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ひばり・チエミのおしどり千両傘

1963年、東映京都、笠原良三脚本、沢島忠脚本+監督作品。

▼▼▼▼▼最初にストーリーを書いていますので、ご注意ください!コメントはページ下です。▼▼▼▼▼

鶴岡藩の喜美姫(美空ひばり)と腰元の登志(江利チエミ)は同じ年で乳姉妹の仲。

町方上がりの登志の母親が喜美姫の乳母に当るのだった。

食いしん坊の登志は、賄い方の新人侍、掘込一馬(安井昌二)と共に御毒味役を任されていたが、最近、喜美姫は食欲がない。

窮屈な毎日の生活に嫌気が指しているだけではなく、一度もあった事さえない松平相模守への御輿入れの話が勝手に進行している事への反抗であった。

しかし、のんきな登志にそんな君姫の気持ちが気づくはずもなく、いつも姫が食べない食事を自分が代わって食べれる事を喜んでいる始末。

そんな事情を知った姫御付きの爺や、土橋進左衛門(千秋実)は登志の不明を叱るが、当の登志はそれを一馬のせいにしようとし言い争いになるのだが、その事がきっかけとなって、登志は自分が一馬の事を、本当は心底愛しているのだと気づく。

しかしそんな騒ぎを余所に、家老梶川主膳(北龍二)の手配で始まった御輿入れの旅の途中、ちょうど近隣の村祭りで賑わう宿場に宿をとった喜美姫は、「東海道、箱根の宿まで自由にさせよ」との置き手紙を残したまま、夜の内に姫姿の娘が大勢いる仮装行列の中へ逃げ出してしまうのだった。

祭りの騒ぎの中、つい酒に酔い、悪い男たちから襲われそうになった喜美姫は、旅姿の男に助けられる。

男は、深川木場の材木問屋の息子、相模屋巳之吉(水原弘)といい、姫言葉が抜けない奇妙な喜美姫を気味悪がりながらも、町娘の衣装に着替えた後も自分に付きまとう彼女といつの間にか一緒に旅するようになる。

一方、鶴岡藩の一行は、失踪した姫の捜索に全力をつくすと共に、取りあえず、松平家からの使者に対応するため、急遽、登志を喜美姫の身替わりにしてしまう。

松平家の菓子係り、三村文之進(由利徹)の訪問には何とか対応できたものの、次なる使者、家風御指南役、岩風(清川虹子)の厳しいチャックには、さすがに度胸の座った登志もたじたじ…。

そんな中、この策略結婚に反対する松平家の家臣、黒田主水(尾形伸之助)一党が、岩風諸共亡き者にせんと乗り込んで来るが、家老梶山はそれを見て見ぬ振りをする。

姫が殺されれば、身替わりの事がばれずに済むというのだが、助けに駆け付けたもののそんな打算を聞かされた一馬は義憤にかられ、敵を蹴散らした後、その場で醜い武士の身分を捨てると宣言する。

楽しい夢のような巳之吉との旅も終りを告げる時が訪れ、涙ながらに城に戻る事になった喜美姫の元に、町人姿に代わった登志が現れ、自分は一馬の後を追うので暇をくれと頭を下げに来る…。

 

▼▼▼▼▼個人的なコメントはここから下です。▼▼▼▼▼

息の合ったひばりとチエミコンビが、とりかえばや物語を演ずる時代劇ミュージカル。

前年の「ひばり・チエミの弥次喜多道中記」(1962)同様正月映画なので、基本的には肩のこらない賑やかなドタバタコメディ調なのだが、本作では、恋に殉じるか身分を守るか迷う乙女の切なさを描く情感溢れるシーンが加えられているのが特長。

お姫さまと言う役柄上、どうしても気取った演技に終止するひばりに対し、大食漢のおとぼけ腰元を演ずるチエミの熱演で、前半は「あんみつ姫」などを連想するマンガチックな演出になっている。

一方ひばりの方は、村祭りの仮装行列の中で酒に酔って浮かれはじめるシーンや、中盤、水原弘と酒場で「パイ投げ」ならぬ「うどん投げ」「おから投げ」が入り乱れる大乱闘にはしゃぐシーンなどで、弾けたコメディエンヌ振りを発揮する。

町民に間違えられた姫君が、頓珍漢な受け答えをする定番ギャグなどももちろんある。

バラ色に染まった雲の中で、七夕の織姫、彦星のような中国風の衣装を着たひばり、水原弘、チエミが歌う幻想シーンも見所。

ちゃんばらトリオを結成する前、大部屋役者時代の南方英二や伊吹太郎、夢路いとし、喜味こいしコンビなどもちらり登場している。