戴風」の盛り上げ方がないわけではないのだが、別にそれほどくどいというほどの事はなく、意外と素直に観られる。
日常生活の中にロボットが登場しているというだけで十分ファンタジックなのに、何やらストーリー自体もゲーム世界との連動で、虚構性の方が強い「ジュブナイル」(2000)みたいなアクションファンタジー展開になるのかと思わせるが、ギリギリの所で現実世界に留まった感じ。
その分、娯楽映画としては地味に感じる人も多いはず。
技術的には、「Returner −リターナー−」(2002)の時以上の衝撃感がある(あくまでも、日本映画としてはだが)。
とにかく、主役ロボットHINOKIOの自然さは驚嘆もの。
どこまでが造型物で、どこからがCGIなのか、ほとんど見分けが付かないレベルにまで到達している。
このHINOKIOのキャラクターとしての魅力が、登場している少年少女たちの魅力を全て引き出しているとさえ感じるくらい。
これだけ人間臭く、感情移入できる虚構キャラクターを作り得た発想と技術力に対しは、素直に賞賛を惜しまないつもりだ。
素晴らしい!
まさに実写の「鉄腕アトム」の誕生といって良いほど。
若干、クライマックスあたりの展開に違和感を感じないでもないが、個人的には許容範囲だったと言える。
子供世代よりも、むしろ、大人の女性や年輩の方が観た方が面白く感じられる内容ではないだろうか。
